第4章 第4節 〜見おろす山々、見あげる地球〜
                              甲府市と地球環境保全
4.酸性雨防止
 
【現況】
◆酸性雨の概要
 酸性雨とは、工場や自動車から大気中に排出される硫黄酸化物(SOx)や窒素酸化物(NOx)が雨の中に溶けてpHが5.6 以下の酸性になって降ってくる雨をいいます。
 北米やヨーロッパでは、湖沼、森林、遺跡などへの影響が早くから問題にされ、「長距離越境大気汚染条約(1979年)」が締結され、原因物質の排出削減および共同監視プログラムが進められています。
 日本や中国を含む東アジア地域においても、経済成長に伴い硫黄酸化物、窒素酸化物の排出量が増大し、酸性雨問題が発生しています。
 酸性雨の問題の特徴は、大気が気流に乗って常に移動しているため、原因の発生地帯と被害を受ける場所とが異なることにあります。
 自然が豊かな甲府市においても、気流に乗ってやって来る酸性雨の発生が見られるようになってきています。
 
◆酸性雨の状況
 市内では平成5年度から酸性雨調査を行っています。酸性雨は観測されていますが、平成13年9月末までに県内および市内では、酸性雨についての大きな被害は報告されていません。酸性の度合いを示すpHの最低値は、ここ数年でほぼ同程度の値となっています。
 県内での平成12年度の夏期調査によると、県内の低地・盆地地帯一帯でpH4.4〜3.9程度の酸性度の比較的高い酸性雨が観測されています。市内および市周辺では、pH5.1〜6.2程度の酸性雨が観測されています。
県内に降った雨の酸性度
【図:県内に降った雨の酸性度】
出典:山梨県ホームページ(山梨県環境科学研究所)
 
【今後の課題】
 市の中央部から南部にかけては工業団地などが立地し、また中央自動車道とのアクセス拠点があるため、酸性雨の原因となる工場や自動車等の排ガスの発生する量が多いと考えられます。
 特に、自動車排ガス発生量は、市内で今後増加することが予想され、酸性雨をもたらす原因となる可能性があります。低公害車導入の促進や交通量抑制など、自動車排ガスの削減、クリーン化の指導、啓発を徹底する必要があります。また、市内の工場からの排ガス中の硫黄酸化物や窒素酸化物も削減するよう指導を徹底する必要があります。
 市内では現段階で酸性雨の大きな被害の報告はないものの、酸性雨自体は近年観測されています。周辺の市町村では、より酸性度の高い酸性雨が観測されています。気流や気象条件によっては、市域外の工場や自動車排ガス等が原因となり、市内で酸性雨となり被害を受ける可能性が今後予想されます。周辺市町村、県等の関係機関と連携し、酸性雨の監視体制を強化する必要があります。