決算審査特別委員会審査の主な内容


 九月定例会において、閉会中の継続審査となっていました「平成九年度甲府市各会計別決算の認定について」及び「平成九年度甲府市各企業会計別決算の認定について」の二案について、十一月九日から十六日までの八日間にわたり慎重に審査いたしました。
 その結果、甲府市各会計別決算及び甲府市各企業会計別決算のすべての事業会計別決算の認定について反対討論があり、採決の結果多数をもって当局原案のとおり認定するものと決しました。  審査の主な内容は次のとおりです。


総括質問


中核市への取り組みについて
 近隣市町村と一体的な発展に向けて「交流・連携」を基軸に中核市の推進に取り組んでおり、具体的には庁内組織を設置し、合併に必要な資料収集や中核市移行後の効果、権限委譲等様々な課題について調査・研究を行った。今後は実務段階での協議を積極的に行うとともに、施設の共同利用、地域間の連携・交流を深めながら合併機運の醸成を図っていきたいとの表明がありました。

財政構造改革について
 第三次総合計画の幾つかの事業も施設整備が完了し、これからはハード事業からソフト事業への時代であると考えている。今後は事業転換により経常収支比率も高くなるが、これらの比率についてもできる限りの抑制を図りながら、自主財源比率の向上になお一層の努力をしていくとの表明がありました。

組織改革について
 企画調整部と税務部の一元化による成果をただしたのに対し、自主財源の安定的確保と効率的な財政運営を同一部署で掌握できるとの考えに基づき統合したものであり、厳しい財政状況を的確にとらえた事業執行、予算管理等により各施策の円滑な執行が図られているとの答弁がありました。

福祉・保健・医療のネットワーク構想について
 疾病予防から治療、リハビリ、機能回復に至るまでの関係機関との一貫した連携・協力体制の整備を進めるため、福祉総合相談窓口を設置するとともに、拠点施設の整備として、保健センターから総合保健福祉センター構想への転換も検討しているとの答弁がありました。

庁舎建設基金について
 深刻化する景気低迷の中、市民生活を守る立場から、庁舎建設基金を取り崩し市民の負担を軽減すべきであるとただしたのに対し、老朽化、分散化、また民間ビルも借りている実態から基金の積み立ても無駄ではないと考えている。また、市民ホールとしての強い要望が第三次総合計画の中にも組み込まれており、そうした問題の解決を図ることが大事であるとの考えが示されました。

会計別審査


▼一般会計

歳入について
 市債について、より低利な資金を幅広く活用すべきとただしたのに対し、政府資金や県貸付資金には貸出枠の設定等一定の制約があり、これらの資金の活用には限度があるため、一定額は金融機関の縁故資金からの借り入れとなった。その際には、市の指定金融機関に利率などを確認し、条件の有利な銀行を選んだが、利率は市場金利が連動して設定されることから他の資金との差が生じているとの答弁がありました。
 これに対し、縁故資金については入札制度を取り入れるとともに市共済組合資金についてはより低利での借り入れが可能と考えるので、鋭意交渉を行っていくよう要望がありました。

議会費について
 議会図書室の整備充実を求める意見がありました。

総務費について
 シビックコア地区整備事業における地区の選定についてただしたのに対し、甲府駅周辺は候補地の一つではあるが、本市の現況を分析するなかでシビックコア地区を核とした市内公共施設のグランドデザインを構築した段階で、国との協議により決定し、平成十二年までには基本方針を策定する予定であるとの答弁がありました。
 決算状況を公表する際に、貸借対照表を導入する考えをただしたのに対し、公有財産のうち道路や河川をどう資産評価するかを研究する必要があるが、現行の決算処理方法では財政状態を経営的に示すことができない面もあるので、負債と資産・資本の関係を明記できる方法について、今後調査研究していくとの答弁がありました。
 ヴァンフォーレ甲府の支援についてただしたのに対し、県及び韮崎市とともに甲府圏域内外の自治体へ支援を呼びかけ、三十市町村で構成する広域ホームタウンを結成したところであり、これらの自治体とは出資以外の面でも支援していくことで合意したが、息の長いサッカーチームとなるように今後も市民・県民の幅広い支援態勢づくりを積極的に呼びかけていくとの答弁がありました。
 まちづくり委員会については、本年三月に基本的方策の中間報告を行い、本年度はこれを基に八つのワーキンググループにより具体的な推進方法についてさらに調査研究を進めており、これらの研究結果については、国の中心市街地活性化法との整合性を図るなかでまちづくりの施策に反映させていく旨の方針が示されました。

民生費について
 介護保険制度のモデル事業の結果をただしたのに対し、今回のモデル事業においては介護上の判定基準、かかりつけ医師による意見書等の問題が提起され、特に痴呆の判定については非常に困難であるとの意見が出されるなかで、要介護者の一次判定と二次判定の結果に若干乖離が生じた。これらの結果を踏まえ本施行に向けては、介護認定の公正・公平性を確保し着実な対応を図るため、国の徹底した指導を要望するとともに、介護認定審査会の委員及び調査員の研修を十分実施するなどして、制度の円滑な運営が図れるよう努めていきたいとの答弁がありました。
 公設の特別養護老人ホームの必要性についてただしたのに対し、高齢者保健福祉計画の目標量はすでに達成されており、これ以上に施設を建設する場合は市の単独事業となるため、現状では困難であるとの答弁がありました。

衛生費について
 リサイクルプラザの運営課題についてただしたのに対し、プールや入浴施設の時間延長等に関する要望が多いため、現在リサイクルプラザ運営懇話会にてより利用しやすい施設とすべく検討を進めているところであるとの答弁がありました。
 これに対し、運営改善にあたっては施設利用者の増加策を念頭に利用者サイドに立った運営を行うよう要望がありました。また、なでしこ工房を高齢者の生きがい対策やボランティア活動などの場として活用の検討を求める意見がありました。

労働費について
 労働相談の周知についてただしたのに対し、各市民センター等にチラシを配布したり、相談場所の勤労者福祉センター入口付近に案内板を設置するなど努力しているとの答弁がありました。

商工費について
 大規模小売店舗法に関する取り組みについてただしたのに対し、従来の大規模小売店舗法は中小小売業の事業機会確保のため、開・閉店時間や営業日数を調整し出店規制を行ってきたが、新法は出店地域の騒音やごみ処理、交通対策等の周辺環境に配慮して出店を調整するもので、これらを総合的に勘案しつつ甲府市全体のまちづくりを進めていく考えであり、基盤整備やソフト事業を組み合わせながら、まちに活力を取り戻す研究を行っていきたいとの答弁がありました。



土木費について
 中心域への借上方式による公営住宅の導入についてただしたのに対し、住宅マスタープランでは借上方式等民間資産を活用しての供給方式が位置付けられたことから今後は新総合計画との整合性や、維持管理費の助成等を含め総合的に検討していきたいとの答弁がありました。
 これに対し、中心域における住宅供給は中心市街地の活性化や、定住人口の増加にもつながるので導入に向け鋭意取り組むよう要望がありました。

教育費について
 学区再編への取り組み状況をただしたのに対し、学校は地域にとってコミュニティ的役割や、自治会等各種団体の拠点として数多くの役割を果たしていることから、統廃合については中心市街地の活性化、まちづくりなどを勘案するなかで問題点を整理し、関係団体との意見交換を十分に行いながら地域住民の理解と合意が得られるよう鋭意検討していくとの答弁がありました。
 不登校児への対応についてただしたのに対し、不登校についてはさまざまな要因があり難しい問題であるが、教育的立場からは個性を生かす教育、わかりやすく楽しい授業の展開を行うとともに、教育相談体制の充実を図り、生徒の心のケア、悩みの解消にあたっている。また月一回生徒指導主事会を開催し、教員の指導の充実に努めるとともに、家庭や地域との連携も十分とりながら取り組んでいるとの答弁がありました。

消防費について
 消防団員の報酬を類似都市並みに改善するよう要望がありました。


国民健康保険事業特別会計

 収納率の低下についてただしたのに対し、長引く不況による所得の減少などが大きな要因であるが国保事業は地域保険として住民相互の連帯意識に支えられて運営されており、今後もより適正な保険料の賦課を行うとともに、収納率の向上にも努めていきたいとの答弁がありました。

▼住宅新築資金等貸付事業特別会計
 この事業は地域改善対策を目的に創設したが、資金運用及び償還状況とも極めて不公平・不公正な事業となっており、早期に廃止すべきとの意見がありました。

土地区画整理事業用地先行取得事業特別会計
 アーバンスタディセンター計画の早期見直しを行い、その内容を明らかにするよう求める意見がありました。

病院事業会計
 窓口業務についてただしたのに対し、外来についてはすべて委託により行っている、また入院に関しては、嘱託職員により業務を行っているが、将来的にはすべての業務を委託に移行していく方針であるとの答弁がありました。

▼下水道事業会計
 事業効率を高めるための経営努力について、資産の効率的な活用に努めるとともに、平成十年度からはコストの縮減にも取り組んでいるとの答弁がありました。また起債残高の見通しについては、予定では平成十七年頃をピークに減少していくものと計算しており、財政運営上の支障は来さないとの答弁がありました。

▼水道事業会計
 上下水道の一本化については、メリット、デメリットの研究、また新行政改革の検討項目でもあることから、その結果を見るなかで対応していくとの答弁がありました。また、水道料金の引き下げについては、水道事業は清浄な水を安定的に供給するためには、常に施設の更新が必要となる。料金については、効率的な事業経営に努め健全財政を堅持するなかで、現行料金を維持していきたいとの答弁がありました。


前へ 次へ