昭和53年3月甲府市議会定例会会議録第1号

                午後1時05分 開会

○議長(小林淳光君) ただいまより昭和53年3月定例会を開会いたします。

 これより本日の会議を開きます。

 報告事項を申し上げます。

 本定例会に提出する議案につき市長から通知がありました。

 提出議案は議事日程記載のとおりでありますから朗読を省略いたします。

 次に、市長から議会に報告すべき事項である報第1号専決処分が提出されました。

 右はお手元に配付いたしてありますので御了承願います。

 次に、議長の元に請願5件、陳情6件が提出されました。

 右はお手元に配布いたしてあります請願陳情文書表により御了承願います。

 次に、昭和52年9月及び12月定例議会において採決された請願並びに陳情についてその処理の経過及び結果の報告がありました。

 右はお手元に配付いたしてあります報告書により御了承願います。

 次に、監査委員より昭和52年度第1回定期監査報告書が提出されました。

 右はお手元に配付いたしてあります報告書により御了承願います。

 次に、昭和53年1月30日から2月14日までの間、県下、全国各市議会議長会関係の会議が開催され、副議長及び随員とともに出張いたしました。それぞれ会議の概要につきましてはお手元に配付いたしてあります報告書により御了承願います。

 次に、伊藤常八君、小沢綱雄君は一身上の都合により三井五郎君は病気療養のため17日まで、丸山都市開発部長、山本教育次長、赤羽病院長は病気のため本日それぞれ欠席する旨届け出がありました。

 以上で報告を終ります。

 これより日程に入ります。

 日程第1、会議録署名議員の指名を行います。

 会議録署名議員には、会議規則第176条の規定により、
  内藤源一君
  柏原保幸君
  堀込徳一君
を指名いたします。

 次に日程第2、会期決定についてを議題といたします。

 お諮りいたします。

 今期定例会の会期は招集の日から3月30日まで21日間といたしたいと思います。これに御異議ありませんか。

 (「異議なし」と叫ぶ者あり)

○議長(小林淳光君) 御異議なしと認めます。

 よって今期定例会の会期は21日間とすることに決しました。

 次に、日程第3 議案第5号から日程第51 議案第53号まで49案を一括議題といたします。

 市長から提案理由の説明を求めます。

                (市長 河口親賀君 登壇)

○市長(河口親賀君) 本日、昭和53年3月市議会定例会が開催されるにあたり、本議会に提案いたしました甲府市新総合計画の基本構想について申し上げますともに、併せて、昭和53年度における市政運営の方針と予算の大要について御説明申し上げ御理解と御協力を賜わりたいと存じます。

 最初に、新総合計画について御説明申し上げます。

 本市におきましては、去る昭和45年9月、日本経済が高度成長を遂げつつあった時期に新全国総合計画、首都圏整備計画などによる大型国土利用計画および山梨県長期総合計画に対応して長期総合計画が策定されました。

 その後、社会情勢や経済情勢に急激な変化がもたらされ、計画の内容を修正する必要が生じましたので、私は、昭和49年度を初年度とする長期総合計画の改定を決意し、その準備に入ったのでありますが、御承知のように、オイルショックに端を発した世界経済の混乱が、わが国経済にもパニック症状をもたらし、この時期に長期展望にたっての経済予測を行うことが困難な状態になりましたので長期計画の策定を断念し、当面の行政執行方針として昭和49年度から昭和53年度に至る5ヵ年間の中期市政執行方針を策定して行財政施策の運営に対処してまいったところであります。

 中期市政執行方針において私が明らかにした基本的な施策は、それまでの高度経済成長政策の遂行と、科学技術の急速な発達によってもたらされ自然破壊、公害、交通問題、過密過疎、さらには人間性の喪失、人間疎外等の現象のなかで失われた人間性の回復と生活環境の整備をはかることを主眼としたものでありまして、この考えに基づいて福祉、教育施策をはじめ、住宅、公園緑地、道路、河川、上下水道施設などの施策を推進し、「人間尊重・生活優先」市政の確立をはかってまいりました。

 この間、わが国の経済事情は、昭和49年に戦後初めてのマイナス成長を記録したのを機に低成長時代に入って、民間設備投資の沈静や個人消費の低迷が続き、雇用情勢の悪化、物価の高騰、内需の不振を連鎖的に引き起こし、さらに加えて貿易収支の不均衡問題等が生じ、国民生活に大きな不安をもたらしており、地方公共団体においては、都市化の急激な進展が都市施設の立ち遅れをもたらし、これらの整備充実が焦眉の急としていそがれてまいり、かつ、市民が行政に期待するものも増高してその内容も極めて複雑多様化を来たしております。

 私は、限られた地方財政のなかで行政運営の適確を期するためには、できるだけ早い機会に総合計画を策定し対処してまいらなければと考えておりましたが、近時、とくに甲府刑務所の移転とその跡地を中心とした東部地域開発事業、さらには上、下水道の整備拡張事業、荒川ダムの建設事業など本市将来の発展にとって極めて重要な意義をもつ大型プロジェクトが相ついで計画執行の段階を迎えておりますので、これらの事業の推進とともに、行財政運営の総合的かつ計画的な執行をはかってまいることの必要性を痛感いたしましたので、昭和53年度を初年度とする10ヵ年の新総合計画を策定することといたしました。

 以下、新総合計画を策定するに当っての私の基本的な考えを申し述べたいと存じます。前段においても触れましたように、私は、就任以来「人間尊重・生活優先」市政の推進を私の政治信条として、今日までの市政を担当してまいりました。私は、この基本理念を現在はもちろん将来においても、いささかも変えることなく堅持してまいります。したがいまして、新総合計画を策定するに当りましてもこの基本理念を計画の主要な柱として、市民のいのちとくらしを守るために本市が将来進むべき方向をいかに目標づけるかについて、あらゆる階層の市民からの幅広い願望と期待を結集して基本構想の方向づけをおこなうこととしました。総合計画はまちづくりの基本であります。したがって、この計画に盛られる施策の基本は、すべての市民のコンセンサスが得られるものでなければなりませんし、同時にまた多くの市民のニードを充たすものでなければならないと考えます。その意味におきまして、今回、計画の策定にあたっては、無差別抽出による市民3000人からのアンケート調査、市民から直接意見を聴く会、学識経験者からの提言を聴く会などを実施して率直な意見を聴き、また、職員の積極的な参加をはかるため、市の組織をあげてこの問題に取り組むとともに、さらに公聴広報活動等を通じまして、あらゆる市民の声が計画に反映できるよう努力してまいりました。

 また私は、現在さまざまな形で畜積されている都市の諸問題を能率的に解決し、多種多様の市民要望を充足してまいるためには、これらの事務事業について、目標年次における一定の水準値をあらかじめ定めておき、それに到達するための施策を計画的に実施していくことが必要であると考えましたので、山梨大学教授など専門家の協力を経て「市民が快適な都市生活を営むうえの最低の生活基準」つまり「甲府市シビルミニマム」を策定いたしました。そしてこの基準数値ならびに世論調査などにより市民が期待する都市づくりを基調にして昭和62年度における本市のあるべき姿を描き、これにアプローチするための基本的課題と施策の方向を総合計画に明示してまいることとしたものであります。私は、以上の基本姿勢と考え方を甲府市総合計画審議会にお示しいたしまして、策定の基準となるべき事項についてお諮りいたしましたところ、去る2月27日に御答申をいただきましたので、これら審議の結果をふまえて新総合計画の基本構想を策定し、目標年次までに到達する都市像を「うるおいの心でむすぶ私たちのまち・甲府」と設定したものであります。そして、この都市像に到達するためのまちづくりの努力目標として
 1、しあわせと健康のまちづくり(福祉の向上)
 2、こころ豊かなまちづくり(教育文化の振興)
 3、住みよい環境のまちづくり(生活環境の整備)
 4、魅力と活力のまちづくり(産業の振興と都市基盤整備)の4項目を定めて実践の指標としたものであります。新総合計画における策定の大綱等につきましては、議案第5号「甲府市新総合計画の基本構想設定について」のなかで明らかにしてございますが、私は、この基本構想を今後の市政運営の指針といたしてまいりますが、その実現にあたっては市議会の御指導、御協力をはじめ、国、県の積極的な御指導と御援助、さらに民間企業および幅広い市民の深い御理解と御協力をいただくと同時に、本市みずからといたしましても、私を中心に全職員が一体となってこれにあたり、最善の努力を払ってまいる所存であります。なにとぞ今後いっそうの御助力を賜わりますようお願い申し上げます。なお、この機会に今回の計画策定にあたりまして特段の御助力を賜わりました総合計画審議会委員ならびに、シビルミニマム研究委員会の方々をはじめ、関係者の皆さんに対しまして深甚なる敬意を表し、厚くお礼申し上げる次第であります。

 次に、昭和53年度における市政運営の方針と予算について、その大要を御説明申し上げます。昭和53年度は、新たに策定する総合計画の初年度であると同時に、さきに策定した中期市政執行方針に基づく根幹事業計画の最終年次にもあたるわけでありますが、さきほど申し上げましたようにこの二つの計画の基調となる理念については差異があるものではありませんので、中期市政執行方針に基づいて執行されてきた諸施策は、新総合計画において定められるさらに高い目標に向ってより広く、より具体的に整備充実してまいることになります。新年度の予算は、この考え方に基づいて中期市政執行方針と新総合計画との関連を性格づけ、新総合計画における基本目標を展望しながら中期市政執行方針の総括を行なうことを前提として編成を行なったものでありますが、とくに新年度では経済成長率7パーセントを達成させるために国が例年にない大型公共事業予算を編成し臨時異例の措置として、公共事業費の増大をはかってまいりましたので、本市におきましても財政の健全性を失なわないよう十分に配慮しながら義務教育施設下水道、道路、地方病溝きょなどの事業を効果的に取捨選択して事業量を伸ばし市民の生活環境水準をこの機会にいっそう高めてまいることとしたものであります。

 以上の方針に基づき、重点目標を「福祉の向上」「教育文化の振興」「生活環境の整備」「産業の振興と都市基盤の整備」において編成を行ないました結果、予算の規模は一般会計が202億140万3000円、特別会計が185億6,701万円、合計387億6,841万3,000円となり、昭和52年度当初と比較いたしまして、一般会計が25億1,655万6,000円の増で14.23パーセントの伸び、特別会計では、27億7,394万5,000円の増で17.56パーセントの伸びとなり、合計では52億9,050万1,000円の増で15.80パーセントの伸びとなっております。

 以下、順次、重点施策につきましてその概要を御説明申し上げます。まず第一に「福祉の向上」について申し上げます。私は、今日まで常に福祉優先を市政運営の基調としてまいりましたが、不況が長びけば長びくほど恵まれない人々や生活不安を来たす人々のくらしは大変であり、こういう時にこそ行政が果すべき役割は重大でありますし、同時に全市民の連帯がより強調される必要があります。その意味におきまして、私は、この際すべての市民の協力を得てボランティア精神の醸成とその活動の強化育成を目ざしてまいりたいと考え、活動の中心となる社会福祉協議会に対する助成を強め、奉仕活動の普及をはかってまいりたいと考えます。老人福祉につきましては、老人の健康管理面に重点をおいてまいりたいと考え、老人健康審査のための費用および健康リング製作費等を増額し、医療費助成につきましても7億7,000万円余を計上して対処してまいります。このほか、いきがい対策としては、老人クラブ助成費、福祉センターの運営費、へいりん荘委託料等を充実するとともに、憩の家整備のための補助金も引続き計上し、敬老祝金の引上げなど敬老の日の事業をも充実してまいります。一方、ねたきり老人家庭につきましては、愛のベル、寝具乾燥、入浴奉仕などのほか、新たに福祉電話を設置して生活不安の解消をはかってまいり、施設収容者の措置につきましても万全を期してまいります。

 児童福祉につきましては、公立5施設私立27施設の保育所における措置内容の充実をはかるとともに、引続き私立保育所の施設整備の助成を行なうほか、新たに公立保育所建設用地を西部地区に取得するため、債務負担行為の設定を行ないました。このほか、身体障害者および身体障害児対策といたしまして、福祉モデル都市事業に基づく施設改良等の推進、身体障害者家庭への福祉電話の設置、幸療育園の運営方針を改めて実習ホーム的施設とするための調査研究、母子家庭児童手当の引上げなどきめ細かい施策の推進をはかってまいります。

 次に保健医療対策事業につきましては、病院事業におきまして施設整備の万全を期してまいるため、昭和52年度に実施した外来棟改造に引続き、病棟改装、手術室改造、消防施設の整備等を行なって、市民の医療サービスに万全を期してまいります。また、救急医療体制につきましては、医師会と協調してこれを充実するほか、千代田地区の飲料水確保対策にも積極的に取り組んでまいります。地方病溝きよ建設事業につきましては、寄生虫予防法に基づく溝きよ建設計画にかかる補助対象年度が昭和53年度をもって終結いたしますので、現在、関係機関を通じてその期間延長を要望いたしているところでありますが、諸般の事情と後年度における単独事業費負担等を考慮し、この際、思い切って事業量を伸ばすこととし、延長1万9,500メートルにおよぶ施工事業費を計上したものであります。

 交通安全対策事業といたしましては、交通環境整備のための施策として、新たに生活関連道路などに市単独負担によるカーブミラー50基の設置を行うほか、婦人交通指導員による安全指導の徹底をはかってまいります。交通災害共済事業におきましては、会員である父または母が交通事故で死亡した場合にその遺児に対して支給する交通遺児給付金制度を新年度から実施してまいります。

 そのほか、勤労者福祉のための施策、消費者保護のための施策、防災対策のための施策につきましても、積極的に推進をはかってまいります。

 次に、第二の「教育、文化の振興」について申し上げます。すべての児童、生徒が時代の進展に即応する基礎学力と民主的実践力を身につけ、心身ともに健やかな成長を期することは学校教育の基本であります。そのためには、学校における教育環境の普遍的な整備充実が必要であります。新年度は、老朽度の高い山城小、伊勢小を前年度に引き続いて改築するとともに、新たに湯田小の改築に着手することといたしましたほか、学級増の羽黒小、石田小の増築を行い、さらに甲運小の屋内運動場、南中および石田小のプール、相川小、富士川小、山城小の給食室改築をも一挙に行なって施設全般の整備をはかってまいるとともに、(仮称)西部小学校、(仮称)北西中学校の建設用地を債務負担により確保してまいります。また、教育内容の充実に資するための教材教具につきましては、整備5ヵ年計画最終年度の所要経費を計上するほか、昭和54年度以降においても引続き教材教具および学校備品等の整備充実をはかってまいるため調査研究を行ってまいります。

 学校給食につきましては、保護者負担の軽減をはかるため、昭和52年度から給食用燃料の公費負担を実施いたしておりますが、新たに、宮本小、能泉小、千代田小などの遠隔地域に対する給食物資配送費用を公費負担にするとともに、学校給食会運営費の助成などを充実することによって新年度における学校給食費の改定を抑制することといたしました。また、家庭的に恵まれない児童、生徒に対する就学援助につきましては、その該当基準を明確にし、これに対応する予算計上を行いました。そのほか、小、中学校図書館司書に対する補助金を増額し、学校防災対策といたしましては、小学校高学年および中学校用の防災副読本の作成や防災備品を整備して児童、生徒の防災意識の啓発をはかってまいります。また、未熟児網膜症などによって視力障害のある児童の普通小学校入学問題につきましては、現在、法の趣旨と教育現場の実態とを巡って論議がありますが、これら障害児に対する教育と福祉のあり方およびその接点について真剣に検討する時期にあると考えますので、教育、医学、児童心理学などの専門家にお願いして調査研究していただく方針であります。高等学校教育につきましては、商業高校の施設整備が完了いたしましたので、今後は、教育内容の充実に努力してまいります。また、家庭の事情等により働きながら高校教育を受けている定時制高校の生徒の勉学を奨励するため、新たに教育活動費の助成措置を行ってまいります。また、私立幼稚園児に対する就園奨励補助金につきましても新年度より現行に対して36パーセントの増額を行ないました。なお、高等学校の授業料および公立幼稚園の保育料につきましては、地方財政計画におきましてもその適正化をはかるため見直しを行う時期にあるとされておりますが、不況時における保護者負担を考慮して、新年度におけるこれらの引上げは行わないことといたしました。

 次に、市民が生涯教育を通じて教養を深め、社会環境の変化に即応する実践的な人間形成を目指すための社会教育事業につきましては、社会教育センタ活動、公民館活動、図書館活動の効率的な活用をはかってまいるとともに、市民文化の幅広い高揚をはかるために、地域文化協会の設立促進や芸術文化サークル部門の育成などを甲府市文化協会と協調して推進してまいります。また、歴史的文化遺産の保存をはかるため、東光寺12神将像に対する補修費助成等を行ってまいります。社会体育につきましては、スポーツ人口の増加に伴い市民のスポーツ活動が広まってきておりますので、この際、全市民的なスポーツ意識の啓発をはかり市民の健全な心身の発達と明るく豊かな市民生活の形成につとめてまいりたいと考え、甲府市スポーツ振興審議会を新たに設置することといたしました。また、同時にスポーツの場を確保するため、小瀬スポーツ公園の第2期工事の用地取得を行うほか、青葉スポーツ広場、荒川河川敷スポーツ施設などの整備と併せて、校庭、屋内運動場など学校開放をも積極的に行い、新たに石田小、城南中にも夜間照明施設を設けて地域スポーツの振興をはかってまいります。このほか、青少年のための健全なコミニュティの場とするため、和田山キャンプ場にかわる青少年施設を建設するため、その調査費を計上いたしました。

 次に、第三「生活環境の整備」について申し上げます。

 私は、市長就任以来あらゆる機会を通じて市民の皆さんからのさまざまな要望、陳情、苦情を数多く聴いてまいりました。その中で最も大きなウエイトを占めるものは生活環境の整備に関するものであります。これは、日々の生活にやすらぎを求め、安定した生活環境の中におかれたいとする市民の心情の発露であります。それだけに市民の生活環境整備に果す行政の役割の大きいことを痛感いたしますが、新年度におきましては、清掃事業について破さい機の設置によりゴミ処理体制の整備がはかられましたので、より効率的な収集処理を推進するためゴミの分別収集を具体化していることとし、自治会その他関係機関の御協力をいただきながら、現在モデル地区で試行中のものを新年度には全市域にこれを推進してまいりたいと考えております。また、収集、処理の体制を充実するため車輛の更新や処理施設の整備をはかって対処してまいります。し尿処理施設につきましては、環境の美化と処理設備の完全を期するために必要な経費を計上いたしました。公害問題につきましては、市民の健康と生命に係わる問題でありますので、従来、県に依存していた騒音、振動などの測定機を整備して独自の検査体制を強め予防と指導の徹底をはかってまいります。

 河川水路整備事業といたしましては、昭和52年8月豪雨の教訓を受けてその整備の万全を期してまいりますが、濁川水系が激甚災害河川の適用を受けましたのを機会に、今後県施行事業との関連をもたらせながら効率的な施工を行ってまいります。下水道事業につきましては、現在、大規模なシールド工法により山城幹線、住吉幹線の管きよ布設が進行中でありますが、さらに、終末処理場の施設整備を行うほか、単独事業による管きよ布設、河川改良費等につきましても多くの事業費を投入して、大津終末処理場の昭和55年供用開始に万全を期してまいります。上下水道事業につきましては、第5期拡張事業における53年度計画事業を推進するほか、漏水防止と有収率向上のための対策、未給水地域および給水不良地域における管網整備を重点にして、新年度事業をすすめてまいりますが、その財政運営は今後とくにむずかしい状況にありますので、財政計画の樹立、水道料金問題等につきまして広く市民の御意見を聴き、慎重に対処してまいりたいと考えております。

 道路整備事業につきましては、道路新設改良、道路舗装事業等においていずれも事業量を伸ばして対応し、高畑二日市場線の改良工事、交通安全施設整備工事を計画的に実施するほか道路維持のための費用をも増額して整備充実してまいります。また、公営住宅につきましては昭和52年度に50戸を建設いたしましたが、新年度では荒川団地に引続き60戸を建設して市民の住宅事情に対応してまいります。

 次に、私は「社会連帯とは、人と人との連帯はもちろんでありますが、人と自然との連帯、人と物との連帯をも同時に考えることが人間共存の基本的条件ではないかと思っております。そのために私は失われた緑を回復しこれを育成するためのさまざまな施策を今日まで行ってまいりましたが、今回、いっそうこれを充実し、市域の緑化推進を図ってまいりたいと念願いたしまして、新たに「緑化推進及び樹木の保存に関する条例」の制定について議会の御協賛をいただきたいと存じ別途提案を行っております。遊亀公園附属動物園につきましては、今日まで市街地から山間地への移転を考え、専門家にいくつかの候補地について調査を依頼してまいりましたが、用地の造成水の確保、排水処理その他多くの問題点が指適されておおりますので、新たな視点に立って移転問題の再検討を行うとともに、市街地における動物園の運営および施設の近代化についても検討してまいるため、新年度にその調査費を計上いたしております。

 次に第四「産業の振興と都市基盤の整備」について申し上げます。まず産業の振興につきましては、長期不況と大型店進出に伴い経営不安を生じている中小企業対策に積極的に対処してまいるため、商工業振興対策部門を課として独立させ、商工会議所との緊密な連携のもとにその振興策をはかってまいる一方、金融対策を強化し、融資枠の拡大と低金利施策を推進して経営安定に資してまいる所存であります。このほか、地場産業の中軸である水晶宝飾関係や家具製造など特定産地形成促進を奨励するとともに、各種企業が行なう製品展示会、共同開発研究会などに対する助成等を積極的に行ってまいります。また、商工業対策と同様観光行政にも力を入れてまいるため観光課を独立して、御岳昇仙峡、武田史跡と信玄公祭り、甲府湯村温泉郷を中心とした観光客誘致に全力をつくしてまいるため、観光協会と協調して大規模なキャラバンを関東地区を中心に派遣する計画であり、各種大会等の誘致につきましても積極的に推進してまいります。

 また、農業振興につきましては、特産ぶどうをはじめとする果樹栽培にいっそうの力をつくすとともに、そ菜花きなど都市近郊園芸の促進をはかるため、指導体制を充実するのほか、土地改良事業、農道整備事業などにつきましてもさらに基盤整備につとめてまいります。同時に、明日の農業をささえる後継者育成にも意を注いで、農業振興資金、農業後継者育成資金に有利な条件を設定して金融面でのバックアップをもキメ細かく推進するとともに、農業共済事業の加入促進をはかり農業経営の安定に資してまいりたいと考えております。林業振興については、森林資源の保存、林道整備に重点をおいてその施策を推進してまいります。

 次に都市基盤の整備につきましては、基幹街路である上阿原町寿町線を新平和通りに接続させて車輛通行の緩和をはかるため光沢寺の協力をいただき同寺境内に暫定道路を施工してまいるほか、善光寺敷島線の着工、県施工事業の塩部町開国橋線に対する事業負担等をも実施してまいります。このほか堀之内土地区画整理事業の促進や、緑のマスターブラン甲府駅前再開発、刑務所移転後の東部地域開発事業等の推進をはかってまいるため、それぞれ調査費を計上して対処してまいります。甲府刑務所跡地開発事業につきましては、議会を初め関係機関の全面的な御助力をいただいたお蔭をもちまして、本議会の開会中に建築交換契約を締結するための財産の取得および処分に関する議案を提案する運びとなりますので、これを受けて昭和54年度までの経続によ刑務所新営工事を施工しております。

 以上の施策のほかに、私は、新年度におきまして、婦人問題に関する対策と昭和61年山梨国体に向けての準備事務を推進してまいるため、それぞれに専門組織を設置して対応してまいります。まず、総務部に設置する婦人問題対策担当におきましては、国際婦人年世界会議において採択された行動計画の国内行動を具体的に推進して婦人の地位の向上に資するため、諸施策の企画および調査研究を担当させてまいります。また、企画部に設置する国体準備事務担当におきましては、国体に関連する都市諸施設の整備計画および国体開催の諸準備、関係機関との連絡調整を担当させてまいります。

 以上、昭和53年度の施策の大要について御説明申し上げましたが、長びく不況は本市をとりまく経済事情にも多大な影響を与えており、このため、新年度におきましては、市税収入が伸びなやみの状態にあり、その他の一般財源の確保も困難な状況にありますため、事業執行上、やむなく財政調整基金の繰入れによって収支のバランスをとっておりますが、財政事情はきわめてきびしい状況におかれております。今後、自主財源の確保をはかり、財政の健全性を確立していくためには、内部的には職員の適正配置や事務事業の効率的執行を図ることなどによって消費的経費の節減にいっそう努力する一方、国と地方との事務および財源の再配分等地方行財政制度の抜本的な改善に向って積極的に取り組んでまいらなければならないと考えます。昭和53年度は私にとりましては2期8年の最終の年度であります。当面する経済危機を克服して地方行財政の確立をはかり市民のいのちとくらしとこころを守っていくためには、たとえ財政的にきびしい状況にありましても、また、行政上のあらゆる拘束や障害がありましても、私はこれを敢然と超越していささかもひるむことなく、勇気と決断をもって全力をつくしてまいる決意であります。なにとぞ、いっそうの御助力を賜わりますよう心からお願い申し上げ、提案説明を終ります。

 引き続きまして、新年度予算以外の案件につきましてその大要を御説明申し上げます。

 まず、議案第16号「甲府市職員退職手当支給条例等の一部を改正する条例制定について」は、雇用保険法の施行に伴い失業者の退職手当に係る所要の改正及び勧奨による退職者に支給する退職手当の改善を行うとともに、規定の整備を行うものであります。

 次に、議案第17号「甲府市職員定数条例の一部を改正する条例制定について」は、光風寮の施設基準の改正及び収容定数の増加による増員、下水道の水質検査業務及び大津終末処理場の維持管理のための増員並びに市立甲府商業高等学校の実習助手を法令基準に準拠して充足するとともに、広域行政事務組合に派遣した消防職員の退職に伴う当該職員数の整理を行うものであります。

 次に、議案第18号「育児休業に係る給与等に関する条例の一部を改正する条例制定について」は、義務教育諸学校等の女子教育職員及び医療施設、社会福祉施設等の看護婦、保母等の育児休業に関する法律の一部改正に伴い、同法に基づく育児休業の許可を受けた職員に育児休業給を支給する規定を整備するものであります。

 次に、議案第19号「甲府市特別会計条例の一部を改正する条例制定について」は、南西住宅団地造成事業に係る精算事務の終結及び市立甲府商業高等学校の移転建設事業の終了に伴い、これらに係る特別会計を廃止するものであります。

 次に、議案第20号「甲府市市立学校設置条例の一部を改正する条例制定について」は、市立黒平小学校の就学児童がなくなるため同校の廃止を行うものであります。

 次に、議案第21号「甲府市スポーツ振興審議会条例制定について」は、スポーツ振興法の規定に基づくスポーツ振興審議会を設置するためのものであります。

 次に、議案第22号「甲府市消防団員の定員、任免、給与、服務等に関する条例の一部を改正する条例制定について」は、非常勤の消防団員に対する報酬及び費用弁償の額を改定するものであります。

 次に、議案第23号「甲府市光風寮条例の一部を改正する条例制定について」は、光風寮の移転建設に伴いその位置の変更及び収容定数の増加を行うとともに、規定を整備するものであります。次に、議案第24号「甲府市母子家庭等児童手当支給条例の一部を改正する条例制定について」は、母子家庭等児童手当の額を改定するものであります。

 次に、議案第25号「甲府市国民健康保険条例の一部を改正する条例制定について」は、保険料の賦課方式及び葬祭費の額の改正を行うものであります。

 次に、議案第26号「甲府市予防接種手数料条例を廃止する条例制定について」は、予防接種法による予防接種の充実、改善が図られたため、甲府市予防接種手数料条例を廃止するものであります。

 次に、議案第27号「甲府市市営住宅条例の一部を改正する条例制定について」は、昭和52年度に建設した市営住宅の家賃等を定めるとともに、規定を整備するものであります。

 次に、議案第28号「甲府市道路占用料徴収条例の一部を改正する条例制定について」は、道路法の施行令の改正に伴い、市道に係る占用料の額を国道に準じ改定するためのものであります。

 次に、議案第29号「甲府市都市公園条例の一部を改正する条例制定について」は、都市公園法の一部改正に伴い、都市公園の設置及び管理に関する規定の整備を行うとともに、公園使用料の改定を行うものであります。

 次に、議案第30号「甲府市音楽堂条例の一部を改正する条例制定について」は、遊亀公園内にある水上音楽堂の利用効果を高めるため使用料を無料にするとともに、規定を整備するものであります。

 次に、議案第31号「甲府市緑化の推進及び樹木の保存に関する条例制定について」は、本市における緑化の推進と樹木の保存に関する事項を定め、緑豊かな環境の確保を図るためのものであります。

 次に、議案第32号「企業職員の給与の種類及び基準を定める条例の一部を改正する条例制定について」は、雇用保険法の施行に伴い、失業者退職手当に係る所要の改正を行うものであります。次に、議案第33号「青年学級開設について」は、勤労青年に対し、実生活に必要な職業及び家事等に関する知識、技能を習得させ、一般教養を向上させるため青年学級を開設するにつきまして、青年学級振興法の規定により議会の議決を求めるものであります。

 次に、議案第34号から議案第39号までの6案件につきましては、いずれも市道路線の認定に関するものでありますが、利用効果の高い道路である山宮1号線、国母1丁目2号線、甲運17号線、蓬沢1号線、西高橋1号線、大里1号線の6路線につきまして、それぞれ市道に認定して維持管理を行うため道路法の規定により議会の議決を求めるものであります。

 次に、議案第40号「請負契約の変更契約締結について」は、住吉幹線下水道管布設工事は国道20号線甲府バイパスに布設するものでありますが、道路管理者との協議の内容に変更をきたし、人孔及び立坑位置の移動により内容を変更するため施工区間が短縮となりましたので、契約金額の変更契約を締結するについて、議会の議決を求めるものであります。

 次に、議案第41号「請負契約の変更契約締結について」は、山城幹線下水道管布設工事を現在県において施行している県道精進湖線改良工事と併行して行っておりますが、道路管理者との協議の内容に変更をきたし、立坑の位置を移動したため施工区間が延長となりましたので、契約金額並びに工期の変更契約を締結するについて議会の議決を求めるものであります。

 次に、補正予算について御説明申し上げます。

 議案第42号「昭和52年度甲府市一般会計補正予算第7号」につきましては、歳出におきましては第2款総務費は、退職勧奨制度等による退職手当と、市民会館等改築事業費の追加、経常経費の減額を主とする補正であります。第3款民生費は、施設収容者措置人員等の減少による社会福祉費、児童福祉費等の更正減額と国民年金費の追加をするものであり、第4款衛生費は、病院事業会計繰出金、下水道事業特別会計繰出金及びし尿処理費等を追加、更正するための補正であります。第6款農林水産業費は、農業振興における転作集団営農推進対策事業費及びそ菜、花卉振興事業費等の追加を主とする補正であり、第7款商工費は、昇仙峡滝上駐車場整備事業費等の更正減額をするための補正であります。

 第9款消防費は、消防施設費等の追加、更正をするものであり、第10款教育費は、公務災害補償及び要保護及び準要保護児童就学援助費等の追加と、商業高等学校移転建設事業特別会計繰出金の更正減額を主とする補正であります。第11款災害復旧費は、林業施設災害復旧費の更正減額であり、第12款公債費は、償還金を更正減額するための補正であります。これに対する歳入については、市税、地方交付税、財産収入の一般財源を追加し、分担金及び負担金、使用料及び手数料、国庫支出金、県支出金、財産収入、寄附金、諸収入の特定財源をそれぞれ追加、更正し、一般会計の補正額は、総額5,741万4,000円であります。なお、繰越明許費の補正は、市民会館等改築事業費及び街路事業費を設定するものであります。

 債務負担行為の補正は、主に商業高校移転建設用地取得費、中学校新設用地取得費、甲府市堀之内土地区画整理組合に対する事業費補助金等の変更と、千塚小学校拡張用地取得費、昭和52年度に農村漁業金融公庫が市内各農業協同組合に貸付けた土地改良事業資金にかかる損失補償を追加するとともに、甲府市堀之内土地区画整理組合貸付事業費にかかる損失補償の廃止をするものであります。

 地方債の補正は、起債充当事業費にかかる起債許可予定額の決定による借入限度額を変更するための補正であります。

 次に、議案第43号「昭和52年度甲府市下水道事業特別会計補正予算第6号」は、総務管理費に下水道取付管補修及び構造物調整工事費を、下水道事業費に管渠付帯事業費をそれぞれ追加し、これに見合う財源として下水道事緊急整備事業費にかかる国庫支出金及び下水道使用料、一般会計繰入金をそれぞれ追加、更正するもので、補正額は2,033万8000円の追加であります。

 なお、継続費の補正は公共下水道幹線管渠布設工事費の変更をするものであり、地方債の補正は、起債許可予定の決定による借入限度額の変更をするものであります。

 次に、議案第44号「昭和52年度甲府市交通災害共済事業特別会計補正予算第2号」は、共済会費収入の取扱年度の一部変更に伴う財源等の更正減額をするための補正で3,352万5000円の更正減であります。

 次に、議案第45号「昭和52年度甲府市商業高等学校移転建設事業特別会計補正予算第2号」は、公債費等の更正減額及び起債許可予定額の変更に伴う財源更正をするための補正で、938万7000円の更正減で
あります。

 次に、議案第46号「昭和52年度甲府市刑務所跡地開発事業特別会計補正予算第3号」は、新営刑務所用地取得費の計上と既定事業費の更正減額を主とする補正で、補正額は6億5,130万円の追加であります。

 次に、議案第47号「昭和52年度甲府市病院事業会計補正予算第3号」は、収益的収入は入院収益と外来収益を減額更正し、一般会計補助金と県補助金を追加するものであり、資本的収入は一般会計出資金を減額更正するものであります。次に、議案第48号「昭和52年度甲府市水道事業会計補正予算第2号」は、第5期拡張事業に伴う継続費の年割額の変更と退職手当の不足額を補正するもので、その補正額は2,400万円の追加であります。

 次に、議案第49号「甲府市中小企業資金融資貸付条例の一部を政正する条例制定について」は、中小企業者の資金の円滑な融通を図るため貸付限度額の引上げ等及び経済変動等に対する特別措置を行うためのものであります。

 次に、議案第50号「甲府市小規模企業者小口資金融資促進条例の一部を改正する条例制定について」は、小規模企業者の資金の円滑な融通を図るため、貸付限度額の引上げ及び経済変動に対する利子補給について特別の措置を行うためのものであります。

 次に、議案第51号「請負契約の締結について」は、大津終末処理場曝気沈砂池建設工事を施行するため、議案第52号「請負契約の締結について」は、大津鎌田川幹線下水道管布設工事を施行するため、いずれも指名競争入札を行いまして、その落札者と請負契約を締結するにつきまして議会の議決を求めるものであります。

 次に、議案第53号「財産の取得について」は、大津終末処理場汚泥処理施設用地として土地を取得するため議会の議決を求めるものであります。

 以上が本日提案致しました案件の大要であります。御審議のうえ御協賛賜わりますようお願い申し上げまして説明を終わります。

○議長(小林淳光君) 以上で説明は終りました。お諮りいたします。

 3月11日は議案調査のため本会議を休会いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。

                (「異議なし」と呼ぶ者あり)

○議長(小林淳光君) 御異議なしと認めます。

 よって3月11日は休会することに決しました。

 3月12日は日曜日のため、休会明け本会議は3月13日午後1時より開会、提出議案に対する質疑及び市政一般質問を行います。

 本日はこれをもって散会いたします。

                午後2時03分 散会