昭和60年9月甲府市議会定例会議事日程(1)

昭和60年9月20日(金)午後1時

 

報  告

第 1 会議録署名議員について

第 2 会期決定について

第 3 地方行財政対策に関する調査について

第 4 議案第88号  甲府市立学校校舎等使用料条例の一部を改正する条例

制定について

第 5 議案第89号  甲府市市営住宅条例の一部を改正する条例制定につい

第 6 議案第90号  甲府市消防団員球じゅつ金条例の一部を改正する条例

制定について

第 7 議案第91号  甲府市消防団員等公務災害補償条例の一部を改正する

条例制定について

第 8 議案第92号  昭和60年度甲府市一般会計補正予算(第2号)

第 9 議案第93号  昭和60年度甲府市国民健康保険事業特別会計補正予

算(第1号)

第10 議案第94号  請負契約の締結について(南西第1・貢川北第1幹線

下水道管布設工事)

第11 議案第95号  請負契約の締結について(貢川北第1幹線下水道管布

設工事)

第12 議案第96号  請負契約の締結について(朝気立体交差高架橋上部工

架設工事)

第13 議案第97号  市道路線の認定について(県立第一商業高校前通り

            線)

第14 議案第98号  市道路線の認定について(東中学校西通り線)

第15 議案第99号  市道路線の認定について(下中小河原線)

第16 議案第100号 市道路線の認定について(住吉上町2号線)

第17 議案第101号 山梨県市町村自治センター設置に関する協議について

 

(出 席 議 員)

森 沢 幸 夫君

武 川 和 好君

依 田 敏 夫君

飯 沼   忠君

剣 持 庸 雄君

岡 田   修君

村 山 二 永君

宮 島 雅 展君

内 藤 幸 男君

秋 山 雅 司君

福 島   勇君

塩 野 褒 明君

早 川 光 圀君

堀 内 征 治君

内 藤 秀 治君

小 林 康 作君

堀 内 光 雄君

斉 藤 憲 二君

川 名 正 剛君

牛 奥 公 貴君

清 水 節 子君

岡     伸君

野 村 義 信君

長 田 昭 哉君

千 野   哮君

中 込 孝 文君

鈴 木 豊 後君

渡 辺 静 男君

小 沢 政 春君

飯 島   勇君

原 田 正八郎君

堀 口 菊 雄君

中 西   久君

小 林   匡君

早 川 武 男君

三 井 五 郎君

小 沢 綱 雄君

 

 

 

37名

 

(欠 席 議 員)

上 田 英 文君

 

 

 

1名

 

職務のため議場に出席した事務局職員の職氏名

事 務 局 長  臼 田 茂 治君

総務 担当 主幹  河 西 正 克君

庶務 担当 主査  山 村   f君

調査 担当 主査  加 藤   喬君

議事 担当 主幹  都 筑   登君

議事 担当 主査  今 福 栄 一君

議事 担当 主査  高 橋 勝 巳君

議事 担当 主査  萩 原 三 男君

記録 担当 主査  功 刀 敏 男君

庶務 担当 主任  五 味 一 重君

 

説明のため議場に出席した者の職氏名

市     長  原   忠 三君

国体 事務 局長  鷹 野 四 郎君

助     役  新 藤 昭 良君

中央卸売市場長  井 上   真君

収  入  役  近 山 滋 郎君

市 立 病 院 長  伊古美 文 雄君

市 長 室 長  小 野 貞 良君

 〃 事務 局長  石 井 司 郎君

企 画 部 長  中 島 省 三君

教 育 委 員 長  小 林 一 彦君

総 務 部 長  神宮寺 英 雄君

教  育  長  楠   恵 明君

市 民 部 長  入 倉 芳 幸君

教 育 次 長  生 山 正 仁君

社 会 部 長  吉 岡   典君

水道事業管理者  丸 山   忍君

福 祉 部 長  高 野   肇君

水道局業務部長  山 下   久君

環 境 部 長  石 原 一 雄君

 〃 工務部長  鈴 木 元 芳君

経 済 部 長  窪 田   。君

選挙管理委員長

寺 田 信 男君

建 設 部 長  小 松   要君

職 務 代 表 者

都市 開発 部長  小 野 明 英君

代表 監査 委員  倉 田 吾 郎君

下 水 道 部 長  高 橋 信 靖君

公 平 委 員 長  横 内 敏 治君

技術 管理 室長  鈴 木 東一郎君

農業委員会々長  荻 野 克 巳君

 

固定資産評価員  斉 藤 孝 房君

 

     午後1時05分 開会

 

〇議長(小林康作君)

 ただいまから昭和60年9月甲府市議会定例会を開会いたします。

 

     午後1時06分 開議

 

〇議長(小林康作君)

 これより本日の会議を開きます。

 

 報告事項を申し上げます。

 

 本定例会に提出する議案につき市長から通知がありました。

 

 提出議案は議事日程記載のとおりでありますから朗読を省略いたします。

 

 次に、市長から議会に報告すべき事項であります報第15号 甲府市一般会計継続費清算報告についてから報第17号 専決処分についてまで3件が提出されました。

 

 右は、それぞれすでに配付いたしてありますので、御了承願います。

 

 次に、議長のもとに請願1件が提出されました。

 

 右は、お手元に配付してあります請願文書表により御了承を願います。

 

 次に、市長から昭和60年3月定例会において採択された請願について、その処理の経過と結果の報告がありました。

 

 右は、お手元に配付いたしてあります報告書により御了承願います。

 

 次に、監査委員から昭和60年5月末、6月末及び7月末の例月出納検査報告書が提出されました。

 

 右は、お手元に配付いたしてありますので、御了承願います。

 

 次に、地方行財政対策に関する調査特別委員長から、会議規則第86条の規定により委員会調査の報告書が提出されました。

 

 右は、議事日程記載の日程第3でありますので、朗読を省略いたします。

 

 次に、昭和60年7月23日及び7月24日に県下及び関東の各市議会議長会関係の会議が開催され、随員とともに出張いたしました。

 

 それぞれの会議の概要につきましては、お手元に配付いたしてあります報告書により御了承願います。

 

 以上で報告を終わります。

 

 これより日程に入ります。

 

 日程第1会議録署名議員の指名を行います。

 

 会録署名議員には、会議規則第167条の規定により

   堀 口 菊 雄 君

   飯 沼   忠 君

   早 川 光 圀 君

を指名いたします。

 

 次に、日程第2 会期決定についてを議題といたします。

 

 お諮りいたします。

 

 会期定例会の会期は招集の日から9月30日まで11日間といたしたいと思います。これに御異議ありませんか。

 

     (「異議なし」と呼ぶ者あり)

 

〇議長(小林康作者)

 御異議なしと認めます。

 

 よって今期定例会の会期は11日間とすることに決しました。

 

 次に、日程第3 地方行財政対策に関する調査についてを議題といたします。

 

 本件に関し、地方行財政対策に関する調査特別委員長の報告を求めます。

 

 地方行財政対策に関する調査特別委員長 早川武男君。

 

    (地方行財政対策に関する調査特別委員長

     早川武男君 登壇)

 

○地方行財政対策に関する調査特別委員長(早川武男君)

 2カ年間にわたる地方行財政対策に関する調査特別委員会の報告でありますので、非常に長い報告になりますけれども、よろしくお聞き取りをお願いをいたしたいと思います。

 

 我が国は2度にわたる石油危機により、高度経済成長から安定経済成長、さらに低成長時代へと移行するとともに、他国に例をみない人口の急速な高齢化等、社会経済情勢が激しく変動するにいたっております。また近年国の財政は巨額の負債をかかえるにいたり、それらに起因して地方財政もまた厳しい運営をよぎなくされる所となってきました。

 

 本市においては昭和32年より組織機構の整備が進められ、昭和41年近代的行政機構としての動態組織である、「流動的活動体制」を基本とした、第1次組織改革がおこなわれましたがその中心となった理念は、事務事業への迅速かつ適切な対応と、住民福祉の向上を目指し、そのための機能性と能率性をもった近代的な組織機構への改革にあったといえます。

 

 昭和42年の第2次組織改革においては、増加する行政需要に対し効率的な事務処理をおこなうための組織として課係を廃し「主管者制度」を設けるなど、内部機構の整備を図るとともに、公聴体制の強化など市民サービスの向上を目指す改革を打ち出しました。

 

 昭和48年の第3次改革においては過去2度にわたる組織改善の問題点を分析し、参事制度と各部企画調整機能としての管理課を設けるなど、特に企画管理機能の充実をはかることとしました。

 

 しかし、近代的な管理組織といわれた「流動体制」も、当初はその機能を十二分に発揮し効果がみられましたが、その後の時代のすう勢により機能が次第に低下してきましたので、今後もその機能を発揮するためになお一層の努力が必要とされます。

 

 このような十数年にわたる改革の経緯と努力の中で本市は今日まで、人間尊重、市民生活優先を基本とした新総合計画を中心に市政を展開しその推進達成に尽力してきましたが、今日の低成長下の中でさらに活力ある健康都市甲府の実現にあっては、効率的な行財政運営がきわめて重要な課題となっています。

 

 本市の財政状況をみますと、経済の低成長により税収の伸びは次第に鈍化傾向となり、また財政再建施策の影響を受けた国の補助金等一律一割削減措置による年間4億円の減収、さらに地方交付税も昭和55年度27億円が昭和59年度は19億円となるなど、自主依存両財源ともに厳しいものとなっています。

 

 一方タイムリミットのある、国体、駅近代化、地震対策など大型事業の完遂には多額の事業費が投入されております。また当局の努力により単年度収支は黒字決算をみていますが、長期債務である公債費は、一般及び特別会計合わせて昭和58年度62億9,000万円と昭和55年度の2.2倍になりなお、累積債務は732億1,000万円の巨額に達しています。

 

 このような財政状況を勘案し、健全財政を維持するため、当局においては行財政対策委員会、及び行財政効率化推進委員会を設置し行財政全般のあり方を精力的に検討しているところでありますが、議会としても住民本位の自主性をもった地方自治を守り、一層能率的な行政組織と効果的な財政運営を図るために独自の調査を行う必要があるとの判断にいたりました。

 

 これらの理由から、行財政全般にわたる本市独自の総合的な対策について調査を行うことを目的とした、地方行財政対策に関する調査特別委員会が昭和58年9月定例会において設置されたのであります。

 

 以来今日まで37回の委員会を開き、精力的な調査活動を進めてまいりました。すでに昨年9月の定例会において中間報告を申し上げましたが、その経過を含め調査の結果について最終報告申し上げます。

 

 まず最初の委員会は、昭和58年10月25日に開催され、調査方法の大綱について協議いたしました。調査事項は、地方自治の進展をめざす本市の行財政対策、大型事業の推進、市政に対する市民参加の方法、情報公開の具体的方策、民主的な契約手続き等とし調査期限を本定例会までの2か年とすることをそれぞれ確認いたしました。

 

 さらに委員会では、これらの調査を進めるにあたって、意見の集約はあくまで委員の全会一致を原則とし、なお委員から相反する意見が出され、一致した集約ができない場合には、議会の会議原則である多数決の方法により多数意見、少数意見を明らかにすべきであるが、多くの市民の意見を最大限尊重し、委員会を自主的、民主的に進めていくという立場から、両論を併記していくという基本的な方針を確認しました。また調査日程の大網については、

 

1 市当局の自主的行政改革に関する方針、本市行政及び財政実態の聴取

 

2 市民及び各種市民団体、学識経験者、報道機関等から、行財政対策に関する意見、提言を聴取並びに意見交換

 

3 具体的な調査項目の設定及び調査日程の作成

 

4 各調査項目別に当局から現状と問題点をヒヤリング、また必要に応じ自主的な改革案の示を求める

 

5 特別委員会内部で問題点の抽出、分析、検討

 

6 調査結果の集約

 

 であり以上のとおりの順序及び項目により調査を進めていくこととしました。

 

 この大綱にのっとり、11月4日の委員会においては、まず原市長から行財政対策に取組む姿勢と決意が示され、さらに助役ほか関係部長から行政運営の現状と課題及び財政の推移と今後の見通しについての説明がありました。

 

 さらに多くの市民、各種団体等の声を聞くなかで、いま市民は、本市の行財政改革に対してなにを期待し、なにを要望しているかをより正確に把握するため、まず11月29日には報道関係者から、本市行財政のあるべき姿についての意見を聴取いたしました。

 

 次に12月1日、2日の2日間にわたり商工、農業、教育、婦人、青年団体等の代表者及び一般市民から、本市行財政や、市民生活の中でかかえる切実な諸問題について、意見、提言を聴取いたしました。

 

 さらに昭和59年2月13日には、山梨学院大学教授椎名慎太郎氏を、2月24日には自治労本部執行委員長丸山康雄氏を招き、自治体の行財政改革の方向、及び臨時行政調査会の答申内容と地方自治体との関係を基調とした講演会を開催いたしました。

 

 4月25日の委員会では、これまでに聴取した意見、提言等を指針として具体的な調査項目を設定いたしました。なおその際行政機構の見直しと整備、職員定数管理、議員定数の見直しを含む議決機関のあり方についても、調査の対象とすることを確認いたしました。

 

 委員会はつづいて本市における行財政等の実態と問題点を把握するため、調査項目ごとに当局に対し詳細な資料の提出を求め、5月25日から6月25日の間4回にわたり、各所管部によるヒヤリングを行いました。

 

 以上で本市行財政の現状把握と行財政対策に関する予備調査を終え、8月17日開催の第15回委員会から実質調査に入りました。

 

 実質調査を進めるに当たり、これまでに行った調査に基づきまして研究検討した結果、37項目にわたる問題点が各委員から提起されました。

 

 委員会では、この問題点を調査項目別に整理し、以来昭和60年8月20日の第35回委員会まで21回にわたり、調査項目ごとに分析検討を行いました。

 

 以下各項目別にその調査結果を報告いたします。

 

 最初に

 

1 財政運営の効率化と経費節減対策としては、まず

 

 (1) 財政収支の見通しと、財源の確保対策中

 

    ●歳入の確保について

 

   (ア) 市税についてはまず課税客体を的確に把握するとともに、年度当初に収納率の目標をたて、関係各課による流動体制の強化など一層緊密な連携により、その達成に向って努力すること。また法人市民税の増収策とて、本市の工事契約等で県外業者への単独発注についてはできる限り地元業者とのジョイント方式を取り入れるとともに、国母工業団地の工場建設を促進し、財源確保に努めること。

 

   (イ) 国保保険料の収納率向上のため、賦課、徴収組織の一元化を図ること。

 

   (ウ) 市税(県外からの進出事務所に対する事業所税、および商品券税)の新設について検討すること。

 

   (エ) 市民サービスと収納率向上のため、収納金融機関として郵便局を加えること。

 

   (オ) 地方交付税の増額を国に要求するため、具体的な運動を展開すること。

 

     このほか使用料、手数料についてはできる限り原価主義、公平性を貫いた独立採算制の考えに基づいて、受益者負担を原則とすべきであるなどの意見が出されました。特に下水道事業については、受益者が負担する部分と公共において負担する部分を明確にし、原則的には快適な生活に対する応分な負担を市民に求めるとしています。なお、使用料等における原価主義の導入については好ましくなく、反対するとの意見も出されました。

 

    ●歳出予算の構成について

 

     歳出については予算の編成について次のように両論が出されました。

 

   (ア) 歳出予算の編成にあたってはその総額に対し、一般的経常経費は50%を上回わらず、また投資的経費は常に30%を下回わらないように配慮し、その他下水道事業の促進や基盤整備事業など、新政策の展開にあてるための経費として調整基金を含め20%を見込むなどのガイドラインを設定する必要がある。

 

   (イ) 予算編成にあたっては市民福祉の向上を図るため、医療・保育・教育の充実が必要であり、投資的経費を常に30%以上とするようなガイドラインを設定することはこのことから好ましくない。

 

     このほか、繰出金及び債務負担行為についても、次のような意見が出されました。

 

   (ア) 特別会計への繰出金については事務費、公債費、建設費等に対し効率的な運用をはかるうえから基準化の制度を設け、経営努力をさせること。ただし下水道事業については投資的要素があり建設途上ということもあるので、独立採算的な運用は困難と考える。

 

   (イ) 債務負担行為をする場合、後年度の財政負担をきたさないよう期間と限度額を十分チェックする必要がある。

 

  次に

 

    ●経費節減対策としては

 

   (ア) 議会費、市長交際費、財政担当の諸経費について再検討すること。

 

   (イ) 公用乗用車の使用については、その効率的運用につき、今後十二分に検討すること。

 

     またタクシー券について使用目的、方法、運用を明確にすること。

 

     なお、財政収支に関連して機関委任事務の財政的・人的負担、さらに、国と地方の財源比率等の改善について次のような意見が出されました。

 

    ●機関委任事務及び財源比率等の改善について

 

     現在国から、市長その他の機関に対し委託されている、いわゆる機関委任事務はぼう大な数にのぼっている。しかしこの事務は議会の審査、検査、監査請求権が及ばずまた長がその職務を拒否等する場合は、一定の訴訟手続きにより代執行や長の罷免ができることとなっている。このような機関委任事務の制度は地方自治の本旨を形骸化させるものである。

 

     さらに国と地方自治体の租税構成比は国税63.7%、地方税36.3%であるが、事業執行の比率は国37.2%、地方62.8%で逆転現象をおこしている。従って地方自治体が執行する事務の大半は国からの補助金、支出金に依存する形になっており、自治体独自の事業を大きく妨げている。

 

     このような国と地方自治体の行政執行、財政運営の仕組改善に向け、議会、理事者ともに一層の努力をすべきである。

 

  次に

 

 (2) 負担金、補助金の見直しについては

 

   (ア) 長年の慣習、慣行により助成しているもの、及び同一団体または同一目的をもつ異団体へ、重複支出しているものの精査をおこない、その適正化を図るとともに、1万円以下の補助金は廃止すること。

 

   (イ) 補助事業に対しその用途を限定すべきで会議費、食糧費等への使用は問題があり、使途の明確化を図ること。

 

   (ウ) 交付金に対する監査の徹底と、使途の追跡調査を行うとともに、現行監査体制の再検討、さらに交付の必要性について、当該団体を調査するための、内部けん制機関の設置を検討すること、など実情にそぐわない負担金、補助金の見直しを進め、特に公益上の必要性を拡大解釈して交付を受けるなど、その目的に反し不当に財政を圧迫するような支出は避けるべきである。

 

  次に

 

2 事務事業の見直しと効率化に関しては、まず、

 

 (1) 事務事業の体系化・一元化、について

 

    ●事務管理の近代化の促進

 

     他都市においては、事務の機械化により能率的運営をはかり、市民サービスを高度に促進している。これらにおける本市の現状をみるとき、電算処理においては個別的、年次的方法を採用してきたため、体系的な処理がなされず、有効利用の点で欠けているのが実態である。また、ここ数年間に導入されたパソコン等の端末機を例にとった場合でも、統一した機種を使用しないため職員の負担が大きいなど、事務管理に対する基本的理論が不在といわざるをえない。

 

     そこで今後は電算機を中心とした多能的事務機械を導入し、その体系的、効果的な使用を行うなど、事務の近代化を積極的に進めるべきである。この場合、身分保全対策等、労働条件の低下をきたさないよう留意すること。

 

    ●庁議、部局長会議等の活性化

 

   (ア) 職務執行基本規則による最高意志決定機関である庁議の機能が確実に果たされるよう、一層の活性化をはかるべきである。

 

   (イ) 市長の補完機能である部局長会議は、庁議に次ぐものであり、その設置目的とする情報交換及び連絡調整機能としての役割りを果たすよう、一層充実させるとともに運用の高率化をはかるべきである。

 

   (ウ) その他、当局に設置されている各種会議についても積極的な政策論議を行うこと。

 

    ●各事業に対する組織体制等の強化

 

   (ア) 地域社会の文化性を高め、教育、福祉の充実をはかるため、学校教育、社会教育、福祉関係の組織を強化するとともに、それらの地域拠点となるコミュニケーションセンターを各中学校区に設置、さらに各自治会の公民館、公会堂等活動に対する支援体制を整備、充実すること。

 

   (イ) 下水道事業を促進するため、組織、財政両面にわたり、その再検討を行うこと。

 

   (ウ) 多様化する市民要望に速やかに対応するため、補修センターの機能充実と、その効率的運営について検討すること。

 

    ●市立病院運営に関する対応機能の確立

 

     一般会計の立場から、常時病院会計の現状を把握し、経営分析を徹底し、合理的能率的経営を促進調整する対応機能を設けるべきである。また病院の事務近代化については、システムの開発等を含め積極的に指導調整する必要がある。

 

    ●同和行政の見直し

 

     この事業は劣悪な地域の生活条件の改善等を行うのが目的であり、その精神は属地主義が原則である。本市の場合属人主義に立ち、またその中心は法外事業である。これは事業の立法精神に反している。特に住宅新築資金貸付事業は借受人の所得制限、返済能力の検討、認定基準等がないなど、市の貸付体制が不十分であり、さらに債還率の低下や借受人の4割が市外者など、本市行政になじまない面が多多ある。これらの事から差別があるなら実態を把握し、属地主義の確立をはかるなど、市が主体性を持った事業としていく必要があり、全体的に見直すべきである。

 

    ●管理、監督者への昇任制度の見直し

 

     業務の活性化をはかるうえで、管理、監督者の資質は重要な課題である。従ってその登用にあたっては、より多角的な評価の方法で決定するなど、現行昇任制度の見直しを行なうこと。

 

    ●職員定数

 

     本市の職員定数のあり方については、次の両論が出されました。

 

   (ア) 現在甲府市の職員数は2,221名で市民90.3人に職員1人という比率である。

 

     より少数で能率的な行政を推進するためには、現在の人口(20万681人)と市政の現状とを前提にした場合、市民100人に職員1人という比率が妥当である。この目標を達成するためには、少なくても年次計画により今後約200名の職員を削減する必要がある。そこで当面5か年計画をたて、約100名の職員削減に努力すべきである。

 

     その方法は、清掃業務職員の退職者を不補充とし、その退職者に相当するごみ収集業務を民間委託すること。さらに学校給食、病院給食業務に従事する調理員の退職者を不補充とし、臨時調理員に切り替えるか、または試験的に学校を指定して、部分委託するなどの方法を採用すること。また事務職員についても本市のすべての事務事業部門で、事務事業の機械化、OA化をすすめ、定数を再検討することにより新規採用を極力抑制するならば、目標とする職員定数の削減は可能である。その結果想定される財政的な効果は年間約3億5,000万円にもなる。

 

   (ア) 職員定数は本来市民要望を基に設定すべきであり、画一的定数を導入することは好ましくなく、この導入は公務員制度の本旨を否定するものである。また都市の形態及び住民の選択によって政策内容も違うため一概に入口比率で職員定数は決定を出来ない。市民の要望に迅速に対応するためには、流動体制の活用、事務事業の機械化、OA化を促進し、その結果余剰職員が出た場合は、長期計画の中における新たな事務事業に振り向けるべきである。

 

     またこのほか

 

     現行の管理システムでは職員定数の削減は困難であり、事務事業の機械化、OA化による合理的執行体制を早急に確立し、職員定数の抑制をはかり、その上にたって以後の職員定数を検討する必要がある。

 

     また定数がそのまま能力定数になっていない面があるので、労務管理上や人事管理上の配慮と、特に特別会計に配された職員の人事管理の近代化が必要であるとの意見もありました。

 

  次に

 

 (2) 民間委託に関する基本的姿勢として、まず

 

    ●清掃事業について

 

     清掃事業に関しては、民間委託方式の導入を図る意見と、現行の直営方式を堅持すべきとする、両論が出されました。 

 

   (ア) 民間委託方式を導入する意見

 

     ごみの収集に関しては、全国50%以上の都市が全部または一部を民間に委託しているのが現状である。その効果として

 

      a 経費の節減が図られる。

 

      b 市民サービスの確保が図られる、等である。

 

     このことから本市においても、ごみ収集業務の一部を民間委託すべきである。この場合民間委託を実施する具体的方策については

 

      a 退職者の不補充により段階的に委託をはかり、最終的に収集量のうち直営は40%、委託は60%を限度の業務割合とする。

 

      b 委託業者は2業者以内とすることが望ましい。

 

      c 業者の選定に際しては、その資質が重要な課題となるので、業者の選定は慎重に行うこと。

 

       また第3セクター方式も討議素材とすること。

 

      d 現在、有料で収集しているごみについては、早急に全面民間委託すること。

 

   (ア) 直営方式を堅持する意見

 

     清掃業務は自治体の固有事務であり、また「公共性」、「サービス性」、「経済性」、「適合性」、「職員の身分保障」、「受託性」などの面からも当然直営で行うべきである。

 

     民間委託すれば、委託業者は当然利潤を終始考えて業務を行うので、積載量を超えて収集する。また、過重労働などにより道路交通法、労働基準法等の法令違反、市民サービスの低下も予想される。直営方式で行う場合のメリットとしては、「中立、公平なサービス」、「プライバシーの保護」といった経済性のみで計れない利点、さらに「住民監視のもとで行われる」ことによる住民の意志の反映、事業の一貫性も確保できる。これらの理由により、清掃業務は民間委託すべきではない。

 

     なお、直営方式を堅持するため、市民の要望を踏まえた自主的な業務改革を進め、当面、

 

      a 市中心部のごみについては、早朝、深夜収集を実施

 

      b 週2回のごみ収集を3回に増す。また収集区域の拡大を図る。

 

      c 不燃物の収集回数を月2回に増す。

 

      d ごみ焼却場の三交替制実施

 

     などについて管理者、職員ともに真剣に科学的な分析、検討をすべきである。

 

    ●学校・病院給食について

 

     学校等の給食についても、調理員の臨時職員への切り替え及び民間委託を図る意見と、現行の運営体制を堅持する両論が出されました。

 

   (ア) 臨時職員等により対応する意見

 

     当面調理員を順次臨時調理員に切り替える。本市の学校給食については現在、正規職員の調理員により、年間187日(年間日数の約51%)給食の業務を行っている。この調理員を退職者の不補充により順次コストの低い臨時調理員に切り替えれば5年後には11名が臨時調理員で対応でき、年間約4,000万円の財政的効果を生み出すことができる。なお、新設小学校における給食業務の委託を試験的に実施するとともに、中学校給食についても、一校を選択して業者による完全給食を試験的に実施すべきである。病院給食についても、経費の大半が人件費である。今後は退職者(調理員)の不補充により順次低コストの臨時職員に切り替えていくべきである。

 

   (イ) 現行体制を堅持する意見

 

     児童が欧米先進国の国民に匹敵するような体力をつくりあげたのは、学校給食がその底辺を支えてきた。給食は学校教育活動の一環として、食事のマナー等を勉強する役割を果たしている。民間委託することにより、給食の質の低下、パートタイマー職員の地公法上の問題、有害添加物の使用による健康障害などを誘発するおそれもあり、衛生面についても問題があるので、民間委託をすべきでない。

    また病院給食は医師の指導のもとで、食事のバランス、カロリー等が特に重要であり、医療の一環としてその指示通りに行うには医師の管理下にあるのが好ましいので、現行の運営体制を堅持すべきである。

 

    ●福祉センター・保育所の運営について

 

     福祉センターの運営に関しては、送迎用バスの運行を除き、施設の経営管理を職員福利厚生組合に委託し、停年退職者による運営体制をとる事が合理的である。また保育所の運営についても、社会福祉法人化による経営体制への移行を研究することとし、当面は児童数に見合った適合規模に再編して運営すること。

 

 (3) 市民サービスのあり方について

 

   (ア) 現在各種の事業等通常的な行政に要望等が出された場合、市民から陳情書に加え申請書の提出も求めているが、煩雑な手続き方法は改め、事務手続きの簡素化を図ること。また今後とも事業推進にあたっては、市民要望等を的確に把握し、積極的な行政対応を展開すること。

 

   (イ) 行政に全面依存的な市民意識を改革するための方策を検討すべきである。特に自然環境の保護、環境美化、環境衛生等町づくりに関する問題処理については、市民と行政が一体となって町づくりを行うという市民の自発的な対応意識の啓発を積極的に推進すべきである。そのためには、行政の果たす役割と市民の協力すべき役割について広く市民の理解を求めるための指導性を確立すること。

 

   (ウ) 市民要望に対する回答用語について、抽象的回答用語を廃除すべきである。

 

     例えば、前向きに対処する、検討する、ご要望を尊重する、善処する、等その場をつくろうような用語は使わず、具体的な表現を用いること。

 

     また市民要望については、必ず一定期間内に回答し、予算的、法的、慣行的に応じられないものについては、その旨を明確に回答すること。

 

   (エ) 現在の本庁の駐車能力を考えると、現行3か所設置されている窓口サービスセンターをさらに拡大設置し、ファクシミリ(模写電送)方式によって業務内容も増大すること。

 

  次に

 

 (4) 条例、規則、要綱の整理について、は

 

   (ア) 現在市民参加方式として要綱により容易に各種委員会等が設置されているが、関係法からみても好ましい姿ではないので、要綱による設置については、次の内容の限度を設けるべきである。

 

      a 要網に基づく委員会、懇談会、協議会等の設置は、3か年以内で設置機能が終了するものとすること。

 

     設置機能が3年以上最期にわたって継続することが予測されるものは、必ず地方自治法に基づく附属機関として議会の議決を得て条例によって設置すべきである。

 

      b 各種委員会等の経費の支出の明確化を図るために、経費の支出科目は、条例によるものは、当然報酬費で支出すること。要網によるものは、報償費によって支出すること。

 

      c 現行の各種委員会等の中には、事業内容に重複するものが見られるので、検討の上整理統合し合理的な運営を行うこと。

 

   (イ) 現行の条例は、本文は縦書き、帳票類は横書きとなっており、統一性がないので、将平に向かって順次横書き方法に統一すること。

 

 (5) 市立病院経営問題について

 

     なお調査項目1(財政運営の効率化と経費節減対策)と、2(事務事業の見直しと効率化)に関係する市立病院の経営問題については、特に調査日程を追加し、病院医師団等と意見交換を行う中で、その問題点、改善策が論議されました。検討結果の主なものは次のとおりです。 

 

    ●薬品関係

 

     薬品について薬価基準の引き下げにより毎年収益率が低下傾向にあるので経費節減と収益率の向上に努めるため

 

   (ア) 購入に当っては診療科別とせず、同種同効の薬品は病院全体の必要量を一括購入し単価の引き下げを図ること。

 

   (イ) 過大な在庫が生じないようその管理を適正に行うと共に、その使用方法を再検討し改善を進めること。

 

   (ウ) 代金の決済については分割払い、あるいは支払期間の延長などその有効な方法を研究するとともに、薬品価格の情報収集を積極的に行い、また年度途中における契約単価の見直しを検討すること。

 

    ●病床関係

 

     入院患者用病床は、現在多量の空床をかかえ、病院経営における赤字の大きな要因となっているので、これの効率的な運用を図るため、

 

   (ア) 各科で看護体制を含めた調整を行い、病床の流動化を図り、その回転率向上に努めること。

 

   (イ) 老人等市民のニーズにあった診療科を設置し、空ベットの解消策を積極的に検討すること。

 

   (ウ) 結核病棟、伝染病棟については、羅病件数の減少にともない空床が多く赤字の一要因となっているが、公的施設として維持していかなければならない使命もある。長期的には県内の1−2の病院で対応できるよう、広域的行政事務としての方向に進むべく関係機関と協議すべき時期にきているが、当面現在の病床数が適当であるかを担当である福祉部と協議検討し、現状に合せた病床数と、それに適合した体制を確立すること。 

 

    ●他の医療機関との関係

 

     今後の医療は各医療機関相互の連携によって進展していくので、これらの対応策として次の点についても積極的に検討し具体化するため、

 

   (ア) 地域医療機関との連携を深め、相互における機能分担を図るなかで患者の相互紹介を行うなど、単に患者の来院を待つという姿勢を改めていくこと。

 

   (イ) 地域医療団体の活動に参画し、医療情勢の把握と情報の収集に努め、それらを病院経営に資すること。

 

   (ウ) 検査センターを地域医療団体と合同で設置するなど、それら団体との連携を深めるとともに、救急医療センターの設置についても、これら医療団体と十分協議、研究する中でその高度利用を図ること。

 

   (エ) 市内の公立・私立病院との競合を避ける広域的な医療体系の確立と、その中における地域の基幹病院として、また総合病院としての特色ある医療業務のあり方について検討すること。

 

    ●医務局関係

 

     医務局は病院の中核であり、経営全般の指導的立場にあるので、前進的な方向で対応するため、

 

   (ア) 管理者と医師及び医師間等、全職種を通じて人間関係を深めるような体制づくりと、医師の定着に努め、市民の信頼を得ること。

 

   (イ) 効果的診療部門は、その拡大充実を図ること。

 

   (ウ) 病棟により看護婦業務に繁忙の差があるので、相互協力体制を検討するとともに、患者へのサービスに関する指導を徹底し、より良いサービスに努めること。 

 

    ●事務局関係

 

     病院経営の健全化を図るため、事務局体制の見直しを行うべきであるが、組織のあり方や業務の効率化等に関しては、次の点に留意して検討されたい。

 

   (ア) 診療費請求事務適正化のため電算機を導入し、そのシステム化を図る方針であるが、人的に処理する面もあるので、請求事務に精通した職員配置とそれら専門職員の採用を検討すること。またこのシステム確立により余剰職員が出た場合は本庁への配置転換を図ること。

 

   (イ) 給食業務の再検討にあたっては、調理職員の処遇等が問題となるので、職員組合等とも十分に協議する中で進めるとともに、当面それら職員の人事交流を積極的に行うこと。

 

   (ウ) 患者へのサービス向上は病院に対する市民の信頼を、患者数の増加にもつながるので、薬の待ち時間短縮、窓口の小さなサービス等積極的に検討し、親しめる病院づくりに努力すること。

 

    ●一般会計からの繰出金関係

 

     病院経営収支のため、一般会計から繰出金が年々増額されていることは経営上好ましくないので、繰出金を減じていくよう努力されたい。

 

   (ア) 将来市立病院については、地方公営企業として独立することも研究検討すること。その展望に立って、地方公営企業法に準拠した繰出金の支出を行うこと。

 

   (イ) 経費の節減、不採算部門の再検討等、赤字解消対策に積極的な取組みを行い、順次繰出金を減額していくこと。

 

   (ウ) 公立病院であるため不採算部門も行っていく使命もあるので、能率的な経営努力によってもなお不採算となった場合、その範囲内の繰入れはすべきであるが、赤字原因の分析検討を行い、繰出金の予算計上にあたっては、その積算内容、理由等を明示すること。

 

    ●その他病院の健全経営にあたっては、

 

   (ア) 病院長を中心として、医務局、事務局職員が常に連携を密にして、一体となって運営に企業性を十分発揮するなど、時代に即応した態勢の経営になお一層努力すること。

 

   (イ) 市民の利用増高を図るよう、広報等を通じたPR対策に努めること。

 

   (ウ) 市立病院の地理的条件が患者数の少ない要因の一つとも思われるので、駐車場の拡大など検討すること。

 

  以上が調査項目2に関する分析と検討の結果ですが、調査項目中、りん議制度のあり方については特に論議はなく、また進行中の大型プロジェクトの分析と今後の対応に関する調査は、調査項目6の長期総合計面の進行状況の分析と今後の展望について分析検討する際、それに含め調査することといたしました。

 

  次に

 

3 市民参加の方法の追究について

 

  市政に対する市民参加の目的は、住民自治の強化とそれに立脚した地方自治の実現にあるが、その参加方法はあくまでも市民の自主的な意志と行動によって行われることが望ましい。

 

  これまで本市において制度的なもののほか、市民参加の方法として積極的に進めてきたのは「対話」方式であったが、この方式は行政側から市民の意見、要望を吸いあげ、行政に反映させるといった信頼関係をつくるうえでは一定の成果があった。

 

  これからはさらに一歩進んで、行政への市民参加(政策への決定関与)の段階から、実行への参加(まちをつくりおさめる)を追究すべきである。

 

  これを実現するためには、

 

 (1) 事業計画の立案段階から市職員と市民団体との自由討論の場を設置し、政策形成に市民の創意と要望を反映させること。また実施の過程においても市民の活力を積極的に導入し、そのため必要に応じ自主研修制度を設ける。

 

 (2) 市民の必要とする情報、資料を積極的に提供し、事案処理のプロセスを公開すること。

 

 (3) 市民参加を助長する前提として、職員参加の方式について内部検討を十分に行うこと。

 

     など市の全組織をあげて取り組むべきである。

 

  次に

 

4 情報公開制度の具体的方策の検討について

 

  情報公開制度の導入は市民の市政への直接参加を保障するものであり、また行政施策の決定および執行経過を知ることにより市民の意識は行政の受益者から主権者へと変革していく。さらに情報の提供により市民の人権を保証し、行政の民主性、公共性、信頼性を高めることにもなる。これらのことから、次のような内部整備をした情報公開制度の導入を進めるべきである。

 

 (1) 文書保管庫の整理、保存体制の近代化など、行政・情報管理システムの確立

 

 (2) 市民の知る権利(情報公開請求権)の保証

 

 (3) 個人の人権(プライバシー保護)に関わる情報の原則的非公開の保証と、当該個人から請求があった時の公開の保証

 

 (4) 不服審査手続、救済制度と合せ、オンブズマン制度的なものの導入により、苦情、不服に対する迅速的確な処理制度の確立

 

  次に

 

5 民主的な契約手続の確立について

 

  民主的な契約手続の確立に関しては、特に入札制度について一般競争入札を原則とすべき意見と、現行の指名競争入札を今後も採用していくべきであるとの両論が出されました。

 

 (1) 一般競争入札の原則を確立する意見

 

     公共事業の発注に関しては、地方自治法において一般競争入札を原則としている。しかし本市における事業発注は、自治法上特例とされている指名競争入札が9割を占めているが実情である。指名競争入札は「談合」による弊害がおこりやすく、結果として下請、孫請業者を生じ、大幅な単価の切り下げが行われ、中小零細企業の締め出しにもつながるものである。また条件付の一般競争入札に踏み切った都市においては、従来の費用より2―3%安あがりの発注結果がでている。

 

     このことから本市においても工事金額によって分けるランク別と、市内を東西に分けた地域別の条件をつけ、仕事をしたい業者が自由に参加できる「条件付一般競争入札制度」を原則とした事業発注を行うべきである。

 

     また、現在義務づけられていない「内訳書」については、受注業者の権利を保護する点から、その提出を受注業者に義務づけるべきである。

 

 (2) 指名競争入札制度を今後も採用する意見

 

     事業の発注は一般競争入札が原則であるが、国や地方公共団体においては指名競争入札による発注が9割を占めている。これは風土的なものの中で中小企業を守り育成していくという考えからのもので現在定着している。

 

     一般競争入札を全面的に実施した場合、資本力の強い業者がランク別に小会社をつくり仕事を独占する恐れがあり、必ずしも機会均等になるとは限らない。

 

     本市においても地域性、ランク性を考慮した指名競争入礼制度を採用しているが、この方法は業者に年間発注量に対する受注の機会を均等に与えるという利点がある。

 

     指名競争入札制度に問題があるとするなら、それは業者の資質にあると思われるので今後それらを含め指名参加願い手続の簡素化、談合防止策としての指名業者の増加など指名競争入札制度の近代的運用について検討し、この制度をさらに活用すべきである。

 

  次に、

 

6 長期総合計画の進行状況の分析と今後の展望について

 

  この項においては、調査項目2の進行中の大型プロジェクトの分析と今後の対応についても検討することとなっていましたが、特に長期総合計画の進行状況の分析と今後の展望に関し論議がなされました。この中で甲府市新総合計画の達成状況については、理解する所となりましたが、推進中の問題点及び今後の展望に関しては、人口増と商工業活性化対策等の充実を図る意見と、総合計画の遅延原因は国の政策転換等にあり、今後も教育、福祉、生活環境の重点整備を図るべきであるとする意見が出されました。 

 

 (1) 新総合計画の達成状況について

 

     「新総合計画」は市民が快適な生活を営むための行政執行の長期骨格を決めたものであるが、その内容は広はんな市民要望をもとに作成されており、市政に大きな役割を果たしている。

 

     昭和62年度をもって終了する新総合計画中、80項目の指標の数値(目標)は希望的数値ではなく、現実に実現できる法制上、財政上の可能性に基づいて設定されたこと、また各年次予算がこの数値の実現を目標に継続的に編成されたこともあって、総体的にみればおおむね成果をあげつつあるとみてよいであろう。

    しかし部分的には達成率が悪く、希望的数値で終わろうとする指標がないわけでなく、全面的な分析と評価は新新総合計画(昭和63年度を初年度)の作成作業のなかで詳細に行われるべきである。

 

     従って、おおまかに市民が甲府市で生活するうえで最も基本的でかつ最低限必要であり、また本市の行政がその責任を負わなければならない領域についてのみ要約すると、

 

   (ア) 水資源は、敷島町などの広域行政区域を含め完全に確保され、長期間にわたって不安が解消された。

 

   (イ) すべての小・中学校は近代的な耐震構造の施設に改築され、今後は人口分布の動態に応じて新増築をすれば良い状況となった。

 

   (ウ) 斎場は施設の近代化が図られ、長期的に必配がない。 

 

   (エ) ゴミ処理場及びし尿処理場は、ここ3―4年の間に全面的な改築を必要とする状況であり、両施設で概算70―80億円の資金を要する。

 

       しかしこの両施設の改築を終了すれば、市民生活に欠くことのできない施設及び施策で行政が責任を負わなければならない最小限の事務事業は当分の間不安なく執行でき、市民に対して行政青任を果たすための最小限の社会資本は一応充足されたこととなる。

 

       加えて、刑務所移転事業、甲府駅近代化、小瀬スポーツ公園(国体)の完成、寿宝地区土地区画整理事業の着工など都市機能と基盤整備の進展、さらに下水道をはじめ各指標の目標達成など、21世紀をめざし着実に発展する甲府市の都市づくりに、新総合計画は一定の成果をあげつつある。

 

 (2) 新総合計画の推進中にあきらかとなった問題点

 

     計画推進中に明確となった問題点としては、次のように2つの意見が出されました。

 

    ●人口増対策、商工業活性化対策が不十分であるとする意見

 

      新総合計画は教育と福祉、生活環境の整備を重点にした人間尊重の施策体系を基本にすえていた。しかしその後の社会、経済情勢の変化、とりわけ産業界における先端技術産業を中心とした技術の革新と高度化、さらに中央道全面開通をはじめとする道路、交通など社会情勢の変化は、それぞれの都市に新たな問題を生み出した。即ち、

 

   (ア) 人口の流出が深刻となっていること。

 

   (イ) 成長企業、有力営業所などが相次いで市外へ流出し、しかもこの人口の流出と経済活動の変動に対する対策、施策に乏しいこと、である。人口指標からこの状況をみると、約2万人の人口の流出は甲府市の活力を失わせる要因となり、また経済指標からみると有力企業の市外流出により、中小零細企業がさらに細分化し雇用が停滞していることを現在の事業所数と従業員数が示している。

 

      工業、小売商業についてみると、工業はますます細分化傾向にあり雇用ものびなやんでいるが、商業は活動がさかんで雇用も比較的多く、本市が商業都市(第3次産業の就業構造に占める割合65%)であることを示している。

 

      農業については、農家数、耕地面積ともに減少してほとんど成りたたなくなっており市街化調整区域という法的制約のもとで、やむなく農業経営を継続しているというのが実情である。

 

      進行中の新総合計画においては、このような産業構造、経済活動の変化に適切に対応し、本市商工業の活性化を図るという点での施策が不十分であり、要約すれば人口増対策、経済と産業とりわけ商工業の活性化の施策が最大の弱点となっている。

 

    ●国の政策転換等による計画の遅延を指摘する意見

 

     80項目にわたる「甲府市シビルミニマム」は、新総合計画の到達点を数値で示したものである。すでに目標を100%達成しているものが、依然として進捗しない事業もあり、これらの遅れている原因は主に国の政策転換や経済見通しの誤り、及び弱者にとって耐えがたい、補助金の一律1割カットなど「臨調地方行革」の影響を強く受けたものである。

 

 (3) 当面する政策的課題と今後の展望

 

     最後に当面の政策的課題と今後の展望については、次のように2つの意見が出されました。

 

    ●人口増と商工業活性化及び、都市機能の充実を図る意見 

 

     当面する政策的課題としては、人口の流出と商工業の活性化への対応である。即ちこれまで推進されてきた人間尊重の諸施策の成果を土台に、23万人程度の人口が定着し、本県の中核都市として商工業の活性化を図る方向への政策転換が今後の課題であり、そのために必要な施策としては、

 

   (ア) すくなくとも23万人の人口の定着をめざし、大規模で良好な環境を保持した安い価格の宅地の造成と供給、県・市の公営住宅と民間賃貸し住宅建設の促進など、積極的で具体的な人口対策をすすめる必要がある。 

 

   (イ) 休日祭日には家族そろって甲府でショッピングを楽しめるような、集積した商業施設と商店街の再開発をすすめ、甲府市特有の性格(商業都市)に活力を与えるよう思いきった対策が必要である。

 

   (ウ) 市内の企業及び地場産業が県内に進出した企業とともに成長できるよう、高度技術の導入及び設備の近代化、協業化を積極的に援助、推進すべきである。

 

   (エ) 農業も現実の農民の希望と実情にそくしたものとして、総合的に再考する必要がある。

 

       などが考えられるが、民間活力の導入など当局、議会が全力を傾注し早急に具体的施策をまとめ、取り組まなければならないものである。

 

       これらの課題に成功し、かつ本市の将来の展望をきりひらくためにはさらに、

 

   (ア) 都市機能として情報の高度化と産学官協同による研究開発機関の集積が必要であり、

 

   (イ) 本市域内の用途地域指定の見直しを含め、土地利用計画の抜本的見直しが必要である。

 

       そのためにはどのような施策が必要か、その施策をいかなる方法と計画によって推進すべきか、またそのために必要な体制と資金をどうするかなどについて精力的な取り組みが望まれる。この新たな課題に成功することによって、テクノポリス構想における母都市としての機能、役割を果たすことができるのであり、ここに新新総合計画の基本があると考えられる。またシティホール構想はその課題との関連の中で考えるべきである。

 

       これらの課題のほか、この施策の裏づけとして市民の健康をいかに守り維持していくか(保健対策)、急速に増大する高齢者をいかに大切に守っていくか(高齢者対策)、が重視されてしかるべきである。

 

    ●教育、福祉、生活環境の重点整備を図る意見

 

     新総合計画における「教育と福祉、生活環境の整備を重点」とした「人間尊重、生活優先」の精神は憲法の原則である平和、人権、地方自治の基盤に立脚したものでありこの考え方は過去において正しく、また現在、未来を通じて普遍的なものである。

 

     従って「シビルミニマム」指標で遅れている下水道整備、公園、老人、障害者対策、障害児教育、公民館、市立体育施設などの施策は、新新総合計画の中でも優先的に追究されるべきである。

 

     このほか

 

   (ア) 本市は伝統ある文化都市であり、「工業都市」としてよりは、商業と近郊農業の調和した発展をさせること。 

 

   (イ) 農業振興策として「バイオテクノロジー」を導入し、産地間競争に成果をあげること。

 

   (ウ) 既存商店の繁栄と″奥行きのあるまちづくり″を進める上で、地場産業への援助、文化的・歴史的遺産の保護、″モール化″構想など行政としてバックアップすること。

 

   (エ) 定住対策として、安くて住みよい多様な公営用地及び低れんな分譲地の提供、民主的な区画整理事業、市街化区域の見直しと合わせて民間における低れんな土地の提供を促進させること。

 

   (オ) 「テクノポリス構想」の母都市としての考えには、まだ研究不足の面が多い。この構想が行政へのメリットがなく、市民ニーズに応えられない場合は、参画すべきではないと考える。

 

       なおこれら長期計画の策定に当っては、「10か年」のみならず「前期5か年」「後期5か年」あるいは「3か年」計画などを考えに入れることも大切であるとの意見が出されました。

 

7 議員定数問題について

 

  このほか、調査の対象とすることが確認されました議決機関のあり方に関しては、特に議員定数問題について、分析、検討が行われましたが、その論議された内容は次のとおりです。

 

  議員定数問題については、減少条例を制定してこれを削減すべきであるという意見と、現行の法定定数を維持していくべきである、との両論が出されました。

 

  まず

 

 (1) 議員定数は削減すべきであるとする意見

 

     その理由として、議員定数の減少は全国的なすう勢であり、昭和59年1月1日現在で全国651市のうち81.1%の市が既に減少条例を制定しており、また県内でも本市を除く他の6市で平均20%の議員削減を行っている。また減少によって懸念されている市民の意見の反映、議会の権能の低下はないと考えられる。

 

     さらに減少によって相当の経費の節減が見込まれ、かつ議会自ら行財政改革の範を示すことによって今後の行政執行に与える影響は大きい。

 

 (2) 現行法定定数を維持すべきであるとする意見

 

     議会制民主主義を守り、市民の意見を行政に反映するために法定数は最低限守るべきである。

 

     現在議会の役割は非常に大きく、民意の反映に十分な議員定数は確保されなければならない。定数削減によってその分だけ住民要求の市政への反映、行政を住民代表として監視する権能が薄れる。

 

     また、定数削減によって生まれる経費の節減は、市全体の予算から言えば微々たる影響しかもたない。

 

     行政改革の本来の意味は行政機構の改革であって、議決された内容が効率的に執行され、行政がいかに安上がりになるか審議するのが議会であるので、その行政改革を議会に及ぼそうとする議員定数の削減は筋違いである。また市民1人当りの負担額をみると本市は69円で県下最低であり、1人の議員は市民5,000人の意見を代表していることになり、県下では本市が最も安上がりの議会である。 

 

     次に論点となった主な内容を要約すると

 

 (1) 民意の反映について

 

     定数削減を行っている全国81.1%の市の状況や前回36人の議員で議会運営していた本市議会の状況を勘案すると、定数を削減しても民意は十分反映されると考える。 

 

     また現在は議会外においても各市民団体や市民の意向が行政に十分反映できる社会状況下にある。なお議会の権能の低下が生じないよう、効果的な研修の実施や議員の意識改革は十二分に行う必要がある。

 

     これに対して、議員定数が削減されれば、それだけ市民とのパイプが細くなり、必然的に民意の反映は減少し、少数意見の切り捨て、少数党派のしめ出し、少数地域の代表のしめ出しにもつながる。

 

     なお、議会は民意の反映の最高の機関であり、現在の制度では正式には議員や議会を通じて行われており、議員定数の削減は民意の反映に多くの影響を与えるとの意見がありました。

 

 (2) 経費の節減について

 

     議員定数削減に伴う金額は、年間2,508万8,000円(4名減少の場合)となり、一般会計、特別会計予算の総計からみればわずかな節減かもしれないが、毎年毎年の積み重ねになれば大きい額になる。

 

     また現今の厳しい状況の中で議員定数を削減することによって市全体の予算に対しても大きな影響を与えていくと考える。

 

     これに対して、経費の節減については臨調行革路線による国庫補助1割削減に反対することや、公共事業の公正な発注を行うこと。同和行政の見直し、市立病院の結核病棟・伝染病棟の統廃合、市有財産の効率的運用など本市がかかえる緊急の課題に取り組むべきで、議員定数削減による年間2,508万8,000円(4名減少の場合)の節減は微々たるものであり、経費の節減は本市財政に影響を与えるものでないとの意見がありました。

 

     次に議員定数を削減するべきであるとの意見の場合、その具体的削減人員は本年実施される国勢調査の結果にかかわらず、市民を代表する機能と財政、市民の負担との接点を十分勘案し、現行法定定数40名を4名削減し、36名とすることが妥当であるとしています。

 

     なお議員定数問題に関連して、次のような意見、要望も出されました。

 

 (1) 議員定数削減は、議会制民主主義の根幹にかかわる問題であるので、市民の間に十分論議をまきおこし、かつ市民の正しい認識と理解を得たうえで検討していくこと。

 

     また市民の間には削減に対して賛否両論があるので、市民のコンセンサスを得るために市民の意見を聞く会を開催すること。

 

 (2) 議員定数が削減されても議会制民主主義や地方自治を守っていく姿勢を堅持し、そのために議員研修の充実を図り、議員の資質の向上に一層努めること。

 

     以上13項目にわたる調査事項について、分析、検討の結果を報告いたしましたが、ここで目下各方面において論議されております国の行政改革に対する本特別委員会の考え方は次のとおりです。

 

    ●国の行政改革に対する本特別委員会の考え方

 

     昭和56年3月に発足した臨時行政調査会は、昭和58年3月「活力ある福祉社会の建設」「国際社会に対する積極的貢献」という目標理念を基本とした最終答申を行ったところでありますが、特に第3次答申においては基本答申の一つとして地方分権を打ち出し、国と地方の機能分担について「住民に身近な行政はできる限り地域住民に身近な地方公共団体において処理されるようにすべきである」との理念を示しました。

 

     また「国と地方は行政改革の事の両輪」であるとして、地方自治体の行政改革を促す報告もなされましたが、本来地方における「行政改革」は各自治体個々の意思に基づき自主的に行われるべきものであり、国の意向により一方的に進められることは好ましいものとはいえません。

 

     全国市長会においてもこのような現在の中央集権的傾向を是正し、地方分権による地方自治の充実強化の方向に沿う、実効ある改革を望んだ所であります。

 

     第3次答申の柱である事務の再配分を伴う整理・合理化、国の関与規制の見直し、地方出先機関の再編整理、地方財政制度・補助金など保護助成の見直しの4項目をみた場合、機関委任事務については当面1割程度であり、許認可権の委譲についても対象項目の多い割には地方委譲されず、いずれも具体性に乏しいものとなっています。さらに財政制度及び運営については合理化、効率化を目指す「選択と負担」の考え方が出され、「標準行政」以外の行政は自ら「選択」し、財源は自らの「負担」で行うこととなっていますが、「標準行政」という考え方はその地域の特性、自立性を損なうものであり、団体自治、住民自治の確立を指向した地方分権の理念とは整合しがたいものです。

 

     今回の臨調答申は資格、検定制度、事業規制の改善などいくつか評価できるものがありますが、答申の基本理念である活力ある福祉社会建設に中心的な役割を果たすべき、地方自治の育成、強化に関しては地方6団体の百数十項目にわたる改善要望にもかかわらず、答申に打ち出されたものはわずか20件程度にとどまり、目標理念とはほど遠いものとなっています。

 

     さらに、その後設置された臨時行政改革推進審議会においては、地方自治体における定員、給与、議会の合理化・適正化、民間委託等、事務運営の合理化・効率化、また機関委任事務に関する職務執行命令訴訟制度の見直しによる地方統制、国庫補助金の一律1割削減など、地方にとって厳しい提言がなされ、本市も行財政全般にわたる再検討をよぎなくされました。このような国の「行政改革」は本市行財政にとって期待できるものとは言いがたく、むしろ一層厳しい行政対応を要求しているものと考えます。

 

     本市は今日まで市民の声を市政に生かす中で、各制度に合った行政を積極的に展開するよう努力してきました。その実積の上にたってさらに「活力ある健康都市」実現に向け、一層効率的な行政運営の推進を目的とした自主的行政改革の検討機関として、現在行財政対策委員会及び行財政効率化推進委員会が設置されていますが、財政運営、組織、定数、事務事業、市民参加、長期計画等、全ての分野において市民の意向に応え得る行政体の確立を目標にその成果を期待する所であります。

 

     議会においても今日まで臨調答申等に対し、昭和56年12月議会における地方行財政の一層の拡充を求める意見、また昭和57年6月議会において地方自治を拡充する行財政改革を求める意見、さらに昭和59年6月議会においては地方自治体の自主的な行政改革を尊重し、財政上の制裁措置に反対する決議を行い、同年9月及び昭和60年6月議会においては国庫補助金の削減に反対する意見書の提出など十数回にわたり国に対し意見を述べてきましたが、引き続き地方自治の充実、強化の方向に沿って国、地方を通じての真に実効ある改革が行われるよう、国に働きかけていく所存であります。

 

 以上が今日までの調査の経過と結果の大要であります。

 

本特別委員会は、設置されて以来報道関係者や市民及び各界・各層の市民団体等の生の意見や提言をいただきさらに学識経験者の講演等によって行財政改革全般にかかわる認識を深めることができました。

また実質調査の段階においては、当局から詳細な関係資料の提示をいただくなど各方面からの多大なご協力のもとに、委員それぞれが本市行財政全般にわたって厳しく点検、見直しを行うなかで、問題点を抽出、分析し、さらに自らの具体的な提言をもとに慎重に調査検討を重ね、ここに最終報告をまとめる段階に至りました。

 

 委員会においては、地方自治体独自の自主的な行財政改革の立場を堅持しつつこれを基本にすえ、効果的で真に実効ある行政体の確立をめざし、十数年後に迎えようとしている21世紀への新たな展望のもとに活発な論議を展開してきたところでありますが、複雑多岐にわたる行財政に対して把握できえず、抽象的論議に終始した面や調査不十分な点もあり、かつ委員間において意見を異にした点も多々みられますことは以上報告したとおりであります。

 

 しかし、これらは本委員会があくまで委員のみによって自主的な調査検討を進めていくという立場を貫いたことと、冒頭申しあげましたように各委員が意見を異にする場合は、特別委員会としての結論を求めずに両論を併記するかたちをとり、各委員の意見を十二分に尊重していくという原則的な方針を堅持した結果にほかならず、この点市民総意のもとに調査を進めてきた本委員会の姿勢のひとつのあらわれとしてご理解賜わりたくお願い申し上げる次第であります。

 

 どうか当局におかれましても、本特別委員会の2年間に及ぶ調査結果を十分斟酌され、真に市民本位に立脚した新しい行財政の執行体制確立に向けて、強い信念と決意のもとになお一層まい進されますよう切に希望するものであります。

 

 最後に、この2年間の特別委員会の調査の過程におきまして、議員各位や市長をはじめとする当局の各位、並びに市民各般から多くのご指導、ご協力を賜わりましたことに対しまして深く敬意と感謝を申し上げながら報告を終わります。

 

 なお、2年間の審議に当たりまして、各党各会派の特別委員からそれぞれ独自の調査資料、提言等が多数提起をされておるわけでありますけれども、いちいち報告をすることができませんので、本最終報告書が議決をされましたら、それらの資料を一つの冊子にいたしまして、関係各方面に配布をすることになっておりますので、申し添えます。

 

〇議長(小林康作君)

 以上で報告は終わりました。

 

 ただいまの特別委員長の報告に対する質疑に入ります。

 

 質疑はありませんか――質疑なしと認めます。

 

 ただいまの特別委員長報告によって、本特別委員会に付託した調査事項の調査を終了いたしました。

 

 特別委員各位には、長期間にわたる御精励賜りまことにありがとうございました。

 

 次に日程第4 議案第88号から日程第17 議案第101号まで14案を一括議題といたします。

 

 市長から提案理由の説明を求めます。

 

 市長 原 忠三君。

 

     (市長 原  忠三君 登壇)

 

〇市長(原 忠三君)

 本日の市議会定例会に提案いたしました案件につきましてその大要を御説明申し上げます。

 

 まず、議案第88号「甲府市立学校校舎等使用料条例の一部を改正する条例制定について」は、学校体育施設の開放に伴いその使用について、テニスコート照明施設の適正な管理を期するため使用料の額を定めるものであります。

 

 次に、議案第89号「甲府市市営住宅条例の一部を改正する条例制定について」は、新たに市営住宅を設置し、当該市営住宅の家賃の額を定めるとともに規定の整備をするものであります。

 

 次に、議案第90号「甲府市消防団員救じゆつ金条例の一部を改正する条例制定について」は、消防表彰規程の一部改正に準じ、殉職者特別救じゆつ金、殉職者救じゆつ金及び障害者救じゆつ金の支給額の増額改定を行うものであります。

 

次に、議案第91号「甲府市消防団員等公務災害補償条例の一部を改正する条例制定について」は、非常勤消防団員等に係る損害補償の基準を定める政令の一部改正に伴い、非常勤消防団員等の損害補償の充実を図るため、補償基礎額等の改正を行うものであります。 

 

 次に、議案第92号「昭和60年度甲府市一般会計補正予算(第2号)」につきましては、歳出第2款総務費は、庁舎等補修費及びテクノポリス建設計画策定に係る所要額を追加するための補正であります。

 

 第3款民生費は、心身障害児通園事業費、老人福祉施設整備事業費補助及び市民総合保健計画推進事業費を追加するための補正であります。

 

第4款衛生費は、清掃施設設備補修工事費及び西下条処理場維持補修等に係る経費、更には伝染病棟改修工事費等を追加するための補正であります。

 

 第6款農林水産業費は、米消費拡大推進事業費、集落計画転作対策事業費、農道等改良事業費、松くい虫防除事業費及び既設林道維持管理事業費等を追加するための補正であります。

 

第7款商工費は商業団体共同施設設置事業費補助等の追加補正であります。

 

第8款土木費は、道路整備事業費、道路新設改良費、土地区画整理費、街路事業費、公園建設費、緑化推進費及び河川水路費等を追加するための補正であります。

 

 第9款消防費は、消防団員等公務災害補償等共済基金法施行令の改正に伴う公務災害基金負担金の追加補正であります。

 

第11款災害復旧費は、農業用地施設災害復旧費及び林業施設災害復旧費を追加するための補正であります。

 

歳入につきましては、第1款市税、第13款繰越金の一般財源を追加し、第8款国庫支出金、第9款県支出金、第11款寄附金、第14款諸収入、第15款市債の特定財源をそれぞれ追加、更正するものであります。

 

 継続費の補正は、朝気立体交差建設事業費の年割額を変更するものであります。

 

 地方債の補正は、起債充当事業費の追加、更正による借入限度額の変更をするものであります。

 

 次に、議案第93号「昭和60年度甲府市国民健康保険事業特別会計補正予算(第1号)」につきましては、歳出第1款総務費は、保険料収納率向上対策に係る所要額を追加するための補正であります。

 

 第3款老人保健拠出金は、老人保健拠出金の決定に伴う所要額を追加するための補正であり、第7款諸支出金は、療養給付費負担金等の精算決定に伴う返還金を追加するための補正であります。

 

 歳入につきましては、第1款国民健康保険料、第5款療養給付費交付金、第9款繰入金、第10款繰越金をそれぞれ追加、更正するための補正であります。

 

 次に、議案第94号「請負契約の締結について」は、南西第1・貢川北第1幹線下水道管布設工事施行のため指名競争入札を行ったので、その落札者と請負契約を締結するについては、議会の議決に付すべき契約及び財産の取得又は処分に関する条例第2条の規定により議会の議決を求めるものであります。

 

 次に、議案第95号「請負契約の締結について」は、貢川北第1幹線下水道管布設工事施行のため指名競争入札を行ったので、その落札者と請負契約を締結するについては、議会の議決に付すべき契約及び財産の取得又は処分に関する条例第2条の規定により議会の議決を求めるものであります。

 

 次に、議案第96号「請負契約の締結について」は、朝気立体交差高架橋上部工架設工事施行のため指名競争入札を行ったので、その落札者と請負契約を締結するについては、議会の議決に付すべき契約及び財産の取得又は処分に関する条例第2条の規定により議会の議決を求めるものであります。

 

 次に、議案第97号から議案第100号までの「市道路線の認定について」の4案件につきましては、それぞれの路線を市道に認定し、維持管理を行うため、道路法第8条第2項の規定により議会の議決を求めるものであります。

 

 次に、議案第101号「山梨県市町村自治センター設置に関する協議について」は、一部事務組合の設置に関する協議を行うについて、地方自治法第290条の規定により議会の議決を求めるものであります。

 

 以上が、今議会に提案いたしました案件の大要であります。御審議のうえ御協賛賜りますようお願い申し上げまして説明を終わります。

 

〇議長(小林康作君)

 以上で説明は終わりました。

 

 お諮りいたします。

 

9月21日は議案調査のため本会議を休会したいと思います。これに御異議ありませんか。

 

     (「異議なし」と呼ぶ者あり)

 

〇議長(小林康作君)

 御異議なしと認めます。

 

 よって、9月21日は本会議を休会することに決しました。

 

 9月22日は日曜日のため、9月23日は休日のため、休会明け本会議は9月24日午後1時から開会、提出議案に対する質疑及び市政一般質問を行います。

 

 本日はこれをもって散会いたします。

 

       午後1時24分 散会