「紅梅」とは、江戸時代の駄菓子に端を発するとされる甘い小麦せんべいで、甲府ではメジャーなお菓子。そして、甲府の人々が「あそこの紅梅はほかと全然違う」と口を揃えるのが、竹川菓子店のかすてら紅梅¥300(税込)です。その名の通り、ふっくらした厚めの生地で、味わいはまさにかすてら。なつかしい風味で、ひと口食べたらグッと来ます。このかすてら紅梅を手作りしているのが、竹川徳子さん。亡くなったご主人が昭和30年頃に作り始め、ご主人亡きあとは徳子さんが引き継いで作り続けているそう。人気のため午前中で売り切れることも多く、取材中も近所の人がひっきりなし。「心をこめて、愛情をこめて。特別な材料は使ってないですよ」(竹川さん)。
甘い香りが漂う作業場。仕込みは毎朝6時頃から。生地をのばして型抜き後、鉄板で焼き上げます。午前中いっぱいかけて50袋分ほどを作るそう。
無添加なので、できたての味でおいしく食べられるのは3日間、長くても1週間程度で食べ切るのがおすすめとのこと。その日に食べ切れる分だけをこまめに買いに来るというお客が多く、ご近所さんがうらやましい限り!
昭和ムードたっぷりなたたずまい。左が竹川徳子さん、右は作業や店番を手伝っている中沢恵子さん。
確かにここの紅梅はほかとは別物です。焼きたてほやほやの紅梅を試食させていただいたのですが、アツアツでまだかなりソフト。でも夢のようにおいしくて大感激でした。
TEXT: YUMIKO FUKUI PHOTO: NAO SHIMIZU