午後1時00分 開 議

○議長(谷川義孝君)
 これより本日の会議を開きます。
  報告事項を申し上げます。
 上田英文君及び内藤幸男君は、一身上の都合により、本日欠席する旨の届け出がありました。
 以上で報告を終わります。
 これより日程に入ります。
 日程第1から日程第11まで11案及び日程第12 市政一般について質問を一括議題といたします。
 昨日に引き続き、上程議案全部に対する質疑及び市政一般質問を行います。
 これより代表質問を行います。
 最初に、新政クラブの代表質問を行います。福永 稔君。
 福永 稔君。

            (福永 稔君 登壇)

○福永 稔君
 それでは新政クラブの代表質問を行わせていただきます。
 早いもので、宮島市長誕生後11カ月が過ぎようとしております。この間、宮島市長は「わ」の政治を基本理念として、みずからの公約でありました「日本一親切・丁寧で明るい市役所」を目指して、日曜窓口の開設を柱とした市民本位の窓口業務への改善、市長対話室の設置と市民対話の充実、さらには部の統廃合など組織の見直し、市長、管理職の給与のカット、小学生医療費の段階的無料化、そして外部監査制度の導入準備等々、着々と公約を実践しており、その政治姿勢は、多くの市民の方々から高い評価をいただいているものと感じております。しかしながら、前市長時代からの市政課題でありました小学校の統廃合、中心市街地の地盤沈下対策、市町村合併の推進など、最重要の市政課題につきましては、いまだに先が見えない状況にあることも事実であります。
 我が国の地方都市が同様の行政課題に直面していることも事実でありますが、このような状況になりました原因は、戦後50数年続いた行政システムと、意思決定システムが疲弊しているにもかかわらず、旧態依然とした手法で問題を解決しようとしている行政と議会と、市民にも責任があるような気がしてなりません。特に現在行っている対話や、各地区まちづくり協議会での市長との対話は、市民代表者から民主的に要望や意見を拝聴しているように見えますが、地方分権の理念であります自己決定と自己責任という視点から判断いたしましたときに、依然として陳情型民主主義から脱却し切れていないのではと思えてしまうのであります。
 皆様方も御承知のとおり、改革派知事の旗手と言われた前北川三重県知事、現在は早稲田大学の大学院の教授でありますが、北川知事は、知事に当選して一番先に手がけたことは県庁職員の意識改革だと言われております。この辺の改革に一番意を注いだと最近述べておられます。
 そして「由らしむべし知らしむべからず」、すなわち市民や国民に対して税金を上げるなどは告知するだけで、その理由や使い道については説明は必要としないといういわゆる上意下達の我が国の悪しき政治手法であり、徳川時代からのお上と民という400年間に染みついた遺伝子を取り除く、いわゆる改革するということは大変なことであるということを認識をしております。
 また、市民の皆様の側といたしましても、何でも行政に依存する体質から脱却していただき、行政にタックスペイヤー(納税者)として積極的に参画する真の市民参画型民主主義を確立するようになれば、いずれ私たち議員の要らない時代が来るかもしれません。そうは申しましても、現実的には市民の皆様型の要求の多さに比べ、現下の市財政は大変厳しい切迫した状況にあるわけでありますが、そこで前市長が公約で実施いたしました都市計画税の徴収税率1,000分の3を1,000分の2に下げたものをもとに戻すことが決断できないかということであります。
 もともと目的税であります都市計画税は、市民生活に直結した道路や側溝などインフラ整備をすることを目的に徴税を許されているものでありますが、将来的にも法人税や市民税の自然増収は見込めず、さらには地方交付税につきましても、先細りが余儀なくされる状況にありますことを想定いたしましたときに、しっかりとした説明責任を果たすならば、いわゆる将来、甲府市をこういうまちづくりをしていきますと、説明をしっかりとすることによって必ずや市民の皆様方に御理解を得られるものと確信をいたしますが、いかがでしょうか。宮島市長の御所見を求めます。
 次に、去る11月30日に行われました中道町の住民投票に関連して、甲府市の今後の市町村合併の進め方につきまして、宮島市長のお考えを聞きたいと思います。
 本件につきましては、昨日も多くの議員の方々から質問が寄せられておりますし、本日の新聞各紙におかれましても、その報道がなされたところでありますが、私なりの視点でお伺いをさせていただきたいと思います。
 中道町の住民投票の結果につきましては、中道町の町民の皆様方が出した結論ですので、その結果につきましてはあくまでも尊重する立場でありますが、10年から20年後を考えましたときに、果たしてこの結果がよかったかは別のもののような気がいたします。と申しますのは、平成17年3月の合併特例法の期限切れに向けて、全国的には平成の大合併の嵐の中で現在の3,176市町村が1,727自治体に再編される見込みで合併が進んでおりますが、我が国の急激な少子高齢化の進みぐあいを考えましたときに、平成18年を境に人口は減少の一途をたどるのみとなります。その一方では、地方分権を求める世論は日ごとに高まりまして、そのために小泉政権は税源移譲と補助金、地方交付税の縮減を目指したいわゆる三位一体の改革に取り組んでいるのでありまして、その受け皿となる基礎自治体の住民1人当たりの歳出額が高い自治体ほど厳しい将来が待っているといっても過言ではありません。
 現在の甲府市の高齢化率は20%弱でありますが、近隣町村は限りなく30%に近い町と、もう既に50%以上である村では、ますます医療費や介護費のいわゆる民生需要費はふえ続けるだけですし、先ほど申し上げました政府の方針でありますところの三位一体の改革が進み、国の補助金や地方交付税が縮減の方向にあることを考え合わせますと、新しい枠組みを選択される自治体の将来は、決して明るくないことが自明の理であります。
 先月中旬、政府の地方制度調査会は、今後の地方自治制度のあり方に関する答申をまとめて、小泉純一郎首相に提出いたしたところであります。その答申の中で、確かに合併により基礎自治体である市町村の規模と能力は拡大はするが、都道府県は、市町村に権限が委譲されることにより、現在の都道府県庁の存在が希薄であいまいになるので、将来は都道府県の合併を念頭に置いた、いわゆる当初は12州1,000市、さらには12州、最終的には300市といわれております道州制も視野に入れた検討を打ち出しております。このほか人口が1万人以下の町村については、知事の責任において合併することも答申の中に含まれております。また合併特例法の期限切れ後も、新たなる合併再編の新法が制定される可能性もあり、平成の大合併は、平成17年3月で終わるのではなく、限りなく進む少子高齢化、人口の減少、地方分権化の高まりや、国家財政の硬直化などの諸環境と、市民意識の多様化と、成熟化などの要因が複雑に絡み合いながら、より行政能力の向上と、より効率的な行政のあり方を求めてさらなる大合併時代の到来へ向かうような気がしてなりません。
 このたびの投票で、甲府市との合併に投票してくださいました1,718人の中道町住民の皆様の御期待におこたえする意味でも、山梨県の県都である甲府市の誇りと自覚をもって市民の皆様方が本当に甲府に住んでよかったと思われるような光り輝くコンパクトシティー県都甲府市づくりに邁進すべきものと考えますが、宮島市長の決意をお聞かせいただきたいと思います。
 リーダーの決断は辛く厳しいものであることは十分に理解するものでありますが、宮島市長は非常に読書家であり、以前から中国古典への造詣が深く、特に帝王学につきましては相当の努力をされたと聞いております。私ごときものが申し上げるのもまことに僣越ではありますが、あえて申し上げさせていただきます。
 宋王朝の名臣であった氾仲淹は、『文章軌範』の中で「天下の憂いに先立ちて憂い天下の楽しみに後れて楽しむ」と教えております。人より先に憂うものがいつ楽しむかと言えば、天下万民の楽しむ声を聞いて、ようやくほっとひとりで安堵の笑みを漏らすことの意味だそうですが、リーダーの神髄はまさにここにあるような気がいたします。宮島市長の勇気ある決断と実行を心より願うものであります。
 次に、それでは県都甲府市が誇りと自覚を持って真に市民参画型民主主義を基本として、いかに魅力ある県都甲府市を再生させるか、その一助となる方法につきまして私の意見を「甲府市民クラスター創造研究会の設立について」ということで御提言をさせていただきたいと思います。
 まずはじめに、提言理由の趣旨でありますが、現在、甲府市が推進しております新甲府市総合計画は、御承知のとおり平成14年3月より後期計画に移行されるとともに、それ以前の平成12年11月には、地方中核都市としての特例市の指定を受けたことは御承知のとおりであります。このような状況にありまして、地方分権を担う県都甲府市は、活力と魅力あふれる都市再生のための諸施策を果敢に推進することが喫緊の行政課題であります。新甲府市総合計画の前期推進を踏まえつつ、後期計画をより着実でダイナミックに推進し、諸行政課題の案件を実行に移しながら、21世紀を担う若い世代の方々に夢とロマンがあふれる甲府市の継承を図ることが私どもの世代の責務であり、そのためには、甲府市再生のための戦略プロジェクトの創設がどうしても必要と考えるからであります。その戦略プロジェクトでありますが、それは、今、経済産業省が省を挙げて全国的に取り組んでおり、大きな成果を挙げている産学官の異業種交流によるクラスター活動を本市にも創設をさせて、クラスター活動を核として、より広範な視点やアイデアの集積を図り、総合計画の具体的な推進を行うべきであるというのが今回の私の提案の趣旨であります。
 去る12月2日の山梨県議会におきましても、山本知事は、産学官の連携強化や産業間、企業間の交流を促進するための組織として、総合理工学研究所を構築することを表明をいたしましたが、この手法もクラスター活動であり、意を強くしたところであります。
 それでは、クラスター活動とは何ぞやということでありますが、そもそもクラスターとは、群れとか集団、あるいはブドウの房という意味でありまして、米国のハーバード大学ビジネススクールのマイケル・ポーター教授が、地域の競争優位を示す概念として提唱したことで有名になりまして、情報産業集積都市として有名なカリフォルニア州シリコンバレーが、スタンフォード大学を中心として、産学官が自然発生的、自立的に産業クラスターを形成したのがモデルとされております。
 さらにはテキサス州オースティンでは、連邦政府、州、市の協力のもとに、産学官の連携により石油関連産業中心から情報産業クラスターへと産業構造を転換をいたしまして、人口も1985年の76万人から1999年には、117万人へと40万人の雇用の創出と人口増加を達成しているのであります。
 またペンシルバニア州のフィラデルフィアでは、従来の造船等の重厚長大産業から、全米有数の情報や、バイオ分野の企業群の集積地へと転換して、衰退していた都市の再生をクラスターにより成功させておることは皆様も御承知のとおりであります。
 そこで我が国政府の取り組みでありますが、経済産業省では、地域に集積する中堅中小企業、大学等の研究者が活発に交流し合い、今までの縦の系列にかわる水平の連携関係を構築をいたしまして、共同の技術開発や新事業の創造を図る新たな産業集積、すなわち産業クラスターを形成しようとしており、平成13年度から産業クラスター計画を推進しております。その内容は、我が国と地域の研究開発能力や、産業集積の特徴を踏まえまして全国19の広域的地域、産業分野について産業クラスター形成を目指すプロジェクトを推進しており、具体的には経済産業省の経済産業局職員500名を配置をいたしまして、新事業に挑戦する地域の中堅中小企業約500社、200校を超える大学の研究者と密接な協力関係を構築して、地域における産学官、企業間の交流連携支援、さらには地域の特性を生かした実用化技術開発の支援、そして起業家育成施設の整備を柱に産業クラスター形成を促進しているのが実態であります。
 それでは、具体的提言の内容でありますが、私どもの山梨県は、産学官連携による地域再生パートナーシップの強化を目的とした連絡推進協議会を発足させているとともに、先ほど申し上げました総合理工学研究所を発足させようとしております。今後、甲府市としてもこうした動きに連動するためにも、民間と大学と行政が連携した甲府市民クラスター創造研究会を早々に創設させて、都市再生のスタートとすることを提案いたします。
 その内容でありますが、クラスター研究会は、具体的に何をするかということでありますが、第1点目は、甲府市圏域にある民間の企業群、市民、大学と甲府市が連携をし、クラスター活動により新しい産業の芽、あるいは教育の芽などの発芽促進を図りまして、甲府市特有のベンチャー企画を創造実現することであります。
 2点目といたしまして、21世紀に求められる甲府市の都市像を広範な異業種交流の中から創造し、継続性と個性あふれる都市再生化策を新甲府市総合計画促進のための柱とすることであります。
 3点目といたしまして、市民参画型のクラスター活動により、地域社会の再生に向けて新しいまちづくりにどのように地域住民が参画すべきかの土壌づくりも推進することであります。
 4点目は、先ほど来申し上げておりますとおり、従来のお役所任せ、学校任せ、産業・企業任せから脱却した市民参画型の市民生活の安全、教育環境の安全、食の安全、新産業の創出など民間企業と大学と市民全体が係りを持って、甲府市民クラスターが甲府市総合計画の推進のためのパイプ役とシンクタンクの役割を果たすことになるわけであります。
 次に、甲府市民クラスター創造研究会が創設された場合、どのようなことが創造事業として考えられるかということでありますが、第1点目は甲府市民ボランティア銀行の設立事業を実行したらどうでしょうか。特に21世紀を担う成人を対象として、災害復旧ボランティアをはじめとした市内にも数多くのボランティアやNPO団体がありますが、ボランティア活動に参画した実績をボランティア預金として通帳に残し、被預金者がボランティアを求める場合には、預金通帳から引き出す事業のことであります。このボランティア銀行の預金通帳は、私どもが来年また早々に行われます成人式、いつもむなしさだけが残って帰ってくるわけですが、成人式に記念品として授与したらどうでしょうか。この預金の管理は、甲府市民クラスターの中の豊かな愛情をはぐくむ委員会、こういうような委員会をつくってここで管理したらどうでしょうか。
 次に、健常高齢者の働く機会を創出する事業も考えられると思います。今日の高齢化社会は年々拡大しつつあり、年金生活をする健常高齢者の多くは、勤労意欲があっても就労先が少なく、年金の不足金を補てんすることができない高齢者も少なくないのが実態であります。現在、甲府市にも遊休農用地が存在をしておりますが、この遊休農用地を各JAと農業専業者の方々の指導を受けながら健常高齢者が耕作し、その生産農産物を市民や商業者と行政が地産地消の流通促進に加わることによりまして、ニュービジネスとしても確立することができ、高齢者雇用の確保にもつながるわけであります。もし、健常高齢者が80歳まで元気で働くことが可能になれば、当然のことながら破綻寸前の国民健康保険事業も、あるいは介護保険事業も安定してくることが波及的効果として期待することができるわけであります。
 さらには有機堆肥の高度化処理事業も創出できると思います。御案内のとおり現在の下水道汚泥は、コンポストとして再利用をしておりますが、下水汚泥と生ごみを熟成させて高度処理をすることによりまして、新たなる有用成分の有機堆肥産業を創出することも可能となるわけであります。しいては、圏域内の排出も有用再生リサイクルによるいわゆる循環型社会の構築にもクラスター活動が寄与することになるわけであります。
 そのほか、環境監視Gメンシステムなども創出をされたらいかがでしょうか。現在、市民の方々の関心が高い生活環境汚染、食の安全、不法廃棄物等々をきめ細かく監視し、指摘や指導を継続して活動できる専門チームを結成するわけであります。市民の安全、安心な生活を、美しい甲府市を目指すことも可能ではないでしょうか。この環境監視Gメンには、経験豊かな高齢者、特に警察、消防、環境行政のOBの方などを採用した民間のニュービジネスとしても確立できるのではないでしょうか。等々クラスター活動は産学官連携の市民活動ですから、どのようなことにでも活用が図れるという利点があります。
 そして、それでは甲府市市民クラスター創造研究会発足の手順をどういうようにするべきかということでありますが、具体的には市長の決断のもとに市当局がこれからお考えをいただきたいということでありますけれども、当然のことながら市長及び議会の承認を得ることが大切でありましょうし、行政当局からは市長が任命した各部一、二名程度の委員を選出をすることも可能でしょう。議会からは4委員会ありますので、その中からの代表委員を選出することも可能だと思います。一般市民の方々は参画という意思を徹底をいたしまして、数名程度やはり参画をしていただきながら、クラスターの中に幾つもの委員会があるということですから、必要によりその数は検討すればいいかと思います。
 そして大学の方でありますが、山梨大学地域共同開発研究センターも既に発足、活動しておりますし、ここに参加要請をするとともに、山梨学院大学にも行政学の専門家が大勢いらっしゃいますので参画をしていただく。そして甲府市に本部を置き、活発な既にクラスター活動を行っている山梨県産業クラスター創造研究会事業部からも委員の招致をしたらどうでしょうか。そして、甲府市内の産業界、企業、団体等のクラスターメンバーにも委員会への参加を招請をするわけであります。さらには、専門的なノウハウを持っておりますNPOあるいはボランティア団体の方々にも参加要請をして、具体的に目的別に応じた専門的な御検討をここでしていただくということが考えられると思います。
 現在、国におきましては、先ほど来申し上げましたとおり市町村合併をはじめといたしまして、地域特区や地域振興策について各省庁が支援事業の新規プログラムを広く求めておりまして、地方再生へ向けた助成制度への早期対応を図るためにも、全国各地でも市民クラスターや産業クラスターなどの創出が活発に行われているのが実態であります。本市の早期の決断が大切かと思われます。宮島市長の見解を求めます。
 私の代表質問をこれで終わらせていただきたいと思います。御清聴ありがとうございました。
○議長(谷川義孝君)
 市長 宮島雅展君。

            (市長 宮島雅展君 登壇)

○市長(宮島雅展君)
 福永議員の質問にお答えをします。
 氾仲淹ですか、昔、山本七平先生の著作の中に『宋名臣言行録』というのがありましてね、その中にやはりこの氾仲淹さんのことも取り上げられていて、ものすごい人だなと思ってびっくりしたことがありますよ。「天下をもって己が任となし、天下の憂いに先んじて憂い、天下の楽しみに後れて楽しむ」、例の後楽園の名の由来ですね。天下というのは民草ということですかね。時代もスケールも隔絶していましてね、今と比較にはならぬだけれど、せめて志を高くしてそうありたいとみずからを叱咤勉励するということでしょうかね。ただ、ああ、腹が減っても食うものもなくて、本でも読んでそのひもじさを耐えていた時代のことを思い出させてくれたことに感謝をいたしまして、本論の答えの方にいきます。
 都市計画税の税率の復元についてであります。現在の税率は過去において土地の価格が大きく変動する中で、納税義務者である市民の税負担を緩和する方策として、政策的に減税措置を図ったものであり、一定の成果を上げ得たものと考えております。しかしながら、現在は地価の下落傾向が続いており、税負担の軽減のみに着目した税率の軽減措置を、恒久的に運用することは必ずしも好ましいものではないと考えております。一方、市税をはじめ、国庫補助負担金や地方交付税交付金が大きく落ち込むことが見込まれる中、今後、予見され得る都市災害に的確に対処するための基盤整備をはじめ、進展する社会経済環境の変化を踏まえた都市発展のための都市機能の充実など、本税を充当すべき事業に対する市民要望は、以前にもまして高まっている状況にあると言えます。
 私といたしましては、こうした状況をしんしゃくするとき、行政のなお一層の効率化に努めながら経費の縮減を図ることは当然のこととしながらも、あわせて税率の復元についても広く市民の皆様と論議しなければならない時期を迎えていると認識をしております。今後幅広くかつ慎重に検討してまいる所存であります。
 次に、市町村合併についてであります。11月の30日に中道町で実施された住民投票の結果を受け、12月の3日に開催された甲府市・中道町・芦川村・上九一色村合併協議会において、小林中道町長より、合併協議会から離脱する旨が表明されました。これを受けて、合併協議会の今後の協議の進め方につきましては、中道町の脱退については承認する。甲府市・芦川村・上九一色村の取り扱いについては、次回の第9回会議において意見集約を行うことに決定をいたしました。今回の住民投票の結果につきましては、中道町住民の民意を反映したものであり、重く受けとめるものでありますが、4市町村が一体となってこれまで信頼関係を構築し、将来のまちづくりに向けて協議を行ってきたことを考えますと、非常に残念であります。
 市町村合併につきましては、合併することにより、自然環境や地域資源など、地域の貴重な財産を共有し、新たなまちづくりを行うことによって、住民福祉のさらなる向上や産業などの活性化を促進するものであり、今後も盆地一体の発展を視野に取り組みを進めていくことにかわりはありません。
 今後につきましては、当面の課題として中道町の離脱という結果により、新たに地理的な問題も生じておりますので、芦川村・上九一色村の意向を十分把握するとともに議会と協議を行う中で対応を図ってまいりたいと考えております。
 次に、クラスター活動についてであります。あまたの提言をいただきました。産業クラスターにつきましては、さきに作成いたしました新政策プラン、『「わ」の都・こうふプロジェクト』の重点目標の一つであります産業の再生・創造と活力あるまちづくりの中で、産学官共同研究拠点の創出として位置づけ、地域資源を生かした個性と活力ある都市の創造に取り組むこととしております。この共同研究拠点を中心に、高い技術開発能力のある学術機関と、地域における有望な産業、企業群を行政機関等がコーディネートし、お互いの交流・連携・協力によって地域産業、あるいは経済の相互の発展を促進し、もって地域経済を支え、活性化しようとする取り組みであります。
 全国では、地域の特性、特異性を踏まえ、さまざまなプロジェクトが展開されておりますが、本市といたしましても、産業経済活動分野はもとより、具体的な創造事業の御提言にございますような各種のさまざまな分野での事業活用も考えられますので、市民の参画や協働が得られる民も加えた産学官民の統合、連携により、幅広く柔軟で応用範囲の広いクラスター活動の展開の可能性も視野に入れて御提言内容や、先行事例なども参考に都市再生に向けた取り組みができますよう研究をしてまいりたいと存じます。御理解を賜りたいと存じます。
 以上です。
○議長(谷川義孝君)
 福永 稔君。
○福永 稔君
 宮島市長みずから御答弁をいただきましてありがとうございます。
 はじめの都市計画税でありますが、宮島市長の御答弁で私も納得するものでありますけれども、今まで本議会でも論議をされてきました来年3月に策定をされる山梨県マスタープラン、これらの中でも基本的には甲府市の各地区のいわゆる計画、地区計画ですね。これらの整備は前提となっているわけでありまして、これらの地区計画を進める上でもそれなりの財源が必要になってくるわけであります。そうこうしているときに、県のマスタープランの中では、「県の支出はなし」ということではっきり県の方で明言をしておりますので、それらの財政負担がほとんど甲府市にかかってくるわけでありまして、そういう意味からも都市計画税をもとへ戻すということは、宮島市長がおっしゃられたとおり市民の方々の意見も聞く中で、最終的には宮島市長の決断によるところが大という感じがいたしますので、そういう方向性で御決断をいただくことをお願いをしておきたいと思います。
 次に、市町村合併。これは、私どもとしては非常に残念でもありますし、前市長からの行政課題の中で幾つかの課題を挙げましたが、すべて宮島市長にそれが引き継がれておるわけで同情の念にたえないわけでありますけれども、我が甲府市の今までの西側における合併の問題、あるいは広域事務組合への取り組みの問題、東側の今回の対応の問題等々見ても、どうも私ども甲府市、そして甲府市議会、行政含めて人がよすぎるのかなというような感じがするわけですよ。
 と申しますのは、広域行政につきましても、相当の市税を過去ずっと投資をしてきておりますし、それを受けて現在の西南における町村のまちづくりというものが、相当な私どもの財源をもとに形成をされてきたという経過もあるわけです。そして、東側につきましては、大きな行政課題と言えますのはごみの焼却の問題を含めて、本当に甲府市は人がよすぎるのかなというような感じもしないでもないわけですが、前に私もこういうように議会で述べさせていただいた記憶があるわけですが、旧通産省の天谷直弘さんという通産省の審議官がいらっしゃいました。この方が『叡知国家論』という本を出しておりまして、この中で「ノブレス・オブリージ」という、いわゆる高い志を持つものがこれからのくにづくり、まちづくりについては大変必要であるというようなことを述べられておるわけですけれども、なかなか甲府市の当局、それから議会と他町村の方々のいろんな意味での比較をしますと、まちづくりを含めて相当の差があるなというような感じがするわけです。それを私ども甲府市はほとんど受け入れてきた経過があるわけですけれども、この辺のところも先ほど宮島市長からお話がありましたが、私はモンロー主義によるコンパクトシティーだけでもいいじゃないかというような感じもしますが、高い志を持ちながら、質問の中でも入れておきましたけれども、必ずや10年後、あるいは20年後、このたびの選択をした方々が、ある意味で「あのときの決断が」というようなことで話題にのぼるようなことをお互いに志していきながら、やっぱり県都甲府市を、甲府市民の方々が本当に魅力を感ずると同時に、住んでよかったという感じと、さらには他の町村から見て自信を持って甲府市に入りたいというようになっていただくことを御決断をしていただくことを心からお願いをして、再質問といっても要望ばっかりになりますが、大体宮島市長のお考えはわかりましたので、先ほど来くどいようでありますが、勇気と決断をもってこれからの市政執行にあたっていただきたいと思います。ありがとうございました。
○議長(谷川義孝君)
 市長 宮島雅展君。

            (市長 宮島雅展君 登壇)

○市長(宮島雅展君)
 尚志をもって事に当たることをお約束をし、答弁とします。
○議長(谷川義孝君)
 次に、政友クラブの代表質問を行います。雨宮年江君。
 雨宮年江君。

            (雨宮年江君 登壇)

○雨宮年江君
 12月定例会にあたり政友クラブを代表し、質問させていただきます。
 まず、市長の政治姿勢について、平成16年度予算編成方針についてまずお伺いいたします。
 国から地方への税源移譲、補助金の削減、地方交付税の見直しを同時に進める三位一体の改革や、地方制度調査会答申など、地方自治体の行財政運営のあり方が根本から問い直される状況があります。平成16年度の予算編成を迎えるここに来て、三位一体の改革は、いまだに廃止や縮小される補助金や、移譲される税目が具体的になっていない中での、突然の小泉首相による国庫補助負担金1兆円削減発言など、その先行きが不透明なままです。
 こうした厳しい財政状況の中、2年目を迎える宮島市長としては、宮島カラーを一層出した予算にしていきたいのではないかと思います。そこでお伺いいたします。平成16年度の予算編成はどのようなことに配慮しているのでしょうか。また公約に掲げた政策の幾つかを就任当初から積極的に取り組み、既に実施していることに対し高く評価するところですが、『「わ」の都・こうふプロジェクト』として来年度はどういった政策に重点を置くのでしょうか。
 次に、行政改革についてです。まず、行政コスト計算書についてお聞きいたします。今年度から2006年度までの甲府市行政改革大綱が策定されていますが、3つの基本目標の1つ目にある市民本位、市民主体による市政の推進の中で、行政の透明性を確保するために行政コスト計算書の作成と公表を提起しています。行政サービスをコストであらわすことは、かけたコストに見合う効果が得られているのかどうか。あるいは効率的に提供されているかどうかを評価することができるようになります。また職員も市民もコスト意識を持つとともに、より質の高いサービスを実現することにもなります。多くの自治体で行政コスト計算書の導入、公表をしており、今後一層増加すると予想されています。現在自治体で導入されている行政コスト計算書は、従来公表されてきた予算、決算数値に加えて、人件費、減価償却費、退職給与引当金等の従来考慮されてこなかったコストを加えて議会費、民生費といった大くくりな目的別にトータルコストを把握した総務省方式のようです。そこでお伺いします。本市が導入する行政コスト計算書についても同様な方式なのでしょうか。
 しかし、この総務省方式ですと、行政目的別という大くくりすぎて市民にとってはわかりにくく、業務改善を目指したり、行政評価とリンクさせるのには有効な手法とは言えないといった指摘もあります。さらに現在多くの事務事業が委託されていますが、この委託料についてもコスト分析をすることで、その金額が適正であるのかどうか。直営で実施するよりも安くサービスが提供できるのかどうか、明らかになるのではないでしょうか。
 一般的に行政サービスは民間に比べて高いといわれていますが、委託当初は安くても、それが将来にわたって保障されているわけではありません。安易な民間委託化を進めないためにも、委託業務に対するコスト分析をする必要があると考えますが、この点につきましてもお答えください。
 次に、外部評価制度についてお伺いします。
 行政改革大綱の中で、新たな視点に立った実効性のある制度化に向けて改善を図るとして、昨年度事業を対象に外部評価制度を施行するとの報道がありました。これまでの事業評価制度が内部評価であり、公表もされてこなかったことから、事業評価制度そのものがわかりにくく、またこの制度によってどれだけの事業が見直されたり、改善されたのか明確にされてこなかったという問題があります。
 今回新たに提起されている外部評価制度は、本市の行政サービスを第三者の目を通して検討、評価するので、行政サービスの透明性と質の向上が図られるのではないかと期待するところです。本市で施行する外部評価制度の手法とその対象事業はどういったものになるのかお聞きいたします。また、膨大な事務事業すべてを外部評価することはできないと思いますが、外部評価の対象にならない事業の評価はどうするのでしょうか。さらにこれまでの評価制度の取り扱いにつきましても、どのような方針を持っているのでしょうか。
 次に、附属機関等の会議の公開の実績についてお聞きいたします。今年度から審議会、協議会などの会議の公開が実施されています。今年度中の策定に向けて設置されています地域福祉計画や、障害者長期行動計画など、市民生活に密着した福祉関係計画の協議会や懇話会でもほとんど傍聴者がいないという実態のようです。会議の開催が何か月も前から決定しているわけではないので、広報誌に掲載することができないという問題もあり、担当部局では頭を悩ませているのではないかと推察いたします。また本市のホームページでは、それら会議の会議録も公開されており、もっと市民に関心を持っていただきたいと痛切に感じています。せっかくのこうした制度が市民に活用されず、住民参加が進まないことはとても残念なことです。そこでお伺いします。
 現在、公開されている会議数とこれまでの傍聴者の数、また傍聴者をふやすための手だてについて、何か検討しているのかどうかお聞きいたします。
 次に、今定例会に提案されています個人情報保護条例についてお伺いします。本市で制定しようとしています個人情報保護条例は、厳しい罰則規定を設けるなど評価できる点もありますが、幾つか指摘すべきところもありますので質問させていただきます。
 まず、条例が目指す目的についてです。本来個人情報の保護の理念は、自己情報のコントール権を保証することであり、そこには単に本人開示請求権等を保障すればよいというものではなく、行政機関が個人情報を適正に保有し、管理、利用していて、さらにそのプロセスが透明であることによって、みずからの個人情報がどのように扱われているかを把握することが必要でなければならないと考えます。
 こうした点からすると、本市の条例案の目的は、適正な取り扱いや利用を重視しており、自己情報のコントール権が明確になっているとは言いがたいものです。さらに委託に伴う措置等について条例案12条の規定だけでは不十分ではないでしょうか。個人情報を取り扱う事務を外部に委託するというのは、一時的、継続的に市民の個人情報が行政機関の外部で取り扱われるわけですから、その内容を登録し、一般に公表するとともに適正な取り扱いを確保するために実施状況の報告を求めたり、立ち入り検査ができるようにする。あるいは審議会を関与させるなどの厳しい規定を盛り込む必要があると考えます。
 また本市条例案では、第9条でIT時代に対応した個人情報の保護を図るため、実施機関以外のものへの保有個人情報の提供を原則禁止しています。しかし、電子ネットワーク上では、大量かつ容易に個人情報が不正に流出することが考えられます。住民基本台帳ネットワークの稼働にあたり、住基法第36条の2で、市町村長に対し住民票に記載されている事項の漏洩、滅失及びき損の防止など適切な管理のために必要な措置を講ずるよう要請しています。これを受けて総務省告示第334号では、データの漏洩のおそれがある場合の事務処理体制の中で、住基ネットシステムの全部または一部を停止する基準も含めての行動計画の策定を求めています。単に実施機関以外への個人情報の提供を禁止するだけでなく、個人情報漏洩のおそれがあるなどの問題が起こった場合は、ネットワーク切断等のセキュリティー確保のための具体的な措置を法的に義務づけるべきではないでしょうか。
 次に、保有個人情報の存否に関する情報の第19条です。この存否応答拒否は、実施機関からすると、情報の存在を回答しないため、請求者に存在を知らせたくない情報を知らせなくて済むという便利さがあり、乱用されるおそれがあります。この規定を設けるのであれば、安易に存否応答拒否を適用することのないような配慮が必要ではないかと考えます。
 次に、都市計画区域の区域区分見直しについてです。本年8月、県から甲府市都市計画区域について市街化区域編入予定地域の素案が提示されました。市街化調整区域が市街化区域へ編入されるためには、地区計画が必要であり、9月から地区ごとに説明会が既に3回ないし4回開催されているのは周知のとおりです。地区計画策定までに半年ほどしかなく、担当部局や担当職員の努力には頭が下がる思いです。しかし、長年の希望だったとはいえ、余りに急な市街化区域編入の提示は、対象地域の人たちにとってもどう対応していいのかわからず、とりあえず編入後の固定資産税や相続税がどうなるのか、といったことしか考えることができないような混乱ぶりが、説明会の発言からもうかがえます。
 また、みずからが居住する地域の将来のまちづくりを決定する重大な会議であるにもかかわらず出席者が少ないことも問題です。そこで本市とすれば、人口増対策としても市街化区域の編入は実現していきたいとの方針のようですが、これまでの経過と、地区計画策定の見通しと今後の手順についてお聞かせください。
 平成12年に特例市の指定を受け、また昨年5月の改正都市計画法の施行により、開発制度を取り巻く法的環境が大きく変わりました。本市では、これらを受け、昨年6月市街化調整区域における開発行為等の許可基準に関する条例を定め、7月から施行しました。これにより、調整区域では建売住宅や賃貸のアパート、マンションといった共同住宅の建築が一挙に進み、乱開発とはいわないまでも少々心配するような実態があります。ある地域では、地区計画に予定されている計画幅員6メートルの地区施設道路沿いに既に建売住宅の団地が建設されているといったことが起きています。時間のかかる住民合意を前提とした地区計画の策定は、できればこのような調整区域の開発が進む前に手をつけることができなかったのでしょうか。
 以前、甲府市都市計画マスタープラン策定に向け開催された地域説明会の中で、調整区域のまちづくりとしてまちづくり促進地域の設定と、「まちづくり研究会」の設置を検討する、その提起がありました。そのまちづくり促進地域と今回の編入予定地域はほぼ重なっていることを考えますと、マスタープラン策定当時「まちづくり研究会」を立ち上げ、住民参加の地区計画づくりに取り組み始めていれば、今回のように急ぐこともなく、住民の意向を十分反映できる地区計画をつくることができたのではないか。また編入いかんにかかわらず調整区域内の優良農地を残しながらの良好な住宅地の形成が図られたのではないかと考えます。いずれにしても時間が限られていますので、精力的に住民説明会を実施していくことは言うまでもありませんが、今回住民の合意が得られず、地区計画が策定されず、編入が見送られた地域があった場合、今後どのような方針で臨んでいく予定なのかにつきましてもお聞きいたします。
 次に、開発の進む市街化調整区域における農業政策について質問します。開発を抑制されてきた調整区域ですが、2000年の改正前の都市計画法第34条第10号の調整区域内例外許可や、同法第43条の既存宅地確認制度といった規制緩和によって、さらには改正都市計画法での特例市の権能を生かした条例制定により開発が進み、拡散的に宅地が広がり、駐車場を完備した郊外型店舗なども建設され、営農地として保全していくことができなくなりつつあります。農業従事者の高齢化や後継者不足がそれに拍車をかけています。しかし、時代の趨勢とはいえ、このまま調整区域の農業を衰退させてしまっていいとは思えません。線引きの見直しで市街化区域に編入されたとしても、現在の景気状況から見て、すぐに宅地開発が進むとは考えられません。調整区域の特性を生かした都市近郊農業と優良住宅地をうまく融合したまちづくりは可能なはずです。農業に第二の人生をかけようという新規就農者、ゆとりや潤いのある農村で自己実現を目指すUターン、Iターン者や、定年帰農者などへの就農支援、高齢者に対応した省力化技術の普及や消費者ニーズに即したマーケティング活動の強化と販路の拡大など、調整区域の実情にあった農業政策の実現に向けて努力する必要があるのではないでしょうか。また現在、甲府市でも積極的に進めている市民農園をはじめ、農家の指導のもとに農作業を楽しむ体験農園、小中学生を対象とする学童農園、高齢者の健康維持や障害者の機能回復の効用を生かした福祉農園などを検討するのもよいのではないでしょうか。
 本市とは状況が違いますが、全国では新潟県上越市のアーバンビレッジ事業や山形県鶴岡市の農業を地域の文化としてとらえ、コミュニティの再構築を図る取り組みなどの例があります。調整区域でも若い生産者が頑張っています。農業従事者みずからの努力は当然ですが、そうした農業者を支援し、甲府らしい農業を確立していくために、甲府市としてもできることを実行していく必要があると考えますが、いかがでしょうか。
 以上で私の質問を終わります。
○議長(谷川義孝君)
 市長 宮島雅展君。

            (市長 宮島雅展君 登壇)

○市長(宮島雅展君)
 宮島カラーを出したいでしょうという温かいお言葉ではありますが、新しくやりたいものもたくさんありますけれども、継続事業もいっぱいありますしね、そういう中で徐々に私のカラーを出していくということ以外に言えませんね、これは。
 それでは雨宮議員の御質問にお答えをいたします。
 平成16年度予算への政策の反映についてであります。国と地方の税財源のあり方をめぐる諸情勢のほか、現下の景気動向を反映した市税収入の急激な落ち込みによりまして、本市財政は大変厳しい状況にあります。しかしながら、こうした状況下におきましても、市民の安心、安全の確保をはじめ、未来を担う子供たちの育成、環境づくり、さらには中小地場産業の振興や都市機能の充実など、市政の根幹に係る施策につきましては、継続して事業推進することが必要であります。したがいまして、平成16年度予算の編成にあたりましては、こうした諸事情を総合的にしんしゃくしながら行政経費の徹底した縮減を図り、めりはりのある施策、事業を選定をし、着実に推進できますよう努めてまいりたいと考えております。
 特に、本年5月に策定いたしました『「わ」の都・こうふプロジェクト』に位置づけました5分野、57事業につきましては、市民生活に直結した内容の事業でありますことから、引き続き計画的に実施できるよう配慮してまいりたいと考えております。
 次に、外部評価制度についてであります。外部評価制度につきましては、本市で実施している事業評価の客観性や透明性をより高めるとともに、限られた経営資源である人、物、金の効率かつ効果的な活用を図り、より質の高い市民サービスの提供を目指し導入するものであります。評価の手法につきましては、学識経験者ら6名程度で組織する(仮称)甲府市事務事業外部評価委員会を設置し、本市の事務事業について費用対効果をはじめ、実施手段の有効性や効率性、市民にとって必要度の高い事業か、事業の成果は上がっているかなどの視点から評価を受け、その結果を事業の見直しや改善等に反映をしていきたいと考えております。
 本年度は試行実施であるため、評価対象事業は昨年度実施した新甲府市総合計画第6次実施計画事業のうち、職員による内部評価を実施した事業の中から、多額な一般財源が投入されている事業や、事業開始から一定の年数が経過している事業を中心に、10から20事業程度を予定しております。
 内部評価につきましては、これまでの評価方法等を大幅に見直したため試行実施と位置づけ、一定の基準により抽出した49事業の評価を既に実施したところであります。これらの評価結果等につきましては、市のホームページ等で公表をし、市政の透明性と説明責任の向上に努めてまいります。
 また外部評価委員会からは、本市の事業評価制度全般にわたる御意見も拝聴し、来年度から予定している本格実施に向けて制度の検証を行い、より実効性の高い事業評価制度を構築してまいりたいと考えております。御理解を賜りたいと存じます。
 ほかの質問につきましては、関係部長からお答えをさせます。
 以上です。
○総務部長(小尾英光君)
 行政コスト計算書と民間委託についてお答えをいたします。
 本市が作成、公表を予定しております行政コスト計算書は、個別の事業を対象としたコストを算定するものではなく、総務省から示された作成基準により、人的サービスや給付サービスなどの行政サービスに対し、どれだけのコストがかかっているかなどを行政目的別、性質別に分類し、その活動の実績を示すものであります。
 活用方法といたしましては、コストの経年比較及び市民1人当たり、あるいは児童生徒1人当たりといったコストやその増減、さらには類似団体との比較などにより、行政活動の効率性を検討するなど、予算や決算ではあらわれない分析が可能となるものであります。なお、市民にわかりやすくという御指摘につきましては、公表に向けまして十分に検討してまいります。
 また事務事業の民間委託につきましては、行政コスト節減のための有効な手段の一つであると考えておりますので、委託の実施にあたりましては、行政責任と市民サービスの確保、委託行為が法令等に抵触しないことなどを踏まえた上で、最も重要な要素であります直営とのコスト比較、経済性のメリットを基準といたしましてその適否を判断しております。
 なお、委託の更新時などにおきましても、漫然と委託契約を継続していくのではなく、当初の効率性、サービスを確保した上で、その都度コスト面をより慎重に見きわめ、経済性のメリットが十分に発揮できる委託業務の執行に努めてまいりたいと考えております。
 次に、附属機関等の会議の公開についてでありますが、市民参加による公正で開かれた市政を推進するためには、行政の透明性の確保が不可欠であり、その一環として本年1月に甲府市附属機関等の会議の公開の基準を定め、会議の公開に努めているところであります。これまでの公開の実績でありますが、11月末までに延べ36の会議につきましてその会議を公開とし、会議日程、傍聴手続等をホームページ上に公表してまいりました。しかしながら傍聴者につきましては、わずかな人数にとどまっております。
 今後におきましても、同基準のさらなる周知の徹底に努めるとともに、計画的な開催等により市民が参加しやすい状況づくりにも意を用いたいと考えております。
 次に、個人情報保護条例の目的についてでありますが、自己情報のコントロール権につきましては、その内容、範囲及び法的性格についてさまざまな見解があり、明確な概念として確立していないことから、本条例の条文に規定することは困難であると考えております。なお、自己情報のコントロール権を条文上明確にすべきとの御指摘につきましては、本条例においても個人の権利、利益を保護する観点から、個人情報の取り扱いに対する本人の関与を重要な仕組みと位置づけまして、第5条では個人情報の取得にあたっての本人の同意、第6条では個人情報の利用目的の本人への明示、第8条では保有個人情報の利用及び提供に関する本人同意を、また第14条から第39条までは開示、訂正、利用の停止に係る請求権について明確に規定したところであります。
 次に、委託に伴います措置についてでありますが、個人情報の取り扱いを委託する場合について、本条例では実施機関と受託者に対し個人情報の適正な維持管理、安全性の確保等必要な措置を講ずる義務を定め、さらに受託業務の従事者には、罰則の規定を設けております。
 委託するにあたっての必要な保護措置につきましては、今後規則等において具体的な遵守事項、委託先のセキュリティー対応状況の確認、並びに違反した場合の契約解除及び損害賠償などを明記し、受託者に対し適切な措置を講ずるよう求めてまいります。
 次に、電子計算機等の結合に伴う緊急時の対応についてでありますが、電子計算機等の結合による個人情報の漏洩などにつきましては、緊急時の適切な対応が図れるよう、現行の電子計算組織管理運営規定の見直しを行っているところであります。また本年10月に策定しました甲府市情報セキュリティー対策基準に基づき、迅速かつ円滑な対処措置をとるための緊急時対応計画を年度内に作成し、セキュリティー確保のために御指摘のネットワーク切断等を含めた必要な措置を講じてまいります。
 次に、存否応答拒否の適用についてでありますが、存否応答拒否の規定につきましては、開示請求に係る個人情報が存在しているか否かを答えることで、不開示情報として守られるべき利益が損なわれてしまう場合における例外的な措置を定めたものであります。したがいまして、存否応答拒否の規定の適用につきましては厳しく解釈し、乱用することのないよう慎重に対応してまいります。なお、存否応答拒否は、不開示処分と位置づけておりますので、不服申し立てができることとなっております。
 以上であります。
○産業振興労政部長(望月 猛君)
 市街化調整区域における農業施策についてお答えをいたします。
 本市の農業を取り巻く情勢につきましては、都市化の進展と農業従事者の高齢化、産地間競争の激化等大変厳しい状況にあります。
 一方、近年、食に対する安全、安心の確保対策や、地域の特色ある産物や農産加工品などの地域食品に注目を集めているところであります。こうした中で農業の担い手確保のため、認定農業者等に対して制度資金の利子補給の実施や、農地利用集積の奨励金の交付、また新規就農者の負担軽減を図るため、農機具の無料貸し出しや技術の習得につきましても県と連携を図りながら技術指導をしているところであります。さらには、地域で生産した新鮮で安全な農産物を地域で消費する地産地消を推進するため、甲府市農協と連携を図りながら直売所やみそ加工施設に対する支援も行っているところであります。
 今後、農業従事者や関係機関の意見を十分聞く中で、多様化する消費者ニーズにあった安全な作物を安定的に供給できるよう生活基盤の整備を図るとともに、効率的かつ安定的な農業経営の育成等農業施策を展開してまいります。
 また、市民農園につきましては、平成9年から特定農地貸付法に基づき、現在6地区227区画を改編をし、市民が農地を利用して、四季の野菜や花を栽培することによりまして、自然に触れ合うとともに、農業に関する理解を深めているところであります。
 小中学生や高齢者等を対象にした農園につきましても一部実施をしているところでありますが、今後自然と親しみ、収穫の喜びを身近に体験、実感できるよう制度の充実を図ってまいります。
 以上であります。
○都市建設部長(佐久間 勲君)
 甲府都市計画区域の線引き見直しにつきましてお答えいたします。
 区域区分線引きにつきましては、無秩序な市街化を防止し、計画的なまちづくりを進めることを目的として、昭和46年3月に導入されて以来、これまで3回の見直しが行われ今日に至っております。しかし、市街化調整区域においては、開発の規制が厳しかったことから、本市にとどまることが期待される人口が、市街化調整区域を超えて、規制の緩やかな周辺町村へ人口移動が起こりました。市街地での空洞化が進み、都市活性化の観点から市街化区域の拡大、並びに撤廃を求めてきたところでございます。
 本年8月に県から示された甲府都市計画区域マスタープランの素案では、市街化区域編入予定区域に7,000人の人口増加を見込み、地区計画や土地区画整理事業によりまちづくりを行うことを前提に、本市に対し過去最大の拡大面積約500ヘクタールが提示されたところであります。
 こうしたことから、提示区域を12地区に区分し、地区ごとに地権者を対象に将来のまちづくりとなる地区計画案を示し、協議をしてまいりました。
 しかし、おのおのの地区における成熟状況には温度差が見受けられます。今後は地区計画成立に向けて鋭意努力を行い、市街化区域編入を目指してまいりたいと考えております。
 以上です。
○議長(谷川義孝君)
 雨宮年江君。
○雨宮年江君
 ありがとうございます。それでは1点質問をさせていただきたいと思います。
 その前にですね、私、今回議員になって初めて、実は農業政策についての質問をさせていただきました。我が家が調整区域内のブドウ農家でありながら、これまでに一度もしたことがございませんでした。余りにも身近過ぎてといいますか、調整区域内のブドウ農家の実態がわかり過ぎていて質問しにくかったというのが実情です。しかし今回の、今、調整区域の見直しだとか、編入ですね、そういったものが起こるにつき、また昨年の条例制定以降、調整区域内の開発が本当に進んでしまっているという状況を見るにつけ、このままで本当にいいのかなということを真剣に考えてしまったわけです。それで初めて私は農業政策について質問させていただいたわけです。
 言い方は悪いんですけれども、現在の調整区域というのは余りにも中途半端な都市化が進み過ぎていて、私が先ほど質問したような理想的な農業を続けていくというのは非常に難しいということはよくわかっております。だけれども、このまま手をこまねいてしまって、本当に甲府の農業はこれでいいのかというふうに思わざるを得ません。来週10日ですね、農業委員会でも建議を当局の方に出させていただきますが、その中にも書いてありますことを、ぜひおくみ取りいただいて、甲府市の農業政策に力を注いでいただくことを期待をしております。よろしくお願いいたします。
 行政コスト計算表につきまして再質問させていただきます。これ外部評価制度もそうだと思いますし、事務事業の見直しをするためには基礎資料になるということで、行政コスト計算書というのはとても重要なものだと思うんですね。ですけれど、本市で導入する方式は総務省方式ですから、非常に大枠でのコスト計算ということになるわけで、実感が伴わないのではないかというふうに思います。より細かい事業別にコストを出すことの方がわかりやすいですし、例えば民間委託をするときにも、特に最近の民間委託というのは丸ごと民間に出すというのではなくて、細分化して出したりするというところも多いわけですから、民間委託との比較もしやすいのではないかというふうに思います。
 多分これは、皆さんも御承知だと思いますけれども、群馬県の太田市では非常に進んでいるようでして、老人福祉センターや学校給食などのコスト計算表を公表して、おまけに民間委託化された場合にはこうだというふうに比較をしております。全国でもこの行政コスト計算書の作成というのはまだ全体的にも15%程度のようですから、当面はこの総務省方式の行政コスト計算書でもよいのではないかとも思いますが、太田市さんのようにより細かいレベルでの計算書を作成するおつもりがあるのかどうなのか、そこをお伺いさせていただきます。
○議長(谷川義孝君)
 総務部長 小尾英光君。
○総務部長(小尾英光君)
 全国的にこの総務省方式という方式を取っておりますので、例えば他都市との比較につきましてもやはり同じ土俵でないと比較ができないというふうなことがあります。今、公表につきましては、例えば教育費なんかの場合につきましては、それを児童、生徒数で割った数字だとかというふうに、できるだけこれは基本にしながらわかりやすい方法を十分に取っていきたい。他の委託につきましてもそうでしょうけれども、同じような形で、今まで何となく数字ができたものをそのまま載せているというふうな状況にありますので、そうでなくて、さらに市民の方々にわかりやすいような方法を工夫しまして、公表していきたいというふうに考えております。
○議長(谷川義孝君)
 雨宮年江君。
○雨宮年江君
 ホームページなどでほかの自治体の行政コスト計算書を見ました。確かに人件費だとか退職引当金だとかという部分的に、それは市民1人のコストで幾らとか、児童、生徒1人で幾らとかいうふうに出るんですけれども、ただ私たち議員が見たときには、「あっ、なるほどな」という多分とらえ方ができると思うんですけれども、正直言って、例えばじゃ議会費だとか総務費だとか、そういう大枠でやったときに、確かに市民1人だとかそういうコストがそれぞれ給与費だとか、そういったことでわかるにしても、いま一つ実感が伴わないということがあると思うんですね。これは当然職員の方とか私たち議員なんかですとまだわかりやすいとは思うんですけど。そういったときに、今言いましたようにもっと進んできたら、本当に細かい事業別なコスト計算を出して、それを公表、例えばホームページなり何なり、あるいは広報等で公表していくことによって、「あっ、こういうことでお金がかかっているんだな」とか、そういう市民にとっても別に実感できる部分で受けとめられるコスト計算書というのが一番いいのじゃないかなというふうに私は考えますので、まだ今後のことになるかと思いますが、ぜひ細かい事業別のコスト計算書をつくっていただいて、公表をしていくようにお願いをして終わりたいと思います。
○議長(谷川義孝君)
 以上で代表質問を終了いたします。
 暫時休憩いたします。

               午後2時25分 休 憩
                    ・              
               午後3時00分 再開議

○副議長(桜井正富君)
 休憩前に引き続き会議を開きます。
 上程議案全部に対する質疑及び市政一般質問を続行いたします。
 これより一般質問を行います。
 最初に、公明党の一般質問を行います。内藤 泉君。
 内藤 泉君。

            (内藤 泉君 登壇)

○内藤 泉君
 昨日の堀内議員の代表質問に続きまして、一般質問をさせていただきます。内藤 泉でございます。
 初めての質問でございますので、非常に緊張しております。何かと言葉の不行き届きが多々あるかと思いますが、どうかよろしくお願いいたします。
 昨年6月、立候補の決意をいたしました直後に、20歳になったばかりの長男が突然交通事故で亡くなりました。悲しみのどん底にいた私に、多くの皆様から励ましの言葉をかけていただき、甲府市議会議員として送り出していただきました。この席をおかりしまして心から感謝申し上げます。本当にありがとうございました。母親として、女性としての立場に立って初心を忘れることなく、市民の皆様とともに甲府市の発展に全力で取り組んでまいる覚悟でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは質問に入らせていただきます。私は、10年余りの間幼稚園に勤務し、教育現場を経験しておりました。また私自身、3人の子供を産み、育てた母親としての立場から、甲府市の少子化に対する積極的な取り組みについて発言したいと思います。
 現在、政府と甲府市をはじめ、全国の自治体が一体となって少子化の解消を目指し、子育て支援に取り組んでおります。特に保育所の待機児童をなくしたり、幼稚園でのいわゆる預かり保育を奨励したりして、母親たちが働く環境づくりに力を注いでいることは、私も十分承知しております。しかしながら少子化に歯どめをかけ、新生児の出生数をふやし、活気に満ちあふれた甲府市を再建していくためには、甲府市として総力を挙げた長期的な視野に立った総合的かつ根本的な施策を掲げ、さまざまな方向から取り組んでいかなければならないと思います。
 そこで甲府少子化対策プロジェクトのような計画を策定し、少子化対策に取り組んでいくことを提案いたします。長い間の幼稚園の教師としての経験の中で、子供の出生を心から喜び、子育てを喜び、子育てを楽しもうとする父母のもとでこそ、未来を担うすばらしい子供たちが育っていくのを数多く見てまいりました。反面、残虐な犯罪や、犯罪の低年齢化が大きな社会問題となっておりますが、そのような犯罪の加害者のほとんどが、十分な親の愛が必要な乳幼児期において、愛情を注がれなかった不幸な乳幼児期を体験していることが原因と指摘されております。
 昭和48年(1973年)がピークだった出生数が、翌年から減少し始め、少子化へと転じ、現在に至る30年間少子化が続いております。ここ数年の甲府市の年度ごとの出生数を見ても、減少の一途をたどり、甲府市の人口も19万をわずかに上乗せの状態でございます。全国的には、3年後の2006年からは、総人口の大幅な減少が始まるとさえ言われております。今こそ国を挙げて少子化に歯どめをかけ、本当に活性化した日本を築く努力に本腰を入れなければならないと思います。日本の中心に位置する県庁所在地甲府市が、全国に先駆けてその模範都市になっていくことを提案いたします。
 現在の歩道は、車道と段差をつけた設計となっており、ベビーカーや、車いすの通行が不便との声が多く寄せられております。そこで甲府市は、平成12年のバリアフリー法の施行により、14年度から道路、歩道のバリアフリー化を計画的に着手しております。道路行政ひとつ取ってみても、子育てや住民に優しい道路づくりに今後も積極的に取り組んでいただきたいものであります。今こそ住民に優しい、安心して住めるまち、喜んで住みたいまちづくりに本腰を入れて取り組んでいただくことを願う一人であります。すぐにできることも百年の大計の中でやっていかなければならないこともあります。
 生まれてきた子供たちを預かる施設を充実させることも大切ですが、それ以上に大事なことは多くの新生児が誕生することです。新生児がふえ、甲府で生き生き育っていけるようなまちづくり。子供を産むなら甲府市で。甲府は子供を安全に楽しく育てられるまちを目指してほしいものです。
 甲府市では、児童育成計画が作成され、国では平成6年12月、厚生、文部、労働、建設の4大臣の合意によるエンゼルプランの指針が示され、これによって山梨県においても平成9年3月に山梨エンゼルプランを作成し、子育て支援に関する総合的な取り組みの方向が示されました。次代を担っていく子供たちが健やかに生まれ育っていける子育て支援社会の実現を目標とした計画を、本市でも甲府市児童育成計画として策定いたしました。この計画は、平成11年度を初年度とし、平成15年度を目標年次とする5カ年計画でもありました。したがって、本年度が最終年度となります。
 そこで提案ですが、この甲府市児童育成計画を踏まえ、16年度から新たな、(仮称)甲府少子化対策プロジェクトの計画をぜひとも発足させ、子育ての総合的窓口となるよう提案いたします。市長の御所見をお伺いいたします。
 旧甲府市立石田幼稚園の跡地に、子どもいきいき推進課を誕生させたことは一つの前進であったと評価しております。課のネーミングも親しみやすく、愛情あふれる響きがあり、すばらしい名称ですので、大勢の市民が活用できるようにしていただくためには、駐車場のスペースをもっと確保し、職員の数もさらに配置しますと市民のニーズにこたえられる施設になるのではないかと思います。さらに子どもいきいき推進課に隣接して離乳食専用のレストランをつくったり、小児科の医師や子育ての専門家が対応、指導したりすることにより、甲府市の子育て支援センターとして活性化させていくことができるのではないかと思いますが、御所見をお伺いいたします。
 もう1カ所、子育てセンターを予定しておられると伺いましたが、どのような計画のもとに設置していかれるのか、お伺いいたします。
 甲府市も長年努力され、幼稚園の奨励費を増額してまいりました。甲府市立幼稚園の廃園に伴い、就園奨励費を国の基準まで引き上げ、私立幼稚園に甲府市の幼児教育をゆだねたことになりました。それから3年を過ぎた中で、国の基準以上に引き上げた自治体も出ていると伺っております。安心して子育てできる環境づくりのために、国の基準以上の就園奨励費の支給を提言したいと思いますが、いかがでしょうか。
 若い母親たちが、乳幼児を連れて気がねなく出かけられる場所は限られています。そして、そのことが子育てをする母親たちにとって大きなストレスとなっています。各小学校区に1ないし2カ所、乳幼児が自由に遊べる空間を提供できたらと思っております。ちょっとした芝生の広場に乳幼児の安全な遊具や砂場を配置し、授乳やおむつ替えコーナーがあり、トイレ等なども用意し、地域の子育てコミュニティの広場として提供してあげることにより、地域ぐるみの子育てが可能になっていくと思いますが、いかがでしょうか、お伺いいたします。
 多くの市町村が、子育て支援としてゼロ歳児から3歳児までの収容施設の充実に取り組んでいます。しかし、これはあくまでも次善の策であって、理想は何といっても乳幼児の子育ては母親を中心にして育てられるのです。市長は御自分の公約で、医療費無料化に取り組み、小学校6年生まで引き上げるようにしていただいたことは高く評価いたします。今こそ次善の策ではなく、最善に向かって取り組まなくてはならない時期に来ております。具体的には、国では児童手当が小学校3年生まで引き上げられることが決定になりました。甲府市として6年生まで手当を支給したり出産祝金を実施するなど、安心して子育てに専念できる経済的な環境を提供できることこそが成熟した自治体のあるべき姿だと思いますが、御所見を伺います。
 最後に、9月の定例議会で私ども公明党の渡辺礼子議員が質問いたしましたブックスタート事業について質問いたします。
 乳幼児に本を介して心と言葉をはぐくむ手助けをする。赤ちゃんに直接絵本を手渡すブックスタートの運動としてイギリスで始まり、日本では2000年に子供読書年を契機に、2001年にはブックスタート支援センターが発足いたしました。全国では30以上の自治体で活動が開始され、現在も広がりつつあります。
 9月議会での当局の答弁では、乳幼児の心の発達や、豊かな感性をはぐくむ上で大切であるとのことでした。ボランティアなどの協力で健診のときなどに読んで聞かせることを実施されていることは伺っております。しかし、何と申しましても、子供と同じ目線の高さで膝に抱いて、肌のぬくもりを感じながら読んで聞かせることがいかに大切であるか、母親としても実感いたしております。豊かな心と感性を持った甲府の子供たちを育てるためにも、ぜひともブックスタートを実施していただきたいと、宮島市長に訴えるものでございます。
 以上で、私の市長に対する質問とさせていただきます。どうか、女性はもちろん婦人に対する温かい御答弁を御期待しまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○副議長(桜井正富君)
 市長 宮島雅展君。

            (市長 宮島雅展君 登壇)

○市長(宮島雅展君)
 だれでも何でも初めてというのはあるもんでしてね。上がったり、緊張したりしますよね。だけれども、私の見たところ十分落ち着いてなさっていらっしゃいましたよ。見事でしたよ。ただ、あれですね。しなくてもいい経験をなさいましたね。似通った過去を持つ私ですけどね。4年たっても時と場所によっては鼻の奥がつーんとなりますよ。これは一生そうなんでしょうがね。見てますよ、天上世界から下を。頑張りましょう。
 それでは答弁に。婦人と女性に、女性はもちろん、婦人にちゃんとした答弁をしろということですね。一生懸命考えていますから。
 それでは、内藤 泉議員の少子化対策についてを一番はじめに答弁いたします。
 少子化の急速な進行は、将来の所得水準の低下をはじめ、租税や社会保障負担の増加など、我が国の社会、経済全体に大きな影響を与えるものであります。このため、新甲府市総合計画後期基本計画におきましては、少子化対策を重点施策としたところであります。具体的な事業につきましては、多子世帯への保育料助成、保育料保護者負担金の軽減、幼稚園就園奨励制度の拡充など、保護者の経済的負担の軽減措置を講じるとともに、さらには病気やけがなどに対応するすこやか子育て医療費助成制度の充実など、「子供は次世代を担う宝である」を常に念頭に置きながら、積極的に取り組んでいるところであります。
 こうした経済的な支援のほか、幼児教育センターの設置をはじめ、特別保育事業、留守家庭児童会の充実、30人学級への取り組み、歩道のバリアフリー化、学校施設の計画的な整備、また家賃補助制度など、子育てを側面的に支援するさまざまな施策につきましても、着実な推進を図っているところであります。
 しかしながら、少子化は、晩婚化なども背景として考えられるだけに、子供を安心して産み、育てることができる社会的な環境づくりも必要であります。本市ではこうした環境づくりの一環といたしまして、性別による役割分担を固定的にとらえる意識や、これに基づいた社会の制度、慣行を排除し、真の男女共同参画社会の実現を目指す男女共同参画推進条例をことしの3月に制定したところであります。
 また、現在、本年7月に公布されました次世代育成支援対策推進法に基づく行動計画を、法施行の1年前倒しで策定しているところであり、次代を担う子供たちの健全な育成を図るための施策を、着実にそして体系的に推進できるよう努めております。
いずれにいたしましても、少子化を含めた人口の構造的な問題は、福祉、教育、経済、環境などの幅広い観点から取り組んでいかなければならない大きな課題と認識しておりますので、今後とも企画部を中心に関連する施策、事業の総合的かつ計画的な推進を図ってまいりたいと考えております。御理解を賜りたいと存じます。
 ほかの御質問につきましては、関係部長等からお答えをさせます。
 以上です。
○福祉部長(五味春雄君)
 福祉部に係ります2点についての御質問にお答えをいたします。
 はじめに、母親が子育てできる経済環境の整備についてでございますが、少子化の傾向が一段と進む中、男性を含めた働き方の見直しや地域における子育て支援、社会保障における次世代支援、若者の安定就労や自立の促進などに力を入れていく必要性が高まってきております。
 現在、国においても、社会保障給付費のうち高齢者関係は67%を占めるのに対し、子供、家庭関係は3%程度にとどまっており、世代間における公平性の観点からも社会保障制度が大きな課題として検討されてきております。
 本市では、安心して子育てできる環境づくりを目指して、今日まで保育サービスの充実、保育料の軽減、多子世帯への保育料助成、乳幼児の医療費助成対象の拡大など多様な子育て支援策を推進しているところでもあります。児童手当の支給年齢拡大につきましては、今後の国の動向を見据える必要があります。また、出産祝金の支給につきましては、多くの財政負担が予測されることから、今後の検討課題とさせていただきます。
 いずれにいたしましても、次代を担う子供たちが心身ともに健やかに育つために、行政のみならず、市民、企業が一体となった環境づくりに努めてまいりたいと考えております。
 次に、ブックスタート事業についてでありますが、絵本との出会いを通して乳幼児期の心の発達や豊かな感性をはぐくみ、赤ちゃんと両親、祖父母が触れ合いの楽しいひとときが持てるようにしていくことは大切であると考えております。現在、本市におきましては、乳幼児健康診査の際に市立図書館が実施しております施設等への本の貸し出し制度を活用し、父母やボランティアの御協力をいただきながら、子供たちへ絵本の読み聞かせを行っております。御理解を賜りたいと存じます。
 以上でございます。
○教育長(角田智重君)
 教育委員会関係の御質問にお答えをいたします。
 はじめに、幼児教育の推進についてであります。平成13年10月に開設しました幼児教育センターは、幼児教育の振興を図る施設として、乳幼児及び保護者に健全な遊び場と交流の場を提供し、年間約2万2,000人余の多くの皆様に御利用をいただいており、保護者からは、子育てに悩む相談や同じような立場にある者同士の情報交換により、心の安らぎが得られたなどの好評をいただいているところであります。
 具体的な事業としましては、乳幼児とその保護者を対象とした専門家による子育て相談や月齢別講座、また市内大学の協力を得まして、幼児教育に関する講演会や研修会の開催、さらには遊びを通じての英会話教室などを随時実施するとともに、保護者同士の交流や情報提供も積極的に行ってきているところであります。
 御質問の駐車場スペースにつきましては、必要に応じて石田悠遊館の駐車場が利用できますよう配慮をしております。
 次に、(仮称)北部幼児教育センターの計画につきましては、山梨県から旧県立青年の家の移管についての働きかけがありまして、本市といたしましては、乳幼児の健やかな成長に寄与することを通して子育てを総合的に支援する必要から、教育施設として活用すべく今議会に用地取得経費等の補正予算を提案させていただいたところであります。
 乳幼児のための広場につきましては、現在本市で管理をしております公園やチビッコ広場など、市内全域に約200カ所が整備されておりますので、これらの有効利用を図られますようお願いをいたしたいと存じております。
 他の御質問については、部長からお答えをいたします。
○教育委員会教育部長(中澤正治君)
 幼稚園就園奨励費の増額についてお答えいたします。
 就園奨励制度は、国の補助金交付要綱に基づき、公立と私立幼稚園の保護者負担の格差を考慮し、私立幼稚園の就園に係る保護者の経済的負担の軽減を目的とした制度であります。県内の多くの自治体が国の限度額を下回った支給をしている状況の中で、本市におきましては、厳しい財政状況にもかかわらず国の示した限度額の基準を100%適応した支給としておりまして、次代を担う子供たちの養育にあたっておられる保護者に対し、最大限の援助をしている現状でございます。
 以上であります。
○副議長(桜井正富君)
 内藤 泉君。
○内藤 泉君
 御説明をありがとうございました。
 いきいき推進課のところでもう一カ所、北部の方に幼児教育に関する施設をということでお伺いしたいんですが、PRはどんなふうになさるんでしょうか。まだ、計画の段階でございますか。
○副議長(桜井正富君)
 教育委員会教育部長 中澤正治君。
○教育委員会教育部長(中澤正治君)
 先ほど教育長の方から御答弁させていただきましたけれども、今議会に用地取得費、それから設計委託費等の補正予算を計上させていただいております。御議決をいただきますれば、また、改修費等もございますけれども、その辺も詰めまして、来年夏以降の開設に向けまして、その辺は市民に周知を徹底をして、有効利用できるような周知を図ってまいりたいと、このように考えております。

      (内藤 泉君「わかりました。ありがとうございます」と呼ぶ)

○副議長(桜井正富君)
 次に、共産党の一般質問を行います。内藤司朗君。
内藤司朗君。

            (内藤司朗君 登壇)

○内藤司朗君
 昨日の小越智子議員の日本共産党代表質問に続いて一般質問をします。
 まず、子育て支援についてです。
 次世代育成支援対策推進法が、2003年通常国会で成立しました。この法律は90年のいわゆる「1.57ショック」以来低下する一方の合計特殊出生率、少子化の進行に歯どめをかけようと、地方自治体と大企業に子育て支援計画策定を義務づけようというものです。この次世代育成支援対策推進法を受け、今年度末を期限とした地域行動計画、甲府市次世代育成支援計画の策定作業が始まっています。この行動計画がよりよい実行力ある子育て支援策となるよう求める立場から、何点か質問を行います。
 国は行動計画の具体的内容として、地域での子育て支援、小児医療の充実など7つの領域のそれぞれで施策を講じるよう求めています。まず、それぞれの施策に実行性を持たせるために必ず数値目標を入れることを求めたいと思います。私は、今回の計画策定にあたって、市が親を対象に行った3,000人アンケートの回答を読みました。子育て支援施策に対する意見・要望の自由記述では、児童館の設置、留守家庭児童会の開設時間の延長、子供の医療費窓口無料化を求めたり、予防接種を受けやすいものにしてほしい、保育料や教育費といった経済的負担に対する援助をしてほしい、この5点が際立って多いのが特徴的だと受けとめました。子育てに実際に携わる親の切実な意見・要望として尊重し、市民の声が生きる子育て計画として取り入れるべきと考えますが、いかがでしょうか。
 計画策定にあたって、幾つかの点を具体的に質問をいたします。
 まず、児童館設置についてです。アンケートでは、未就学児の保護者の67.8%、小学生保護者の59%が、今後利用したい施設として児童館を挙げています。国の計画策定の指針でも、児童の健全育成の拠点施設としての児童館の役割を高く評価して、その活動の展開を求めています。現在、甲府市には児童館は4カ所しかありません。地域で児童が自主的に参加し、自由に遊べ、安全に過ごすことのできる児童館が限られた地域にしかないのでは不十分です。地域性も考慮して、年次的な設置計画を明示して、今回の計画に取り入れるべきではありませんか。見解を求めます。
 次に、学童保育、留守家庭児童会についてです。
 全国学童保育連絡協議会は、5年ごとに実施している全国詳細調査の結果を先月発表しました。それによると、4年生以上を受け入れている自治体が約3割にふえています。開設時間、開設日もふえています。平日の終了時間の全国平均は午後5時50分。甲府市のように終了時間が5時ちょうどという自治体は、14.9%に減少しています。土曜日開設は、7割の自治体が行っています。今回の甲府市の保護者アンケートでも、利用できる学年の延長、利用時間の延長、土曜日の開設を求める要望は切実です。計画に目標年次を明示して、これらの施策を実施していくべきではありませんか、見解を求めます。
 また、障害児の留守家庭児童会の受け入れを求めます。留守家庭児童会に入会できない障害児はやむなくレスパイト、障害児の一時預かり制度を利用する例もありますが、利用料がかかり、利用枠の制限もあります。入会を希望する障害児は留守家庭児童会で受け入れるよう、必要な指導員の加配と研修をすべきではないでしょうか、見解を求めます。
 次に、子供の医療費窓口無料化についてです。この問題に取り組む子供の医療費窓口無料化を求める会は、11月25日に県知事に、また27日には宮島市長あてにその実現を求める署名の第2次分を提出しました。これで署名の累計は知事あてが2万5,823筆、市長あてが1万1,717筆となりました。ことし7月から始まった署名ですが、短期間でのこの署名の広がりや市のアンケートでも子供の医療費窓口無料化は、アンケート項目にはなかったにもかかわらず自由記述欄に多くの要望が書かれていたことを見ても、要望の大きさがわかると思います。署名提出時の対話では、母親から「小さな子供を連れて病院と市役所を何度も往復したり、時間休をとって払い戻しを受けるのが大変。市全体で考えてもその労力は大変な損失だ」といった声が出ました。
 6月議会の質問でも指摘いたしましたが、市が実施困難の理由とする支払基金法の問題、付加給付が異なる問題など、千葉県越谷市、福島市などでクリアして実施に踏み切っています。福島市の担当課長は、「甲府市当局が心配していることは何ら問題ないとして、市長がやるかどうかの問題」と話しています。窓口無料化はもはや市長の決断の段階であると思いますが、いかがでしょうか。
 次に、雇用の問題について質問します。
 我が党は、これまで大企業によるリストラから雇用を守るルールづくりや市独自の雇用対策事業の創設を提言してきましたが、今回は、労働相談窓口の拡充と、緊急雇用創出基金事業の活用、そして青年の雇用について伺います。
 総務省の10月の労働力調査では、完全失業率は5.2%、特に若年層は9.2%と深刻です。正規雇用、非正規雇用に限らず、せっかく就職できても、求人表と条件が違っていたり、長時間過密労働、休日出勤、ただ働きのサービス残業や低賃金が横行し、「嫌ならやめてもらって結構、かわりは幾らでもいる」と言われ、無権利状態にひとしい中で我慢して働くか、やめるかの選択をせざるを得ない状況です。
 このような状態に置かれ悩む労働者が、気軽に相談できる窓口を拡充することが求められています。現在、市の行う労働相談は、朝気にある勤労者福祉センターが中心ですが、相談件数も少なく、極めて深刻な今の労働実態から見て不十分です。そこで、厳しい労働実態から面談する時間も取れない労働者のために、電話による労働相談110番を、専門家の協力も得て行ってはどうでしょうか。市が労働問題に積極的に相談に乗る姿勢は、労働者を励ますものと言えます。
 次に、失業者のつなぎ就労の場を提供する緊急地域雇用創出特別基金事業を大幅にふやすことを求めます。甲府市では、この事業で平成14年に141人、15年には86人の新規雇用をつくり出しています。来年度は事業最終年度となっていますが、これを積極的に活用して、甲府市内の失業者に就労の場を提供するよう求めるものです。
 青年の雇用問題ですが、県内の来春卒業予定の高校生の求人倍率は0.55倍と依然低く、内容的にも正規雇用の減少、人材派遣や短期パートの不安定雇用が増加しています。このように、将来の日本を担うべき多くの若者が正規の就労の機会もなく過ごすことは、単に個人の問題ではなく社会的損失と言うべきです。行政として、雇用問題でできることは限られていますが、長野県や鳥取県では、福祉、教育、環境の分野で新規雇用をふやしています。甲府市自身も青年の雇用をふやすべきではないですか。市は、来年度は医療職などを除いて、新卒者の採用を行わない方針ですが、これでは深刻となっている青年の雇用問題の解決に真剣に取り組む姿勢とは言えません。中途でも、市職員の採用を再開するよう求めるものです。
 以上のそれぞれについて見解を伺います。
 次に、高齢者の高額医療費の払い戻し制度についてです。
 昨年10月の医療改悪によって1カ月の医療費自己負担分が、限度額の1万2,000円を超えた場合、超過分が後で払い戻される高額医療費制度が導入されました。甲府市においても、1回申請をすれば、その後自動的に超過分については払い戻されることになっています。しかし、これは一たん窓口で支払った後数か月後に払い戻される償還払いになっているため、当座高額の窓口支払いが求められることになります。多くの高齢者にとって高額の窓口支払いは、経済的にも負担が重過ぎる、超過分が返ってくるといっても数カ月後になるため、その間の医療費の支払いも大変。年金暮らしにとっては死活問題など、切実な声も寄せられています。限度額以上は支払わなくても済む委任払い制度とすることを求めます。
 また、今議会には本人に個別通知をするための予算計上が行われるなど改善点もありますが、払い戻し期間を短縮することを求めますが、見解はいかがでしょうか。
 最後に、国保の高額療養費の委任払い制度についてです。不況、リストラ、社会保障の連続的改悪で国民の暮らしは大変です。甲府市では国保加入世帯は全世帯の52%となっており、国保世帯の中でも低所得者は35%を占めています。滞納が約7,000世帯、資格者証85件、短期保険証も168件とふえています。
 また、ことし8月の国保料の値上げと相まって、医療費の窓口での重い負担のため医者に行くことを手控えることが起きています。高額な医療費は、窓口で一たん全額を支払い、手続後自己負担限度額以上の分は後で払い戻されます。医療費が高額になると窓口での支払いがとても大変です。厚生省は、昭和52年に内簡において、低所得者であること、現物給付の要求が強く、やむを得ない事情があること。医療機関の協力が得られることなどの条件を示し、限度額分だけを医療機関で支払えばよいという高額療養費の委任払い制度を認めました。
 甲府市においても、以前は委任払いが実施されていましたが、この数年は県の指導で、高額療養費の貸付制度の利用を進めていますが、手続も面倒な上に医療機関に支払う金額が委任払いよりも多くなることから、そのお金を用意できない方々は深刻な事態を招いています。県に対して委任払い制度を制限する指導をやめるよう求めるとともに、甲府市も高額療養費の委任払いを以前のように幅広く実施することを求めます。
 新潟県や北海道ではほとんどの自治体で、その他多くの自治体でも委任払い制度をやっています。この制度が復活すれば、さきに述べた高齢者の高額医療費の限度額を超えた場合の委任払いの実施も容易になります。見解を求めます。
 こうした中にあって、私は、国保が加入者の命と暮らしを守るためにも、国保の患者の窓口負担分を軽減する一部負担金の減免制度の活用を求めるものです。国保の一部負担金減免制度は、国保法第44条に規定された制度です。第44条は、保険者、市町村は、特別の理由のある被保険者で、一部負担金を支払うことが困難と認められる者に対し、その負担金を減額、免除、徴収猶予ができるとしています。
 そして、1959年3月30日に当時の厚生省も、その趣旨を適用するための通知を出しています。既に、京都市、札幌市などで実施していますが、さらに秋田県ではこの一部負担金の減免について、法律に基づく減免を実施しない自治体をなくしたいと、全市町村が実施するよう通知を出しています。
 甲府市でも、既に一部負担金の減免制度は、生活保護基準の1.2倍を基準として要綱がつくられていますが、この制度を市民に周知することが必要なのではないでしょうか。見解を求め、質問を終わります。
○副議長(桜井正富君)
 市長 宮島雅展君。

            (市長 宮島雅展君 登壇)

○市長(宮島雅展君)
 内藤(司)議員の質問にお答えをします。
 甲府市次世代育成支援計画の策定についてであります。本市では平成10年度に、甲府市児童育成計画を策定し、多様な子育てサービスや母子保険医療体制の充実、多子世帯保育料助成制度の創設や乳幼児の医療費助成対象年齢の拡大等による経済的負担の軽減を図るなど、次代を担う子供が健やかに生まれ、育っていける子育て支援社会の実現に向けた施策推進に努めてきたところであります。
 このような中、国においては、急速な少子化の進行を踏まえ、本年7月に次世代育成支援対策推進法を制定し、国、地方公共団体、企業、そしてすべての国民が、それぞれの立場から次世代育成支援に向けて取り組むための枠組みを構築いたしました。
 今回の次世代育成支援対策推進法では、市町村においては、平成16年度中において行動計画の策定が義務づけられますが、本市では、1年前倒しをして、国の行動計画策定指針等の内容を踏まえ、(仮称)甲府市次世代育成支援計画の策定に取り組んでいるところであります。計画の策定にあたりましては、広く市民の声を反映するため、市民公募を含めた市民懇話会を設置するとともに、就学前児童、小学生、中学生の保護者、約3,000人を対象にアンケート調査を実施したところであります。今後は、アンケート調査の結果、市民懇話会からの御提言、インターネットでの御意見等を踏まえるとともに、庁内組織であります庁内連絡会議、ワーキンググループで十分調査、検討する中で施策についての数値目標等の設定にも努めてまいりたいと考えております。御理解を賜りたいと存じます。
 ほかの御質問につきましては、関係部長等からお答えをさせます。
 以上です。
○総務部長(小尾英光君)
 職員採用と雇用についてお答えをいたします。
 現下の厳しい財政環境のもと、市民の行政に対する満足度を高め、健全な行財政構造の確立のため、行政改革の一層の推進を図らなければなりません。職員の定数管理のあり方は、少数精鋭主義による必要最小限の職員を配置し最大の行政効果を上げることでありますので、職員採用につきましては、定数管理及び健全な行財政構造の確立との整合性を図り、慎重に対応していくことが必要であります。
 しかしながら、かえがたい市民の命を守り、増大する医療ニーズに即応する医療職員の充実体制を図ることが必要不可欠のため、平成16年度の職員採用につきましては、一部の医療職等の採用を行ったところであります。こうした中で行った職員採用試験において、看護師など次代を担う42名の若者が合格者となりましたので、新規職員として採用を予定しているところであります。
 なお、職員採用によります雇用の創出については、短期的、集中的に発生する業務及び育児休暇等、取得者の代替えとしてなど、臨時・嘱託職員の採用を行っているところであり、平成14年度においては延べ800名余の実績を残しております。
 以上であります。
○市民部長(平井 功君)
 国民健康保険における高額療養費の取り扱い等についてお答えいたします。
 国民健康保険における高額療養費の取り扱いにつきましては、償還払いを原則とするのが、国、県の指導方針であります。また現在、国民健康保険以外の各保険についても同様の取り扱いになっております。このため、本市では償還払いを原則といたしておりますが、高額な医療費の支払いが困難な方には、山梨県国民健康保険団体連合会で実施をしております高額療養費支払資金貸付制度の利用をあっせんしているところであります。なお、他都市の状況等を把握する中で、委任払いの取り扱いについて関係機関等に働きかけてまいります。
 また、一部負担金の徴収猶予及び減免制度につきましては、生活が著しく困窮となり、一部負担金の支払いが困難な方には、法の趣旨に沿って対応をしているところでありますが、今後さらに市民への周知を図ってまいりたいと考えております。
○福祉部長(五味春雄君)
 福祉部に係ります2点についての御質問にお答えをいたします。
 はじめに、子供の医療費窓口無料化についてでありますが、すこやか子育て医療費助成制度につきましては、類似規模の先進都市に実施方法等の照会を行い、窓口無料化について検討を行っているところであります。しかしながら、市単独での窓口無料化については多くの課題を乗り越えていかなければならないことから、今後も多角的な視点から検討してまいりたいと考えております。
 次に、高齢者の高額医療費の払い戻し制度についてでありますが、医療費の一部負担金が限度額を超えた場合の個人あてのお知らせにつきましては、今議会に補正予算を計上し、システムの改造を行い、早期実施ができるよう準備を進めているところでもあります。高額医療費の払い戻し額の算定業務につきましては、診療月から約2カ月半後に高額医療算定リストが山梨県国民健康保険団体連合会から送付されます。この算定リストと受給資格や所得状況等の確認を行い、診療月から約4カ月後に振り込まれます。今後さらに事務の改善を図り、払い戻し期間の短縮に努めてまいります。
 また、医療機関等における委任払い制度につきましては、医療費の一部負担金限度額の適用が個人及び世帯ごとになったことにより、制度上各医療機関等において限度額を把握することが困難であるとともに、受給者や医療機関等で混乱を招くことが予測されます。このことから委任払い制度を行うことにつきましては、大変困難であると考えます。
 以上でございます。
○産業振興労政部長(望月 猛君)
 雇用問題についてお答えをいたします。
 労働相談につきましては、昨今の厳しい雇用情勢に対応するため、本年度から毎週木曜日の開設時間を勤労者が利用しやすい時間に変更するとともに、新たに毎月第2土曜日も開設をし、勤労市民が抱える雇用、賃金、労働条件など、労働問題全般にわたり相談、助言、指導を行っているところであります。
 また、相談日に直接来られない方についても、電話による相談に応ずるとともに、相談日以外についても関係機関等と連携を図りながら万全を期しております。今後もより一層労働相談室の活用が図られますよう、積極的なPRに努めてまいります。
 次に、緊急地域雇用創出特別基金事業につきましては、大変厳しい雇用、失業状況にかんがみ、臨時応急の措置として平成11年度から平成16年度までの事業として取り組んでいるところであります。平成11年度から平成14年度までの実績につきましては、22事業で新規雇用者252人の雇用創出を図ってまいりました。平成15年度は当初事業として6事業、補正予算において10事業を計画し、新規雇用者86人を雇用し、事業を進めているところであります。平成16年度からが最終年度となるため、雇用創出、継続的雇用など基金事業の効果を最大限高めるため事業の選定を行い、県に積極的に働きかける中で失業者の雇用確保、就業機会の提供に努めてまいります。
 以上であります。
○教育長(角田智重君)
 教育委員会関係の御質問にお答えをいたします。
 最初に、留守家庭児童会の運営についてでございますが、留守家庭児童会の対象となる学年の拡大につきましては、3年生までを対象としている現状におきましても、一部の児童会で待機児童がおりますので、まず、この解消に取り組んでまいりたいと思います。
 次に、開設時間の延長につきましては、児童の安全確保、指導員の勤務体制、さらには費用負担のあり方などさまざまな問題を解決する必要がありますので、引き続き検討をしてまいります。
 障害児の受け入れにつきましては、現在も入会申し込みに基づきまして、受け入れを行っているところであります。
 他の御質問につきましては、部長からお答えをいたします。
○教育委員会教育部長(中澤正治君)
 児童館の新設についてお答えをいたします。
 次代を担う子供たちが、未来への夢や希望を持って健やかに育つように児童の健全育成の拠点施設としての児童館の果たす役割は重要なものと考えております。現在、本市におきましては、児童に健全な遊びの機会を設け、また集団的、個別的な生活指導にあたるとともに情操を豊かにすることなどを目的として、4カ所の児童館を設置いたしました。新たな設置に向けましては、今後の検討課題とさせていただきます。
 以上であります。
○副議長(桜井正富君)
 内藤司朗君。
○内藤司朗君
 子供の医療費窓口無料化についてお伺いするのと、もう一つは次世代育成計画のアンケート結果の受けとめについて、もう少し踏み込んだ見解を求めていきたいと思います。
 まず、窓口医療についてですが、質問の中でも述べましたが、大変多くの市民要望があるということと、あとこの間、県の方に要請に行ったり、市の方に要請に行ったり、そのたびに県の方に行けば、「市町村が手を挙げればやりますよ」というようなお答えを県ではもらう。一方市の方に来れば、「県の方でやってくれれば考えますよ」と、そんなことでかなりお母さんたちも、「一体どうなっているんだ」というのが率直な気持ちだと思います。
 それで、部長の方から今御答弁で、いろいろ検討していると。あと、多くの課題を乗り越えなければならないというような御答弁がありましたが、恐らく多くのお母さん方、市の動向を注目していると思いますので、この多くの課題、それと検討事項、もう少し詳しくわかりやすく説明していただけたらと思います。
 それとあと、3,000人アンケートですけども、市長の方からもこれしっかりと受けとめていきたいという御答弁がありました。6月議会の一般質問でも、私、この席から強調しましたけど、この子育て世代、若い世代の皆さんにいかにしっかりと甲府市に定着していただけるのか。「子育てするなら甲府市がいいよ」と定着するとか、あるいは市外から転入してくる。それとも市外に転出してしまうのかということで、都市間競争に打ち勝つ魅力あるまちづくりというようなことが、この間のテーマになっていますけれども、ぜひこういった若い世代の声をしっかりと受けとめて、魅力あるまちづくりをしていくということをしていただきたいと思います。
 このアンケートを見てちょっとおもしろいなと思ったのは、例えば未就学児のアンケートについては、問1から問71までありまして、問71が自由記述、要望になっています。問1から問70までは「窓口の医療費無料」ということは一切出てこないんですよね。普通は1番から70番まで答えていって、71番で要望書を書いてくださいというと、その1番から70番の中から書くようなことになるのが多いと思うんですが、ところが、この医療費の窓口無料については、そういうことは関係なく、本当にたくさん71番で自由記述のところで要望が出ていると。こういうことも、やはり要望の強さがあらわれていると思います。
 あと、学童保育、それと児童館、本当にこの3,000人アンケート、貴重な市民の声として施策に生かしていただき、また、数値目標についても数値目標を定めていくという御答弁でしたが、ぜひ高い数値、積極的な数値にしていただきたいと思いますが、御所見があれば伺いたいと思います。
 ということで、窓口無料とこの3,000人アンケートについて、2点お願いします。
○副議長(桜井正富君)
 福祉部長 五味春雄君。
○福祉部長(五味春雄君)
 窓口無料化の関係でございますが、代理請求、また申請の有効期間を2年まで、有効として今現在進めております。県におきましても、負担の軽減を図るため申請方法の簡素化、あるいは申請書と各種用紙の統一化につきまして、全県的な取り組みを行っておるところでありまして、市といたしましても、協調してその対応を図っているところでもあります。
 私どもこの無料化につきましては、多くの市民要望をいただいていることは十分認識をしております。多くの課題の部分でありますが、これにつきましては、診察機関でございます社会保険診療報酬支払基金に業務規定がないということであります。また、あわせまして、加入保険組合ごとに付加給付制度が異なっているなどの問題がありまして、この辺の大きな課題を乗り越えていく必要があるんではないかと思っております。
 いずれにいたしましても、私ども他都市の問題点等をさらに検討を加えて、慎重に対応してまいりたいと思っております。
 続きまして、次世代育成計画アンケートの調査の関係でございます。これは未就学児童を対象といたしまして、甲府市全域におきまして対象者数、未就学児1,329名を対象として、市内の保育所及び幼稚園からの抽出をいたしました。その結果、対象者数1,329名中、回収数961人でございまして、回収率72.3%となっております。いずれにいたしましても、これらのアンケート調査に基づきまして立ち上げました次世代育成支援計画のこの各部会等々の中で、さらに検討を加えて計画づくりに努めてまいりたいと思っております。
 以上でございます。
○副議長(桜井正富君)
 内藤司朗君に申し上げます。
 割当時間があとわずかとなりましたので、質疑は簡明にお願いいたします。内藤司朗君。
○内藤司朗君
 4分あると思いますので、簡単にやります。
 今、部長の方から御答弁、窓口無料についてですけれども、支払い基金法の問題、それから付加給付の問題、これをすべてクリアして実施に踏み切っている実態があるということは、質問の中で言ったとおりであります。
 それと、医療機関の協力ということでも、今、小児科医の先生方も本当にこの窓口無料ですね、「ぜひやってほしいし、そんなに実務的にも問題はない」ということで大分協力的な小児科医の皆さん方もふえております。ぜひそういうことを踏まえて、今後十分検討、調査、私たちはすべてクリアしていると考えますけれども、その辺ぜひ実施に向けて取り組んでいただきたいと思いますが、市長、御所見がございますでしょうか。
○副議長(桜井正富君)
 福祉部長 五味春雄君。
○福祉部長(五味春雄君) 
 要望として受けとめさせていただきます。
○副議長(桜井正富君)
 お諮りいたします。
 本日の会議はこの程度にとどめ、延会いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。

            (「異議なし」と呼ぶ者あり)

○副議長(桜井正富君)
 異議なしと認めます。
 よって、本日の会議はこれをもって延会することに決しました。
 本日はこれをもって延会いたします。

              午後4時06分 延 会

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