昭和63年3月甲府市議会定例会議事日程(1)

       昭和63年3月4日(金) 午後1時

報 告

 

第 1  会議録署名議員の指名について

第 2  会期決定について

第 3  庁舎建設構想に関する調査特別委員会中間報告

第 4  議案第 4号  昭和63年度甲府市一般会計予算

第 5  議案第 5号  昭和63年度甲府市国民健康保険事業特別会計予算

第 6  議案第 6号  昭和63年度甲府市下水道事業特別会計予算

第 7  議案第 7号  昭和63年度甲府市交通災害共済事業特別会計予算

第 8  議案第 8号  昭和63年度甲府布住宅新築資金等貸付事業特別会計

             予算

第 9  議案第 9号  昭和63年度甲府市老人保健事業特別会計予算

第10  議案第10号  昭和63年度甲府市土地区画整理事業用地先行取得事

             業特別会計予算

第11  議案第11号  昭和63年度甲府市中央卸売市場事業会計予算

第12  議案第12号  昭和63年度甲府市農業共済事業会計予算

第13  議案第13号  昭和63年度甲府市病院事業会計予算

第14  議案第14号  昭和63年度甲府市水道事業会計予算

第15  議案第15号  昭和62年度甲府市一般会計補正予算(第7号)

第16  議案第16号  昭和62年度甲府市国民健康保険事業特別会計補正予

             算(第4号)

第17  議案第17号  昭和62年度甲府市下水道事業特別会計補正予算(第

             4号)

第18  議案第18号  昭和62年度甲府市老人保健事業特別会計補正予算

             (第2号)

第19  議案第19号  昭和62年度甲府市土地区画整理事業用地先行取得事

             業特別会計補正予算(第2号)

第20  議案第20号  甲府市事務分掌条例の一部を改正する条例制定につい

             て

第21  議案第21号  職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を

             改正する条例制定について

第22  議案第22号  特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関

             する条例の一部を改正する条例制定について

第23  議案第23号  甲府市市民会館条例の一部を改正する条例制定につい

             て

第24  議案第24号  甲府市在宅老人短期保護手数料条例の一部を改正する

             条例制定について

第25  議案第25号  甲府市市立の高等学校及び幼稚園の学枚医、学校歯科

             医及び学校薬剤師の公務災害補償関する条例の一部を

             改正する条例制定について

第26  議案第26号  甲府市市立高等学校授業料及び入学審査料条例の一部

             を改正する条例制定について

第27  議案第27号  甲府市市立幼稚園保育料条例の一部を改正する条例制

             定について

第28  議案第28号  甲府市公民舘設置及び管理条例の一部を改正する条例

             制定について

第29  議案第29号  甲府市公民館使用料条例の一部を改正する条例制定に

             ついて

第30  議案第30号  甲府市中小企業振興融資条例の一部を改正する条例制

             定について

第31  議案第31号  甲府市市民センター条例の一部を改正する条例制定に

             ついて

第32  議案第32号  甲府市国民健康保険条例の一部を改正する条例制定に

             ついて

第33  議案第33号  甲府市廃棄物の処理及び清掃に関する条例の一部を改

             正する条例制定について

第34  議案第34号  甲府市簡易水道等条例の一部を改正する条例制定につ

             いて

第35  議案第35号  甲府市伝染病棟条例の一部を改正する条例制定につい

             て

第36  議案第36号  甲府市道路占用料徴収条例の一部を改正する条例制定

             について

第37  議案第37号  甲府市都市公園条例の一部を改正する条例制定につい

             て

第38  議案第38号  甲府市下水道条例の一部を改正する条例制定について

第39  議案第39号  甲府市消防団員の定員・任免・給与・服務等に関する

             条例の一部を改正する条例制定について

第40  議案第40号  甲府市農業共済条例の一部を改正する条例制定につい

             て

第41  議案第41号  甲府市社会福祉事業基金条例制定について

第42  議案第42号  市道路線の認定について(上阿原4号線)

第43  議案第43号  市道路線の認定について(古上条7号線ほか10路

             線)

第44  議案第44号  市道路線の変更認定について(山宮8号線)

 

(出席議員)

細 田   清君

石 原 貞 夫君

大 村 幾久夫君

森 沢 幸 夫君

斉 藤 憲 二君

岡     伸君

秋 山 雅 司君

剣 持 庸 雄君

中 込 孝 文君

鈴 木 豊 後君

堀 内 征 治君

加 藤   裕君

飯 島   勇君

堀 内 光 雄君

小 林 康 作君

武 川 和 好君

皆 川   厳君

小 野 雄 造君

宮 川 章 司君

川 名 正 剛君

牛 奥 公 貴君

清 水 節 子君

依 田 敏 夫君

村 山 二 永君

宮 島 雅 展君

千 野   哮君

堀 口 菊 雄君

福 島   勇君

内 藤 幸 男君

原 田 正八郎君

上 田 英 文君

中 西   久君

早 川 武 男君

三 井 五 郎君

内 藤 秀 治君

小 沢 綱 雄君

36名

 

(欠席議員)

な し

 

職務のため議場に出席した事務局職員の職氏名

事 務 局 長 入 倉 芳 幸君

総務 担当 主幹 河 西 正 克君

庶務 担当 主査 今 福 栄 一君

調査 担当 主査 志 村 文 武君

議事 担当 主幹 都 筑   登君

議事 担当 主査 高 橋 勝 巳君

議事 担当 主査 功 刀 敏 男君

議事 担当 主査 加 藤   喬君

記録 担当 主査 飯 寄 明 仁君

庶務 担当 主任 保 坂 照 次君

 

説明のため議場に出席した者の職氏名

市     長 原   忠 三君

工業団地建設室長 末 木 隆 義君

助     役 小 林 一 彦君

中央卸売市場長 井 上   真君

収  入  役 生 山 正 仁君

市立甲府病院長 伊古美 文 雄君

市 長 室 長 高 室 乙 彦君

〃 事務 局長 沢 田 良太郎君

企 画 部 長 神宮寺 英 雄君

教 育 委 員 長 橘 田 勘 歳君

総 務 部 長 窪 田   。君

教  育  長 楠   恵 明君

市 民 部 長 石 井 司 郎君

教 育 次 長 櫻 林 幸 春君

社 会 部 長 土 橋   博君

水道事業管理者 石 原 一 雄君

福 祉 部 長 高 野   肇君

水道局業務部長 山 下   久君

環 境 部 長 鷹 野 四 郎君

選挙管理委員長 保 坂 昌 新君

経 済 部 長 小 野 貞 良君

代表 監査 委員 中 島 省 三君

建 設 部 長 小 松   要君

農業委員会々長 樋 口 一 六君

都市 開発 部長 小 野 明 英君

固定資産評価員 斉 藤 孝 房君

下 水 道 部 長 高 橋 信 靖君

 

技術 管理 室長 鈴 木 東一郎君

 

 

 

          午後1時02分 開会

 

○議長(千野 哮君)

 ただいまから昭和63年3月甲府市議会定例会を開会いたします。

 

          午後1時03分 開議

 

○議長(千野 哮君)

 これより本日の会議を開きます。

 

 報告事項を申し上げます。

 

 本定例会に提出する議案につき、市長から通知がありました。

 

 提出議案は、議事日程記載のとおりでありますから朗読を省略いたします。

 

 次に、庁舎建設構想に関する調査特別委員会から、会議規則第45条第2項の規定により、中間報告を行いたいとの申し出がありました。

 

 右は、議事日程記載の日程第3でありますので朗読を省略いたします。

 

 次に、議長のもとに請願1件、陳情2件が提出されました。

 

 右は、お手元に配付いたしてあります請願・陳情文書表により御了承をお願いをいたします。

 

 次に、市長から昭和62年9月定例会において採択された請願・陳情の処理経過及び結果の報告がありました。

 

 右は、お手元に配付いたしてあります報告書により御了承をお願いをいたします。

 

 次に、監査委員から昭和62年11月末、12月末及び昭和63年1月未の例月出納検査報告書が提出されました。

 

 右は、お手元に配付いたしてあります報告書により御了承をお願いをいたします。

 

 次に、昭和63年1月19日に山梨県市議会議長会臨時総会が開催され、副議長が随員とともに出席いたしました。

 

 会議の概要につきましては、お手元に配付してあります報告書により御了承をお願いをいたします。

 

 次に、昭和63年2月4日に関東市議会議長会支部長会議が開催され、随員とともに出席をいたしました。

 

 会議の概要につきましては、お手元に配付をいたしてあります報告書により御了承をお願いをいたします。

 

 次に、飯田公平委員長は公務出張のため、岡田水道局工務部長は病気のため本日欠席する旨の届け出がありました。

 

 以上で報告を終わります。

 

 これより日程に入ります。

 

 日程第1会議録署名議員の指名を行います。

 

 会議録署名議員には会議規則第167条の規定により、

   小 野 造 雄 君

   岡     伸 君

   内 藤 幸 男 君

を指名いたします。

 

 次に、日程第2 会期決定についてを議題といたします。

 

 お諮りいたします。

 

 今期定例会の会期は、招集の日から3月25日まで22日間といたしたいと思います。これに御異議ありませんか。

 

      (「異議なし」と呼ぶ者あり)

 

○議長(千野 哮君)

 御異議なしと認めます。

 

 よって今期定例会の会期は、22日間とすることに決しました。

 

 次に、日程第3 庁舎建設構想に関する調査特別委員会中間報告を議題といたします。

 

 庁舎建設構想に関する調査特別委員会から、会議規則第45条第2項の規定により中間報告を行いたいとの申し出がありましたので、この際これを許します。

 

 庁舎建設構想に関する調査特別委員長 中西 久君。

 

 (庁舎建設構想に関する調査特別委員長  中西 久君 登壇)

 

○庁舎建設構想に関する調査特別委員長(中西 久君)

 

 庁舎建設構想に関する中間報告を行います。本市は明年、昭和64年に市制施行100周年という、1つの節目を迎えることとなり、これを記念した市制施行100周年記念事業の基本構想が、昭和61年3月当局から発表され、さらに同年12月には、その主要事業が、示されるところとなりました。その中では100周年記念事業のメーン事業を、シティーホール建設とし、その概念は単に事務所的な庁舎機能だけでなく、市民コミュニティー・文化の総合施設として建設するものであるとしています。

また、事業を具現化していく場合、新庁舎の中に取り込めない部分は第2期計画として、総合市民会館を検討することで、2つのプロジェクトとしてとらえ、年次的に推進することが明らかになりました。

 

 本市は今日まで、県都として多方面にわたりその中枢的役割を果たしてきましたが、21世紀を展望した第3次総合計画においては、交通体系の整備、高度情報化の急速な進展により、近隣地域を含む広域都市圏の形成が一段と強まると予想し、今後も本市がその中心的役割を果たしていくため、高次都市機能の充実を図っていくとしています。また、市街地の拡大とその高度利用など、魅力ある都市の形成策を進めることにより、13年後の総人口は22万8,000人と推定しています。

 

 議会においてはこれらの諸情勢をとらえる中で、本市の中枢機能となるシティーホールについても、変貌する社会環境に十分応えられ、また市のシンボルとして、市民が誇り得るものとする必要があると考え、建設に万全を期するため、その諸問題について調査を行うことを目的とした本特別委員会を、昭和62年6月定例会において設置したところであります。

以来委員を初め議員各位、当局の御協力をいただきながら、目下精力的に調査活動を進めているところでありますが委員会は今日まで10回開催され、また調査及び運営の円滑化を図るため理事会制度を設け、この理事会も7回開催されました。さらにこの間、昨年10月には、新庁舎建設に関する先進都市として、宇都宮市、山形市、春日井市、和歌山市の状況を視察いたしました。

 

 以下その調査の経過と内容について、御報告申し上げます。

 

 まず最初の委員会は昭和62年7月9日に開かれ、委員長に不肖私を、副委員長に堀内光雄君を選任いたしました。7月27日の委員会においては、冒頭原市長から、現市庁舎は建設以来28年を経過し、昨今の増加する行政需要によって狭隘なものとなっており、市民に大変不便をかけているのが実情である。

当局においては市制施行100周年記念事業を考えるとき、市民要望の一番多い庁舎問題を、この事業の中に積極的に位置づけ、取り組まなくてはならないと考えている旨のあいさつがありました。

 

 続いて当局から、シティーホール建設にかかわる取り組みについて経過説明がありました。その中では

1、100周年記念事業のアイデアを募集したところ、1,508

  件の応募があり、記念施設では新庁舎建設が最も多かったこ

  と。

1、市自治会連合会から、新庁舎建設の要望書が提出されたこと。

等に基づき、庁内にシティーホール研究委員会を設置し、基本事項の研究を行ってきたとの報告がなされ、さらに現庁舎の現況についても、敷地面積7,491.03平方メートル、廷床面積1万4,322.78平方メートル、駐車場は公用、市民用等合わせて103区画、庁内職員865人、関係団体は16との説明がありました。

なおNTT敷地については1578.66平方メートルであることも明らかにされました。

 

 続いて委員から、シティーホール構想について、当委員会はその機能面、財政面、位置等について順次調査を進めることとし、建設については白紙でスタートすべきであるとの意見が出され、これに対して、庁舎を建設するとの前提にたって委員会を進めていくべきである、との意見も出され協議の結果、議会の権能を発揮しながら、独自の調査を白紙で進めていくことが確認されました。

 

 また今後の調査方法等については、理事会を設け検討することとなり、8月7日の第1回理事会において、次のとおり決定いたしました。

 

1、特別委員会の性格

(1)現庁舎に関しその機能性、利便性、市民サービス等の現状と課題及び、新庁舎建設に閑しその諸問題について調査を行う。

 

(2)委員会の意見集約に当たっては全会一致を原則とし、一致しない点については、多数意見と少数意見を併記する。

 

2、調査項目

(1)庁舎機能について(現状と課題及び新庁舎の機能構想)

 

(2)新庁舎建設に関する市民要望について(意見聴取)

 

(3)財政問題について(建設財源と長期的財政の見通し)

 

(4)新庁舎の建設位置について

 

3、調査日程

 委員会は毎月2回から3回開催を目標とし、昭和63年3月30日をめどとする。(昭和63年3月定例会に中間報告を行う)

 

 なお、庁舎建設に関する議案(請願・陳情を含む)については、原則として所管の常任委員会で審議する。

 

 続いて8月19日の第3回委員会においては、理事会の決定に従い、まず調査項目(1)の庁舎機能について当局から説明があり、活発な意見交換が行われました。この中では現庁舎の問題点として当局から

1、分散庁舎のため関連窓口の一体性に欠け、目的の課がわかりにくく、市民サービスの低下を招くこと。

 

1、庁舎内外にゆとりがなく、各種催し物の開催場所が狭いこと。

 

1、駐車区画の絶対数の不足、さらに待機車による交通障害の恐れがあること。

 

1、都市の美観性、魅力性、シンボル性に欠けること。

 

1、職員機構の増大による執務室、会議室等の狭隘化。

 

1、老朽化による維持管理費の高騰。

 

1、防災上及びOA化の対応上の支障。

等が挙げられました。また新庁舎、いわゆるシティーホール構想については

1、基本的考え方として、シティーホールの概念は単に事務所的な庁舎機能だけでなく、市民コミュニティー・文化の総合施設とし、市制施行100年記念事業のメイン事業に位置づけること。

 

1、建設構想として、1つの建物の中にすべてを包含するには幾つかの問題点があり、十分な機能を持たせることが不可能と考えるので、新庁舎に取り込めない部分は、第2期計画として総合市民会館(仮称)を検討することで、2つのプロジェクトとしてとらえ、年次的に推進する。したがって、総合市民会館が建設される間、暫定的に現本庁舎を市民の便益施設として多目的な利用を検討する。

 

1、建設位置として、用地は現在地を含め市有地を前提に総合的な調査をする。また、総合市民会館は、新庁舎の位置とも関連づけ多角的に検討する。

 

 さらに、30年後の人口を24万7,000人、職員総数を1,027人と想定し、それに見合う庁舎規模は、建物延床面積2万1,000平方メートル、その総事業費は75億円を見込む中で、その財源としては基金33億円、起債32億円、一般会計から10億円を支出するなど、その具体的内容が明らかにされました。

 

 これに対して委員から、「総合市民会館が建設される間、暫定的に現庁舎を市民の便益施設とする」とあるが、現在地を度外視した方向で資料が作られている感がある。他の場所へ建設することも想定した場合は、その比較検討資料を出すべきではないか。

また、現在の事務室が狭隘であるという根拠を示されたいとただしたのに対し、当局から、プロジェクト段階の構想では現在の本庁舎は残し、現在地南側に高層棟を建てることを前提とした内容になっている。また、最近の新庁舎は職員1人当たりの平均面積を、議会棟等を含め20平方メートルとしており、この基準に対し、現庁舎は全体で5,000平方メートル不足しているとの答弁がありました。

 

 さらにNTTとの交渉状況についてただしたのに対し、当局から、現在土地の鑑定を専門家に依頼しているが、話し合いも引き続き行っていくとの答弁がありました。

 

 さらに他の委員から、新庁舎とコミュニティー・文化施設が別々の建設構想になっているが、シティーホール構想は、本来これらが一緒にある総合施設ではなかったのかとただしたのに対し、当局から、1つの建物となることが理想であるが、現行制度のもとでの維持管理を考えると、実際的には新庁舎の中に全体的なものを織り込むことは難しいとの答弁がありました。

 

 このほか当局から、駐車場は一般来庁者用として、200台分位が必要であるとの見解も示されました。続いて調査項目(2)の財政問題に関しては、当局から、今後10年間の一般会計における財政見通し等が、次のとおり示されました。

 

1、歳入については、10年間で市税3,689億円、市債573億円、その他1,286億円、合計5,548億円、伸長率157.1%。歳出については、経常的経費3,145億円、投資的経費1,590億円、その他813億円、合計5,548億円、伸長率は歳入と同様になり、この中で公債費は506億円、普通建設費は1,575億円、積立金は21億円を見込んでいること。

 

1、新庁舎建設費のうち、借入金32億円に対する償還元利金は、25年で50億3,260万円となる。

などの説明がありました。

 

 9月16日の委員会においてはまず、さきの委員会で資料要求のあった、新庁舎建設に伴うOA化構想について委員から、具体的な入力データーをただしたのに対し、住民記録関係のオンライン化を第1とし、次に税、留保の問題に取り組み、全体として段階的に実施していきたいとの考えが示されました。

 

 次に財政問題については委員から、今後10年間における歳入歳出の伸び率の算定根拠をただしたのに対し、当局から、昭和55年度から6年間の本市における伸び率を精査した審果、平均4.1%となった。また国の四全総計画では3.75%、山梨県総合福祉計画では4.5%の経済成長率をみており、それらも基本的資料とする中で各種数値を検討し、伸び率を算定したとの答弁がありました。

 

 このほか他の委員から、各都市における30年後の人口増加率予想は1.55倍となっており、本市もこの計算により30万人口を想定し、それに見合う新庁舎を建設すべきであるとの意見も出されました。

 

 第5回委員会は11月9日に開かれ、冒頭さきに実施した新庁舎建設都市の視察結果について、正副委員長から次のような報告がありました。

 

 まず宇都宮、山形両市については、将来人口の大幅な増加を見込んだ庁舎となっており、また、OAシステムの導入について非常に配慮をしている。さらに駐車場は300台程度を確保しており、本市もそれらを十分想定した上で、場所や財政面を総合的に検討する必要があるとの報告がなされ、また春日井、和歌山両市については駐車場の確保策として、市営有料駐車場の建設に注目したことと、仮庁舎の費用問題、さらに基本調査から建設までの期間が13年くらいと、長期計画になっていたとの報告がありました。これに対し委員会では、特に駐車場の設置について論議が交わされました。

 

 委員会はこの後、委員から、新庁舎建設の時期等について当局の意向を確認する必要があるとの意見が出され、関係者の出席を求めました。席上当局から、建設位置については、既に市有地を対象としたいとの意向が議会に出されており、時期等については、昭和63年度予算に調査費を計上したいとの考えが明らかにされました。これに対し委員から、着工までの基本設計及び実施設計期間をただしたところ、調査、設計完了までに約15ヵ月から18ヵ月必要であるとの答弁がありました。

 

 これに関連して他の委員から、市制施行100周年にあわせて建設していくことは時期尚早であり、市民の声を聞く中で、もっと時間をかけるべきであるとの意見も出されました。

 

 12月10日の委員会においては、さきの理事会で決定した調査項目(4)の、新庁舎建設位置について調査を進めることとし、まず現在地について当局の検討経過をただしたところ、次のような説明がありました。

 

1、周辺道路網における現状と将来性について。

 現在地は平和通りなど基幹道路に四方を面しており、道路網における利便性は良好といえる。しかし、将来的には道路、歩道の幅員拡張が必要となる。

 

1、公共交通手段の現状について。

 JR利用者にとっては、甲府駅より約500メートルと近く、バス利用者にとっても、バス運行計画上必ず甲府駅経由であり、バス停も真正面にあることから、良好な候補地といえる。ただし、駐車場等が狭いため住民サービスの低下、交通渋滞を招きやすい。

 

1、周辺環境の影響について。

 現在地は中高層ビル化された中にあるので日照、電波障害、風害等の影響は少ないが駐車場、緑地面積が少ない等の問題は残る。

 

1、庁舎敷地規模について。

 現在の敷地にNTT敷地を買収すると、9069.69平方メートルとなり、延床面積2万1,000平方メートル規模の新庁舎建設は、現本庁舎を残しても高層化することにより可能であるが、NTTが買収出来ない場合はそれを取り壊さなければならない。なお、類似都市の敷地は約1万3,000平方メートルである。

 

1、駐車場について。

 屋外で1台当たり20平方メートル必要といわれている。類似都市の市民用駐車場は約140台であり、現本庁舎を残す場合、緑地スペース等の関係で地上への確保は不可能であり、地下駐車場となるので建設費が増大する。

 

1、都市景観及びシンボル性について。

 高層ビルはシンボル性があり周辺環境にマッチするが、本庁舎を残した場合、緑地スペースはほとんど確保されず、うるおいとゆとりのある景観は得られない。

 

1、建設費等について。

 敷地が狭隘なため高層ビル化は必須であり、建設費、維持管理費は高価となる。また、駐車場も自主運行方式をとることができず、人件費等の管理費が必要となる。

 

1、他の公共機関等の関係について。

 交通機関や通信手段が発達した現在、他の公共機関との距離はさほど問題視されない向きもあるが、実際には日常業務において、他の公共機関との連携が取りやすい現在地は最適地である。

 

1、庁舎敷地の拡張について。

 現在地はNTT用地の確保が大前提であり、確保できない場合は、現在地での整形地としての拡張は不可能である。

 

1、償還財源の確保について。

 新庁舎の起債の償還財源として、市有地の有効かつ多角的な利用方法である、土地信託制度などの導入を検討し、その事業の果実を償還財源とする方策などの検討も必要と考えられる。現在地はその面から最高の位置といえる。

 

1、仮庁舎について。

 現在地は当然仮庁舎が必要となり、これを周辺の貸ビル等で対応することになると、費用は2ヵ年で20億円程度が予想される。また、公共施設等を利用しても、各部局の分散により市民に多大な不便をかけることになる。

 

以上の説明に対し、各委員から

1、NTT用地の交渉経過はどうか。

 

1、仮庁舎の分散計画はどのようなものか。

 

1、新庁舎周辺道路等への拡幅に必要な用地はどのくらいか。

 

1、来庁者の交通手段はどのくらいの割合になるか。

 

1、新庁舎延床面積を2万1,000平方メートルとした場合、何階建てを考えているか。

 

1、地下駐車場は建設費が35%増額になるとの見方があるがどうか。また、消防署の移転後、跡地を立体駐車場とした場合、何台くらい利用できるか。

などの質疑があり、当局から

 

1、NTTとの昭和62年3月の確認事項では、12月中に決着しようとの申し合わせになっていた。本市に譲渡するというNTT側の意思は変わっていないと思う。

 

1、仮庁舎については市の各種施設を利用する場合、市民にわかりにくい面もあり、一括旧甲府商業高松跡地へプレハブを建てるなども検討している。

 

1、庁舎周辺の道路等の拡幅用地としては、700平方メートルくらい必要になる。

 

1、来庁者は1日平均3,000人として、その交通手段としては徒歩・バス等50%、自転車30%、自家用車20%と推計している。

 

1、新庁舎を10階以上とした場合は使いにくいことも考えられる。したがって、市民が利用する1、2階を広くとり、6階建てくらいにする方法もある。

 

1、地下駐車場については、2階建てで21億円くらいという試算が出ている。また、立体駐車場の場合は、2億7,000万円くらいで最小限108台の収容が可能になる、

との答弁がありました。

 

 これに関連して委員から、仮庁舎として公共施設を十分活用した場合、その費用は見込みより少なくなると考えるがどうかとただしたところ、必要面積は5,383平方メートルになり、市の施設を利用し、不足分をプレハブで対応した場合、その部分が4億3,000万円程度となる。したがってトータルで5億円から6億円くらいで済む場合もある、との答弁がありました。

 

 本年1月21日の委員会は、引き続き建設の位置問題について調査を行うこととし、旧甲府商業高校跡地及び、青葉スポーツ公園用地について当局の検討経過をただしました。

 

 まず、旧甲府商業高校跡地については、当局から次のような説明がありました。

 

1、周辺道路網の現状と将来について。

 当該用地は基幹道路から離れており、さらに敷地の三方が道路に面してはいるが、路面交通上道路網の形成が不十分であり、道幅が狭いという難点がある。したがって周辺の都市計画道路を早期に整備、改善する必要がある。

 

1、公共交通手段の現状について。

 JR甲府駅から1,700メートル、南甲府駅から1,000メートルと遠い位置にあり、また、バスは88本運行されているが、バス停からの距離は300から450メートルといずれも不便である。しかし、道路整備によりバスの増発や、停留所の当該地付近への設置が可能となる。

 

1、周辺環境への影響について。

 庁舎の親摸を7階から8階とした場合、周辺が住居地域であるため電波障害、眺望権、プライバシーの保護等の影響を配慮する必要があり、日照関係は東側について若干の影響が出る。

 

1、庁舎規模について。

 敷地面積が約2万4,200平方メートルあり、中層程度の建物であれば配置計画上良好である。

 

1、駐車場について。

 屋外駐車場として約200台以上は十分確保できる。

 

1、都市景観及びシンボル性について。

 敷地北側は近隣商業地域として整備されているが、その他の周辺市街地を整備する必要があり、これに調和した施設の建設が望まれる。したがって中層建物とし、緑とうるおいを強調するとともに、新庁舎を核とした新たなまちづくりのための総合的な検討が必要である。

 

1、建設費等について。

 当該地は仮庁舎費、敷地拡張費が不用であり、また、中層程度のため建設費が軽減される。さらに動力費等維持管理費も軽減される。しかし、敷地が広いことにより施設管理方法に工夫が必要である。

 

1、他の公共機関等との関係について。

 地方自治法上庁舎の位置については、他の公共機関との連携が取りやすいことが必要であり、その観点からみると本市の道路網からして不便である。

 

1、庁舎敷地の拡張について。

 直接的な用地取得費は必要ないが、将来的には周辺道路新設のため一部買収する必要がある。

 

1、償還財源の確保について。

 現在地から移転した場合、地域住民のコンセンサスを得る中で、土地信託制度の導入等による現在地の開発を図り、その果実を償還金に充てることも期待できる。

 

これに対し委員から

1、当該地へ庁舎を建設する場合、周辺道路の整備は最低限どのくらい必要か。

 

1、当該地は現時点のままであれば、地方自治法第4条に抵触すると考えてよいか。

などの質疑があり、当局から

1、周辺道路の整備については相当の経費と期間が必要であり、直ちに明確にすることは困難である。

 

1、当該地は法第4条に照らすと幾つか問題点はあるが、抵触しているとの理解には立たず、柔軟な解釈をしている、

との答弁がありました。

 

 このほか、庁舎建設に関するプロジェクトチームは、今日までどのような活動をしてきたかとただしたのに対し、当局から、同チームは4部門に分かれ、現在まで8回検討会を行ってきた。しかし、重大な計画であるので、新年度は専門的な組織をつくって対処していきたい、との考えが明らかにされました。

 

 次に青葉スポーツ公園用地については当局から、旧甲府商業高校跡地とほぼ同様の内容説明があり、特に隣地が市街化調整区域のため、都市景観からの調和とシンボル性を求めるのは無理であり、また他の公共機関との連携において問題がある、との見解が出されました。

 

 これに対し委員から、当該地は旧甲府商業高校跡地より理想的ではないとの意見が出されましたが、他の委員から、当該地区は現在区画整理の計画もあり、何らかの公共施設を建設するなど、地元住民の要望にこたえる必要もあるとの意見が出されました。

 

 このほか、庁舎問題はタイムリミットを64年の市制施行100周年に置かず、時間をかけて十分検討する必要があるとの意見や、理事会の確認事項である公聴会を開くよう要望する意見が出されました。

 

 2月9日の第8回委員会においては、まず委員から、当局においては新庁舎建設費が100億円程度になるとの見方があるが、費用が当初と変わってきた理由を説明するよう求めたのに対し、当初計画の延床面積2万1千平方メートルに対する建設費75億円という計算は、昭和60年度にプロジェクトチームが積算したものであるが、その後職員1人当たりの起債の許可基準が20%増え、面積にして920平方メートル増えることになった。

さらに他都市の建設結果を見ると、延床面積はおおむね2万5千平方メートルとなっており、本市もその程度のゆとりをもった新庁舎が必要であると考えた。したがって、その場合建設費は90億円以上になってくるとの説明がありました。

 

 次に他の委員から、従来から当局が考えている新庁舎建設の時期に変化はないかとただしたのに対し、当局から、昭和63年設計、昭和64年に着工の段取りができればありがたいという考えは変わっていない。また、庁舎建設位置の方向づけはぜひ議会で行っていただき、それを尊重したいとの答弁がありました。

 

 これに関連して委員から、シティーホール構想においては庁舎建設が第1となっているが、この考えにも変化はないかとただしたところ、第3次総合計画の基本計画においては、シティーホール構想について庁舎を先に着工し、総合市民会館部分を引き続いて実施していく計画になっているが、シティーホールを一つの事業としてとらえ、中を分類したものである。庁舎を第一にという期待感は変わっていないとの答弁がありました。

 

 続いて他の委員から、今日までの調査経過の中では庁舎と総合市民会館を同時期に、また同一敷地に建設することは大変厳しい状況にある。総合市民会館を先に建設するという考え方は持っていないかとただしたのに対し、当局から、シティーホール構想は100周年の記念事業として位置づけてきた。したがって庁舎部分の結論がなかなか得られない事態となり、議会の大方の意向としてその点を検討すべきであるということになれば、その意向を尊重し、調査の進行状況を十分踏まえる中で今後の方向を検討したいとの考えが明らかにされました。

 

 これに関連して委員から、新庁舎と総合市民会館の建設時期及び順位について、委員会が早急に論議するよう要望する意見が出されました。

 

 これに対し委員長見解として、委員会は今日まで新庁舎の建設を主体として調査を進めてきた経過があり、総合市民会館については熟知していない状況にあるので、各委員の検討事項として後日の委員会に譲りたいとの考え方を示し、各委員の了承を得たところであります。

 

 2月13日の委員会ではシティーホール構想を議題とし、各委員の意見を求めました。これに対し委員から、新庁舎建設にかかわる諸問題については、結論に達する段階に至っていないと考えられる。したがって委員会調査の進行状況を勘案する中で、100周年記念事業としてのシティーホール構想を意義のあるものとするならば、総合市民会館部分の建設を早急に推進するよう強く要望するとの意見が出されました。

また、これに関連して他の委員から、総合市民会館を建設する場合は市民の声を反映し、そのコンセンサスを得るよう要望する意見も出されました。委員会ではこれらの要望・意見をもとに論議を進め、各委員の意見を求めたところ、総合市民会館建設事業を推進することが望ましいとの考え方で意見の一致をみました。

 

 続いてこの委員会の意向に対し当局の考え方をただしたところ、100周年記念事業として、総合市民会館の建設については、議会の協力を得る中で積極的な対応を図っていきたいとの答弁がありました。

 

 以上が今日までの調査経過の大要であります。

 

 なお、新庁舎建設に関する陳情が現在まで5件議長のもとに提出されております。

 

 シティーホール構想は市制施行100周年の記念として、また21世紀に躍進する本市のシンボルとして、さらに市民の誇り得る共有の場として、その実現は大きな意義を持つものと考えます。したがって今後も市民の期待にこたえる調査活動を精力的に行い、本委員会に与えられた使命を全うする所存でありますので、議員各位並びに当局のなお一層の御協力をお願い申し上げ、中間報告といたします。

 

〇議長(千野 哮君)

 以上で報告は終わりました。

 

 ただ今の特別委員長の中間報告に対する質疑に入ります。

 

 質疑はありませんか。――質疑なしと認めます。

 

 以上で庁舎建設構想に関する調査特別委員会の中間報告を終わります。

 

 次に、日程第4 議案第4号から日程第44 議案第44まで41案を一括議題といたします。

 

 市長から提案理由の説明を求めます。

 

 市長 原 忠三君

 

      (市長 原 忠三君 登壇)

 

○市長(原 忠三君)

 本日ここに、3月市議会定例会の開催に当たり昭和63年度予算案を初め、提出いたしました議案について御説明を申し上げますとともに、市政運営に当たっての所信の一端を述べさせていただきたいと存じます。

 

 私は、昨年4月、市民の皆様の厚い負託をいただき、再び市政運営の重責を担うことになりましてから、早くも1年が経過しようとしております。この間、私の政治理念であります「甲府市は市民のためにあり、甲府市政は市民とともに歩むべきものである」ことを基本に一党一派に偏することのない、市民党的立場を堅持した市民本位の市政、市民との信頼と協調、市民の参画を求める市政を進めるとともに公正・清潔・誠実をモットーに市政執行に当たってまいりました。

 

 今後もこの政治姿勢を堅持し、20万市民の福祉の向上と甲府市発展のために全力を傾注してまいる所存であります。議会を初め、市民各位の御理解と御協力をお願い申し上げる次第であります。

 

 この1年間を振り返ってみますと、昭和62年度は福祉の向上、教育文化の振興、生活環境の整備、産業の振興と都市基盤の整備の4本を柱とする現在の新総合計画の最終年度に当たりますので、その仕上げに向けて積極的な取り組みを行い、一定の成果を上げて終了するものと自負しているところであります。

 

 また、快適な都市環境のもとで産業の活性化を図り、文化の創造に喜びを感ずる理想都市を目指すとともに、市民の心身の健康を基本として位置づけた「活力ある健康都市・甲府」の実現につきましても、市民総参加と新時代に対応する行政執行体制の確立を図る中での施策展開により、その方向を具現化しつつあります。

 

 さらに21世紀を展望し、新しい甲府市の発展を目指した第3次甲府市総合計画の策定、次の時代へ飛躍するための節目となる市制施行100周年記念事業の推進、北部山岳地域の振興、新都市拠点整備事業、南部工業団地建設事業、高速交通体系の確立等の重要課題につきましても、着々と進行しており、甲府市政は着実に進展しているものと確信しているところであります。これもひとえに議会の積極的な御支援と市民の御理解、御協力のたまものと深く感謝申し上げますとともに、これを今後の市政の発展へ結びつけてまいりたいと考えております。

 

 さて、近年の我が国経済は、依然として貿易収支の膨大な黒字傾向が続き、諸外国との経済摩擦問題を抱えております。政府はこれへの対応として内需の拡大と輸入の増大など経済の構造調整に力を注いできたところであり、社会経済情勢に大きな転換期を迎えております。

 

 こうした中で国の昭和63年度予算は、厳しい財政環境を克服するため、経常経費の節減と合理化など行財政改革の強力な推進を図ることを基調に、投資面では国の保有する株式売買益収入をも活用した内需拡大型で編成されております。

 

 しかし、昭和63年度末の国の公債発行残高は159兆円にも達することが見込まれており、その利払いが歳出予算の約20%を占めるなど、財政事情は引き続き苦しい状況下にあります。

 

 一方地方財政は、国の補助負担率の引き下げの継続と国民健康保険制度の見直しによる地方負担増があり、地方たばこ消費税率の1年延長、建設地方債の増発などによって補てん措置が講ぜられてはいるものの、これらは地方への負担転嫁として重くのしかかってきており、加えて公債費等義務的経費の増高など一層厳しい状況にあります。

 

 また、御承知のように、我が国の社会環境は、高齢化国際化・技術革新と高度情報化、都市化の進展によって大きく変わろうとしており、きらに所得水準の向上、余暇時間の増大、生活行動圏の拡大などによる価値観の変化は、国・地方を通じて行政需要を複雑化し、多様化させてきております。

 

 昭和63年度は、このような時代の潮流の中で、昭和75年までの21世紀を展望した第3次甲府市総合計画のスタートの年であり、都市づくりの視点としては、社会の変容の方向を十分見極め、それに適切に対応していくことが何よりも大切であります。

 

 特に高齢化社会の到来は、身近な市民生活に著しい影響をもたらす問題であり、将来的視野と認識のもとに、総合的な福祉行政を進めながら、地域ぐるみで対応していかなけれけばならないものと考えております。

 

 また、全国的な高速交通体系や地域開発プロジェクトの推進に伴って、激化している都市間競争を乗り越え、活力と魅力ある都市づくりを進めていくためには、本市においても恵まれた自然や歴史、風土などの地域特性を生かして、個性に富んだ、うるおいとゆとりのあるまちづくりを進めるとともに、これからの社会を支える若者の定着を図る高等教育機関の充実や宅地開発、地域産業の活性化や市街地再開発など、山梨県をリードする中枢都市にふさわしい都市機能を充実し、豊かな市民生活を確保していくことが必要であります。

 

 これらを踏まえて、総合的かつ計画的な行政運営を進めるため策定した第3次甲府市総合計画の基本構想は、さきの12月議会において御議決をいただいたところであります。その目指す都市像は、「市民もまちも健康」を基本に緑豊かな自然や培われた歴史・文化と21世紀に向かって新たに創造される都市の活力を調和させながら、平和で明るい近代的都市づくりを目標とした『明日をひらく健康都市・甲府』といたしました。

 

 また、市民1人1人が、思いやりと互いに助け合う豊かな心をはぐくむ人間都市の形成を目指す。『心かよう人間都市』

 

 学ぶ喜び、創る喜びが生涯にわたって満たされる薫り高い文化都市の形成を目指す。『さわやかな文化都市』

 

 やすらぎと利便性を基調として、みんなが住みたくなる安全都市の形成を目指す。『住みよい安全都市』

 

 市民とともに、うるおいとゆとりのある都市環境を創出し、魅力ある快適都市の形成を目指す。『魅力ある快適都市』

 

 活力と気概に満ちた経済活動を助長し、先端技術産業と地場産業との調和のとれた豊かで創造性の高い産業都市の形成を目指す。『活力ある産業都市』の5つの基本目標を掲げた次第でありますが、その着実な実現を目指して積極的に施策を推進したいと存じております。

 

 さらに本市が当面し、また近未来に実現すべき課題として次のものがあります。

 

 その第1は、市制施行100周年を記念する事業でありますが、「きのうも きょうも あしたも甲府大好き」をメインテーマとして、議会の御協力をいただくなかで、市民の英知を結集して、伝統ある市勢の躍進を期すため、基本構想に基づくイベントや記念施設事業など、後世に引き継がれる意義ある事業を推進していかなければなりません。

 

 第2は、恵まれた北部山岳地域の自然を括用した地域活性化でありますが、広域的な林道整備や魅力ある施設づくりなどを進め、豊かな自然と調和した地域振興を図るとともに、県のリゾート構想の一環として整備し、広く市民の健康増進、余暇利用、生涯教育等の拠点としていく必要があります。

 

 第3は、県都甲府市の表玄関であり、業務・商業機能などの集積の高い甲府駅を中心とする周辺地域の整備を目的とした新都市拠点整備事業であります。

 

 特に、甲府地域テクノポリス計画が2月12日に国から承認され、いよいよ先端技術産業を中心として産・学・住のバランスのとれた新しい都市づくりがスタートすることになりましたが、駅周辺市街地再開発事業や幹線街路事業とあわせて、これまでに蓄積された業務機能を初めとする都市機能の整備とともに情報・コンべンショソ・カルチャー施設などの導入を図り、テクノポリスの中核都市として、高次の都市機能を積極的に充実していかなければなりません。

 

 第4は、南部工業団地建設事業の推進であります。

 

 南部地域は、中央自動車道に加えて新しい高速交通計画や基幹道路計画があり、土地利用上非常に発展の可能性の高い地域であります。

 

 こうした優位性を生かし、既に国母工業団地が立地しておりますが、甲府地域テクノポリス計画に関連した南部工業団地建設計画も地元の御理解と御協力の中で順調に進行してきており、明3月5日には大津地区の起工式が行われる運びとなっております。新たに先端産業の立地と地場産業の高度化、近代化が図られるわけですが、加えて、テクノポリスの中核的機能を担う研究開発や技術交流などの総合拠点となるサイエンスパークの建設を促進していく必要があります。

 

 第5は、高速交通体系の確立であります。

 

 甲府市の将来の発展につながる中部横断自動車道の建設促進、さらに、リニアモーターカーの誘致に向けて積極的な努力をしていかなければなりません。このことは国の第4次全国総合開発計画にも位置づけられているところであり、経済圏の拡大や文化交流など、本市の飛躍的な発展につながるものとして大きく期待されております。したがって、県、関係市町村、商工業団体等と強力な連携を図り、その実現に向けてより一層力強い運動を続けてまいりたいと考えております。

 

 また、これらの課題と並行して、県都としての役割を果たしていくため、周辺地域と一体となって調和のとれた魅力ある甲府都市圏づくりを進める必要性を痛感している次第であります。

 

 以上申し上げた諸点を踏まえ、第3次甲府市総合計画の基本構想を具体化すべく策定した基本計画、実施計画は、過般御提示いたしたところでありますが、昭和63年度はこれらに基づき積極的な施策を展開してまいります。

 

 そのための市政執行方針を次のとおりといたしました。

 

 第1は、昭和75年を目標とする第3次甲府市総合計画の初年度として、新たな行政課題や将来を展望する主要施策については、積極的に取り組みを行うとともに、総合的視野に立った計画的な行政執行に努める。

 

 第2は、市制施行100周年を明年に控え、これを機に市民全体の連帯と協調のもと、明るく住みよいまちづくりのための市民運動など、市民参加体制のより強化に努める。

 

 第3は、本市における財政の現状を踏まえ、行政と市民の役割分担や事務事業の重要性、緊急性を見きわめる中で、常にその見直しを行うとともに、行政経費の節減、受益者負担の適性化を図り、あわせて自主財源の確保に意を注ぎ、健全財政の維持に努める。

 

 第4は、広域圏的視野に立った都市機能の整備を促進する中で、周辺地域と一体的な発展を図る施策を推進する。

 

 こうした考え方と方針に基づき、編成いたしました昭和63年度の予算規模は、一般会計が474億3,034万6,000円、特別会計が424億6,721万8,000円、合計898億9,756万4,000円となり、昭和62年度当初予算と比較いたしまして、一般会計は56億4,024万6,000円の増で、13.5%の伸び、特別会計は22億9,682万5,000円の増で、5.7%の伸び、合計では79億3,707万1,000円の増で、9.7%の伸びとなっております。

 

 以下、順次主要な施策について、その概要を御説明申し上げます。

 

 まず『心かよう人間都市』について申し上げます。

 

 現在我が国は幾つかの社会問題を抱えて21世紀を迎えようとしていますが、中でも人口の高齢化などの課題を中心に、生涯にわたる福祉体系の充実が求められております。

 

 しかし、国は昭和63年度も福祉予算の補助率引き下げを続行するため、本市としては、非常に苦しい財政運営を余儀なくされておりますが、私は福祉を後退させることなく積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

 

 まず高齢者福祉につきましては、老後を安心して暮らせる地域社会をつくるため、思いやりの心をはぐくむ運動を展開するとともに、医療費の助成、家庭奉仕員の増員、在宅寝たきり老人・痴呆性老人の介護手当の増額、巡回入洛サービスの強化、福祉センターの充実などのほか、新たに在宅福祉充実のため、多世代同居世帯の促進を図る施策にも芽を出し、きめ細かな高齢者福祉を行ってまいります。

 

 児童福祉につきましては、引き続き民間保育所の施設整備費の補助、保育料の軽減、乳児医療費、母子家庭児童手当の支給等の施策を実施してまいります。

 

 心身障害者福祉につきましては、障害者の住みよい社会づくりを目指して、健常者とのふれあい事業の推進、家庭奉仕員の派遣、点字ブロックの整備、声の広報、障害児通園事業及び授産施設への助成などのほか、新たに障害者短期保護事業にも取り組み、積極的な施策を実施してまいります。

 

 勤労者福祉につきましては、パート110番勤労者相談所の開設、勤労者生活安定資金貸付制度の推進や、市民いこいの里の改修等を行ってまいります。

 

 保健衛生につきましては、市民総合保健計画推進事業への助成の増額、健康診査の充実、市民総合保健センーター建設に向かって努力するとともに、新たに予防接種負担の軽減を図ってまいります。また、市立甲府病院の医療体制の整備を図り、高度医療機器の導入とあわせ充実した医療の提供に努めてまいります。さらに、救急医療体制につきましては、医師会と協調して、これを推進してまいります。

 

 国民健康保険事業につきましては、国の国民健康保険制度の見直しにより、市の負担額は増加いたしますが、被保険老の負担増を招かないよう極力保険料の引き上げをしない方向で努力してまいります。

 

 消費者保護対策といたしましては、消費者団体の育成、不用品活用センターの充実、消費者生活相談員の養成とともに、消費者保護基本法制定20周年記念事業としてシンポジウムを開催し、消費者の意識の啓発と保護に努めてまいります。

 

 青少年、婦人対策といたしましては、次代の社会を担う青少年の健全育成のための市民総ぐるみ運動を推進するとともに、自主的な野外活動を助長するため、堂ノ山青少年キャンプ場の建設やチビッ子広場の整備を行ってまいります。また、女性の地位向上を目指して、婦人行動計画に基づく施策を積極的に推進してまいります。

 

 人間性豊かなコミュニティーづくりのため、自主的な地域活動や市民運動を促進するとともに、永遠の平和を願う意識が市民に浸透するよう、平和都市宣言事業をより一層推進してまいります。また、コミュニティー活動の拠点施設につきましては、東部市民センターの完成を初め、地域集会施設の建設を促進するための補助金の増額を図ってまいります。

 

 次に『さわやかな文化都市』について申し上げます。

 

 長寿社会や技術革新の進展などに伴う余暇時間の増大、若者を中心としたライフスタイルの変化の中で、人々の教育・文化に対する欲求は一層高まりを見せてきております。

 

 同時に明日を担う子供たちが心身ともに健康で、調和のとれた人格を形成していくためには、学校・家庭・社会が一体となって、子供たちを見守り育てていかなければなりません。その教育と学習の場を整備し、教育の質的向上を図るため、これからも真剣に取り組んでまいります。

 

 まず、小学校教育につきましては、昭和64年4月開校を目指して、大国小学校の校舎及び屋内運動場の建設を初め、東小学校のプール改築、北新小学校の校庭整備等を行ってまいります。また、自然の中での集団生活を通じて、健康な精神と身体を養成する場として、新たにセミナーハウス構想を推進してまいります。

 

 中学校教育につきましては、北中学校・城南中学校の屋内運動場の増改築、上条中学校のプール建設など、各種施設の整備を行ってまいります。

 

 さらに、小・中学校の教育内容を充実するため、教材教具や教育機器を計画的に整備をするとともに、教育研修所の充実と活用により、教職員の資質及び指導力の向上を図ってまいります。また、学校図書館事務職員の人権費補助を増額し、保護者負担の軽減にも意を注いでまいります。なお、新たに小・中学校の適正規模化についての調査・研究にも着手いたします。

 

 高等教育につきましては、大学への入学準備金融資制度を発足させるとともに、甲府商業高校の整備をより一層進めてまいります。また、新しい時代に対応した人材養成と定着を図るため、商業系の専門学校の開設に向かって、調査委員会の報告書に基づき調査・研究を行うとともに、本年度はその建設用地の取得を行ってまいります。

 

 社会教育につきましては、東公民館の完成と各ブロック公民館を中心とする各種教養講座を通じて、余暇時間の増大や学習意欲の高まりなど、社会変化に即応した生涯学習の機会の拡大と内容の充実に努めてまいります。

 

 スポーツ・レクリェーション対策といたしましては、メルヘン構想の推進、県から移管が予定されている緑が丘スポーツ公園の整備などを初めとして、各種体育団体の活動を助長し、市民の健康づくりを進めてまいります。

 

 また、第1回全国スポーツ・レクリエーション祭が本県で開催されることが内定いたしましたが、具体的な計画が決定した時点で対応してまいりたいと考えております。

 

 社会体育の振興につきましては、甲府市体育協会の財団法人化に伴い、組織の強化と事業内容の充実を図ってまいります。また、夜間照明施設は、新設1ヵ所、改修2ヵ所を実施し、学校開放を進めます。

 

 芸術文化の振興につきましては、生活に密着した市民文化醸成のため、まちかどや広場への彫刻の設置を初め、御岳文芸座の活用等を推進してまいります。また、市制100周年記念事業の一環としての市史の編さんを初め、新たに「甲府の自然」の発刊準備と、市民が自然や郷土を愛する心をはぐくむための「自然環境副読本」の発刊を行ってまいります。また、国際親善を深めるため、姉妹・友好都市を中心として、芸術文化の国際交流を促進してまいります。

 

 文化財保護につきましては、武田史館阯の公有地化を推進するとともに、引き続き積石塚遺跡等の発掘調査を実施し、既存の歴史的文化遺産についても、その保存と活用を図ってまいります。

 

 次に、『住みよい安全都市』について申し上げます。

 

 市民が健康で安全に生活できる、やすらぎとうるおいのある良好な居住環境の確保のための施策を、より一層積極的に推進してまいりたいと考えております。

 

 まず、市営住宅につきましては、昭和62年度から継続事業として、大里地区へ80戸建設を進めておりますが、昭和63年度からの事業として、里吉地区の用地取得と60戸の建設を行ってまいります。また、独自の宅地造成事業にも着手してまいりたいと考えております。

 

 道路の整備につきましては、引き続いて道路新設改良、市道舗装を初め、モール化事業推進のための基盤整備や生活関連道路舗装、橋梁改良、側溝の整備を積極的に推進してまいります。

 

 上水道事業につきましては、良質な水の安定供給を目指し、施設の整備、運営の効率化を推進してまいります。また、新たに善光寺刈畑地区の上水道築造工事を行い、市民皆水道に向けて、さらに努力してまいります。

 

 下水道事業につきましては。下水道幹線整備、各処理区の下水道管布設工事を行い、普及率の向上に努めるとともに、市内の浸水地帯解消などのため、河川・水路や雨水渠の整備を行ってまいります。また、大津終末処理場への中継施設として、住吉合流ポンプ場の建設を継続事業として実施してまいります。

 

 廃棄物処理につきましては、新たに生ごみ処理器購入費補助によるごみの減量化を図るとともに、ごみ焼却場の24時間体制の実施にあわせた、収集車両の計画的な更新や施設の整備を行ってまいります。また、新しいごみ処理施設及び埋立処分場の建設のための準備を進めてまいります。

 

 し尿処理につきましては、3ヵ年にわたって建設してきましたし尿処理場施設を完成させ、近代的な設備のもとに操業できるよう努めてまいります。

 

 環境保全につきましては、美しいまちづくりのための市民運動を推進するとともに、木炭を利用した新しい方法も取り入れた河川浄化対策に努めてまいります。

 

 防災対策といたしましては、竹日向町の急傾斜地崩壊対策事業と難聴地区への防災行政無線を整備するとともに、自主防災組織の指導・育成にも努めます。さらに、防火水槽及び消化栓の設備については、計画的に整備し、分団詰所の改築を行うなど、防災及び防火体制を強化してまいります。

 

 防犯対策といたしましては、街路灯維持修繕補助金制度を新設するなど、安全なまちづくりに努めてまいります。

 

 交通安全対策といたしましては、引き続いてガードレール、カーブミラー、歩道等の設置、都市総合交通規制に伴うグリーン塗装を実施し、交通安全宣言都市にふさわしいまちづくりを推進してまいります。

 

 次に『魅力ある快適都市』について申し上げます。

 

 都市化の推進や市民意識の変化が進む中で、緑豊かな自然や歴史など、本市の特性と個性を生かした魅力ある快適な都市環境づくりに取り組んでまいりたいと考えております。

 

 まず、街路事業につきましては、引き続き上阿原町寿町線、高畑町昇仙峡線、善光寺町敷島線、愛宕町下条線の4路線の整備を推進するとともに、関連する和田平朝気線にも着手してまいります。また、県施行の街路事業であります塩部町開国橋線、古府中環状浅原橋線、甲府駅前線についても、積極的に対応してまいります。

 

 公園整備につきましては、荒川3号緑地、和田堀公園、緑が丘スポーツ公園、堀之内南公園、児童公園等の整備を図ってまいります。

 

 緑豊かな都市づくりを推進する緑化事業につきましても、街の杜を初めとして公共緑化、地域緑化等市民と一体となって進め、都市景観形成に配慮した施策を展開してまいります。

 

 土地区画整理事業につきましては、寿・宝地区の土地先行取得も完了し、本年度は画地確定測量等を行うとともに、新たに市街地再開発事業を並行して進めるため、地区更新基本計画の策定を行ってまいります。

 

 また、組合施行による住吉地区、古府中地区につきましては、事業実施のための助成を行い、その推進を図ってまいります。大里地区の特定保留地につきましては、土地区画整理事業への取り組みについて、地元の協力と理解を得るための努力をしてまいります。市街化区域内の残存農地の土地区画整理事業につきましても、地元への啓発に努めその促進を図ってまいります。

 

 甲府駅南口・北口を中心とする新都市拠点整備事業につきましては、都市みらい推進機構を設置し、メーンブロック構想の策定をいたします。

 

 また、テクノポリス計画につきましては、21世紀産業開発機構への出捐を行うとともに、県と一体となってサイエンスパーク建設促進のための努力をしてまいります。

 

 地籍調査事業につきましては、本年度は東部地区を対象に実施し、土地に関する基礎資料を整備してまいります。

 

 さらに、今後予想される土地需要の動向に対応した適切な土地利用を進めるため、市町村計画を策定してまいります。

 

 テレトピア計画につきましては、高度情報化時代への対応として、各種ニューメディアの普及促進を図ってまいります。

 

 次に『活力ある産業都市』について申し上げます。

 

 最近の経済情勢は、円高と並行して、外需から内需へと移行する中で、本市における産業もこれに対応できる基盤づくりが必要であるため、その活性化を図る施策を講じてまいります。

 

 商工業につきましては、引き続き商工業団体の育成強化と各種事業への助成を初め、新たに異業種間交流事業等に対する助成を行うとともに、融資制度の拡充を図ってまいります。また、テクノポリスの母都市として、工業立地基盤の確立を図るため、南部工業団地の造成と企業誘致対策を進めてまいります。

 

 観光につきましては、豊かな自然や歴史・文化の活用と市内各所の観光施設の整備を行うとともに、大河ドラマ「武田信玄」の放映に伴う観光客受け入れ態勢を整備し、これを契機として風林火山館などを媒体とした観光宣伝を積極的に行ってまいります。

 

 農業につきましては、帯那山高原牧場の整備、農業技術公社との提携による農業先端技術の開発を図ってまいります。また、新たに樋門改良にも着手し、土地改良事業を積極的に行い、農業基盤の整備を図るとともに、南部に圃場を確保し、整備してまいります。

 

 林業につきましては、山村林業構造改善事業を進め、森林の総合利用促進を図ってまいります。また、引き続き造林・保育事業、小規規模山事業、松くい虫防除事業、森林浴普及事業等を行ってまいります。北部山岳ルートの一環となる御岳・池の平林道を初め、既設林道の整備を積極的に行ってまいります。

 

 中央卸市場につきましては、管理体制の強化と生鮮食料品の取り引きの適正化及び施設の改修を図ってまいります。

 

 以上の施策とともに、明年に迫りました市制施行100周年を意義ある年とするため、現在各種の記念事業を進めております。本年度は推進協議会を設置し、記念事業やイベント事業を推進してまいります。特にメーン事業としてのシティホール構想のうち、総合市民会館につきましては、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

 

 次に第3次甲府市総合計画を推進するための行財政運営について申し上げます。

 

 行政運営につきましては、社会経済情勢の変化に伴う市民需要に対応し、活力ある地域社会を形成するための簡素で故能的かつ効率的な行政執行体制が必要であります。

 

 したがって、昭和63年度は自主的行政改革の大網に基づき、スクラップ・アンド・ビルドを基本とした組織機構の整備を行うため、本議会に条例案を提出いたしておりますが、その内容は、

 

 第1に、新しい時代に積極的に対応するため、行政の総合力を高める執行体制の確立

 

 第2に、新しい行政施策への対応組織の構築

 

 第3に、新たな市民参加行政の展開

 

 第4は、簡素でわかりやすい組織の構築

 

であります。

 

 これらとともに、適正な人事管理のもと職員定数は不拡大とし、より一層市民サービスの向上を図ってまいりたいと考えております。さらに職員研修につきましても、研修計画に基づき、職員資質の向上、能力の開発、意誠の高揚と改革のため積極的に実施してまいります。

 

 また、事務の近代化につきましても、電算機導入に対応するオンライン化の推進、OA機器の充実を図るとともに、可能な限り民間活力の活用を進め、職場環境の整備と事務能率の向上に努め、都市経営的観点に立った市政を推進し、市民の期待にこたえてまいりたいと考えております。

 

 財政運営につきましては、昭和63年度の財政力指数は1.067となる見通しであり、普通交付税が見込めない状況であります。このことは本市財政の新しい時代に突入し、本市みずからの手によって財源を調達できるといった地方公共団体として理想的な財政運営が可能になったといえます。

しかし、ようやく不交付団体になったという状況下での財政は、必ずしも楽観できないとの見方もありますので、経常的経費の節減を図るとともに、本市財源の大宗を占める市税を初めとする自主的財源の確保に努め、使用料・手数料の見直しを行うなど、計画的な財政運営を推進してまいります。

一方引き続き国と地方との役割分担の明確化と、地方行財政制度の改善を積極的に国に働きかけ、より一層の財政の健全化を図ってまいります。

 

 もとより、都市づくりは行政のみの努力で実現できるものではありません。本市が、快適で住みよい活力のある中核都市として発展していくためには、創造し、協調し、行動する市民と協力し、まちづくりに取り組んでいかなければなりません。したがって、その役割分担の明確化を図るとともに、地域計画を導入し、市民運動推進協議会との連携を図りながら、自治意識に根ざした、市民みずからが地域づくりに参画する市民参加市政を進めてまいりたいと考えているところであります。

 

 また、市政に対する市民の理解と信頼を深め、市民総参加の開かれた市政をより一層推進するため、情報公開制度をスタートさせてまいります。さらに、国の第4次全国総合開発計画を踏まえ、また、県の総合福祉計画との整合性を図るとともに、緊密な協調のもとに急速に変貌する社会経済情勢に対応した都市づくりを進めてまいりたいと考えております。

 

 以上が昭和63年度の市政執行に当たっての所信の一端と予算の概要でありますが、新年度は21世紀へ向けて力強く前進するスタートの年であります。したがって、理想の都市像として掲げた『明日をひらく健康都市・甲府』の実現を目指した施策や課題に、初心を忘れず果敢に取り組んでまいる決意であります。

 

 また、12月市議会定例会及び3回にわたって開催された議会全員協議会で御指摘をいただきました第3次甲府市総合計画に係わる貴重な御意見、御提言につきましては、これを謙虚に受けとめ市政に反映させ、全職員一丸となって取り組んでまいります。

 

 何とぞ十分な御審議をいただき、御協賛を賜るよう心からお願いを申し上げます。

 

 引き続きまして、新年度予算以外の案件につきまして、その大要を御説明申し上げます。

 

 まず、議案第15号「昭和62年度甲府市一般会計補正予算(第7号)」につきましては、歳出第1款議会費は、行政調査に係る費用弁償を減額するための補正であります。

 

 第2款総務費は、職員の退職に伴う退職手当、水道局職員退職手当負担金、総合市民会館建設基金等の積立金及び納税奨励金、甲府地区広域行政事務組合の消防施設整備用地取得に係わる債務負担行為償還金並びに非常勤の特別職の報酬改定に伴う報酬等を追加し、庁舎管理費及び指定統計調査費等を減額するための補正であります。

 

 第3款、民生費は、身体障害者福祉費、精神薄弱者保護措置費、老人保護措置費、老人医療費、障害児保育事業等補助金、児童措置費、生活保護費等の事業費決定に伴う事業費、甲府市社会福祉事業基金設定による積立金及び青少年宿泊施設等用地取得に係わる債務負担行為償還金を追加し、老人保健事業特別会計への繰出金を減額するための補正であります。

 

 第4款衛生費は、公害防止施設等設備資金貸付金及び下水道事業特別会計への繰出金を減額するための補正であります。

 

 第6款農林水産業費は、非常勤の特別職の報酬改定に伴う報酬及び農道拡幅用地取得に係わる債務負担行為償還金を追加し、非補助土地改良事業費、農道等改良事業費、営農計画転換促進事業費、助成土地改良事業費、森林総合整備事業費、林道整備事業費等の事業費決定に伴う事業費を追加及び減額するための補正であります。

 

 第7款商工費は、(仮称)風林火山館開館準備費を追加し、企業誘致対策事業費を減額するための補正であります。

 

 第8款土木費は、交遺安全対策特別交付金事業費、駐車場案内システム事業費、土地区画整理事業費、緑化推進費、住宅建設用地取得費及び河川水路費等の事業費決定に伴う事業費を減額し、街路事業用地取得費、県施行街路事業負担金、公園管理費及び市道拡幅用地取得に係わる債務負担行為償還金を追加するための補正であります。

 

 第9款消防費は、甲府地区広域行政事務組合の職員退職に伴う退職手当負担金及び急傾斜地崩壊危険区域対策事業負担金を追加するための補正であります。

 

 第10款教育費は、(仮称)財団法人甲府市体育協会への出捐金を追加し、小中学校及び高等学校の理科教育等設備整備事業費決定に伴う事業費を減額するための補正であります。

 

 第12款公債費は、地方債元金及び借入利率変更等に伴う公債費利子を減額するための補正であります。

 

 第13款諸支出金は、消防分団用地取得費を追加するための補正であります。

 

 歳入につきましては、第1款市税、第4款地方交付税、第10款財産収入、第11款寄付金、第13款繰越金、第14款諸収入、第15款市債をそれぞれ追加し、第2款地方譲与税、第3款自動車取得税交付金、第5款交通安全対策特別交付金、第6款分担金及び負担金、第8款国庫支出金、第9款県支出金をそれぞれ減額するための補正であります。

 

 地方債の補正は、起債充当事業費の決定による借入限度額を変更するものであります。

 

 次に議案第16号「昭和62年度甲府市国民健康保険事業特別会計補正予算(第4号)」につきましては、歳出第2款保険給付費は、退職被保険者等に係わる療養給付費及び高額療養費を追加するための補正であります。

 

 歳入につきましては、第9款繰入金の保険給付費等支払基金繰入金を減額し、第10款繰越金は、前年度繰越金を追加するための補正であります。

 

 次に議案第17号「昭和62年度甲府市下水道事業特別会計補正予算(第4号)」につきましては、歳出第2款公債費は、地方債借入利率変更等に伴う公債費利子を減額するための補正であります。

 

 歳入につきましては、第5款繰入金の一般会計繰入金を減額するための補正であります。

 

 次に議案第18号「昭和62年度甲府市老人保健事業特別会計補正予算(第2号)」につきましては、歳出第1款総務費は、昭和61年度国庫補助金精算に伴う返還金を追加するための補正であり、第2款医療諸費は、医療給付費及び医療費支給費を減額するための補正であります。

 

 歳入につきましては、第1款支払基金交付金、第2款国庫支出金、第3款県支出金及び第4款繰入金をそれぞれ減額し、第6款諸収入は、昭和61年度支払基金交付金等精算に伴う過年度収入を追加するための補正であります。

 

 次に議案第19号「昭和62年度甲府市土地区画整理事業用地先行取得事業特別会計補正予算(第2号)」につきましては、歳出の土地区画整理事業用地取得費は、国庫債務負担行為決定に伴い事業費を減額するための補正であります。

 

 歳入につきましては、土地開発基金繰入金からの繰入金を減額するための補正であります。

 

 次に議案第20号「甲府市事務分掌条例の一部を改正する条例制定について」は、第3次総合計画の推進と効率的な行政執行体制の確立を図るため、組織整備を行うについての一部改正であります。

 

 次に議案第21号「職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例制定について」は、労働基準法の一部改正に伴う職員の1週間の勤務時間の最高限の改正及び国の制度に準じて4週間につき2の土曜日を勤務を要しないこととする制度に移行するための措置を定めるについての一部改正であります。

 

 次に議案第22号「特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁解に関する条例の一部を改正する条例制定について」は、特別職の職員で常勤のものの給与及び議会の議員の報酬の改定に準じ、各種委員及び審議会等の委員の報酬を改定するための一部改正であります。

 

 次に議案第23号「甲府市市民会館条例の一部を改正する条例制定について」は、甲運連絡所及び玉諸連絡所の廃止に伴い、両施設を市民会館として設置し、その管理を行うため、地方自治法第244条の2第1項の規定により一部改正するものであります。

 

 次に議案第24号「甲府市在宅老人短期保護手数料条例の一部を改正する条例制定について」は、在宅重度身体障害者短期保護事業を実施し、これに係る手数料を徴収するため、地方自治法第228条第1項の規定により一部改正するものであります。

 

 次に議案第25号「甲府市市立の高等学校及び幼稚園の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例制定について」は、公立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償の基準を定める政令の一部改正に伴い、市立高等学校及び幼稚園の学校医等の公務災害補償について、補償の額の算定の基礎として用いる補償基礎額の改正等を行うための一部改正であります。

 

 次に議案第26号「甲府市市立高等学校授業料及び入学審査料条例の一部を改正する条例制定について」は、諸経費の増大等により、市立高等学校の授業料及び入学審査料の額を改定するための一部改正であります。

 

 次に議案第27号「甲府市市立幼稚園保育料条例の一部を改正する条例制定について」は、諸経費の増大等により、市立幼稚園の保育料の額を改定するための一部改正であります。

 

 次に、議案第28号「甲府市公民館設置及び管理条例の一部を改正する条例制定について」は、社会教育の振興を図るため、新たに東公民館を設置するにつきましては、社会教育法第24条の規定により一部改正するものであります。

 

 次に、議案第29号「甲府市公民館使用料条例の一部を改正する条例制定について」は、東公民館の設置に伴い、当該公民館の使用料の額を定めるため、地方自治法第228条第1項の規定により一部改正するものであります。

 

 次に議案第30号「甲府市中小企業振興融資条例の一部を改正する条例制定について」は、産業構造の変革等に対処するとともに融資制度の充実を図るため、中小企業事業転換資金等の融資制度を設けるための一部改正であります。

 

 次に議案第31号「甲府市市民センター条例の一部を改正する条例制定について」は、社会教育及び東部地域の振興を図るため、新たに東部市民センターを設置し、当該集会所の使用料の額を定めるため、地方自治法第244条の2第1項及び第228条第1項の規定により一部改正するものであります。

 

 次に議案第32号「甲府市国民健康保険条例の一部を改正する条例制定について」は、地方税法の一部改正に伴い超短期所有土地の譲渡等に係る、事業所得等に係る保険料の算定の特例を定めるための一部改正であります。

 

 次に議案第33号「甲府市廃棄物の処理及び清掃に関する条例の一部を改正する条例制定について」は、諸経費の増大等により一般廃棄物の処理手数料及び産業廃棄物の処分費用の額を改定するための一部改正であります。

 

 次に、議案第34号「甲府市簡易水道等条例の一部を改正する条例制定について」は、御岳町に新たに小規模水道を設置し、この管理を行うため、地方自治法第244条の2第1項の規定により一部改正するものであります。

 

 次に、議案第35号「甲府市伝染病棟条例の一部を改正する条例制定について」は、伝染病愚者の減少に伴い、伝染病床を縮小するための一部改正であります。

 

 次に、議案第36号「甲府市道路占用料徴収条例の一部を改正する条例制定について」は、道路法施行令の改正に伴い、市道に係る占用料の額を国道に準じ改定するとともに、規定の整備を行うための一部改正であります。

 

 次に、議案第37号「甲府市都市公園条例の一部を改正する条例制定について」は、都市公園及び遊亀公園附属動物園の適正な管理を期するため、これらの使用料及び入園料の額を改定するとともに、緑が丘スポーツ公園の本市移管に伴う規定の整備と同公園の有料運動施設の使用料を定めるための一部改正であります。

 

 次に、議案第38号「甲府市下水道条例の一部を改正する条例制定について」は、公共下水道施設の維持管理の適正を期するため、使用料の額を改定するための一部改正であります。

 

 次に、議案第39号「甲府市消防団員の定員、任免、給与、服務等に関する条例の一部を改正する条例制定について」は、非常勤の消防団員に支給する報酬及び費用弁償の額を改定するための一部改正であります。

 

 次に議案第40号「甲府市農業共済条例の一部を改正する条例制定について」は、農作物共済事業に係る制度の一部改正に基づき、共済金額の選択の方法を改正するための一部改正であります。

 

 次に、議案第41号「甲府市社会福祉事業基金条例制定について」は、社会福祉事業に善意の大口寄附があり、寄附者の意向を専重し、社会福祉事業に必要な資金を積み立てるための基金を設けるため、地方自治法第241条第1項の規定により、この条例を制定するものであります。

 

 次に、議案第42号及び議案第43号の「市道路線の認定について」の2案件につきましては、それぞれの路線を市道に認定し、維持管理を行うため、道路法第8条第2項の規定により議会の議決を求めるものであります。

 

 次に、議案第44号「市道路線の変更認定について」は、本路線の終点から北の道路が改良整備されたので、これを変更認定するため、道路法第10条第3項の規定により、議会の議決を求めるものであります。

 

 以上が本日提案いたしました案件の大要であります。

 

 御審議の上、御協賛を賜りますようお願い申し上げまして、説明を終わります。

 

〇議長(千野 哮君)

 以上で説明は終わりました。

 

 お諮りいたします。

 

 3月5日は議案調査のため本会議を休会いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。

 

      (「異議なし」と呼ぶ者あり)

 

○議長(千野 哮君)

 御異議なしと認めます。

 

 よって3月5日は本会議を休会することに決しました。

 

 3月6日は日曜日のため、休会明け本会議は3月7日午後1時から開会、提出議案に対する質疑及び市政一般質問を行います。

 

 本日はこれをもって散会いたします。

 

          午後2時46分 散会