平成11年6月10日
平成11年6月甲府市議会定例会会議録第2号
午後1時01分 開 議
○議長(末木隆義君) これより本日の会議を開きます。
 直ちに日程に入ります。
 日程第1から日程第15まで15案及び日程第16 市政一般について質問を一括議題 といたします。
 これより上程議案全部に対する質疑及び市政一般質問を行います。
 この際、念のため申し上げます。
 質疑、質問については、申し合わせ事項を遵守され、重複を避け、簡明に願います。
 なお、当局の答弁もその趣旨を十分把握され、簡明、率直にされまして議事進行に御協 力をお願いします。
 発言通告者は10名であります。
 各会派の発言順序は、今期は新政クラブからであります。
 お手元に発言通告書が配付してありますので、これに基づいて進めてまいります。
 最初に、新政クラブの代表質問を行います。飯沼 忠君。
 飯沼 忠君。

(飯沼 忠君 登壇)

○飯沼 忠君 6月定例会にあたり、新政クラブの代表質問を行います。
 今議会は、地方統一選挙後の初めての定例会であり、議会も意欲あふれる新人議員を迎 えまして、体制も新たに出発いたしました。
 議会に負託されました市民の期待と要望を的確にとらえて、希望と勇気と決断と、まさ に活力に満ちた議会活動を展開いたしたいと決意を新たにするところであります。
 市長にお尋ねいたします。
 冒頭の所信表明にありましたように、市長の市政運営の基本姿勢は「市民による 市民 のための 開かれた市政」であり、その目指す都市像は交流と連携を基軸に、本市の持つ 都市機能を基盤とする周辺町村との一体的な発展を目指したまちづくり、すなわち30万 中核市の構築であり、大甲府市の実現であると言えましょう。本市のすべての政策の柱は 、この1点に集中していると言っても過言ではありますまい。市長は、甲府市の将来を見 据えた都市空間の創出や土地利用を図る都市計画マスタープランを策定すると言っており ます。  
 甲府盆地全体をとらえた広域行政の今後の展開、30万中核都市へのアクション・プラ ンについて改めて市長の決意と抱負をお伺いいたしたいと存じます。
 顧みれば、平成9年9月議会の周辺町村との合併推進決議の日から日を経ずして既に地 方分権を推進するための一括法案が今国会で審議され、国からの機関委任事務がすべて撤 廃されることに相なりました。地方行政は大きな転換期の真っただ中にあります。国と地 方自治体とその役割分担という時代の歯車、これはいよいよ具体的なシステムとして姿を あらわしてまいりました。戦後半世紀に及ぶ我が国の社会構造が、21世紀を目前に大規 模に変革をされ、改革されようとしています。
 当面の課題であります公的介護保険制度をめぐる事務事業の展開にあたっても、介護認 定審査会の共同設置が県内の各圏域ごとに始まりまして、介護サービス計画の策定や実際 のサービスにつきましても、従来の市町村の行政の枠組みを越えて、共同事業として取り 組まなければならない実態が生じております。
 市長は、かねがね自主・自立の都市づくりとともに周辺町村との密接な連携を基調とし て、一層の広域行政を展開し、一体的な発展を目指すとしておりますが、当面する課題で ありますこの介護保険導入に伴う給付の関連事業につきまして、広域的運営への取り組み をどのように進めていくべきなのか、御所見をお示し願いたいと思うのであります。
 市町村合併の切り口は、既に幾つかのメニューとして提示をされ、研究調査され、さら に実施に移されてきました。消防や救急、病院事業、医療、災害への対応、教育、文化、 情報、窓口事務、さらにはごみ問題やダイオキシンなどの環境保護対策などにわたりまし て、まさに多岐にわたってこれからの都市問題は考えていかなければなりません。まさに 、本腰を入れた行政の広域的展開は不可欠であります。既に合併、この是非を問う時代は 過去のものになったと認識をいたしているところであります。
このほど甲府青年会議所などが中心となりまして、山梨県中核市創造協議会が発足をい たしました。かかる住民運動はまさに時代の追い風そのものであります。協議会の事業計 画案は、2003年を成立年次に設定をし、2002年までには合併協議会の設立を図ろ うというものであります。これとどのように連携をし、協調を保っていくのか。急がず、 おくれずか、距離を置くのか、当局の姿勢をお示し願いたいと思います。
 次に、新行政改革大綱についてお伺いをいたします。
あえて言うまでもなく緊急の政治課題は財政改革であります。これまでの行政運営の手法 を総点検をし、自立的な経済、財政基盤を確立をし、市民の選択と協業によるまちづくり を展開しなければ、これからの県都甲府市の発展の道はありません。政策で問いかけ、実 現でこたえる。パワーのある新甲府時代を築くためには、まさに今こそ勇気と決断をもっ て思い切った行財政の改革を断行すべきであります。
 そこで幾つかの点につきまして質問をします。
 1つ、財政運営については、改革の年次における数値目標を設定しておかなければなり ません。改革をかけ声だけで終わらせてはならないわけであります。問われているのはそ の結果でありましょう。だとするならば、今後の事務作業への道筋と合わせて結果予測を 明示していただかなければなりません。各項目ごとの経常経費の縮減を行うことにより、 一体本市の経常収支比率をどこまで押さえ込もうとしているのか。公債費負担比率につい ては、いかがなものになるのか。2002年の計画終期には、どのような成果が望めるの か。お見通しをお示し願いたいと思います。
 また、財政の実態把握と行政の効率化につなげようと、近年、自治体会計に貸借対照表 方式が課題とされ、検討する動きが盛んに行われるようになってまいりました。当議会か らもしばしば政策提言がなされた経過は御存じのとおりであります。情報公開、市民参加 の観点からもかかる課題への取り組みについて御所見をお伺いしておきたいと思います。
 2点目であります。福祉部が実施する計画的な財政健全化のための取り組みについては 、老齢者医療費助成制度にかかわる所得制限の導入及び対象年齢の年次的引き上げ、歳末 援助事業や敬老祝金の見直し、さらには、保育料の軽減の見直しなどが課題に上がってい ます。改革のかかる事業への切り込みについては、少子高齢化社会に逆行し、福祉切り捨 てにつながるものではないかという声も聞こえてきています。殊に、老齢者医療費の助成 制度については、本市の高齢者福祉対策を象徴する事業でもあり、市民も議会もこれまで 大切に守り育ててきたものであるだけに、当局の慎重なる対応を求めるものであります。
 当局は、介護保険制度導入に伴って助成対象が重なり合うものを精査するのが改革の 本旨であり、福祉の後退を招くものではあり得ないとしておりますが、改革は市民の合意 と参加なくしては成り立ちません。この制度を取り巻く現状認識と所得制限導入後の高齢 者の医療環境がどのように今後推移していくのか、改めて見解をただす次第であります。
 3点目であります。民間委託について質問をいたします。
 今回の改革では、環境部の清掃事業の民間委託をはじめとして従来の枠を越えて全庁的 に可能な限りの推進を図るとしておりますが、特にこの中で本市の独自性、地域性を生か したPFIの活用方法の検討に着手するとしています。市場原理の導入と民間活力を生か しての社会資本の整備は、行政手法の転換というだけではなくて、市民による行政展開と 市民と行政との協業によるまちづくり、私はこれの思想的バックボーンになるものと評価 しております。日常業務の中においても、民間活力と民間委託事業の導入が一層拡充され るものと期待するものでありますので、ここでお尋ねをしておきたいと思います。
 中心市街地の都市基盤整備や拠点都市整備事業の展開の中にも、さらには市庁舎建設計画等の公共事業のどこにもかかる手法の導入が可能と考えているのかどうなのか。事務事業の民間委託の拡充と可能な限りの推進とは一体どのような範囲を想定しているのか、あ わせて当局の見解をお伺いをいたします。
 次に、市街地活性化基本計画についてであります。このほど、甲府市まちづくり委員会 からの報告書が発表をされました。中心市街地の活力の喪失に歯どめをかけ、「甲府らし さ」、いわゆる都市のアイデンティティーを取り戻すための数々の提言が盛り込まれてい ます。当クラブでも今後各論にわたって検討させていただきますが、今年度から策定に着 手をいたしました市街地活性化基本計画にこれらの提言をどのように取り込んでいくのか 。二、三の視点から政策立案へ向けての位置づけを伺っておきたいと思います。
 まず、舞鶴城公園周辺整備事業についてであります。市長は、天守閣の築城を含め、甲 府城一帯の整備は市内中心街の活性化や観光資源としても重要であり、市民が誇り得る歴 史的文化遺産として、まちづくりの中核をなすものとしておりますが、そのためには第一 に、まず県市一体化となっての事業構想、青写真が必要でありましょう。その上に立って の事業推進でなければなりません。県市の協業、協調体制にどのようなシフトを敷いてい るのか。今話題になっております甲府城の山の手門跡の周辺文化財保存事業についていか が準備がなされているのか。県民会館跡地利用についても、本市の政策提言や構想がどこ まで伝わっているのか、お示し願いたいと思います。
 言うまでもなく、甲府市は甲府市民のためのものであり、まちは市民が市民の責任にお いてつくり上げていくべきものであります。県との対応の姿勢についてあらかじめ御認識 を伺っておきたいと思います。
 次に、中心市街地の活性化を目指して導入したレトボンバスでありますが、不況の影響 などで運営資金の調達ができず、円滑な事業執行が危ぶまれていると聞いています。本市 はこれまでも活性化対策として、ナイトバザール、駐車場対策、空き店舗対策、さらには 振興資金の助成、利子補給、可能な限りの振興策を講じてきましたし、商業活性化協議会 の各種提言も政策化し、実行いたしてまいりました。今回の「レトボン運行に黄色の信号 」という新聞記事に、中心市街地活性化事業に対する市民のため息が聞こえるような思い であります。今、歴史と伝統ある甲府市商業の本拠地の灯を断じて消してはならない、こ のような思いを込めまして、さまざまな県や国の政策、事業も検討されておりますし、市 議会においても、県議会においても、合同の力をもって取り組んでいるところであります 。市街地活性化法がその焦点でありましょうし、民間投資誘発特別事業対策がまたそうで ありましょう。都市計画というものは、時代の先見性、未来を読み取る能力が要求されて います。過去において、県の内外を問わず、そこここにも成功と挫折の山が築かれていま す。アーバンスタディ構想は挫折であります。新都市拠点整備事業は全くのたなざらしの 状況に置かれ、駅北の土地区画整理事業は完成のめどさえも立っていません。
 バブルがはじけて既に10年、21世紀に向けて、甲府の新しい時代を切り開くとする ならば、この事実を真っ正面に据えて政策を刷新し、市民と行政が一体となって解決のス タートに立たなくてはなりません。県都甲府市の玄関口の問題であります。高度高速交通 時代の嵐の中で、都市間競争に打ち勝つためにも県といえどもいつまでも手をこまねいて いられるわけはありますまい。何となれば、県もこの事業の仕掛け人の1人であるからで あります。今後の方針を明らかにしていただかなければなりません。現時点における県及 び関係機関との折衝と対応、事業の経過を踏まえた状況を明らかにしてもらいたいと思い ます。このことにつきましては、地元議員として、当クラブの野中議員が後ほど詳細に質 問をさせていただきます。
 次に、通告をしておきました北部山岳地域の活性化についてお伺いをいたします。
 あえて申すまでもなく、甲府市の市域のおよそ62%を占めるこの地域一帯の開発とい うものは、昭和60年初頭に制定をされました国のリゾート法をベースにしたマウントピ ア構想として事業が進展してきたと理解をいたしております。構想の中核的な事業は、千 代田湖周辺地域の整備計画として取り上げられました千代田ゴルフクラブ造成計画であり ました。県市一体となって取り組んだ事業であったにもかかわらず、県の土地利用調整会 議において不同意となり、その後の経済変動の激震にあって、この事業はあえなく挫折を いたしました。以来、この課題への取り組みについては、県市合同の甲府市北部地域振興 対策検討委員会にゆだねられ、今日に至りました。
 お尋ねいたします。検討委員会の協議、検討課題は、ゴルフ場建設にかかわる新しい振 興計画の策定であります。県としての役割分担、事業主体をどのようにしていくのかとい った基本事項を含む確実な将来展望を開くことにあったと理解をいたしております。今、 ゴルフ場裁判が結審に近づいています。地元、県、市による三者協議のテーブルにつく準 備はどこまで進んでいるのか。具体的な政策提言の用意はあるのかどうなのか、お示しく ださい。
 かねてより、地元自治会から北部地域の振興拠点としての多目的ホール、これの建設が 提案されており、回遊道路の整備、平瀬地区の上水道の取水口周辺の道路整備が課題に挙 がっていると聞いています。このことにつきましても、当局の対応を伺っておきたいと存 じます。
 そして今再び、この地域の振興策として、市立動物園の移転問題が再浮上しています。 まちづくり委員会の提案を正面舞台に据えて検討する気構えはないか、お伺いをいたしま す。
 次に、北部地域の開発整備には、主要幹線の整備を急がなければなりません。千塚三丁 目羽黒線と白山峠、健康の森、さらには千代田湖を結ぶ回遊道路は、湯村温泉郷の活性化 対策の根源にかかわる事業であり、土地利用対策としても、地域住民の生活基盤の向上の 観点からしても最優先に取り組むべきものと思われます。当局の見解を求めるものであり ます。
 また、本県の中心的な観光地である昇仙峡へ通ずる県道の整備は、他県と比較するまで もなくまことにお粗末と言わざるを得ません。せめて、金石橋から長瀞橋へ至る間の両側 の道路際に主要観光としての導入路として夜間照明の施設ぐらいは私は当然だと思います 。観光開発事業は県市の協業、協調で成り立つものと理解をしています。今まで県に対し まして、市はどのような対応をしてきたのでありましょうか。あわせて、クリスタルライ ン三富ルートの整備状況もお示しください。あえて多くは申し上げません。帯那山高原牧 場、マウントピア黒平などの北部振興計画は、この際全面的に見直して、施設運営にあた っては積極的に民活の導入を図るべきと考えます。当局の見解をお示しください。
 最後に、市立幼稚園の存廃について触れてみたいと思います。
 3年越しの懸案でありましたこの課題について、当局は「廃止」との結論に達し、今議 会に条例改正案を提出されると伺っております。本件につきましては、昨年、甲府市幼児 教育推進調査研究会から、「幼稚園としての教育機能が十分に果たしがたき、存続するこ とは困難」との御指摘をいただいているところでありまして、以来8か月にわたる当局の 慎重審議の結果であると理解をいたしております。設立当時の時代背景と地域状況の中で 発足をいたしました両園は、本市の幼小一貫教育のモデル園として、開設以来大きな役割 を果たしてきました。しかしながら、今日急激な少子高齢化と、市街地の空洞化が進む中 で、さらには学区を限定せざるを得ない市立幼稚園の経営、関係者の努力にもかかわらず 定員割れの実情をもたらしました。当クラブでも所管の常任委員会を中心に、長時間の論 議を積み重ねてまいりました。結論は「廃園やむなし」であります。幼児教育の原点は、 魅力と特色のある幼児教育であります。とりわけ多くの友達と接し、豊かな情緒体験ので きる環境づくり、これが求められています。当クラブでは、幼児教育については、本市の 指針と振興策を明確にし、現場教育は私立幼稚園の特色ある教育方針にゆだねるべきと考 えるものであります。当局におきましても、去る3月議会での論議、予算審査特別委員会 での意思表明を踏まえまして、決断いたしたものと理解しておりますが、改めてここで結 論に至った経緯について、さらには今後の振興策、指針、甲府市の幼児教育のあるべき姿 、将来展望について所信をお伺いしたいと思うのであります。
 以上をもちまして、新政クラブの代表質問を終わります。
○議長(末木隆義君) 市長 山本栄彦君。

(市長 山本栄彦君 登壇)

○市長(山本栄彦君) 飯沼議員の御質問にお答えいたします。
 まずはじめに、広域行政の展開についてでございますが、国では新全国総合開発計画に おいて多自然居住地域の創造、大都市のリノベーション、地域連携軸の展開、また広域国 際交流圏の形成の4つの戦略を掲げ、地域の選択と責任に基づく主体的な地域づくりを重 視して、地方公共団体やさまざまな民間団体が4つの戦略に沿った地域づくりを進める上 での施策の方向を示しております。このような中、地方分権という時代の大きな潮流を踏 まえ、地域がみずからの選択と責任のもと、創意工夫をもって自主・自立の都市づくりを 推進していくためには、基礎的自治体である市町村がいかに強くなっていくか、分権の受 け皿としての機能やパワーをつけることが求められております。
 国土全体が参加と連携による活性化や共生を目指して進んでいく折、周辺町村との密接 な連携のもと一層の広域行政を推進し、その延長線上に本市の持つ都市機能を基盤として 、周辺町村との一体的な発展を目指した中核市構想を推進していかなくてはなりません。 そのため、本市では、一昨年度から市町村合併及び中核市構想推進庁内連絡会議を設置し 、地域全体のレベルアップと地域住民の生活文化や住民サービスの向上を図るための調査 研究を進めております。また、各種団体と共同で市町村合併に関する講演会を開き、市民 の機運の醸成に努めてきたところであります。
 このほど甲府青年会議所など住民有志が発起人となって、山梨県都・中核市創造協議会 が設立されました。その趣旨は、本市中核市構想と意を同じくするものであり、昨日の全 国市町会会議におきまして、小渕総理が、「地方分権が進む中で市町村合併は進めていか なければならないことであり、そのための法の改正を含め、支援策を講じてまいりたい」 とのあいさつがありました。本市といたしましても、このような国の動向を見据えながら 市民運動とも連携をとり、中核市の実現に向けて積極的に取り組んでまいりたいと考えて おります。
 次に、介護保険制度の広域的運営についての御質問でございますが、制度の広域的運営 につきましては、財政面や組織上一定のメリットが上げられており、周辺住民にとりましてもサービスの質の向上が図られるなど、必要なことであると認識をいたしております。 しかし現時点では、広域化についてはサービス基盤の整備状況をはじめ、後期高齢化率や要介護発生率など自治体ごとに異なる状況などがあることから、本市単独実施の方向で取 り組むことにしたところであります。
 次に、新行政改革に伴う財政運営についての御質問でございますが、財政運営にあたっ ては、市政執行方針をもとに良好な財政構造が保たれるよう努めることが重要であると認 識をいたしております。財政の健全化策につきましては、年々厳しさを増す財政環境を踏 まえ、各事業項目の効率性等を検証する中で、中・長期財政計画に基づいて計画的に予算 編成を行ってきたところであります。しかし、ここ数年来の行政に対する市民ニーズの複 雑、多様化による義務的経費の増嵩は否めない状況にありますが、御質問の財政の健全性 の指標となる経常収支比率や公債費負担比率につきましては、数値目標を持った財政運営 を行うことが必要であります。そのため、事業評価制度の活用等による事業選択を積極的 に行い、経常経費の削減に努めるなど、財政構造の弾力性が保たれるよう対策を講じてま いります。
 次に、自治体会計への貸借対照表の活用でありますが、市民に本市の経営体質をわかり やすく示すとともに、経営評価を行うためにも有効な方法でありますので、既に取り入れ た他都市の手法を調査し、制度の導入に向けて取り組んでまいります。
 次に、甲府市まちづくり委員会の提言についての御質問でございますが、21世紀を目 前にして、国の内外ともに大きな時代の転換期を迎えておりますが、地方都市におきまし ても新しい時代の潮流を見きわめ、先見性をもってまちづくりに取り組む必要があります 。甲府市まちづくり委員会は、新甲府市総合計画の理念に沿って、交流人口の増加と生活 者重視の視点に立ち、若者をも引きつけるより個性的で魅力あるまちづくりの方策を調査 研究するため、平成9年6月に庁内に設置したものであります。調査研究は、意欲と情熱 のある職員を公募するなど、新たなアイデアのもとに精力的に活動し、過日その最終報告 を受けたところでありますが、私は当初委員会に将来の抱負を幅広い視点からとらえ、夢 のある未来への青写真を描いてもらいたい。そして、きらりと光る研究成果を期待してお りましたところ、多くの成果があったというふうに思っております。
 副題を「21世紀へのメッセージ」と題した報告書は、甲府が甲府らしく、未来へ飛躍 発展するためのアイデアを集約した提言となっております。今後その内容を十分検討する とともに、中心市街地活性化基本計画策定委員会に提示し、本年度策定する中心市街地活 性化基本計画に反映をさせてまいりたいと考えております。
 次に、甲府駅周辺と中心市街地活性化についての御質問でございますが、新たな都市拠 点にふさわしい地区として期待される甲府駅周辺地区の開発は、山梨の県都の玄関口であ ることから、業務、文化、情報など高次都市機能の集積やゆとりある都市空間を創出する ため、拠点形成事業として土地区画整理事業を2つの柱として計画をいたしました。そし て、事業の推進を図ってまいりましたが、社会、経済情勢の大きな変化の中で一部事業の 見直しを含め、総合的に検討していく必要があると考えております。
 また、中心市街地を取り巻く県と市の共通テーマとして、舞鶴城公園整備と周辺整備事 業、中心市街地活性化計画など、昨年度から協議を行っており、県と市が役割分担を含め 、一体となってのまちづくりを検討いたしております。このほか中心部には、市庁舎の問 題、小学校の統廃合問題等大きな課題が山積いたしておりますが、いずれにいたしまして も、中核市構想を踏まえた将来の中心街の市街地のあり方、コンセプトを明らかにし、本 市の持つ独自性、歴史性を生かした中心市街地形成のための努力をしてまいります。
 次に、舞鶴城公園の周辺整備についての御質問でございますが、舞鶴城公園は山梨県の 舞鶴城リフレッシュ計画に基づき、石垣などの整備が進められており、本市といたしまし ても舞鶴城公園周辺整備につきましては、中心市街地活性化策の中で、歴史の見える、風 格あるまちづくりとして進めてまいります。なお、天守閣の建設につきましては、史実の 確実性や市民の機運の盛り上がり等が必要であると考えておりますが、市民の夢、県民の 夢でもありますので、県に対して要望してまいりたいと考えております。
 他の御質問につきましては、関係部長等からお答えいたします。
○企画部長(内藤宥一君) 企画部にかかわります質問2点についてお答えを申し 上げます。
 はじめに、事務事業の民間委託についてお答え申し上げます。
 新甲府市総合計画の着実な推進と激変する社会経済情勢に対応する、簡素で効率・効果 的な行財政運営の確立に向けた本市の行政改革の指針となる新行政改革大綱においても、 民間委託は取り組み推進項目として実施計画に位置づけてあるところでございます。事務 事業の民間委託につきましては、甲府市委託事務の適正化に関する要綱などをもとに推進 してまいりましたが、今後はさらに事業評価制度を構築する中で検討をし、民間委託が可 能なものは推進してまいりたいと考えております。また、民間の技術力、経営力及び資金 力を活用した新たな指標によります公共サービスの提供システムであるPFI方式も、今 国会において審議をされておりますので、これらの推移を見ながら調査研究をしてまいり たいと考えております。
 次に、動物園の移転についてでございますが、動物園の北部地域への移転につきまして は、ことし3月まちづくり委員会の報告書の中で長期計画として提言をされております。 動物園の移転につきましては、過去話題になった経過もございますが、多くの課題もあり まして、今後まちづくり委員会の他の提言とともに研究テーマとさせていただきます。
 以上でございます。
○福祉部長(藤原一三君) 老齢者医療の助成制度についての御質問にお答えいた します。
 老齢者医療費助成につきましては、制度導入以来老齢者の負担の軽減と老人福祉の増進 に努めてきたところでありますが、最近の少子高齢化が進む中で社会保険制度そのもの のあり方が問われており、とりわけ介護保険の導入や医療費制度等の改革が進められてお ります。このため本市もこの老齢者医療につきましては、特に重要施策と位置づけ取り組 んでおりますが、他都市とも比べ高齢化率が高く、財政負担も年々増加の傾向にあります 。また、将来においても老人医療費は増加の一途をたどることが予想され、世代間での給 付と負担の格差等の是正も求められておりますので、今後介護保険導入や老人医療保険制 度等他の福祉制度との整合を図りながら慎重に検討していかなければならないと考えてお ります。
 以上でございます。
○産業振興労政部長(小澤 博君) 産業振興労政部関係の御質問4点についてお 答えいたします。
 まず、レトボンの運営についてでございます。レトボンは中心商店街の活性化などを目 的といたしまして、平成9年8月から甲府駅と中心商店街を結ぶシャトルバスとして運行 している事業であります。乗車人数は年々増加し、成果を上げているところであります。 初年度におきましては、甲府市はバス購入費として2,000万円、山梨県と国が単年度 事業の商店街駐車対策モデル事業として運営経費についてそれぞれ1,000万円の補助 を行ったところであります。平成10年度以降の経費につきましては、商店街大型店によ る負担としております。しかし、不況などの影響によりまして負担金が減収となったため 、経費削減や社内案内テープ、車体、車内掲載広告による収入を得まして、商店街大型店 の負担を減らす方策をとっているところでありまして、今後も商工会議所を中心とした民 間による努力を期待しているところであります。
 次に、千代田湖ゴルフ場の代替振興策についてでございます。千代田湖ゴルフ場代替振 興策につきましては、平成5年、県市の合同によります検討委員会を設置し、検討を重ね てきたところであります。平成7年地元に対しまして土地利用計画を提示し、協議を行っ たところ、係争中の協議は困難であるとの意向が示されたため、行政レベルでの基本的事 項等の検討にとどまっておるところでございます。今後とも裁判経過をも考慮しながら、 地元の協力を得る中で、県・市・地元の三者による振興策の策定に努力してまいる考えで ございます。
 次に、クリスタルライン三富ルートの整備状況についてでございますが、新時代に対応 する観光エリアの創設と合わせて、地域振興及び林業振興に資するため、関係する2市4 町1村でクリスタルライン整備促進協議会を昭和60年に発足し、県北部の三富村から高 根町までの林道、県道、市道、町道を結ぶ北部山岳ルート101.1キロメートルが計画 されました。平成5年5月には、牧丘町から高根町の68.1キロメートルが全線開通し 、県内外の方に利用されておるところでございます。三富村から牧丘町の三富ルートの整 備状況でございますが、33キロメートルの計画中約20キロメートルが完成いたしまし て、残りの約10キロメートルにつきましては、ほとんどが県施工の林道であるために協 議会を通じまして、県に対し早期完成できるよう働きかけているところでございます。
 最後に、マウントピア黒平、帯那山高原牧場等の北部振興計画についてでございますが 、北部山岳地域におきましては、過疎化、高齢化、農林業離れが進行し、地域の活性化や 森林資源の維持の上でも大きな課題となっておるところでございます。これらのことから 、甲府市新北部山岳地域振興計画を策定し、北部山岳地域の特性を生かしました主産業で ある林業の振興や、マウントピア黒平、帯那山高原牧場等の整備を進め、観光エリアの基 地化や市民等の保健休養施設の設置を行ってきたところでございます。これによりまして 、林道沿いへの店舗の開設、就労の確保や観光客の増加等も図られたものと考えておりま す。マウントピア黒平、帯那山高原牧場の管理につきましては、公共的団体に委託してお るところでございますが、今後とも両施設を含めた北部振興策に取り組むとともに、施設 運営につきましても民活導入も含め検討してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○都市整備部長(青野 隆君) 都市整備部関係2点についてお答えいたします。
 まずはじめに、北部地域の道路整備についての御質問ですが、甲府市北部地域には千塚 三丁目羽黒線をはじめ、都市計画道路が4路線計画されております。急増した住宅化に対 して生活環境の改善や交通処理対策をはじめ湯村温泉街の活性化対策として街路の早期整 備が求められております。現在、整備手法及び整備財源等調査、検討しているところであ ります。なお、市道羽黒千代田湖線、通称白山峠の道路整備につきましては、地元自治会 及び沿線地権者の同意と協力を得る中で整備計画延長1,800メートルのうち既に延長 1,400メートルの整備を図ってまいりました。未整備部分400メートルにつきまし ては、沿線地権者に道路整備の必要性と事業への理解を求めてきたところ、ほぼ同意を得 ましたので、本年度も工事を施工してまいります。
 次に、県道甲府昇仙峡線の整備についてですが、当該道路は年間約500万人の観光客 が日本一の渓谷美を誇る昇仙峡に至る幹線道路であります。観光客の増加対策や北部地域 の活性化対策として重要な観光道路と認識いたしております。あわせて地域の主要な生活 道路でありますので、冬季の凍結対策や幅員狭小部の拡幅及び街路灯の設置等、整備改善 を県に対しまして強力に要望してまいります。
 以上でございます。
○教育委員長(遠藤 壽君) 市立幼稚園の存廃問題につきましてのお尋ねにお答 えいたします。
 昨年、幼児教育推進調査研究委員会から市立幼稚園の存続は困難であるという提言を受 け、教育委員会ではさらに関係機関等の意見をも聴取する中で慎重に審議いたしました結 果、
1.羽黒・石田両幼稚園は、地域の幼児教育施設の不足を解消するために開園したもので ありますが、少子化による園児数の減少、そ の後の幼児教育施設の充実により、その先 導的役割は果たせたこと。
2.同一学区からの幼小一貫教育の教育目標も、平成元年の幼稚園教育要領並びに小学校 指導要領の改定により、学区を問わず幼  小の連携が図られたこと。また、市立幼稚園 を開園するにあたり、私立幼稚園協会との園区を「学区に限る」、「3歳児保育をしない」、  「通園バスの運行は行わない」という約束もあり、園児の確保が困難となり園児数の減少 の結果、幼稚園の大きな特徴であります集団 生活の中から主体性や社会性等の態度を身に つけていくという教育効果が望めないこと。さらには平成10年度の市立幼稚園の園児 1 人当たりにかかる経費は 217万円に対し、私立幼稚園の園児1人当たりにかかる公費 負担額は2万2,500円であり、この格差は 約100倍となっていること。
 以上の視点から、廃園を決断したところであります。今後の幼児教育のあり方として、 変革の時代に要求されるさまざまなニーズに合った教育行政を推進するため実施される新 幼稚園教育要領も踏まえ、保護者負担の軽減や私立幼稚園への支援助成の向上に努めるこ とはもちろんのこと、教育委員会に幼児教育専門の担当を設置し、幼稚園教育推進、子育 て中の保護者へのメンタルな面の相談支援、組織的、専門的なバックアップの強化を図り 、公平、公正で健全な幼児教育を推進していくことが、多くの市民や市議会の御指摘にこ たえていくことと考えております。
 なお、廃園後の施設運営につきましても、地域の方々と十分な協議を重ね、地域に貢献 できる方途を講じてまいる所存でございます。御理解と御支援をよろしくお願い申し上げ ます。
○議長(末木隆義君) 飯沼 忠君。
○飯沼 忠君 新政クラブの代表として質問をいたしました。いずれの課題もクラ ブの永年の研究の中で、これからの甲府市政の展開に重要な課題ばかりであります。市長は じめ、大綱に立った方針を示していただきました。答弁内容はクラブへ持ち帰りまして、改め て審査して、今回の議会の審議に反映させてもらいたいと考えております。
 以上で終わります。
○議長(末木隆義君) 次に、新政クラブの一般質問を行います。福永 稔君。
 福永 稔君。

(福永 稔君 登壇)

○福永 稔君 飯沼議員の代表質問に引き続きまして、重複を避けて新政クラブの一般質 問をさせていただきます。
 質問に入ります前に、このたびの市議会議員選挙におきまして、私を再度甲府市議会へ お送りいただきました市民の皆様方に対しまして、心より御礼を申し上げますとともに、 お約束をいたしましたとおり、常に市民の皆様方の立場に視点を置きながら、甲府市政の 諸課題につきましては、勇気ある発言とたゆみなき改革心と、私自身の信念に基づいた行 動をとることを2期目の初心として忘れないことをお誓い申し上げたいと思います。
 また、私の父祖の地であります鹿児島の政治家西郷南洲隆盛は、「幾たびか辛酸を経て 志初めてかたし」という言葉を残しておりますが、私の座右の銘として、議員としての責 務を全うしていく覚悟であります。
 さて、2000年の4月1日にスタートする介護保険法は、現在、政府におきましても 戸惑いを感じ、一部に大幅な見直し論や実施時期の延期を求める意見が出ているところで はありますが、保険給付の可否を決定する要介護認定作業を本年の10月から開始すると いうまさに秒読みの段階を迎えていることは、御承知のとおりであります。しかしながら 、その詳細につきましては、依然として不透明な点も少なくなく、新制度に対する市民の 方々の不安を高めている結果にもなっているのではないでしょうか。
 そこで、私は新制度の実施を前にいたしまして、今何が問題となり、どのようなことが 市民の方々の不安要因となっているのかを整理をしながら、市長並びに当局の基本的な考 え方をただしていきたいものと考えます。
 今定例会でも私を含め5名の議員が質問を予定していることを見ましても、市民の方々 の関心の高さをうかがい知ることができます。御承知のとおり、これまでの高齢者の公的 介護は、税を財源に措置制度に基づきまして運営をされてきたのでありますが、措置制度 の目的は、簡単に言えば、介護を必要とする高齢者の中でも、収入が低く、身寄りのない 人々を中心に行政が実施する介護サービスを提供することにあったわけでありますが、高 齢者が少なく、3世代が同居する伝統的な家族形態が健全であれば、こうした制度もそれ なりに機能したのでありましょうが、今日のように高齢化率が高く、核家族や女性の就業 率が増加をたどる現状におきましては、ただ単に所得や家族構成といった要件のみを問わ れたのでは、多くの家族は重い介護負担に押しつぶされることが明白であります。介護を 必要とするだれもがひとしくサービスを享受できる制度が求められているからであります 。施設やホームヘルパーの数が不足したままであれば、受給希望者を制限せざるを得なく なり、増大する需要を充足させる供給量の確保なくしては問題の解決にはならないのであ ります。新しい制度の創設は、既存の制度の利害関係者にとりましては、まさに既得権の 喪失という痛みを伴っているわけでありますし、理念的には望ましい制度モデルが追求さ れたといたしましても、政治過程におきましては、その痛みを最小限度にとどめるための 利害調整が行われた、まさに政治的妥協の産物にほかならない制度となってしまいまして 、実施してみなければわからないというのが不安要因をつくり出しているのではないでし ょうか。
 そこで、第1の大きな問題点を整理してみますと、容易ではない要介護認定作業が挙げ られます。御承知のとおり、介護保険給付を受けるには、介護認定審査会の判定を経て市 が認定する必要があります。介護認定審査会が訪問調査したおよそ80項目からなる調査 結果だと、かかりつけ医の意見書に基づいて保険給付の可否等6段階の給付ランクを判定 するわけであります。事のつまりは、介護ニーズがあっても、市が認定しなければ保険給 付を受けることもできず、また、要介護度がワンランク違えば数万円の差が生ずるわけで すから、その責務はまさに重大であると言っても過言ではないと思います。
 わけても、認定審査会がその判断の根拠にする訪問調査とかかりつけ医の意見書には、 公正で適正な作業が望まれるわけであります。ところが、これらのうち訪問調査につきま しては、既に2回のモデル事業を実施しておりまして、その結果は、1. 調査に時間がか かり過ぎる、2.調査者によって結果が異なる、3.認定ランクが実際よりも低くなるこ とがある、などの問題点が指摘をされております。
 訪問調査は、市の保健や福祉の職員が申請者の自宅や病院や施設を訪問いたしまして、 申請者の日常生活動作、いわゆるADLなどの項目をチェックするのでありますが、項目 数が多い上、申請者や家族から直接聞き取らねばならないために、ある程度の時間を要す ることは致し方ないことかとも思われますし、熟練によりまして改善は進むものと考えら れております。また、調査者によって結果が異なる点につきましても、1回目よりも2回 目の方が結果の一致率は上がっておりまして、調査内容の改善や調査者の習熟度の向上に よりまして調査の精度が高まるものと期待しているようであります。
 しかしながら、こうした問題の背景には、要介護状態が生活環境やその時々の条件によ って変化し、病気や障害のように客観的に判断することが難しいという点が挙げられてお ります。例えば、身体的な状態は同じであっても、住宅がバリアフリーで設計されていま すのと、そうではない住宅条件で生活するのとでは、生活状態としての要介護度は明らか に異なってくるはずであります。
 よく指摘されますのが、高齢者は他人の前では自己をよく見せようとする傾向が強いの で、調査の場面ではふだんと全く違った積極的な行動をとり、その結果認定ランクが軽く なるといった例もあるようであります。このように要介護状態というのは非常にあいまい なものではありますが、客観的な指標で標準化できないものでもないわけであります。こ の制度をより公正に運営するためにも、より客観的で安定性のある基準を確立しなければ ならず、信頼に足る基準に向かって地道な努力と試行錯誤が必要ではなかろうかと考える のであります。
 次に、大きな第2の問題点でありますが、定まらぬ保険料率と介護報酬単価についてで あります。介護保険法が制定されました当初は、1人当たりの保険料は2,500円程度 と説明をされておりましたが、この保険料は2000年度に見込まれる保険給付額のうち 、保険料で賄われる半分を被保険者数で単純に割った数値と言われておりまして、保険給 付額自体がかなり低く見積られ、その上人件費などの諸経費にも実勢価格が織り込まれず 、今日では妥当性の低い数値になっているとのことであります。また、保険料は給付額の総額だけではなく、個々の介護行為を設定されます介護報酬単価にも左右されるのであり ます。介護報酬単価が高ければ、給付を抑えるか保険料を上げることになるわけでありま すが、介護サービスの質や量が低下すれば、被保険者の不満が高まるので、介護給付を極 端に抑えることは難しいこととなるわけであります。半面、介護報酬単価を低く設定いた しますと、介護給付料を落とさずに保険料を低く抑えることはできますが、サービスの質 を低下させて事業が採算ベースに乗らないといった事態を生じてしまうのであります。新 しい制度では、営利事業者の参入を促すことによりまして、供給量の増大を図ることが意 図されておりますから、低い報酬単価では積極的な参入意欲が低下してしまうことになる わけであります。
 保険料率と介護報酬単価の具体的な額は、いまだにはっきりと示されておりません。先 ほど日本共産党県委員会が四つのケースで3,200円から3,900円という介護保険 料の試算を出されましたが、保険料率と介護報酬単価の関係は、いわゆるトレードオフ、 売り払いの関係にありますために、国民の満足度と負担との折り合いをどのようにしてつ けるのか、政府がいまだ明確な態度をとれないからであります。現在の経済状況では、財 布のひもを固く結んだ国民から高額の保険料を徴収しにくいばかりか、保険給付費の半分 は公費で賄われますので、この財政難の中、公費負担をふやしたくないという事情もわか らないわけではありませんが、満足のいく介護サービスが受けられるのであれば、保険料 は高くなってもよいと考える市民は決して少なくなく、いたずらに財源を小さくして、何 が変わったのかわからない方がむしろ市民の方々の不安は増すばかりではないでしょうか 。
 以上はいずれも介護保険制度の本質にかかわる問題でありまして、方向を一歩誤ると 、制度自体を骨抜きにしかねない問題でもあります。本制度は、さきにも述べましたが、 法案の国会上程から審議の過程でも、保険者イコール市町村案に反対する市町村の激しい 抵抗が続きまして、介護保険法は譲歩と妥協の上に成立した法案でありました。さらには 、利害関係者の不満や反対意見は決して解決したのではありませんし、制度実施の準備作 業と相まって、今新たな争点を生み出しているのではないでしょうか。
 そこで、質問であります。
 第1点目、全国すべての市町村が新制度に対しまして多くの問題を抱えながらも、否定 的な態度を示しているわけではありません。県内におきましても、東山梨行政組合など新 制度を住民福祉の充実を図る好機としてとらえて、積極的に取り組む市町村も出だしてお ります。過日の野中官房長官の発言にもありますように、新制度に対する不安と戸惑いは 政府部内にもあるようではありますが、3期目を迎えまして、静から動への転換を明らか にされている山本市長は、この新制度の実施を直前に控えまして、いかなる基本的認識を お持ちになっているのかをまずお聞かせいただきたいと思います。
 2点目は、また財政規模の小さな町村にとりましては、相当な財政負担となるものと想 定されますし、国や県といたしましても、先ほど私どもの飯沼議員の代表質問にもありま したとおり、広域的な連携による保険料や介護サービスの格差をなくしたい意向と助成制 度を考えているようでありますが、新制度の導入を市町村合併、すなわち中核市構想の推 進機運を高める好機ではなかろうかと考えるのでありますが、今後、新制度を推進してい く過程で、他の町村から広域的な連携を求められた場合につきまして、山本市長の御所見 を先ほどの飯沼議員の代表質問とは重複しない範囲でお聞かせいただきたいと思います。
 3点目は、介護サービスを受けるために必要とされます要介護等の認定に係る審査及び 判定を、市長の附属機関であります介護認定審査会が行うため、本審査会は新制度の中で 非常に重要なウエートを占めてくるものと考えられますが、山本市長におかれましては、 どのような体制により公平かつ公正な対応を図るお考えなのかをお聞かせいただきたいと 思います。  本定例会に本件の定数の条例制定が提案されておりますが、4点目の質問といたしまし て、被保険者の方々の最大の関心事であります介護保険料についてであります。先月の2 8日に山梨県は介護保険事業計画を作成するために、各市町村に対しまして、6月11日 までに要サービス量の推計をとるための指示を出しておりますが、想定で結構ですから、 現時点における当市における保険料がどの程度になるのか、お聞かせ願いたいと思います 。御承知のとおり、現在進行形の状態でありますので、今後どのような手順で、どのよう な手続で、いつごろ市民の方々に御提示ができるのか、わかる範囲で結構ですので、お聞 かせをしていただきたいと思います。
 委員定数の条例制定は、先ほどの山本市長の介護認定審査会に対する追加ということで 御説明させていただきました。
 5点目の質問でありますが、新制度では、営利事業者の参入を非常に期待をしておりま して、いわゆる民間活力と申しましょうか、今月から事業者認定の指定申請が全国の都道 府県にて受け付けられているのでありますが、初年度で4兆8,000億円とも言われる 介護市場でありますが、当市における市場の想定額と事業者の参入数が把握できている範 囲で結構ですので、お聞かせいただきたいと思います。この問題につきましても進行形で あろうかと思いますので、今後の想定でも結構ですので、わかる範囲でお知らせいただき たいと思います。
 6点目でありますが、先ほど福祉部がまとめました98年度の福祉総合相談窓口の利用 状況は、ショートステイ、ホームヘルパー派遣、デイサービスとも大幅に増加傾向にあり ますとともに、ひとり暮らしの方々の生活に対する不安や、痴呆性高齢者を抱える家族の 方々の悩みも年々増加してくるものと考えられますが、介護保険制度の実施により、この ような方々の不安はすべて解消をされるのでありましょうか。
 そして、今日でも200名近い方々が施設への入所を希望して待機をしているのであり ますが、これらの方々に対して、介護サービスをどのように対処されるのかもあわせてお 聞かせいただきたいと思います。
 最後に、介護保険の財源は、65歳以上の第1号被保険者が17%、第2号被保険者が 33%、残りの50%を公費、これは内容的には国が25%、県と市が12.5%ずつと いう内容になっておるわけでありますが、特に65歳以上の方々で1割の利用料自己負担 が不可能となる対象者に対する対策は、どのように考えているのかをお聞かせいただきた いと思います。
 以上、現状では推定の数値や対策しかお示しいただけないかもしれませんが、市民の方 々が非常に不安に感じておられる事項につきまして、山本市長並びに当局のお考えをお聞 かせいただきたいと思います。
○議長(末木隆義君) 市長 山本栄彦君。

(市長 山本栄彦君 登壇)

○市長(山本栄彦君) 福永議員の御質問にお答えいたします。
 介護保険制度の導入についてでございますが、介護保険制度につきましては、寝たきり や痴呆の高齢者がふえる一方で、介護する人も高齢になり、また働きに出る女性もふえる など、家族だけで介護することは難しくなっており、介護はだれもが直面する問題となっ てきております。21世紀を間近に控え、健全で活力ある地域社会を維持・向上していく ためにも、極めて重要な制度であり、本制度は市町村が運営主体でありますので、地域に おける施設整備や高齢者の実態に即して、安定的な介護サービスを提供するシステムをつ くることが求められております。
 昨日の全国市長会におきましても、多くの問題点が指摘をされ、国に対して円滑な運営 が図られるよう何点かの要望も行ったところであります。いずれにいたしましても、市民 、関係諸団体、企業、行政が一体となって、地域全体の要介護者を支え合う制度となるよ う取り組んでまいります。
 次に、介護保険制度の広域的連携についての御質問でございますが、安定した保険財政 を確保しながら、制度の円滑な運営を図る上で、広域的な連携は必要であると認識いたし ております。したがいまして、他の自治体からの要請に対しましては、前向きに対処して まいりたいと考えております。
 なお、各自治体における介護サービス基盤の整備状況の違いによるサービス水準や保険 料の平準化をどのように調整するのかなど、技術的な課題もありますことから、引き続き 調査、検討を進めてまいります。
 他の御質問につきましては、関係部長からお答えいたします。
○福祉部長(藤原一三君) 福祉部に関係いたします5点の御質問にお答えいたします。
 まず、介護認定審査及び判定業務の処理体制についてお答えいたします。本市におきま しては、本年度約5,000人程度の認定申請が見込まれており、現在、この申請者に対 し、公平、公正な審査判定が行えるよう、その準備を進めているところであります。具体 的な対策としまして、まず、介護認定など制度全般にわたり誤解などが生じることのない よう、市民の皆さんの問い合わせや苦情、相談に適時、適切に対応するため、専門員の配 置を本年10月に予定いたしております。また、本市に設置する介護認定審査会の業務を 複数の合議体により運営することといたしまして、総勢81名の委員に判定業務をお願い し、迅速かつ公平・公正な運営に努めてまいりたいと考えております。
 さらには、今年5月に発足いたしました介護支援情報センターには、介護支援専門員の 資格を有する職員を8名配置いたしまして、介護保険制度全般にかかわる専門家として、 より精度の高い訪問調査の実現に向け鋭意取り組んでいるところであります。
 次に、介護保険料の額についてお答えいたします。保険料の額の算定につきましては、 介護サービスの量や介護認定の状況、さらにはサービス水準等総合的に検討を加え、設定 すべきものと考えております。しかしながら、この点につきましては、市民にとって新た な負担が生じることにも配慮し、できるだけ早い時期に明らかにしてまいりたいと考えて おります。
 なお、秋ごろには介護保険事業計画の中間取りまとめを行う予定でありまして、最終的 には来年3月には保険料率が確定することとなりますので、御理解をいただきたいと思い ます。
 次に、介護市場の規模と参入事業者についてお答えいたします。現時点では、介護サー ビスの質、量や介護報酬など不明な点も多く、今後の時間的経過を待たないと解決できな い問題も多く、市場規模につきましては、今のところ予測が立たないのが実態であります 。 また、参入業者数につきましては、山梨県が先ほど実施した事業説明会では、500 事業者の参加があったと報告されており、具体的申請はこの6月末から受け付け予定であ りますが、できるだけ多くの事業者が参入することを期待をしております。
 次に、入所待機者への対応についてお答えいたします。本市における特別養護老人ホー ムへの入所待機者は、現在140名程度でありますが、このうち介護保険サービスを提供 する予定の老人保健施設及び療養型病床群に入所されている方が75%程度となっており ますことから、来年4月の制度移行時におけるいわゆる待機者につきましては、制度上そ の大半が解消されることとなるものと予測をしております。
 なお、在宅で待機されている方が12%程度おられることも考えあわせ、在宅介護を重 視する本制度の趣旨を踏まえ、個々のケースの処遇にあたっては、適切に対応する必要が あるものと考えております。
 最後に、低所得者等への対応についてお答えいたします。低所得者等につきましては、 原則、介護サービスに要した費用の1割が本人負担となっておりますが、現在の水準より 負担増が懸念されております。このため、低所得者等につきましては、災害など一定の条 件のもと、この負担を減免することができることになっております。また、給付率の引き 上げ措置や施設利用における食事負担額の減額などの制度が設けられております。この対 応につきましては、条例等を制定し、明文化をしてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(末木隆義君) 福永 稔君。
○福永 稔君 先ほど市長の答弁にありましたとおり、全国市長会でも非常にいろんな問 題点が指摘されたということで、生々しい御報告をいただいたわけでありますが、本格的 な論議につきましては、いろんな制度の概要が煮詰まってくる9月あるいは12月議会で 本格的な論戦ということで、そちらの方へ委ねさせていただきたいと思うんですが、私な りに考察をしてみますと、介護保険法、私、まだ実際すべては目を通してありませんが、 215の条文だそうです。しかも、その中には政令、省令、条例で定めるという文言がま さに頻繁に出てくるということでありまして、およそ300項目にわたる事項が政省令や 条例で定めなければならないと。これは、本制度は全国一律の制度であるわけであります から、しかしながら、その運営は、それぞれの、先ほど来お話が出ておりますとおり、地 域差のある市町村に委ねられるという非常に相矛盾する方向性を持っている制度ではなか ろうかと思います。それゆえに問題点も大きいでしょうし、これからやってみなければわ からないという問題が出てくるんではなかろうかと思います。
 御承知のとおり、1990年の市町村への措置権限の移管以降、社会福祉行政をめぐっ ては、まさに市町村は改革に次ぐ改革に翻弄されておりまして、措置に基づく市町村の高 齢者介護制度がようやく定着してきた矢先に今回の新制度の発足ということになるわけで すから、1980年代の臨調、それから、行財政改革に始まる地方分権の流れで、権限の 移譲を国庫負担の地方へのつけ回しがセットとなっていると。新制度もこうしたいわゆる 財政負担を市町村に押しつけているものではなかろうかということが基本的にあろうかと 思います。  介護保険制度を導入いたしますと、ちなみに、全体的には5,000億円ぐらいのいわ ゆる浮き分が出てくる。それをどういうように使うかというのがこれからの課題でもなか ろうかと思うのですが、1980年代後半から新制度の設計に着手をしまして、1990 年6月に骨子ができたわけですが、御承知のとおり、当時はバブルのまだ余波が残ってお りました関係上、まだまだ見通しは明るかったわけですが、こんな中で国民の負担増や市 町村の保険運営委員案が決められたわけでして、特に高齢者の負担は年金制度の成熟によ る豊かな老後というものを前提にしてきたわけですが、これらの予見がことごとく崩れ去 ったということが現状の介護保険制度をめぐる実態ではなかろうかと思います。
 市民の方々が最も不安と思っていることは、新聞等でも報道がありますとおり、「保険 あって介護なし」ということでありましょうし、限られた時間の中でこれらの準備を進め ていらっしゃいます当該事務局の職員の方々は、まさに昼夜兼行で大変な御苦労をなされているかと思われます。先ほど来もお話がありましたとおり、試行錯誤を通じてこういう ような新しい制度は徐々に充実をされてくるものと思われますが、ぜひとも私が最後に要 望として訴えておきたいと思うんですが、市民にひとしく公平性を保った制度になること を今回の準備作業の中でも根本的な姿勢としておいていただいて、市長の初日の説明書の 中にもありましたとおり、21世紀は介護保険と地方分権、まさに本当にこれからの甲府 市と市民の21世紀を決める大切な内容でありますことからかんがみまして、大変でしょ うが、ぜひとも福祉部を中心に、当局全精力を傾注して、市長ともども一丸となって、私 ども議会も一生懸命勉強しながら、介護保険制度の単独事業でありますから、大変かとは 思いますが、それなりに充実した制度になるよう研さんに努めてまいりたいと思いますの で、これらを要望して私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○議長(末木隆義君) 暫時休憩いたします。

午後2時25分 休 憩

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午後2時56分 再開議

○副議長(雨宮年江君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 上程議案全部に対する質疑及び市政一般質問を続行いたします。
 引き続き新政クラブの一般質問を行います。野中一二君。
 野中一二君。

(野中一二君 登壇)

○野中一二君  先ほど所属会派であります新政クラブの飯沼議員による代表質問の中で触れていただき ました問題を含め質問させていただきます。
 多くの方に市民の代表たれとここに出させていただきました私でございますが、何せ研 さん中の若輩でございます。質問事項にも不備があるかと思いますが、前向きかつ御慈悲 の念をもちまして御答弁いただくことを期待しております。
 小生、質問は大別して3点でございます。
 はじめに、地域防災対策の質問をいたします。
 悲惨な阪神・淡路大震災が発生いたしましてから既に4年以上の歳月が流れ、ちまたか らは、何となく過去のこととして記憶が薄れかけていることは残念な事実であります。そ の中で、当市におきまして、地域防災計画、別名赤本というものがございます。その活用 につきまして、またその周辺の事項につきまして、質問させていただきます。
 災害時に甲府市はあらかじめ動員計画を策定し、各部局長は動員名簿を市長あてに提出 するように定められています。その書式についても様式指定がなされていますが、確認す るところ、現在に至るまで提出されておりません。これでは9月1日に行われる甲府市総 合防災訓練や8月の最終日曜日に行われる各自治会の主催する防災訓練にも活用できませ ん。また、動員される予定の地域連絡員がだれであるのか、お互いに確認をとることさえ できません。今後の計画についてお答えください。
 現在行われている各訓練は、非常事態を想定して行っているものと認識しております。 しかし、現実には駐車場への車両の入場制限をはじめ避難場所の開放などにつきまして、 訓練のための訓練になっていると言わざるを得ません。せっかく行う訓練ですから、短時 間でよいですから、もっと現実性を持った訓練を行うべきであると思います。例えば、多 少異なりますが、消防法に基づく市庁舎で行う放水訓練につきましては、駐車場を閉鎖し て行っておりますが、いざ放水を必要とする場合は、駐車中の車両を避難させる時間が果 たしてあるでしょうか。当然、交通渋滞や訓練中の不測の事故など、注意を必要とする事 柄は多々あると思いますが、そのための訓練であるべきであります。当局はいかにお考え かお聞かせください。
 次に、災害対策本部の機能につきまして、本部が建物倒壊など本部の機能を全うできな いときは、第1順位といたしまして甲府市総合市民会館があり、第2順位として甲府市立 図書館がございます。しかし、それぞれ現在のところ何も設備がなされておりません。ま た、防災行政無線のバックアップ施設といたしましては、甲府市総合市民会館に第2防災 行政無線局を設置することとなっておりますが、これにつきましても、ワーキンググルー プで決定してから既に数年が経過しております。耐震構造が確認されていない庁舎の中に あることが、これが既に問題であります。これは当庁舎の3階にあります防災行政無線局 についてでございますが、この際、甲府駅北口にあります甲府中央消防署に隣接し、仮設 構造でもよいので、防災対策課ともども移転するような仮処置が施されるというのはいか がでございましょうか。これは当然期限限定の上、市民会館などの基地をきちんと設置す るということを前提として行うことであります。同時に、防災課の備品といたしまして、 阪神・淡路大震災に大活躍いたしました移動情報通信システム、これはモバイルと呼ばれ ているシステムと呼ぶほどのものでもない非常に簡単なものでございますが、このような ものと、それからデジタルカメラ、この程度のものは、被災地からの的確な情報収集を図 るためにも、装備品として最低2セットは配置しておく必要があるのではないかと思いま す。
 また、現在の、特に山間地を抱える北部地域の消防団の消防車両につきましては、四輪 駆動化を進めるなど、災害に対しましては、日ごろよりしっかりとした準備をすることが 肝要かと存じますが、災害非常時に中心となって活動する市職員の防災啓蒙活動、それな どを含めまして、ソフト面、ハード面、それぞれの対応につきましてお答え願います。
 二つ目の質問でございます。新都市拠点整備事業に対する質問です。
 この事業につきましては、平成元年1月、市制百周年を迎える甲府市が、21世紀に向け ての重要課題の一つとして、県とともに検討してきた事業として、地元の方々に説明会を 開いたところから始まります。その折、施行区域、工事期間、かかる予算とともに地元の 方々にはまさにバラ色の計画として説明をした経緯がございます。
 当事業は改めて説明するまでもなく、甲府駅を中心とした拠点づくり、これを街並み・ まちづくり総合支援事業とし、基盤整備を土地区画整理事業で行い、あわせて新都市拠点 整備事業として大臣承認を受けて行っている事業でございます。しかし、現在に至るまで 、国内で最も進まない区画整理事業の一つであるということで、去る4月の25日、皮肉 にも統一地方選投票日にテレビ局で全国放送が行われております。幸い、県内にはネット 局がほかの番組を放送いたしましたので特に問題とはなっておりませんが、県外の友人か らは皮肉な電話が多数かかってまいり、その日を境とした小生の身分についても明らかに することができず電話を切った次第であります。また、呼応するがごとく、ジャパンタイ ムズ社からも取材が参りまして、誌面の中で取り上げられております。
 しかしながら、当事業は、先ほど市長もおっしゃいましたとおり、県都甲府の顔をつく り上げる再開発事業の中心的な位置づけを持った事業であります。数々の問題を解決する 糸口的な性格を持った事業であることは言うまでもありません。ましてや地元住民に至っ ては、非常に協力的な北口地区区画整理推進委員会という会を発足させ、その期待度は大 いなるものがございます。当初説明会開催から既に10年の歳月が流れた現在、既にバブ ルという言いわけは死語になり、当然、民間企業であれば事業の見直しや廃止といった議 論が出ているのが当然でございますが、当市におきましては、この歳入不足の事態に対し まして、いかなる手だてを講じているのでしょうか。  私が申し上げるのは、現在進行している行政改革では何かもどかしさが残ってしまい、 もっと具体的な収入の増加、税収でなく、例えば企業会計で言う運転資金の増加、つまり 遊休不動産の処分であるとか、原価率の一層の低減による事業収益の向上とかをいたしま せんと、タックスペイヤーたる市民の信頼を得ることができないのではないかと思います 。くつろぎと安心が与えられるはずの我が家が、次第に朽ちていくのに何も手が出せず、 ひたすら計画の推移を待っている姿は、決して他人事ではなく、テレビを見ずともふんま んやるせないものがございます。
 過日は、北口地区区画整理推進委員会のメンバーが市長と面会し、要望書と1万2,7 43名の署名を渡し、市長から前向きな予算に対する回答が得られたと聞き及んでおりま す。その前向き回答に対しての具体的な事業に対する資金部分を含めた内容と裏づけをぜ ひ提示していただきたいと思います。
 次に、アーバンスタディ構想が進行しながらシビックコア計画が浮上するなど、庁舎内 の意思の疎通が十分に図られていないとしか考えられない発言や意見が、この新都市拠点 整備事業を通じて相まみえてまいりました。もっと大局的な見地に立ちまして将来を見据 え、来るべき2000年に向けた計画も残された日はあとわずかになりましたが、これを 機会に庁内において部局の枠を超えた総合企画事業としてのチームづくりなど、コンセン サス部分を加え10年目の見直しを含めた新たな視点をはっきりと明示していただきたい と思います。  続きまして、甲府市立小中学校適正配置問題について質問いたします。
 甲府市における市立小中学校の適正規模、適正配置につきましては、設置された審議会 の最終答申が出された平成9年8月以降、現在においてもその具体的な方針が教育委員会 をはじめとする行政サイドから提示されずに、ただ日にちが経過しております。この間、 「いろいろな課題をフィルターにかけ、シュミレーション化して把握しているのが現状で ある」という教育委員会からの発言が過去にありましたが、これ以外の具体的な発言がな されていないといたしますと、具体策を提示するために設置され、検討を繰り返してきた 審議会というものの果たす役割は一体何であったのか、という素朴な疑問が出てくること は否めない事実であります。
 一部では、京都方式であるとか、いろいろな意見が出されてきておりますが、少なくと も教育的見地に立った基本的な教育委員会としての態度は明確にするべきではないでしょ うか。ましてやほかの市ではなく、当甲府市におけるさまざまな問題を抱える中において は、甲府市教育委員会としての基本的な態度表明は毅然とした態度をもって行うべきだと 私は思います。
 大局的なまちづくりとしての学区再編並びに適正配置は、当然、跡地の利用であるとか 、統合学校の建設であるとか、いろいろな行政担当部局の意見や、それこそ市民の意見を きちんと反映させたしかるべき長期計画が必要になると言えますが、今最優先で行わなけ ればいけないことは、次の甲府を担う子供たちに、いかにして現在考えられる最高の教育 を提供してあげるか、そうすることが今考えられる一番の問題だと私は考えております。 クラスがえができないようならまだしも、同一学年で集団球技ができないとか、同一学区 内でのスポーツ少年団の構成さえ怪しいとか、そのようなことでは、ますます進む少子化 に対してただ指をくわえて見ているだけで、市民からの痛烈な批判に対し、行政のなせる 責任範囲を逸脱したスローテンポな動きであると言えるのではないでしょうか。
 よく「行政の動きはハードウェアが先行する」といった批判めいた格言に惑わされるこ とがありますが、このような格言に惑わされることなく、まず今ある教育施設を最大限活 用し、子供たちがお互いに切磋琢磨し、甲府市で育ってよかったと胸を張って言い切れる ような学習環境の整備を推進すべく、市立小中学校適正配置問題に一つの指針を明示して いただきたいと思いますが、市長の見解はいかがなものでございましょうか。
○副議長(雨宮年江君) 市長 山本栄彦君。

(市長 山本栄彦君 登壇)

○市長(山本栄彦君) 野中議員の御質問にお答えいたします。
 新都市拠点整備事業の推進についてでございますが、この事業は甲府駅周辺の大規模空 閑地を利用して、ゆとりとうるおいのある都市拠点を整備するため、先ほどお話ありまし たように、平成元年に事業着手いたしたわけであります。しかしながら、この拠点形成施 設につきましては、今日の社会経済状況によりまして、公共施設をはじめ民間活力の導入 や施設整備も具体化するまでには至っておりません。したがいまして、飯沼議員にお答え いたしましたように、今後は一部事業の見直しを含め、総合的に検討していく必要がある と考えております。
 一方、基盤整備を図る土地区画整理事業につきましては、原価保証金での土地取得を終 え、現在、仮換地に基づく家屋等の移転事業と道路等の整備事業を行っております。関係 地権者の協力や要望に一部こたえられない状況にありますが、事業推進に協力していただ いている地権者との関係を大切にし、より連絡を密にして地権者の生活に支障のないよう 努めながら、期待にこたえるよう努力をしてまいりたいと思います。
 他の御質問につきましては、関係部長等からお答えいたします。
○企画部長(内藤宥一君) 企画部にかかわります質問にお答えを申し上げます。
 シビックコア計画についてですが、シビックコア地区整備制度は、国の官公庁施設と民 間施設を共同一体的に整備し、魅力と賑わいのあるまちづくりを行うため、国と歩調を合 わせて推進する事業であり、国の官庁施設整備10か年計画にも盛り込まれている事業で もございます。本市では平成8年度からこのための基礎調査を行っておりますが、現段階 では省庁再編等にもかかわる問題でもありますので、今後、国の動向を見ながら拠点形成 施設用地を含めまして、調査、研究を進めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○財政部長(塚原茂達君) 防火訓練についてお答えを申し上げます。
 市庁舎の防火訓練は、自衛消防隊の火災に対する初期消火訓練と来庁されている市民及 び職員の避難誘導訓練等を目的として、毎年11月に実施をしているものでございます。
 防災訓練、防火訓練とも緊急時に想定されるあらゆる問題に的確に対応できる態勢と、 初期行動のあり方を体得するためのものであります。できるだけ実情に合った訓練が実施 されることが理想であります。しかしながら、防火訓練は限られた時間内で効率よく実施 する必要性があります。おのずから訓練内容にも制約がございます。今後、より効果的な 訓練が実施できますよう、訓練項目等について検討を加えてまいりたいと考えております ので、御理解をいただきたいと思います。
○地域振興部長(末木義一君) 地域振興部にかかわります2点についてお答え申し上げ ます。
 はじめに、災害時における動員計画についてでございますが、大規模地震等災害が発生 したときに、的確かつ迅速に対応し、市民の生命及び財産を災害から守ることを目的とし て、本市では甲府市地域防災計画を作成しております。
 御指摘の動員計画につきましても、地震発生時の災害応急活動が的確に実施できるよう 定められております。また、地域連絡員を含む初動態勢職員の職員名簿は既に作成されて おりまして、毎年8月最終日曜日に各地区で行われます訓練に活用しているところでござ います。今後は、甲府市災害対策本部編成表に基づく動員計画及び名簿の作成を行い、災 害発生時の配備態勢に即応できるよう万全を期してまいります。
 次に、災害対策本部の機能等についてでございますが、災害発生時に災害対策本部の建 物が損壊等により被害を受け、本部機能を果たせなくなった場合の対策としまして、第1 順位に総合市民会館、第2順位に市立図書館に本部を設置することとなっております。総 合市民会館の設置場所につきましては、電話30回線の設置が可能となっております。あ わせまして防災行政無線のバックアップ施設として第2防災行政無線局を設置することが 新総合計画の中で位置づけられておりますので、その推進を図ってまいりたいと考えてお ります。
 御提案の中央消防署隣接地への防災無線局の移転につきましては、検討課題とさせてい ただきたいと思います。
 移動情報通信システム、デジタルカメラの装備、山間地における消防団車両の四輪駆動 化につきましては、今後総合的に検討してまいります。
 また、職員への防災啓蒙活動につきましては、各種防災訓練への参加、職員研修等の実 施により、防災意識の高揚を図りまして、災害時に速やかに対応できる態勢を整えるよう 努めてまいります。
 以上でございます。
○教育委員長(遠藤 壽君) 甲府市立小中学校適正配置問題についてのお尋ねにお答え 申し上げます。
 甲府市立小中学校の適正配置につきましては、平成9年8月に甲府市立学校適正配置審 議会から最終答申を受け、その後、答申内容の分析や問題点の整理を行うとともに、学校 区に基礎を置く各種団体、機関の調査、答申内容を受けてのシュミレーション等、教育的 見地から分析、検討を進めてまいりました。しかしながら、学区の再編や学校の適正配置 はもとより、学校教育ばかりでなく、自治会活動など市民生活に多大な影響を及ぼすもの であります。したがって、本年度は市民の積極的な参加が得られるよう、現状等について 情報提供を行うとともに、児童数の少ない中央部関連地域の学校区ごとに自治会関係者、 諸団体の方々が十分意見交換のできるような場の設定を進めながら、地域の皆さん方の機 運の醸成を図ってまいる所存でございます。御理解を賜りたいと思います。
○副議長(雨宮年江君) 野中一二君。
○野中一二君 ただいまの市長及び各担当部局の方々からの御慈悲あふれる御回答に対しまして、非常に感謝いたします。
 ただ、その中でもう少し、特に先ほど私が区画整理の問題で申しましたように、庁舎内 を横断的に集合できるような組織づくり、そういうものが今後非常に問題になってくるし 、課題になってくると思います。ぜひそういう横断的な組織をつくっていただいて、一つ のものに取り組んでいただき、今まさに市長が進められています行政改革の一端といたし まして、ライン組織ではないスタッフ組織というふうな形のものも検討の中に加えていた だくなら幸甚と思います。
 本日の質問を終わらせていただきます。
○副議長(雨宮年江君) お諮りいたします。
 本日の会議はこの程度にとどめ、延会いたしたいと思います。これに御異議ありません か。

 (「異議なし」と呼ぶ者あり)

○副議長(雨宮年江君) 御異議なしと認めます。
 よって、本日の会議はこれをもって延会することに決しました。
 本日はこれをもって延会いたします。

午後3時20分 延 会