平成3年3月甲府市議会定例会会議録第1号

                午後1時02分 開会

○議長(堀口菊雄君) ただいまから平成3年3月甲府市議会定例会を開会いたします。

                午後1時03分 開議

○議長(堀口菊雄君) これより本日の会議を開きます。

 報告事項を申し上げます。

 本定例会に提出する議案につき、市長から通知がありました。

 提出議案は、議事日程記載のとおりでありますので朗読を省略いたします。

 次に、市長から議会に報告すべき事項であります報第1号 専決処分についてから、報第7号 専決処分についてまでの7案が提出されました。

 右は、それぞれ既にお手元に配付してありますので、御了承願います。

 次に、平成2年12月14日提出の請願第2−18号について、提出者からお手元に配付の別紙のとおり撤回したい旨の申し出がありました。

 右は、議事日程記載の日程第3でありますので、御了承願います。

 次に、議長のもとに請願2件が提出されました。

 右は、お手元に配付いたしてあります請願文書表により御了承願います。

 次に、市長から平成2年12月定例会において採択された請願について、その処理経過及び結果の報告がありました。

 右は、お手元に配付いたしてあります報告書により御了承願います。

 次に、監査委員から平成2年11月末、12月末及び平成3年1月末の例月出納検査報告書が提出されました。

 右は、お手元に配付いたしてあります報告書により御了承願います。

 次に、平成3年1月17日から2月6日までの間、2回にわたり関東及び県下の市議会議長会関係の会議が開催され、随員とともに出席いたしました。

 それぞれの会議の概要につきましては、お手元に配付いたしてあります報告書により御了承願います。

 次に、小林康作君は病気のため今会期中、村山二永君は一身上の都合により本日、欠席する旨の届け出がありました。

 以上で報告を終わります。

 これより日程に入ります。

 日程第1 会議録署名議員の指名を行います。

 会議録署名議員には会議規則第167条の規定により、
 三井五郎君
 清水節子君
 鈴木豊後君
を指名いたします。

 次に、日程第2会期決定についてを議題といたします。

 お諮りいたします。

 今期定例会は、招集の日から3月20日まで20日間といたしたいと思います。これに御異議ありませんか。

                (「異議なし」と呼ぶ者あり)

○議長(堀口菊雄君) 御異議なしと認めます。

 よって今期定例会の会期は、20日間とすることに決しました。

 次に、日程第3 請願書の撒回についてを議題といたします。

 本件は、平成2年12月14日提出されました請願第2−18号 精神薄弱児(者)・身体障害児(者)のための通所授産施設に関する請願について、提出者からお手元に配付の別紙のとおり撤回する旨の届け出がありました。

 お諮りいたします。

 本件は、会議規則第19条第1項の規定により申し出のとおりこれを承認することに御異議ありませんか。

                (「異議なし」と呼ぶ者あり)

○議長(堀口菊雄君) 御異議なしと認めます。

 よって、請願第2−18号については撤回を承認することに決しました。

 次に、日程第4 議案第1号から日程第33 議案第30号までの30案を一括議題といたします。

 市長から提案理由の説明を求めます。

 市長 原 忠三君。

                (市長 原 忠三君 登壇)

○市長(原 忠三君) 本日ここに、3月市議会定例会の開会に当たりまして、提出議案の御審議をいただくに当たり、市議会はじめ市民各位、関係各方面の皆様の今日までの市政への御支援に対しまして、深甚なる感謝を申し上げ、以下、市政運営に対します私の所信及び平成3年度予算案の概要を申し述べさせていただきます。

 振り返りますと、昭和58年4月に、公正・清潔・誠実なさわやか市政の樹立をお訴えして第31代甲府市長に就任して以来既に8年、2期の任期が終わろうとしております。

 そして、この間、市民党的行政運営を基本とし、県市の緊密な連携基盤の上にたって、県市議員連絡協議会のお力をいただき、甲府市の発展を期してまいりました。

 この8年の前半4年は、新総合計画後期計画の集大成に全力を傾け、コミュニティー施設としての南西部市民センターの開館をはじめ、宿願でありました甲府駅近代化事業としての駅ビル・橋上駅舎・南北自由通路・北口身体障害者用スロープの供用を実現し、また、高齢化社会への対応、健康都市の実現、身体障害者の社会参加を福祉の3大施策に掲げ、高齢者総合福祉計画、市民総合保健計画、身体障害者長期行動計画をそれぞれ策定し、加えて、国際婦人年のメイン事業としての10箇年婦人行動計画も定め、以後の指針といたしました。さらに、文学・芸術活動を豊かな自然の中に求めた御岳文芸座の開設、遊亀公園内への木の間画廊の創設、国際親善の高揚を期した欧米の姉妹都市との交流の促進と、中国成都市との新たな友好都市提携、あの悲惨な戦争を再び繰り返さないことを誓い合う広島平和祈念式典への市民代表団の派遣、先端技術を地場産業に活用する工業展・マウントピア84の開催、ゆとりと文化性をもった富竹中学校の開校、朝気児童館や北新児童センターの開館、教師の研修拠点としての教育研修所の完成、また、緑とやすらぎの都市をデザインする緑化都市宣言も行いました。そして、市民・県民の大きな力に支えられ、あの感動を今に残し、未来への希望を膨らませた第41回かいじ国体や第22回全国身体障害者スポーツ大会等々、文字どおりの市民参加、市民の理解と協力の下、それぞれ成し遂げることができました。

 続きます今期は、「明日をひらく健康都市・甲府」を都市像として、21世紀へのかけ橋となる13年間の第3次甲府市総合計画を策定し、未来都市・甲府へ向けての教育・文化、福祉、生活環境、産業振興、都市基盤など新しい都市機能の構築を目指すことといたしました。

 この4年の間は、この総合計画の着実な推進に意を配し、賑わいのある中心街づくりとしてのモール化事業、都市景観を取り戻す電線類の地中化事業、地域的バランスを図った貢川福祉センターし先端企業誘致の大津地区南部工業団地、ゆとりをもった里吉住宅団地、適正な学校規模や良好な教育環境の確保を図った上条中学校や大国小学校、近代的消防機能を具備した消防本部新庁舎、新し尿処理場、堂の山青少年キャンプ場等々の公共施設を計画どおり整備し、また、新ごみ処理場の設計に着手し、その具体化を進めました。下水道の普及にも努め、現在は62.4パーセントの普及率になりました。テレトピア計画としての駐車場案内システムの供用開始や総合行政情報の電算化への取り組み、また、地域中核病院としての市立甲府病院の検診部体制の充実を図るとともに高度医療機器を導入し、休日夜間の救急医療体制も整備充実して、市民の健康保持と医療技術の向上を期しました。

 さらに、全国初の第1回スポーツレクリエーション祭の開催、その翌年の市制施行百周年記念事業としての博覧会やパンダ展、甲府大好きまつり、記念モニュメント「船出」の建立、交響詩「遥かなる時を超えて」の組曲演奏とコーラス、「甲府市史」をはじめ各種文化・出版事業等々は、成功裡に展開でき、事業推進の節々で大きな感動と新しい市民エネルギーのほとばしりを感じ得たところであります。

 このような中で、百周年記念施設の1つ、総合市民会館も立派に完成し、市民多数の自主的な文化・芸術・スポーツ活動や公的行事の開催により、所期の目的どおり活用されておりますことに、大いなる喜びを感じております。加えて、多くの市民や企業から求められておりました市立の商科専門学校も本年開校の運びとなりました。近い将来の短期大学への移行も視点に入れて、その施設や教育機能にも意を用いてまいる必要があると考えております。

 さらにまた、行財政運営を効率的に進めるため、少数精鋭主義の職員管理、事務の減量化、省力化にも自治体固有の責任と市民サービスの確保を前提に取り組み、公共施設の管理運営や資源ごみ収集選別作業の民間委託を進め、住民情報のオンライン化、予算編成事務その他のOA化も行いました。本年4月には、税や料のオンライン化へ向け、その準備も進めております。こうした努力により、職員定数も35人の減員を行うことができ、増嵩する人件費の抑制や事務の効率化に効果を挙げ得たと思っております。

 このように積み重ねられ、築き上げられました甲府市の都市機能や市民生活が、昨年行われた全国の県庁所在都市を含む主要都市120市を対象とした都市の豊かさ度調査で、総合第6位にランクされたとの新聞報道に接することができ、大きな喜びを感じました。

 まさに先人たちのまちづくりにかけた熱情と、これを受け継いだ市民の努力の賜というべきでありまして、将来に向かって、誇りを持って受け渡すことのできる甲府市民のかけがえのないバトンであると、感慨を新たにいたしました。

 そして私は、全国第6位の豊かさ度を更に向上させ、市制200年に向かって市民の夢を大きく広げていける都市としての礎を、より確固たるものとすることが市政を担当する者の責務であるとの思いを深くした次第です。

 このため、今後は、これからの市政に望まれる施策、改善充実を必要とする施策等に積極的に取り組むことを基調に、高齢化社会に対応した医療・保健・福祉の一層の進展と地域福祉のネットワーク化、豊かな自然環境の保全、生活排水やごみの適正処理・廃棄物のリサイクル化・COの排出抑制など環境を守る施策の推進、適切な土地利用と地価対策、優良宅地の積極的な供給による住生活の充実、高等教育機関の誘致や既存大学等の施設整備への支援、生涯学習社会の形成や自主的文化活動の助長、先端技術産業と調和した地場産業の振興発展、各種産業が融合して隆盛し魅力ある生活空間を備えた「ファッション都市・甲府」構想の推進、新しい観光資源や観光名所の開発、下水道の普及整備、都市公園の増設、悲惨な交通事故の防止対策、ゆとりを創出する社会や男女共同参加型社会の形成促進等々を力点に、生活の快適度・安心度・ゆとり度等のレベルアップに傾斜的に努力することが必要であると考えております。

 また、平成3年度は、第3次総合計画の基本計画見直し年次となります。

 私は、この見直しに当たっては、先に申し上げた都市の豊かさ度の向上をベースの1つとし、さらに、超高速の時代を前にしての地価の高騰や大資本による秩序なき開発から地域を守り、産・学・住の環境バランスが保たれた都市としていくために、広範な市民・法人・団体が参画した地域の土地利用計画づくりや地域環境・景観の保全づくりに手早く取り組めるシステムを確立するとともに、行動圏や経済圏が1挙に拡大されることとなる超高速時代が、本市や山梨県にとって両刃の剣ともなると予想され、加えて首都機能の移転も論じられている近未来への対応も考えなければなりません。また、中巨摩東部と東8代を合わせた広義の甲府広域圏の人口が、35万人余を数えることから、新しい時代に向けては、従来の広域行政の枠を超えた新たな発想での広域ネットワークへの取り組みが強く求められていると思います。

 21世紀までは、10年であります。この10年の間に、甲府市が新しい時代に対応できる都市機能を充実整備して都市の活力を揺るぎないものとし、名実ともに自立した地方中核都市とならなければなりません。

 また、今、改めて問われている平和と地球環境を守るという課題に対しても、子々孫々に禍根を残すことのないよう、努力してまいることが、市政を担う者の使命であると認識しております。

 さて、次に、市政を取り巻く行財政環境と課題について申し述べたいと思います。

 まず、第1に、国の行財政の現状についてであります。

 今、地球上の新しい秩序を求める国際的なうねりが始まり、自由と民主主義、そして市場経済を軸とした協調と対話による世界平和の構築が模索されています。しかし、一方、中東湾岸戦争が昨日終結を見ましたが、これからの推移が、国際関係にどう影響していくのか懸念されております。

 こうした中で、現在、我が国経済は、設備投資と個人消費を中心に内需主導型の自律的成長を続け、4年を超える景気の拡大が続けられ、国際社会との係わりに起因する不透明な状況も生じているとはいえ、GNPは世界の約14パーセントを占め、純債権残高におきましても最大の債権国になるなど、国際的に大きな影響力を持つに至っております。

 そして、平成3年度の政府経済見通しにおきましては、物価は引き続き安定的に推移し、経済成長率は、名目5.5パーセント程度、実質3.8パーセント程度となるものと見込まれております。

 一方、我が国は、引き続いて対外不均衡、保護貿易、海外投資、内外価格差等数々の国際経済問題を抱えており、加えて、高齢者の急増、出生数の減少、農林漁業の後継者難等社会の基本構造を左右する大きな変化への適切な対応を迫られ、また、今や国民的世論となっている自然環境の保全への取り組みや、急激な地価高騰に伴い、土地税制の見直しを含む総合的土地対策の緊急な整備が必要とされるなど、まさに、変動期を迎えております。

 このような動きの中で、我が国の財政は、特例公債に依存する状況から脱却したものの、平成2年度末の公債残高は164兆円にも達する見込みであり、国債の利払費が歳出予算の2割を超えるなど、依然として厳しい状況が続き、今後の社会経済情勢の動向に財政が弾力的に対応していくためには、公債残高が累増しない財政体質を作り上げていくことが緊要な課題であるとしています。平成3年度の国の予算につきましては、このため公債依存度の引き下げに重点を置き、公共事業国庫補助負担率の61年度水準への復元、生活関連重点化枠の設定など一部例外的な扱いはあるものの、編成に当たっては、前年同様に厳しい枠を設け「平成3年度の経済見通しと経済運営の基本的態度」に則り編成されたところであります。

 第2としまして、地方行財政の課題についてであります。

 地方財政は、我が国経済の持続的拡大に支えられて地方税収入等に伸びがあるというものの、依然累積した地方債及び地方交付税特別会計借入金残高を抱え、その総額が67兆円強に達する見込みとなり、さらに、経常収支比率や公債費負担比率も引き続いて高く、厳しい状況が続いています。

 こうした土壌の中で地方公共団体は、地域経済構造の変化、高齢化の進展等による社会経済の変貌や住民ニーズを的確に把握し、ますます増大、多様化する行政需要に適切に対処するとともに、平成3年度を初年度とする国の公共投資基本計画をも踏まえ、地域住民の福祉の向上と個性豊かな活力に満ちた地域社会を形成していくため、更に実効ある行財政改革に取り組み、財政構造の健全化と財源の充実確保に努めることが求められております。

 第3としまして、本市行財政の課題と対応についてであります。

 本市は、急激に変貌しつつある新たな社会経済変動の中で、21世紀を展望した都市づくりの視点を、高齢化社会、技術革新と情報化社会、国際化、都市化及び個性化・多様化の進展に置き「明日をひらく健康都市・甲府」を都市像とした第3次総合計画を策定し、明日をひらく5大プロジェクトを重要課題として位置づけ、その実現に向け積極的に推進を図ってきたところであります。

 まず、「市制百周年記念事業」について申し上げます。

 本市の豊かな自然と、先人たちが培ってきた文化、伝統、風土などの貴重な遺産を後世に継承発展させるとともに、市民の英知を結集し、市勢の躍進を期するため、市制施行百周年を迎えた平成元年度を中心に、各種記念事業の展開を図ってまいりました。

 平成3年度は、残された平成4年度完結予定の市史編さん事業を推進するとともに、百周年記念事業のうち定着発展を目指す甲府大好きまつり及び甲府交響詩並びに文化振興事業基金の運用による文化活動の推進に努めてまいります。

 また、シティーホール構想につきましては、市庁舎と文化・集会施設等のコミュニティー機能が一体化された、都市シンボルとして建設していくことを目指して、昭和60年以降取り組んでまいりました。この間、市議会においても、精力的な調査活動を展開され、昭和63年3月には中間報告を集約していただきました。これを踏まえ建設してまいりました総合市民会館は、地域の方々、市議会、関係機関等々の絶大な御支援の下に、昨年10月にオープンすることができ、喜びに堪えません。

 シティーホール構想の残された柱である新市庁舎建設につきましては、現在、これからの市庁舎に求められる諸機能、現在地を含む公有地の立地特性、建築規模と配置計画、駐車場計画等々の調査研究を進めており、3月中には、その結果をお示しできる予定です。

 次に、「北部山岳地域の振興」について申し上げます。

 豊かな自然環境に恵まれた北部山岳地域は、市域の63パーセントを占め、森林の公益的機能は、本市の水道水源として、また、余暇利用における市民の健康レクリェーションゾーンとして重要な地域であります。

 この地域は、山梨ハーベストリゾート構想の重点整備地域として位置づけられておりますので、北部山岳地域振興計画との整合性を図る中で、自然環境と水資源の保全に十分配慮し、自然との調和を基調として振興すべきと存じています。

 昨年まで、整備を進めてまいりましたマウントピア黒平につきましては、第1期事業の総合案内施設、バンガロー等基幹施設が近く完成し、市民の皆様に御利用いただけることになりました。また、百周年記念事業として取り組みました桜の郷づくり事業につきましては、目標数の植栽が完了しましたので、平成3年度は、新たた桜の郷づくりに取り組んでまいります。

 さらに、帯那山高原牧場、ロック山、いこいの里等の整備、学園・研究機関の立地促進、特用林産産地形成事業の推進等を図ってまいります。

 なお、関係市町村によって整備が進められてきました北部山岳ルートにつきましては、愛称名を一般公募いたしましたところ「クリスタルライン」と命名されましたので御報告いたします。

 次に、「新都市拠点整備事業の推進」につきましては、甲府駅周辺の国鉄用地及び辺市街地を含む約25.5ヘクタールについて総合整備計画が昨年承認されました。この計画に基づき、ゆとりとうるおいのある都市環境の整備と、情報機能、商業・業務機能、文化交流機能を備えた都市拠点を形成するため、平成3年度は、土地区画整理事業として整備する22.1ヘクタールの事業地内の用地取得・換地計画に着手するとともに、都市拠点形成事業として高度情報センターの基本設計の策定及び民間企業の立地促進を図るための調査説明会等を行い、事業の推進に努めてまいります。

 次に、「南部工業団地建設事業」についてであります。

 計画面積44ヘクタールの南部工業団地は、甲府地域テクノポリス母都市の中核工業団地として、国母工業団地とともに産業軸を形成するものであり、先端技術産業及び地場産業の集積並びに先端技術を生かした地場産業の高度化・近代化を図るため、建設に努めているところであります。大津地区につきましては、先端技術企業8社のうち、既に5社が操業を開始しており、他の3社につきましても平成3年度中には操業開始が見込まれます。西下条地区につきましては、用地買収が難航しておりますが、新年度内の早い時点での完成へ向け、格段の努力が必要と存じます。また、サイエンスパーク建設につきましては、中小企業人材開発センターは既に業務を開始しており、工業技術センターも平成3年10月の完成が予定されていますが、その他の関連施設整備計画につきましても、早期に実現を期すべきと考えております。

 次に、「高速交通体系の確立」についてであります。

 1昨年の8月に、リニアモーターカーの新実験線建設地が、山梨県に決定されて以降、昨年6月には実験線のルート発表、11月には建設着手式が行われ、21世紀の新しい超高速手段としてのリニア中央エクスプレス構想が、実現に向かって更に前進し始めたことは周知のとおりであります。

 甲府圏域では、昭和63年11月にリニア中央エクスプレス建設促進協議会を結成し、関係機関への働きかけを行ってまいりましたが、これからは、リニア効果が、甲府圏域の発展に着実に生かされるよう対処してまいらなければならないと存じています。

 中部横断自動車道につきましては、全線150キロメートルのうち双葉――白根――増穂間の15.5キロが、早期に整備計画路線に組み入れられ、また、現在、地質・地形調査が行われている双葉以北、増穂以南が、速やかに基本計画路線に位置づけられるよう、県期成同盟会組織等を通じて強く国に働きかける必要があります。

 明日をひらく5大プロジェクトの推進状況と今後への展望は、以上のとおりでありますが、第3次総合計画を推進していく上での各種施策につきましても、実効性のある取り組みが欠かせません。

 特に、平成3年度は、第3次総合計画の第4年次であり、前期計画の最終年度に位置づけられるとともに、中・後期計画の見直しの年度に当たる節目の年であります。したがって、4箇年にわたる前期計画の集大成と、その成果をもとに社会経済情勢の変化等に対応した見直しを行い、本市行政の進むべき誤りのない方向を見極めていかなければなりません。一方、本市財政は、自主財源基盤も未だ強固とは言えず、加えて、公債費等義務的経費の増嵩、国庫補助負担率の復元抑制などにより、依然として厳しい状況にあることも否めません。

 こうした中で住民福祉の向上を図り、本市の都市像「明日をひらく健康都市・甲府」を構築していくためには、本市の自主的行財政改革を更に推進し、行財政の簡素効率化と健全化に努めることが必要であり、市政の更なる発展を期し、市議会をはじめ市民各位の御理解と御協力を得て、全職員の英知と努力を結集し、市政を執行していくことが肝要であります。

 以上、申し述べました本市の行財政の環境及び課題を踏まえて、新年度の市政執行方針を次のとおりといたしました。

1 第3次総合計画基本計画における前期4箇年の集大成と中・後期計画の見直しを行うとともに、主要施策の推進に積極的に取り組み、総合的視点に立った計画的行政執行に努める。
2 財政の効率的、重点的運用と自主財源の充実確保に努め、受益者負担の適正化や行政経費の節減を図り健全な財政運営を維持するとともに、事務事業の見直し、電算化の推進、民間活力の活用などを図り、経営的視点に立った行財政運営に努める。
3 高速交通網をはじめ都市機能の整備促進など行政区域を超えた施策課題に対応し、周辺地域との総合的、一体的な発展を目指すため、広域圏的行政の充実を図る。
4 社会経済情勢の変化に対応し、本市の均衡ある発展を図るため、地域の実態に即した土地需要の調整と効率的利用の観点から、用途地域の見直しを含めた有効な土地利用の推進を図る。
5 個性豊かな明るく住みよいまちづくりを推進するとともに、将来を展望した政策ビジョンに対応するため、市民参加の機会拡大と市民参加システムの形成を図る。

 この市政執行方針に基づき、予算編成方針を定め、平成3年度予算の編成に当たっては、第3次総合計画の年次計画を基調に、主要事業を積極的に推進するため財源を重点的・効率的に配分し、経常的経費につきましては、抑制又は削減の方向を重視いたしました。

 また、平成3年度は、統一地方選挙が執行される年ですので、高度な政策的判断を必要とする市庁舎、病院、図書館等につきましての事業予算は、新たに市民の負託を受ける市政担当者及び議会の判断によって決定すべきものと考え、留保いたしました。

 以上申し上げました点を前提として、平成3年度予算を編成いたしましたところ、主要事業に係る予算は、施策課題の、心かよう人間都市をめざしての施策が27億1,900万円、さわやかな文化都市をめざしての施策が45億6,800万円、住みよい安全都市をめざしての施策が183億3,800万円、魅力ある快適都市をめざしての施策が62億300万円、活力ある産業都市をめざしての施策が80億5,400万円、計画推進の方策が61億9,100万円、総計460億7,300万円となり、平成3年度の予算規模は、一般会計580億6,943万円、特別会計516億6,341万9千円、合計1,097億3,284万9千円となった次第であります。

 これを前年度当初予算と比較いたしますと、一般会計は35億2,388万7千円、6.5パーセントの増、特別会計は51億4,976万6千円、11.1パーセントの増、合計では86億7,365万3千円、8.6パーセントの増となっております。

 次に、主要な施策について順次、その概要を御説明申し上げます。

 まず、「心かよう人間都市」について申し上げます。

 急速な高齢化、核家族化等の進行による社会構造の大きな変動が、市民生活の各方面に次々と新しい福祉課題を生み出している現況を踏まえ、先に申し述べた「高齢者総合福祉計画」など本市の福祉3計画を一元的に体系づけ、より充実した福祉行政の推進を図ってまいります。

 まず、高齢者福祉につきましては、生きがい対策として、社会活動への参加促進、老人クラブの諸行事に対する積極的援助、福祉センターの施設整備等の施策を推進してまいります。本市の老人福祉対策の先進的制度である65歳以上の方の医療費助成は、引き続き堅持してまいります。施設福祉については、特別養護老人ホーム新設等に係る補助を行って施設の充実を促進します。在宅福祉については、在宅寝たきり老人等の介護者の負担軽減として介護手当の増額による月額制への移行、入浴車による奉仕活動の推進、老人家庭奉仕員の増員を行うとともに、デイサービス事業及びアシスト事業にも積極的に取り組んでまいります。また、多世代同居住宅建築資金等貸付事業については継続してまいります。1人暮らし老人に対しては友愛訪問、福祉電話、励ます会の開催等を行うととともに、新年度から更に、ふれあいペンダントにより1人暮らし老人の安否通報の確立を図ってまいります。

 児童福祉につきましては、引き続き保育料の保護者負担の軽減措置、私立保育所の管理運営費と施設整備費への補助、母子家庭児童手当の支給等の施策を実施し、児童の健やかな育成を期してまいります。

 心身障害児者福祉につきましては、障害者にやさしい社会づくりを目指し、家庭奉仕員を引き続き増員し、ガイドヘルパーの活用を促進するとともに、新たに設置した小規模通所授産施設への助成等障害者の自立と更生を図ってまいります。また、心身障害者総合福祉センターを建設するための調査研究も進めてまいります。

 勤労者福祉につきましては、「ゆとり創造社会」へ向けてのコンサンセスの形成に努めるとともに、勤労者住宅資金融資制度の推進、勤労者生活安定資金制度確立への増額出捐、さらに勤労市民互助会制度への加入や勤労者福祉センターの活用の促進、市民いこいの里の年次的整備拡充などを行い、労働形態による福祉格差の是正に寄与してまいります。

 保険衛生につきましては、遊亀会館内に保健センターを開設し、市民総合保健計画推進の拠点としてまいります。また、引き続いて40歳節目健診を実施し、予防接種無料化の継続、休日夜間救急医療体制及び自主的保健活動への助成、健康都市市民フェスティバルの開催等、市民の健康づくりと医療機関等との連係による保険医療体制の充実を図ってまいります。

 市立甲府病院の運営につきましては、医療体制と医療サービスの向上を図り地域の基幹病院としての役割を果すとともに、公立病院としての救急医療の強化に努めてまいります。さらに、多目的血管造影撮影装置を導入し、高度化、専門化する医療内容下での診療に対応してまいります。

 国民健康保険事業につきましては、疾病の早期発見・早期治療を目指し、人間ドック等総合健診及び保健指導事業を充実するとともに、保険料収納率の向上に努め、事業の一層の円滑化を図ってまいります。なお、保険料率は、当面据置きといたしました。

 消費者対策につきましては、消費者保護の向上を期し、消費生活相談業務の強化、不用品活用情報センターの運営、消費者団体の育成、消費生活展の開催等を行い、また、ごみ減量意識の啓発と実践に力を注いでまいります。

 青少年、女性対策につきましては、次代を担う青少年の健全育成のため、引き続き「少年の主張」等の意見発表の場を通じ、家庭のあり方、非行への対応を共に考える運動を展開するとともに、堂の山青少年キャンプ場の活用を図り、チビッコ広場の整備も行ってまいります。また、女性の地位向上と、男女平等の意識の啓発や社会参加を促進し、新たに女性市民会議を設置するとともに、新女性行動計画の策定に向け調査を行ってまいります。

 地域コミュニティーづくりにつきましては、コミュニティー活動の拠点施設として、北東部及び南部に市民センターを建設してまいります。自治会への助成としましては、防犯街路灯の補助金の増額を行うとともに、地域集会施設の建設には、新たに全面改築も対象とし、補助制度の拡大を図ります。また、自主的な地域活動として市民運動推進事業、市民ふれあい推進事業及び地域環境美化推進事業の促進を図り、さらに、核兵器廃絶平和都市宣言事業をより一層推進するとともに、昨年創設した市民総合保険制度は人命救助特約を加えて充実を図ってまいります。

 次に、「さわやかた文化都市」について申し上げます。

 今日ほど人々の教育に対する関心が高まり論議されている時代はないと思います。科学技術の急速な進歩は、社会のさまざまな機能を変化させつつあります。このようなときこそ、個性を尊重し、情報化、国際化、余暇社会に対応した学校教育、社会教育が求められます。学ぶ喜び、創る楽しさが地域社会に息づく教育、文化、スポーツのまちづくりのため、次代を担う世代の教育環境の充実、芸術文化振興策の拡充、体育施設の整備等を更に推進するとともに、完成した総合市民会館の有効活用、図書館、公民館を中心とした市民の生涯学習の機会を拡大してまいります。

 小中学校につきましては、施設面で、大里小の大規模改造を引き続き行い、池田小のプール改築、貢川小の校庭整備、南中格技場の新築、城南中の校舎増築を施工し、さらに、北東中は継続事業として敷地南側に校舎の新築を行うとともに、小中学校暖房機の更新事業も計画的に進め、教育施設を整備してまいります。教材教具につきましては、新標準教材整備計画の着実な達成を図ってまいります。また、環境教育にも取り組むとともに、全中学校の技術家庭科へのコンピューターを2年計画で導入するほか、姉妹・友好都市との教育交流による国際親善の推進に努めてまいります。

 甲府商業高等学校につきましては、創立90周年記念事業として(仮称)文化・スポーツ研修館の建設工事に着手してまいります。また、引き続いて、姉妹都市でありますデモイン市に生徒を短期留学させてまいります。

 幼児教育につきましても、就園奨励費補助金の増額と、新たに対象を3歳児まで拡大してまいります。

 高等教育につきましては、、時代に対応し得る人材育成を目標に、国際経済科及び経営情報科の2科を持つ甲府商科専門学校を4月に開校し、さらに環境整備と施設の充実を図ってまいります。

 また、生きた英語教育の向上と国際感覚を醸成するため、中学校、商業高校及び商科専門学校に、それぞれ外国人英語講師を招へいしてまいります。

 時代の要請となっております生涯教育につきましては、指針としての生涯学習ビジョンを策定するとともに、各種の学習活動の活発な展開と公民館等施設整備の推進を図り、生涯学習の場の拡大に努めてまいります。

 社会体育につきましては、緑が丘スポーツ公園体育施設、東下条スポーツ広場等を整備し、学校開放事業として活用されている夜間照明施設を年次計画に基づき全面改修するとともに、体育協会への出捐金、事業費に対する助成の増額等、施設の充実とスポーツの振興を図ってまいります。

 芸術文化につきましては、武田氏館跡の公有地化、積石塚古墳群及び要害山史跡の調査など歴史的文化遺産の保護活用と、市民が身近に芸術に親しめるまちなかの彫刻設置事業等を行ってまいります。また、文化振興事業基金を運用しての甲府交響詩の普及、文化団体、文化サークル等への助成事業を推進してまいります。

 総合市民会館では、市民の文化・芸術、スポーツ活動等の推進のほか、開館1周年を記念し、会館まつり、自主企画事業の運営、催し物の誘致、ハイビジョンの設置等施設の利用促進を図ってまいります。

 次に「住みよい安全都市」について申し上げます。

 市民が健康で安全に生活でき、喜んで住める生活環境を確保するための施策はゆるがせにできないところであり、積極的に対処すべきと存じています。

 まず、公営住宅の建設につきましては、里吉団地の早期完工を目途に、平成2年度からの継続事業として、第2種住宅30戸を完成させるとともに、新たに建設をしてまいりました地域特別賃貸住宅40戸も完成させ、入居所得制限層への対応を図ってまいります。平成3年度事業としては第1種住宅40戸、第2種住宅30戸の建設に着手してまいります。

 道路整備につきましては、道路新設改良、舗装新設、舗装補修をはじめ、電線の地中化、歩行者空間の確保、交差点の改良等交通安全や道路景観を重視した市街地道路の整備と、生活関連道路の舗装、橋りょうの改良、側溝の整備等を計画的に実施してまいります。

 水道事業につきましては、地下水汚染や水質汚濁から水を守り、良質な水道水を確保することが重要な課題であります。そこで、これらの課題に十分配慮し、良質な水の確保と供給を図るための施策を推進するとともに、主要幹線や昭和水源の施設整備を行ってまいります。

 下水道事業につきましては、現在、下水道普及率が62パーセントを超えましたが、更に処理区域の拡大を図る面的整備を促進するとともに、継続事業として汚泥処理のための焼却炉建設、東部及び南部浄化センターの施設整備を図ってまいります。また、効率的経営を行うため、平成3年度から地方公営企業法の財務規定を適用し、企業会計方式を導入してまいります。

 清掃事業につきましては、永年の懸案である新清掃工場の建設がいよいよ着工の運びとなります。新清掃工場は余熱利用施設、公園、スポーツ広場等市民への開放施設を併設し、周辺の環境とマッチした公害のないクリーンな工場を建設してまいりますが、今日まで、地元・市議会並びに多くの関係者の格別の御理解と御協力をいただきましたことに対し心から感謝申し上げます。今後は、地元と締結いたしました覚書等による地域整備計画につきましては、計画どおりの実施を図ってまいります。

 最終処分場につきましては、新たに築造するための用地取得に取り組んでまいります。

 なお、ごみ減量化とリサイクル推進事業につきましては、地球環境問題についての市民意識の急速な高まりの中で、ごみ減量とリサイクルの成果を一層向上するため、現行の有価物回収事業の充実と、資源ごみの日の定着化及び処理体制の拡充整備等に努め、全市民の御協力を得て、進めてまいりたいと存じています。

 防災対策につきましては、地震、風水害対策への積極的取り組みをはじめ、急傾斜地崩壊防止対策事業の推進、自主防災組織の指導育成等を図るとともに、消防施設等の整備に万全を期してまいります。

 交通安全対策につきましては、引き続いてガードレール及びカーブミラーの設置、歩道の整備、都市総合交通規制に伴うグリーン塗装等交通安全施設の充足に努めるとともに、交通事故防止市民総ぐるみ運動を進め、特に高齢者交通安全対策を重視した交通安全意識の高揚を図ってまいります。

 次に、「魅力ある快適都市」について申し上げます。

 うるおいと、ゆとりある街を市民と共に創出し、快適な都市環境の形成を目指し、積極的に都市基盤の整備充実を図ってまいります。

 新年度は、土地利用計画のより実効性を確保するとともに、5年に一度の都市計画基礎調査を実施し、線引きをはじめ、用途地域や都市施設見直しの基礎資料といたします。

 街路事業につきましては、幹線街路として、上阿原町寿町線、愛宕町下条線、環状道路として善光寺町敷島線、高畑町昇仙峡線、里吉団地進入道路として住吉4丁目善光寺線の建設を進めてまいります。

 公園につきましては、荒川3号緑地、緑が丘スポーツ公園、堀之内南公園の整備及び徳行公園、千塚公園の用地取得を行ってまいります。

 緑化事業につきましては、街の杜、荒川花のロードへの植栽その他公共施設の緑化をはじめ、市民との協力による花いっぱい緑いっぱい運動や、地域緑化の促進など緑豊かな都市づくりを展開してまいります。

 市街地整備につきましては、都市基盤を効率的に整備する土地区画整理事業として、市施行で都市改造型の寿・宝地区、組合施行で宅地造成型の住吉地区、古府中地区の事業推進と、大里地区の事業化への対応を図り、再開発事業として、中央4E地区の事業促進と新たに寿.宝地区、国母南地区の基本計画等の調査を行ってまいります。また、残存農地解消のための調査、まちづくり推進団体への助成を継続し、市街化区域内の宅地化に取り組んでまいります。さらに、都市環境や都市景観を向上させるための施策として、平成2年度からの都市景観ガイドプランを策定いたします。

 地籍調査事業につきましては、新年度から市街地調査に入るとともに、測量方法を平板測量から数値測量へ切り替え、さらに土地情報管理システムを導入し、効率的な事務執行を図ってまいります。

 次に、「活力ある産業都市」について申し上げます。

 円高を背景として内需主導型の成長を続けてきました我が国経済は、市場経済をめぐる国際的な論議や湾岸戦争等の影響により、不透明感を増し、先行きは予断を許さない状況となっております。したがって、本市産業もこれからの変化に対応できる基盤づくりが不可決であり、産業を近代化し活力を育む施策の積極的な推進が求められております。

 まず、商工業につきましては、南部工業団地西下条地区の早期完成を図るとともに、地場産業をはじめ各種産業の競争力強化への対応を重点にし、引き続き、関係団体の育成助長に努めてまいります。また、中小企業の経営安定と資金力の強化を促進するため、融資枠の拡大と利子補給の改善整備を図るとともに、大規模店舗法の改正により、経営環境に大きな影響が予想される小売商業の振興のため「小売商業振興指針」を策定してまいります。さらに、ファッション都市甲府構想の実現に積極的に対処するとともに、異業種交流事業の促進、商店街の近代化・活性化、工業の高度化、雇用対策の充実、駐車場案内システムの定着等を推進し、商工業の着実な発展を期してまいります。

 農業につきましては、都市近郊農業としての確立を図るため土地改良事業による農業基盤の整備、生産性、収益性の向上のため農業先端技術の開発・研究、農業センター試験展示圃場の造成を推進します。また、優良農地の高度利用と遊休農地の集団化を図るための農村振興総合土地利用計画の策定を進めてまいります。

 林業につきましては、自然環境の保全と水源涵養を基調に、造林、保育、治山事業等を推進してまいります。また、帯那山林道をはじめとする林道の整備、林業構造改善事業等を推進し、豊かな森林資源を生かした総合的な活用を図ってまいります。

 観光事業につきましては、トイレピア事業の一環として、昨年に引き続き昇仙峡地域の公衆トイレの改築を行うとともに、つり橋等観光施設の整備充実を図り、また、観光客誘致のため観光キャンペーン等による宣伝活動を強化し、観光団体の育成にも努めてまいります。さらに、春の信玄公祭りとともに、秋の甲府大好きまつりを2大市民まつりとして定着発展させてまいります。また、新たな都市間交流の場として「戦国3武将サミット」を本市で開催するとともに、甲州街道フェスティバルにも派遣参加してまいります。

 中央卸売市場につきましては、市民の食生活のより安定を期し、生鮮食料品の取引適正化と流通の円滑化に努めるとともに、施設を更に充実するため第5次施設整備計画に基づき整備を行ってまいります。

 次に、「計画推進の方策」について申し上げます。

 まず、行政運営につきましては、社会経済情勢の変化と、増大・多様化する行政需要に対処し、市民福祉の向上を図るため、簡素で効率的、近代的な行政執行体制の確立が必要であります。このため、本市の自主的行政改革を更に推進するとともに、新たな需要への組織整備はスクラップ・アンド・ビルドを基本とし、少数精鋭主義の管理と流動体制の運用を基調にして、適正な職員定数と効率的な業務執行体制の確立に努めてまいります。事務処理の効率化への対応として、電算機による行政事務の処理につきましては、平成3年4月から税関係及び料、すなわち、国民健康保険料、国民年金保険料、市営住宅使用料について運用を開始し、事務能率と市民サービスの向上を図ってまいります。また、職員の研修制度につきましては、市民の信頼と期待にこたえ、新しい時代に対応できる職員づくりのため能力の開発、資質の向上、意識の高揚等を図り、研修の充実に努めてまいります。さらに、行政の推進に当たりましては、市民の自主的積極的な参加による住民自治が地方自治の基本であることを踏まえ、市民の市政への参画の場の拡大を図るとともに、市政が市民に正しく理解されるよう積極的に広報活動を進めてまいります。

 以上、私の市政運営に当たっての所信の一端と平成3年度予算案の概要について申し上げました。

 何とぞ、十分なる御審議をいただき、御協賛賜りますようお願い申し上げます。

 なお、ここで、4月の統一地方選挙に関し、私の進退について申し上げさせていただきます。

 昨年9月市議会において、私は、21世紀につなぐこの大切な時に当たり、これまで積み重ねた経験を生かし、未来への展望を失うことなく、全知全能を傾注して市政の舵とりをし、市政の飛躍を期したいと念じ、3選出馬を表明をいたしました。

 この情熱が、今も変わらないことは、先程来の所信表明においても御理解いただけると存じます。

 しかし、私は、このたび今期限りでの市長引退を決意いたしました。

 今日まで、私を暖かく御指導御支援くださいました市議会の議員各位、県議会・国会の議員の皆さん、市民総参加で市政を支えていただいた市民の皆さんと市内各種の団体・機関の方々に、大変申し訳なく御詫びする次第ですが、その理由は次のとおりであります。

 私は、昭和58年甲府市長に初当選以来、市政の健やかな発展を願い、望月県政との連携を密にし、自治体の主体性を堅持しつつ、県市一体化の行政推進に当たってまいりました。

 その成果は各位の御承知のとおりであり、私の姿勢に誤りがなかったと自負しておりますが、過般の知事選において、私は、望月知事の後継者とされ、県市長会も推薦をいたしました小沢澄夫氏を支持し、県市一体化の継続推進を訴え、その当選を期して全面的に協力してまいりました。

 結果は、小沢氏の敗北となり、私は県市一体化の先頭に立った立場から、その責任を痛感するとともに、私が引き続き市長職に留まった場合の市政への影響等に思いをいたし、慎重に熟慮を重ね、3選出馬を断念することにいたしました。

 今までの8年間、体力面は安定し、気力は充実して、自信をもってその任を果してまいりましたが、この重要な時期にこのような決断をした私の胸中をどうか是とされ、御理解を賜りますよう心からお願い申し上げる次第です。

 今任期満了後は、私も一市民として、市勢の限りない発展に微力を捧げたいと存じております。

 そして、次期市政担当者が、私と同様「甲府市は市民のためにあり、市政は市民とともに歩むべきものである。」との政治理念を実践されるよう期待しております。

 市議会の議員各位、市民の皆様の長い間の御協力に、謹んで厚く御礼と感謝を申し上げる次第です。

 引き続きまして、新年度予算以外の案件につきましてその大要を御説明申し上げます。

 まず、議案第11号「平成2年度甲府市一般会計補正予算(第5号)」につきましては、歳出において、第2款 総務費は、一般管理費等の義務的経費の追加更正と広聴活動費の赤字バス路線維持費補助金の計上及び地域市民センター建設事業費等の更正、基金管理費として減債基金への積立金の計上等と総合市民会館費の財源更正、更に統計調査費の追加更正を主とする補正であり、第3款 民生費は、社会福祉費等各項・目に係る扶助費等義務的経費の追加更正及び財源更正を主とする補正であります。

 第4款 衛生費は、救急医療体制整備費の追加更正等及び病院事業会計への繰出金の追加、ごみ減量化対策、し尿処理費に係る所要額を追加するための補正であり、第6款 農林水産業費は、農業費並びに林業費に係る県補助金の確定に伴う事業費等の追加更正及び財源更正を主とする補正であります。

 第7款 商工費は、金融対策事業に係る所要額の追加と南部工業団地大津地区工場敷地等用地の取得費の計上及び西下条地区造成事業費を更正するための補正であり、第8款 土木費は、公共、組合施行土地区画整理事業費の更正、県施行街路事業費負担金の追加と公園及び住宅建設事業費の追加更正等を主とする補正であります。

 第9款 消防費は、消防団員災害補償費の追加及び急傾斜地対策事業に係る防災費を更正するための補正であり、第10款 教育費は、商業高等教育機関設置事業費、小学校費、中学校費に係る教育振興助成費等の更正並びに社会教育費に係る少年自然の家建設事業費、史跡武田氏館跡整備事業費、文化振興基金費等の追加更正及び甲府市体育協会への出捐金の追加計上を主とし、更に国県補助金の確定に伴う各費目の財源更正を行うための補正であります。

 第12款 公債費は、一時借入金利子を追加するための補正であり、第13款 諸支出金は、土地開発基金の運用利子の積立金を追加するための補正であります。

 歳入については、第2款 地方譲与税、第3款 利子割交付金、第6款 地方交付税の一般財源及び第8款 分担金及び負担金、第9款 使用料及び手数料、第10款 国庫支出金、第11款 県支出金、第12款 財産収入、第13款 寄附金、第14款 繰入金、第16款 諸収入、第17款 市債の特定財源をそれぞれ追加更正するための補正であります。

 継続費の補正は、(仮称)総合市民会館建設事業の財源更正並びに公営住宅建設事業(里吉団地)の総額及び年割額の追加更正と財源更正を行うための補正であります。

 繰越明許費の補正は、地域市民センター建設事業、市道中上今井線道路改良事業、流川改修事業及び上阿原町寿町線街路事業を設定するものであります。

 地方債の補正は、起債充当事業費の更正等による借入限度額の変更をするものであります。

 次に、議案第12号「平成2年度甲府市国民健康保険事業特別会計補正予算(第4号)」につきましては、歳出において、第2款保険給付費は、一般被保険者療養給付費の財源更正を行うための補正であり、第6款諸支出金は、一般被保険者保険料還付金所要額を追加するための補正であります。

 歳入については、第9款 繰入金及び第10款 繰越金を追加更正するための補正であります。

 次に、議案第13号「「平成2年度甲府市老人保健事業特別会計補正予算(第2号)」につきましては、歳出において、第1款 総務費は、一般管理費所要額を追加するものであり、第2款 医療諸費は、医療給付費、医療費支給費及び審査支払手数料を更正減額するための補正であります。

 歳入については、第1款 支払基金交付金、第2款 国庫支出金、第3款 県支出金、第4款 繰入金及び第6款 諸収入を、それぞれ追加更正するための補正であります。

 次に、議案第14号「「平成2年度甲府市病院事業会計補正予算(第2号)」につきましては、収益的支出は、医業費用の材料費等及ぴ医業外費用の支払利息等を追加更正するものであります。

 収益的収入は、医業収益として入院収益等を追加更正し、医業外収益として一般会計からの補助金等を追加するものであります。

 資本的支出は、資産購入費を追加し、これに見合う財源として、県補助金を計上するものであります。

 次に、議案第15号「甲府市議会の議員その他非常勤の職員の公務災害補償等に関する条例の一部を改正する条例制定について」は、地方公務員災害補償法の一部改正に伴い、議会の議員等の公務災害補償について、補償の額の算定の基礎として用いる補償基礎額の改正等を行うとともに、規定の整備を行うための一部改正であります。

 次に、議案第16号「甲府市市立の高等学校及び幼稚園の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例制定について」は、公立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償の基準を定める政令の一部改正に伴い、市立の高等学校及び幼稚園の学校医等の公務災害補償について、補償の額を算定の基礎として用いる補償基礎額の改正等を行うとともに、規定の整備を行うための一部改正であります。

 次に、議案第17号「甲府市農業振興資金貸付条例の一部を改正する条例制定について」は、甲府市農業振興資金貸付審査会を廃止するとともに、規定の整備を行うための一部改正であります。

 次に、議案第18号「甲府市母子家庭等児童手当支給条例の一部を改正する条例制定について」は、母子家庭等の保護者の家計負担を軽減するため、児童手当の額を増額するための一部改正であります。

 次に、議案第19号「甲府市都市公園条例の一部を改正する条例制定について」は、緑が丘スポーツ公園の施設の整備に伴い、有料運動施設の使用料その他の規定の整備を行うための一部改正であります。

 次に、議案第20号「甲府市市営住宅条例及び甲府市市営住宅管理条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例制定について」は、公営住宅法施行令の一部改正に伴い、市営住宅における入居者の資格、収入超過者、高額所得者及び割増賃料に係る収入基準を改定するための一部改正であります。

 次に、議案第21号「甲府市消防団員の定員、任免、給与、服務等に関する条例の一部を改正する条例制定について」は、非常勤の消防団員に支給する報酬及び費用弁償の額を改定するための一部改正であります。

 次に、議案第22号「甲府市マウントピア黒平条例制定について」は、森林の有する公益的機能の高揚及び利用者の保健休養を図り、併せて地域の振興に資するため、甲府市マウントピア黒平を設置し、その管理を行うについては、地方自治法第244条の2第1項及び第3項の規定によりこの条例を新たに制定するものであります。

 次に、議案第23号「財産の取得について」は、甲府南部工業団地(大津地区)造成敷地等用地(主要地方道甲府玉穂中道線)として土地を取得するについては、議会の議決に付すべき契約及び財産の取得又は処分に関する条例第3条の規定により議会の議決を求めるものであります。

 次に、議案第24号から議案第28号までの「市道路線の認定について」の5案件につきましては、それぞれの路線を市道に認定し、維持管理を行うため道路法第8条第2項の規定により議会の議決を求めるものであります。

 次に、議案第29号「市道路線の変更認定について」は、住吉上町線外1路線は、甲府都市計画事業住吉地区土地区画整理事業により、これに接続する道路が建設されるので、これを変更認定するについては、道路法第10条第3項の規定により議会の議決を求めるものであります。

 次に、議案第30号「区域外町道の路線認定の承諾について」は、甲府市徳行3丁目800番1地先から甲府市徳行3丁目802番1地先までは、甲府市・昭和町清水新居沖田土地区画整理事業によって建設した道路であるが、この道路を昭和町が町道として認定し、維持管理するについては、道路の一部が昭和町の区域を越えて甲府市に入ることから、昭和町長から区域外町道として認定したい旨申請があったので、これを承諾するについては、道路法第8条第4項の規定により議会の議決を求めるものであります。

 以上が、本日提案いたしました案件の大要であります。

 御審議の上、御協賛を賜りますようお願い申し上げまして説明を終わります。

○議長(堀口菊雄君) 以上で、説明は終わりました。

 お諮りいたします。

 3月2日は、議案調査のため本会議を休会いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。

                (「異議なし」と呼ぶ者あり)

○議長(堀口菊雄君) 御異議なしと認めます。

 よって、3月2日は本会議を休会することに決しました。

 3月3日は日曜日のため、休会明け本会議は3月4日午後1時から開会、提出議案全部に対する質疑及び市政一般質問を行います。

 本日は、これをもって散会いたします。

                午後2時25分 散会