平成7年3月甲府市議会定例会会議録第2号

                午後1時00分 開議

○議長(森沢幸夫君) これより本日の会議を開きます。

 直ちに日程に入ります。

 日程第1から日程第30まで30案及び日程第31 市政一般について質問を一括議題といたします。

 これより上程議案全部に対する質疑及び市政一般質問を行います。

 この際、念のため申し上げます。

 質疑、質問については、申し合わせ事項を遵守され、重複を避け簡明に願います。

 なお、当局の答弁もその趣旨を十分把握され、簡明、率直にされまして、議事進行に御協力をお願いいたします。

 発言通告者は9名であります。

 各会派の発言順序は、今期は新政クラブからであります。

 お手元に発言通告書が配付してありますので、これに基づいて進めてまいります。

 最初に、新政クラブの代表質問を行います。早川武男君。

 早川武男君。

                (早川武男君 登壇)

○早川武男君 3月定例市議会にあたりまして、新政クラブを代表して質問をいたします。

 最初に、市長の政治姿勢についてお伺いをいたします。

 先に、地方統一選のトップを切って、山梨県知事選挙が行われましたが、投票率は、県全体で49.7%、本市は38.5%、過去最低の記録をいたしました。当日は降雪という気象の影響があったにいたしましても、住民の政治に対する関心の低さを示していると、各新聞の批評が出ていました。私も地方の政治に携わるものとして、この結果を見て一層心を引き締め、今後の住民主体のわかりやすく身近な自治確立のために頑張っていかなければならないと、思いを新たにしているものであります。

 さて、山本市長も第1期最後の議会であり、先の12月議会で再選へ向けての力強い表明がなされましたが、私はこのことに敬意を表し、さらなる本市の発展のために御協力をする決意であります。この4年間、山本市長は市民福祉の充実と各種公約の実現のために、第三次総合計画を策定し、レインボー7大プロジェクトのもと、各種施策の展開を図ってまいりましたことは、御承知のとおりであります。都市計画税の減税をはじめとする市民負担の軽減、新市立病院建設のための用地取得、新拠点整備事業、中学校給食の試行、新図書館建設の着手、障害福祉施設の用地の取得等、近時の景気の低迷の中で、苦しい地方財政下にあっても、これらを着実にしたことは、多くの市民の共感を呼ぶものと信じております。

 平成7年度予算は、第三次総合計画を確実に推し進めていくことを基調とした通年予算であることを理解をしておりますけれども、我が国の経済需要の実質成長率を見ましても、民間信用機関の中で、最も期待した数値でも3.5%、政府見通しは2.8%であり、このことは市税の伸びの鈍化が予想され、かつ地方税の減税と相まって、厳しい行財政運営を余儀なくされることが予見できるのであります。市長は、これらの厳しい社会的、経済的な背景の中で、市民生活の向上と市民福祉の充実をどう図ってまいるのか、基本的な考えをお示しを願いたいと思います。

 次に、新しい、地方の時代に向かっての対応についてお考えをお伺いをいたします。

 昨年の地方分権大綱が閣議で決定されましたが、これに関連して神奈川県の長洲知事は、まことに興味深い提言をしております。すなわち分権とは、明治以来百数十年、特に戦後強化された集権システムと、それを支える政官業の鉄のトライアングルを突き崩そうとするものであります。分権への動きを阻む壁は厚い。分権を軌道に乗せるために何が必要であるか。第1は、分権の基本理念、方向、手順を示す特別立法の制定が必要である。第2は、分権型社会にふさわしい税財源システムの実現が必要である。権限、財源、人間の三げんセットの充実が大切であり、これがないと本当の分権にはならないと指摘をし、それぞれ地域に暮らす生活者の意思を基礎に、近い民主主義の考えに基づいての市民の理解が必要ではないかと訴えております。なお、長洲知事は、討論会の中で、中央からの口出しは、小さな親切、大きな御世話という発言をされまして、政府を皮肉った大胆な報道を公表されたことも事実であります。

 今日、全国の地方公共団体の中では、地方分権のための受け皿づくりに努力を傾注し、幾つかの提言、研究成果を報告しております。自治体が自主性を持って住民本位の地域づくりを進めるのが分権社会であることは論を待たないし、このことは、真の地方自治確立のために基本であります。市長は、平成7年度の市政方針の中で、都市的経営的な発想やエコープランなどを生かした住民参加の構築を図り、地方分権の推進等新しい時代に向けた国、地方の行政の望ましいあり方や、地方の自立に向けた諸施策に取り組んでいくことを証明していますが、まことに時宜に適したものと受けとめております。勇気を持って自主的行政改革を推し進め、地方分権のためにどのようなことが本市にとって問題点であるか、その内容等を市民に広く知らせ、理解を得ながら新しい時代に取り組んでいくではないかと思いますが、具体的にお聞かせをいただきたいと思います。

 次に、災害対策についてお伺いをいたします。

 去る1月17日発生いたしました阪神大震災は、直下型都市災害で、戦後最大の被害であり、五千有余の尊い人命を亡くし、これらの人々に対し、心から御冥福をお祈りするとともに、多くの罹災者にお見舞いを申し上げ、一日も早い復興を御期待するものであります。本市では、この大震災の救援活動として市職員、医師をはじめ消防、水道職員をそれぞれ現地に派遣し、さらに一般市民からの募金等も呼応し、職員一体となってのカンパ等はまことに適切な対応であり、敬意を表するものであります。また市民等によるボランティア救援活動も活発に行われたとの情報も耳にしていますが、尊い活動に感激をしている一員でもあります。

 さて、大震災の尊い犠牲の中で、私どもは数多くの反省と都市直下型の震災の怖さの中で、早急なる対応を迫られています。天災は忘れたころにやってくると言われておりますが、私は、この大震災の報道の中で、問題点の指摘を受けました幾つかを、申し上げたいと思います。

 1つはライフラインと言われる上下水道・電気・ガス施設の破壊による飲料水、トイレをはじめとした生活の混乱、消火活動のおくれ、主要な道路の寸断による交通規制、熱源のない食料の確保と炊き出し用器具の不足、生活用品であるトイレットペーパー、紙オムツ等の不足、情報混乱による被災住民のいらいら、一般災害廃棄物の処理等であります。これらの問題点を踏まえながら、本市に地震による災害が発生した場合を考えてみますと、まず太平洋プレートによる東海地震防災は、強化対策自治として本市をはじめ県下57市町村が指定を受け、これに基づいての防災対策は既にありますけれども、これで阪神大震災を教訓とした都市型災害には対応できるのかどうか不安を持つ一人であります。

 大月短大の田中教授によりますと、県内には活断層が6層あり、甲府盆地が被害地域に入っているとのことであります。活断層による被害を想定した対応を市民によく周知することが必要ではないかと思います。県では、既成の防災計画ではすべての道路が寸断されるとは予想をしてない。この際、地域防災計画の見直しを早急に行うべきではないかと思いますが、お考えをお示し願いたいと思います。

 ライフラインが相当被害が出ることを予想した場合、まず水の確保が大切であることは、阪神大震災の教訓として感じておりますけれども、現在本市は防火水槽26か所、プール等があるにせよいずれも耐震性がない。これを活用するには疑問があります。非常用貯水池の6か所を含めて、当てにすることはないと思いますけれども、これは全く不十分ではないかと考えます。今後の増設計画をお示をしいただければありがたいと思います。

 大都市神戸において、市内の各所に配備されているポンプ車の台数が、国の平常時の最終目標を基準として定めた145台の半数以下64台であり、わずか46%の充足率であったということは、新聞も報道をしております。これらを教訓として近い将来、必ず発生すると言われております東海地震に対応するためにも、本市を中心とする広域市町村が、効率的な地震対策を発揮できる危機管理システムを早急に整備する必要があると思います。また、毎年防災の日に防災訓練が実施をされておりますが、この訓練を見ますと、個々の訓練は大変すばらしいものであると思います。高く評価ができると思います。しかし、大地震が発生した場合、各関係機関が一致協力して緊急輸送道路を確保し、スムーズな救援活動、多数の負傷者を収容するための病院等を確保する必要があるではないかと考えます。当局は、一層実践に即した訓練を実施されたいと思いますけれども、これらの点についても併せてお聞かせをいただきたいと思います。

 さらに角度を変えまして、本市では昨年12月ボランティア都市宣言を議決をされました。今時の阪神大震災においてもボランティアによる救援活動は、すばらしい成果を上げております。宣言にありますように、お互いに奉仕する互助の精神による自発的な市民参加が、広域的な応援体制の要となると考えています。現状の広域的応援体制は、首都圏サミットにおいても常備消防を中心として形成されておりますが、本市のボランティア宣言をいたしたソフト面も入れたボランティアの活動が大事ではないかと思います。この方向に向けての対応はどのようにお考えか、お示しを願いたいと思います。また、学校はじめ市民の広く利用する公共施設の再点検についても早急に実施すべきだと思いますが、どうでしょうか。

 次に、災害発生直後から口コミに頼って生活している被災者であれば、余震の流言飛語等情報不足も不安定な心理を誇張し、歪曲して伝わることは当然だろうと思います。行政が正しい、きめの細かい情報を素早く住民に伝えることが非常に重要でありますが、どのような対応をしていくのかお尋ねをいたしたいと思います。

 次に、本市の中央商店街活性化を図るため、現在県では舞鶴公園のリフレッシュ事業と連携させた観光拠点としての周辺整備に力を注いでおりますが、このことについてお伺いをいたしたいと思います。

 舞鶴公園は現在、山梨県が幸住県計画による都市公園整備の一環といたしまして公園のリフレッシュに取り組んでおり、平成12年には整備が完了するところであります。事業はまだ中途でありますが、お堀の水も大変きれいになり、石垣も積みかえられ、築かれた白壁も水の水面に映える様は、まさに市民の誇る舞鶴城址としてその本来の姿が蘇りつつあります。市街地では唯一の観光資源であり、舞鶴公園が生まれ変わろうとしているわけでありますが、これが完成いたしますと、県内外から多数の人が訪れるものと思います。これらの観光客等訪れた人々を商店街に誘導し、さらなる活性化を図るには、大変重要なことではないでしょうか。既に商工会議所におきましては、地域開発委員会の中に舞鶴公園の周辺整備に関する小委員会を設置し、JR甲府駅から舞鶴公園に至る人の流れをつくるため、公園西側地区の整備、舞鶴公園から中央商店街に人の流れをつくるための公園南側地区の整備、観光バスも止められる道路等の拡充や駐車場などについての調査研究が始められております。これらの取り組みは、結果として行政に対して周辺整備の要望がなされると思いますけれども、本市といたしましても衰退ぎみの中央商店街の活性化を考えるときに、どのような対応を進めていったらいいのか、お伺いをいたします。

 以上をもって、第一弾の質問を終わらせていただきます。

○議長(森沢幸夫君) 市長 山本栄彦君。

                (市長 山本栄彦君 登壇)

○市長(山本栄彦君) 今議会にあたりまして御答弁を申し上げます前に、私のこの4年間の政治姿勢や行政運営に、議員各位には心暖まる御支援をいただき、まことにありがとうございました。新たな決意をもって御答弁をさせていただきます。

 早川議員のまず初めの御質問でございます市民生活の向上と市民福祉の充実についてのお尋ねでございますが、我が国の経済は、景気回復の明るい兆しも見えてきているものの、円高傾向の一層の進行や過日の阪神・淡路大震災の影響によって、なお先行きに大変厳しいものがあります。このことによって地方財政を取り巻く環境も、しばらくは不透明な情勢が続くものと予測をいたしております。こうした中にあっても、私は市長就任以来レインボープラン7大プロジェクト21基幹事業を、新たな重点施策として市民生活や市民福祉の向上のための都市づくりを進めてまいりました。今後におきましても、商工業の一層の振興を図るなど、経済の活性化のための施策を進める中で自主財源の確保を図り、環境、福祉、教育など市民生活に密着した事業については、積極的な配慮を行い、すべての市民が幸せを実感できるまちづくりに取り組んでまいりたいと考えております。

 次に、地方分権の問題についての御質問でございますが、地方分権の推進は、国、地方を問わず、いまや国家的、国民的な課題でありますが、昨年12月地方分権大綱が決定され、分権を軌道に乗せるための基本理念で、手続き、チェック機関を柱とした5年間の時限立法、地方分権推進法が2月28日に提出され、私ども市長会など6団体や地域住民が久しく望んでいた地方分権推進の方策が、具現化に向けて歩み出しました。地方分権は、多様で魅力ある地方の展開を促進するため、地域住民に身近な権限を地方に移譲すべきで、これまでの公平論や一極集中を是正し、地域本位の行政確立のため現在の国と地方の事務分担を見直し、地方への権限の移管、財政の自主性の拡大、機関委任事務の整理、合理化、補助金の一般財源化、地方債許可制度の簡素化、弾力化など地方が住民福祉の向上のために自主的、主体的な行財政運営を行うことのできる地方財源の確立が図られ、地方が効率のよいサービスを提供するのが望ましい分権であると考えております。

 具体的には、県、市の関係など今後の権限移譲の中身が明確ではありませんが、一定の前進と受けとめております。本市といたしましては、その受け皿として日常生活圏や経済圏の広がりに対応して、地域が自立的、かつ統合的に効率よく地域本位の行政が進められるよう、発展する条件と行政能力を備えた地方行政執行体制を確立すべく、広域市町村圏や地方拠点都市地域の広域形成に努め、人材確保や財政基盤の拡充を図るため国の地方分散政策に乗り、地方拠点都市などの事業を関係市町村との連携のもと推進し、21世紀に向け力のある分権的地域づくりに努めてまいります。

 次に、阪神・淡路大震災を教訓とする本市の防災体制の整備についての御質問でございますが、このたびの阪神・淡路大震災は、尊い人命と財産に大きな被害をもたらし、自然災害の恐ろしさを改めて認識させられたところであります。本市といたしましては、今回の大震災を教訓として、市民、行政が一体となって今後の備えを行い、万一災害の発生に際しましては、迅速に対応できる体制を整えるとともに、防災意識の普及、啓発に努め、災害に強い都市づくりにあたってまいりたいと思っております。

 御質問の第1点目の地域防災計画の見直しについてでございますが、現行の地域防災計画は、昭和55年に作成したものでありますが、このたびの大震災を踏まえて、国、県においては近く地域防災計画の見直しの基本防災計画を提示するとのことでありますので、これらを参考に本市として地域防災計画見直し検討委員会を設置し、新たに地域防災計画の策定をしてまいります。

 次に、非常用貯水槽の増設についての御質問でありますが、本市の飲料水確保の対策といたしましては、校庭の地下に埋設した耐震性の非常用貯水槽6基及び各小中学校に設置してある耐震性のプールの水を浄水機で飲料水にかえることができます。しかし、これでは十分とは言えませんので、今後年次的に非常用貯水槽の設置を図ってまいります。

 次に、広域的な防災体制についての御質問でございますが、災害の状況によっては市民の救援救助活動を本市のみで対応することは困難であります。したがいまして、既に関東地方の水戸市外5市とは相互援助協定を締結しておりますが、今後は県内の市町村との相互援助協力の整備を進め、災害時に即応できる協力体制を整えてまいります。

 次に、防災訓練についてでありますが、防災訓練は、大規模地震対策特別措置法に基づき、関係機関及び地域住民との協力体制の中で行っております。訓練内容は、基本的訓練に重点を置き、各機関の防災計画に沿って実施しております。しかし、今度の大震災を踏まえ、実践に即した訓練が必要だと思いますので、関係機関と協議する中で見直しをしてまいります。

 次に、ボランティア都市の推進についてでありますが、市民自らの自主的活動と行政活動との連携を深め、一人ひとりの心の触れ合いを大切に互助の精神の培われた、人と自然にやさしい甲府市創造のため、ボランティア都市宣言を行いました。こうした折、かつて遭遇したことのない阪神・淡路大震災が発生し、その悲惨な状況の中に、多くのボランティア活動がありました。この活動の中で特に再認識させられましたことは、私たちは三層圏、言うなれば三つの圏域に守られて生きていると言われております。その第一層であります生活圏でありまして、これは自治会等の近隣同士の支え合いということであります。二層目は基本圏ということでありまして、市町村などの担う役割として情報、救済などの分野であります。そして三層目は広域圏ということでございまして、県、国及び海外からの敏速な支援であり、この一環として本市も救援本部を設置し、救援隊をこのたび派遣をいたしてまいったところであります。

 本市といたしましては、市民の自主的ボランティア活動を支えながら、ボランティア都市の実現に努め、こうした非常時に近隣及び関係自治体での相互ボランティア活動支援の連携が図られますよう、取り組んでまいる考えであります。

 次に、公共施設の再点検についてでありますが、学校はじめその他の公共施設の再点検につきましては、国の建築基準法の耐震基準見直しもされると聞いておりますが、これらの動向も踏まえるとともに、本市の地域防災計画の見直しの中で対策を講じてまいりたいと考えております。当面は、市民や児童・生徒に対する安全の確保のため、施設の維持管理と避難、保安体制に万全を期してまいりたいと考えております。

 次に、災害時の情報の伝達についてでありますが、本市といたしましては各地域に設置してある行政無線及び広報車による伝達をするとともに報道機関の協力による新聞・ラジオ・テレビを通じて、正しいきめ細かい情報を伝えたいと考えております。また避難所が設置された場合、そこで生活する市民には、本市職員である地域連絡員が情報の収集と伝達を行ってまいります。いずれにいたしましても、今回の尊い教訓を生かすための本市の実態に即した防災計画の見直しを行い、市民が安心して暮らせる、災害に強い都市づくりに取り組む決意であります。御理解を賜りたいと存じます。

 なお、他の御質問につきましては関係部長からお答えいたします。

○商工労政部長(佐藤 環君) 中央商店街の活性化についてお答え申し上げます。

 中央商店街の活性化につきましては、御指摘の商工会議所の地域改善委員会や、昨年11月に市民の手により作成されましたエコープランの中でも舞鶴公園の活性化と中央商店街の活性化についての提言もあり、本市といたしましても現在甲府駅から中心市街地にかけての区域75ヘクタールについて、市街地の活性化と土地の合理的かつ健全な高度利用を図るため、甲府駅周辺地区、市街地総合再生基本計画を都市整備部が中心となり、策定をしております。この計画の中に地場産業、商店街、観光産業等の育成強化を盛り込み、交流人口増加の方策を図るべく、御提言の趣旨を反映させ、それぞれのブロックごとに地域にあった整備方法等について提案してまいりたいと考えております。御理解を賜りたいと思います。

○議長(森沢幸夫君) 早川武男君。

○早川武男君 災害対策等につきましては、なおも1か月以上経った現在、阪神地区におきましては甲府市民のまだ半分の人たちが本当に厳しい生活を送っておることは、連日報道をされておるわけでありますが、ただいまの市長の答弁で、早い論議を経て、また多面にわたっての対策等が協議されておるということで、非常に感謝を申し上げるところであります。

 なお、この後我が会派の福島 勇議員と海野平八郎議員が一般質問を行います。かなり掘り下げての質問があろうかと思いますので、私は要望のみにとどめますが、去年の12月議会でボランティア都市宣言が可決をされたわけであります。この中でも、私どもの会派の民生文教の委員の中から、単なる採択であってはならないということで相当突っ込んだ論議が展開されたと思います。それらに基づいてひとつこの宣言が、今後あらゆる面に生かされることを行政の指導の立場で、ひとつ広い範囲でやっていっていただきたいことを要望をいたすわけであります。

 地方分権につきましては、昨年の3月、本市議会におきましても全国議長会からの要請で、地方分権推進に関する意見書の採択をいたしました。内閣総理大臣、関係大臣に皆送ったわけであります。地方6団体がその後9月に総意を結集して、これにはもちろん山本市長も参加をされておるわけでありますが、地方分権に関する意見書を国会、内閣に提出をいたしまして、昨年の12月地方分権の推進に対する大綱方針が閣議決定をされましたが、この内容は決して地方6団体が要望しているものとはかなり不足をしている面が多いわけであります。今議会でも、全国の議長会からの、また再び要請がございまして、これらの地方公共6団体の要望ができるだけ組み入れられるように、既に法案の修正そのものについては難しいでしょうが、総理大臣にその内容について強く要望をしていく必要があるだろうと、こういうことで、多分担当委員会で再度この採択がされるだろうと思います。この点につきましてもひとつ山本市長も6団体の先頭に立って、地方の働きかけを推進をしていっていただきたいと思うわけであります。

 あとは福島議員、海野議員にお譲りをいたしまして、以上で代表質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○議長(森沢幸夫君) 暫時休憩いたします。

                午後1時33分 休 憩

                午後2時05分 再開議

○議長(森沢幸夫君) 休憩前に引き続き会議を開きます。

 上程議案全部に対する質疑及び市政一般質問を続行いたします。

 新政クラブの一般質問を行います。福島 勇君。

 福島 勇君。

                (福島 勇君 登壇)

○福島 勇君 平成7年度3月議会にあたり、一般質問を行います。

 このたびの議会は、市長にとりましては1期4年の総仕上げであり、さらに次期に向かっての市政方針を議会を通じて市民に訴えつつその理解を求める重大な機会であります。また私ども議員といたしましても、任期終了を控えて、政治理念と責任とをただされるべき機会であろうと思うわけであります。登壇の機会を与えていただいた新政クラブの諸兄に感謝いたしながら私の所見を述べつつ、市長はじめ当局に数項目について質問いたします。当局の簡明適切な答弁と、市長には、あなたの顔の見えるような見解の表明をお願いをいたします。

 昭和20年(1945年)太平洋戦争の敗戦により、日本という国家はなくなっていくのではないかとの危惧の中から、西欧型民主政治を教えられ、とかくの議論は今も続いているのではありますけれども、1946年(昭和21年)現憲法が公布され、民主政治の道を歩み始めて今日に至っていることは、今さら私が言うまでもない経過であり、歴史であります。そして約50年を経過いたしました。民主政治の尊さということは、国民の心の中に定着をし、この道を踏み間違えてはならないものであるとの認識は確固たるものになりました。さらなる内容の充実と前進は日本国の将来の決め手になるでありましょう。中央政治にも御覧のとおりの紆余曲折が続いており、従来の形から脱皮した政治形態はどこにあるべきか、また地方行政との関連は、どのように位置づけられるべきか、声高く論じられるようになりました。私は、このようなムードに期待をし、かつさまざまな角度からの議論が交わされていくことを歓迎をいたします。

 そこで中央政府と地方自治体との役割はどうあるのがよいのか、これを詰めていかないと本物の姿は見えてきません。明治維新このかた127年の間、中央集権政治が行われてまいりました。戦後の50年も復興経済発展等の施策が、そのゆえに今日を築いたことはそのとおりでありますが、明治憲法のもとの富国強兵政策は御承知の破局を招きました。新憲法下の政治も半世紀を経過して混迷の度を深めてきております。中央集権政治への批判と反省が吹き出したのであります。生まれてきた言葉が地方分権と規制緩和であります。

 歴史を振り返ってみると、日本の統治形態は、地方分権の上に成り立ってきたものでありまして、混沌とはしておりますけれども、王朝当時の古代も幕府統治の封建時代は、最たる地方分権の時代でありました。統治者は地方から租庸調、または幕府への貢納金を搾取するだけであり、地方は独自に産業の開発、民生の安定を図ることに財政の健全に努めなければ、統治者が成り立ち得なかったことを物語っております。しかしながら、地方間の格差を是正する方便は持ち合わせていなかったと言わなければなりません。それなるがゆえに地方分権と中央集権の関わり合いは、いかような形の上に成り立っていけばいいのか、地方自治体は自らの発想を強く求められ、新しい施策の創出を迫られているときでありましょう。このことにつきましては、先ほどの会派代表質問の中で早川議員が述べられ、かつ市長の答弁が得られておりますので、これにつきましては御答弁は求めません。私は、市長が提唱し、大綱がまとめられたエコープランに非常に興味を持っています。自治体の取るべき、また求めるべきスタイルを市民と共に考えましょう。市民との対話の中からつくり出していきたいとの念願の完成することを願ってやみませんが、少しく疑念とするところは観念論、抽象論が先行して、身が伴うか否かというところでありますが、ここは市長の高邁な判断とスタッフの英知を結集して、後世に残る業績が生み出されることを期待して、注目してまいりたいと思っております。

 続いて規制緩和についてであります。これには二つの流れがあります。一つは、産業経済活動のもろもろの規制緩和であり、一つは中央政府と地方自治体との間にある機関委任事務等をはじめとする許認可などがいかようにあるべきかでありましょう。このことは分権論の範囲内ではありましょうが、発言の流れでありますので、御了承いただきたいと思います。

 産業経済界に関するものについては、貿易立国を国是としてこれからも進まなければならない日本国が、米国をはじめとする海外の抗議の前に、緩和の実効に下さなければならないものと理解はいたしておりますが、その後には何が起こってくるのか、危惧なしとは言えません。資本主義経済の悪い一面、弱肉強食の相剋は否定できないことでありますから、諸刃の剣になることをも予想しなければなりません。規制緩和論の台頭ということが価格破壊なる現象を起こしました。勝ち残るか敗れ去るか、まことにもって厳しい現実であります。安定した経済全般の復活を願う自治体にとりましても、重大な関心事であります。主要産業が大手資本の寡占化につながるおそれが多分にあります。アメリカの航空業界が十数年前、再編成されてしまったのは、典型的な例ではないかと思います。ほとんどが中小企業に頼っている本市の経済界であります。商工業の振興は、地方政治にとりましてなおざりにしてはならない重要な政策の柱であります。さりながら地方自治体がどう対処していけばよいのか、奥が深過ぎて、私も迂闊に答弁を求められません。本市の産業界に適切な施策の行われることを強く要望いたします。自治体に直接関わりのある許認可事務、また機関委任事務等につきましては、いまだ論議は深まってきておりませんが、やがては俎上に上ってくるでありましょう。当局はどのようにとらえられているのか、見解をお持ちならばお伺いをいたします。

 次に、当議会に提案されました予算案についてお尋ねをいたします。

 一般会計647億1,519万4,000円、旧特別会計総額596億3,195万6,000円、合わせて1,243億4,715万であり、対前年比4.7%の増となっております。バブル景気崩壊の後、2年間苦しい財政のもとに苦悩を続けてきた本市であったのでありますが、このように積極的な姿勢が見えましたことは、評価をいたします。本市施行の各政策の確実な歩みに期待をするところであります。が、一部不安材料もないとは言えません。地方交付税21億円余りが計上されております。これは自治省との打ち合わせ済みであるものと理解をしているのでありますが、地方交付税の性格上、阪神大震災被災自治体に傾斜配分されることが予想されるがいかがでありましょうか。被災地の復旧に必要な経費は、別途予算が組まれるといたしましても、この事態による税収減は、1兆6,000億前後と予想されているのであります。この影響はあるのかないのか、当局のお見通しはいかがでございましょうか。国庫支出金も59億4,400万円と大きく伸びております。国の財政の状況から推測いたしまして確かなものと受けとめてよろしいかどうか。また、財政調整基金等からの基金取り崩しが20億円、減税補てん債が18億円余りとなっております。市債は77億6,870万円で、構成比12%であります。常に財政当局が堅持してまいりたいと述べておられる構成比の枠内でありますから、これはこれで良しとするのでありますが、平成6年度の決算状況については、いまだ知り得ないであるところでありますけれども、平成5年度の決算書によれば、市債当初予算額83億7,500万円が、決算額では97億3,090万円であり、13億5,590万円増加しております。当局は、このような事態をどのように見解をお持ちでいられるのか。

 さらには、本市主要事業の展開する将来図を想定するならば、市債依存の度合いは、必然として高まるものと見なければなりません。私はけちけちな消極的な予算執行を求めているというのではありません。本市の長期ビジョンの中に計画されている大型プロジェクトについては、行政の継続性を求められる立場からも推進していかなければなりません。私もそのところは理解をしているつもりでありますが、永遠の責任と使命を背負っている本市行政の今後に思いをいたすときに、一抹の不安を感ずるのであります。財政の健全性は常に固く守らなければ、将来に禍根を残すことになるとの立場をとるものであるがゆえにこのような質問をし、答弁を求めるものであります。

 続いて、歳出予算についてお伺いいたしますが、特別委員会が設置され、各款別の審査が予定されておりますので、細目はそちらに譲ることにいたしまして、次の点についてお尋ねをいたします。

 予算編成にあたり、経常経費は一律10%カットの方針でなされたと聞いているのでありますけれども、これはいかなる根拠によってお立てになったのか。一律カットのできるものとできないものがあるはずであります。その選択はどうなされたのか。都市基盤の整備もさりながら、教育、福祉対策は、世論が重く受けとめている事柄であります。福祉施策には、市民のすべてがその恩恵に浴すべきものであると思っているものでありますが、平成7年度の目玉とするところはどこでありましょうか。教育施策は言うまでもなく未来の人づくりの大切な課題であります。教育予算の重点とするところはどこにございましょうか、御説明をいただければありがたいと思うところでございます。

 次に、甲府圏域地方拠点都市計画についてお伺いいたします。

 最近こんなニュースが伝わってきております。自治体再編の一環として市町村合併に絡む動きが活発化している。地方制度の調査会は、昨年11月、自主的な合併の推進を打ち出し、具体策として住民発議制度の創設等を提言、これを受け自治省は、3月で期限が切れる市町村合併特例法の再々延長を検討している。現在、市は663、町が1,994、村が571の計3,234であり、今全国で80以上の地域で合併構想が持ち出され、約500の市町村がこれに係るとされております。背景にあるのは、地方分権の1つの論点である受け皿論だと言われているのでありまして、地方自治体は一定の規模を持つべきだとする考えが基調にあるようであります。これに対して、この反論は自治の視点が欠落はしていないかというところにあるようであります。それゆえか、昨年の全国市町村中央大会では、受け皿の整備の見地から、国の指導により、全国一律的に市町村合併を推進することは適切ではないとの考えが出てまいりました。本市を取り巻く環境を考察して見ましても、なかなか難しいのではないか。一部民間団体が、周辺町村との合併論を展開をして、かなりの賛同があると伝えられていますけれども、果たしてどうなのか。本市の中にも30万都市構想が浮かんでは消え、浮かんでは消える長い経過も持っております。かつてある市長が、合併論を打ち出して大きな反発を受けたこともありました。この種の論を論じる時期、機運ではないと判断されるのでありますが、地方自治体の垣根を越えた、広域としての施策も求められているのも事実であります。既に実施されている広域事務組合の事業、近くは石和町とのごみ処理事業等に見られるごとく、環境行政、産業振興、さらには県の高速交通体系の整備に向かっては、広域的な視野に立たなければ解決しない課題は次々に浮上してまいります。リニア中央エクスプレスも時間の問題はありますけれども、必ずや実現の時を迎えるでありましょう。

 以上のような観点から、昨年3月知事の承認を得た地方拠点整備計画に期待を寄せるものであります。計画は緒についたばかりであり、具体策はいまだしの状況でありますけれども、1市15町5村のそれぞれの特性を生かしつつ、着実な歩みを進めてほしいと、強く念願をいたします。

 オフィスアルカディアにつきましては、現今の経済界の動きからして、どのようになるのか不透明な部分は少なしとはいたしませんが、甲府市の将来を描いたときに、夢に終わらせたくないのであります。もちろん相当長期的な時間を必要とすることも十分承知をしております。市長の所信と決意のほどをお聞かせください。

 次に、都市計画街路事業の進捗についてお尋ねをいたします。

 先の阪神大震災の生々しいニュースを見ておりまして、構造物のことはさておきまして、都市構造のあり方に深い関心を持ちました。地震が建物を破壊した次に、火災の危険が迫り来ることがテレビの画面を通して痛感されたのでありますが、地震による破壊と火災による被害とは質が違うように私は見受けました。地震は防ぎようがないのだが、火災は人間の知恵で最小限に防ぐことは不可能ではない。とすると、都市の防火帯としての道路の役割が大きく見直されなければならないと受けとめましたので、この質問をするわけであります。

 本市の計画では500メートル、1,000メートルのメッシュで幅員12メートルまたは16メートル、ないし22メートルで計画されております。38路線総延長13万4,000メートルに及んでおります。これが昭和25年以降今日までの進捗率は48%と聞いております。45年の期間を経ての数値でありますから気の遠くなる話でもあり、大事業であることはわかりますが、やはり期待をしなければなりません。市街地の事業進展が難問を抱えていることも理解をするところであります。県施行と市施行の工事がありますが、市施行の愛宕町下条線、高畑町昇仙峡線、善光寺町敷島線、上阿原町寿町線、住吉四丁目善光寺線。5路線についてただいまはどのように進められていますか、建設工事が行われているとは見えていないのでありますけれども、現状はどのようでございましょうか。

 これに加えてこんなことをお聞きしておきたいのであります。隣接する敷島町では、愛宕町下条線の工事が進み、道路の輪郭をあらわし始めております。甲府市と敷島町を結ぶ同じ路線であります。本市施行区間は工業高校のあたりでストップしたままであります。改良の必要度はどう判断されたのか。県施行と市施行とでは扱いが違うのか否か、非常に高い関心を払わざるを得ないのであります。

 もう1つ、高畑町昇仙峡線と並行して走る路線、敷島町西町交差点から北上をして金石橋に至る街路事業も始まっております。県と市との間の打ち合わせ、連絡調整はどのようになっているのでありましょうか。私どもに理解できるような当局の説明をお願いいたします。

 それにつけ加えるといたしますならば、事業決定がなされた路線上にある市民の方々にとっては、差し迫った課題であります。ズルズル、ズルズルと延ばしていくということは、市民の生活不安を醸し、この辺も十分考慮なさっての上の御説明をお願いをいたします。

 次に、教育委員会に2点ほどお伺いいたします。

 1つは、小学校通学区の再編についてであります。最近は都市構造が大きく変化してきております。言われるところのドーナツ化現象であります。地域の中心部は、商業用地、事業所用地の専門化といいますか、占有化が進み、住宅地を郊外に求める傾向は全国共通のようであります。中心市域の定住人口の減少は、幾つかの社会問題として起きてきているのでありますが、教育現場には、切実な難問としてその解決は迫られてきているはずであります。定住人口の減少は、学童の激減を招来しており、過疎校にいつなっても不思議ではない小学校が生まれてきております。続いて同様な環境になると予想されるところも数箇所数えられます。連日の社会変化によって周辺校は、児童増のためプレハブ校舎で急場をしのがなければならない。片や学校がある以上老朽化した建物、施設等々は改造しなければならない矛盾があります。文部省の指導にも疑問を持っております。余りにも現状固定主義ではありませんか。文部省の規制の中で、身動きできないのならば、教育委員会は本市の独自性を打ち出す工夫をしてほしいのであります。過密校と過疎に近い学校とのアンバランスの修正は、教育環境とこれに付随する予算にまで及び、これの修正は迫られるのであります。教育委員会においては、どのような検討をなされてきたのか、どのような方策をお取りになろうとされているのか。我が新政クラブといたしまして、数年前から当局にこの改善を求めてきた大きな政策課題であります。私どもは、教育現場には、急激な変化を与えることはしてはならない。対象地域の市民に十分な理解を求めることは大切である。当該する小学校の現状と5年先、6年先の児童数の変化の予想を明らかにしながら検討すべきだと言ってきているのであります。東京都あるいは京都市の学区再編に伴う小学校の統廃合が行われ、混乱があったことはマスコミ報道等で全国ニュースとして流されました。この報道についての詳細の資料は当局はお持ちのはずであります。教育委員会の検討の経過とそのお考えをお示しください。

 2つ目には埋蔵文化財の扱いについてであります。いかなる理由、目的にかかわらず土地開発、道路改良、建物の建てかえ等々にあたって埋蔵文化財の発掘調査が義務づけられており、その位置を指定したマップがあると聞きます。そしてその作業は、原因者の責任においてなさなければならないとなっております。これは原因者に大きな負担であり、公共、個人ともにたえられない重みになっていることは御存じのことと思います。平成6年度市政概要のこの項に目を通してみました。11件の事例が記載されていますが、川田町583番地の調査を除いては埋蔵文化財の調査は何ゆえに必要としたのか、しなくてもよかったのではないのか、率直に受け入れることのできないものばかりと拝見をいたしました。川田町外中代遺跡出土品にしてみましても、ここでなければ発見でき得なかったほどの価値あるものなのか。よそから当時の流通によって持ち込まれたものなのか。単なる生活用具であったか。その評価もお聞きしておきたいのであります。

 アーバンスタディセンター用地も現在調査が行われております。さもなくても高い買物と指摘されているに加えて、発掘調査に1億円近い費用が必要とされております。この文化行政の矛盾をお考えになったことがありますか。またこの位置を指定したマップを見れば、ほぼ市全域にわたっております。位置指定については、いかなる機関がいかなる資料に基づいてなされたのか、これもお伺いしなければなりません。都市改造なる施策事業は、人間文明の進歩にこたえていかなければならないことであります。大きな障害になるものとしてこの際ただしておかなければなりません。さらにこの11件の調査に係るそれぞれ原因者が、要した経費全額は幾らになっておりますか、指導したお立場の役所であります。把握されていられると思いますので、お知らせください。

 最後に、水源涵養林の保護施策についてお伺いいたします。

 本市が63%の山岳森林を抱え、この地域の振興と自然環境の維持、保護管理が至上命題であることは、市民すべても理解しているところであり、行政もまた疎かにしてはならないことと懸命に努力しているところであります。ここは、甲府市民の水がめであり、酸素供給の場であり、市民に自然界の安らぎを与える空間であります。大切にしなければなりません。この一帯には市有林約2,600ヘクタール、県有林4,000ヘクタール、金桜神社林1,200ヘクタール、他の民有林を加えると8,000ヘクタールを上回る水源林であります。昨年夏、全国に広がった渇水騒ぎをよそ目に悠々飲料水の心配が起きなかったのもこのおかげであり、北部山岳地域と市民生活のつながりを改めてお考えをいただきたいとするところであります。

 本市の林業振興施策が、これを十分に承知をし、長年にわたり営々苦労を重ねてこられたことについては深い敬意と感謝の念を表明するものであります。

 そこでこのようなことを申し上げたい。県の森林計画に、森林に求められる機能には木材の生産機能と広域的機能、すなわち山地崩壊の防止であり、憩いの空間の提供であり、水資源の安定的な確保であり、この2つの機能が共に働くことにならなければ森林計画は成立しないとありますが、木材生産機能の現状は、流通経済の変革と公益的機能の板挟みの中で、既に30年に及ぶ不況のどん底にあります。殊に公益的機能の発揮と自然保護論は、林業経営の基本的事項を制約し、北部山岳森林地帯の経済退化の沈下は深刻な状態に落ち、林業が経済として成り立たず、民有林保有者の林業離れとなり、森林は放置され、かつての住民は新しい職場を求めて山を下り、平野部に移住し、山村の過疎の進行を招きました。黒平町の過疎化、老齢化は、部落消滅の危機に直面し、林業労務者の激減となっております。現在の林業者4人と聞きます。年齢は既に70歳であります。集落の力でこの水源林保護は不可能になってまいりました。木材生産の力がなくなったことは、公益的機能の維持を困難にしたのであります。森林保全のための公の予算にも限りあることも承知しなければならない現実であります。今我々は何をなさなければならないのか。市民、すべからくが1年に1日、勤労奉仕することで下草刈りや森林の手入れ作業に参加できないものか、または別途資金の投入により、森林機能の回復を図る方途はないものか、市民個々の判断を仰がなければならないと言葉を大きくして訴えるものであります。

 私は20年前から、山村の過疎化の歯どめは、政策の中でなさなければならない。山村の過疎が進行することは、水源上流域の森林の保護管理が不可能になることは目に見えている。この対策の一手法として、水道水1トンの使用料に1円を加えてもらい、この資金を山もとへ還元することはできないものかと主張し続けてきたものであります。議会初当選の54年6月議会でこの発言をしたところ、当時の経済部長の答弁は、やわらかかったのでありますけれども、裏話として水道局の幹部諸公が「素人とは気楽なものよ、そんなことできるわけがない」と、嘲笑をされました。認識の違の落差にお日さまが真っ暗になった思いがいたしたのであります。

 国規模の水と緑の基金500億円目標、県みどりの基金10億円目標の2制度があります。ただいまも甲府市自治会連合会の御協力を得て市民各位からこの募金に御協力をいただいておるところであり、心から感謝しているのでありますが、この両基金は、その運用益をまちの緑の充実、水資源の確保、河川の浄化等々に配分する仕組みでありますから、全国、全県を対象にしておりますから、この事業展開は今のところなっておりません。そこで1つの事例を御紹介いたします。

 先日2月16日に愛知県豊田市を訪ねてまいりました。矢作川中流に位する人口32万余のまちであります。矢作川の汚濁に悩んだ流域26自治体が矢作川水質保全対策協会なる組織を昭和40年につくって、矢作川の水を守る運動を展開してきたのでありますが、眼の前を流れる水を守るだけで本当に矢作川の水は守られるのか否かとの疑念が出てまいりまして、長野県根羽村、平谷村に始まる水源林の維持管理が十分でなければ、真の水を守る運動の成果は上がらないとの結論に達しました。そこで水道水使用量1トンに1円をプラスして基金をつくり、水源涵養事業に投下しようと、豊田市水道水源保全基金条例を施行したのが平成5年12月議会であったとの説明でありました。市民の意向調査も行いましたが、反対はなく、市民合意の上でこの条例は議会で可決されたとのことであります。9万戸の家庭と1万8,000の事業所の負担額は、月35円平均であり、年額4,500万円になるので、10年間を積み立て期間とし、5億円をまず目標とする。この使用目的は、上流域の県内外を区分せず、この一帯に最も望ましい施策の検討に入っており、その内容によっては、基金の取り崩しも可能とのことでありました。この基金の所管は水道局でありました。市長または水道局当局は、このような事例についてどんな御感想をお持ちになられたか、お聞かせください。

 このような制度、仕組みが取り入れられたとするならば、本市は豊田市よりはるかに恵まれた環境にあります。金峰山の頂まで本市行政区域であり、公有林の面積が非常に大きいのであります。甲府市の独自の考え方が施策の中に十分に生かされると思います。市長並びに水道当局の御答弁をいただきまして、第一弾の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。

○議長(森沢幸夫君) 市長 山本栄彦君。

                (市長 山本栄彦君 登壇)

○市長(山本栄彦君) 福島議員の御質問にお答えいたします。

 はじめに産業界の規制緩和についての御質問でございますが、産業経済活動の中で参入規制、価格規制、輸入規制等のさまざまな制約は、健全な企業活動を阻害し、消費者の利益を損ねる危険性をはらんでおります。規制緩和は、企業のビジネスチャンスの拡大と消費者の選択範囲の拡大を図るとともに競争原理が導入され、消費者重視、経済の活性化を図る立場から、積極的に推進すべきものと考えておりますが、一方では、既存企業の生き残りをかけた抜本的対策も必要であります。企業の企画力、研究開発力はもとより、資金力等の面でも自立型企業としての体質改善が、今後ますます重要になるものと思われますが、行政といたしましては、企業が自活できるためのインフラ整備を含めた支援体制を確立していく必要があると考えております。

 次に、平成7年度福祉施策についての御質問でございますが、福祉施策関係予算につきましては、高齢社会への対応、また少子化、子育て支援施策、ノーマライゼーションの実現などを念頭に置き、編成を行ったところであります。まず総合福祉では、ボランティア都市宣言を実効あるものとするため、ボランティアセンターにコーディネーター1名を増員するとともに、高齢者福祉関係では、高齢者保健福祉計画のより推進を図るためのホームヘルパー7名の増員をはじめ、在宅老人支援のため、新規事業としての中・長期保護ミドルステイ事業の実施費、多世代同居用住宅建築資金の増額を、児童福祉関係では、子育て支援のための少子化対応としての特別保育事業の拡大や助産手当の増額、心身障害者福祉関係では、障害者の活動拠点としての(仮称)心身障害者総合福祉センター建設関係費を計上したほか、心身障害児者へのホームヘルパー2名の増員や、在宅介護支援センターの運営費補助を行ってまいります。さらに人にやさしいまちづくりを推進するため、甲府駅南口へのエスカレーターの設置も進めてまいります。

 以上が新年度予算計上の特徴的なものであります。

 次に、オフィスアルカディアの甲府市立地の考え方についての御質問でございますが、東京に過度に集中している産業業務機能の適正配置、地方拠点都市圏の活性化が求められておる中で、甲府市は山梨県及び甲府地方都市圏を牽引する中心都市として、魅力と活力ある21世紀を見据えた都市づくりが求められております。甲府市が長期的展望に立って産業、経済、文化をはじめ賑いと活力ある都市として発展するためには、国及び県レベルでの重要政策に位置づけられている地方拠点法関連事業、とりわけ甲府圏域地方拠点都市地域の基本計画の諸事業を、関係町村との機能分担と連携のもとに、積極的に推進する必要があります。

 また、高度情報化、国際化時代に対応した活力ある産業構造を構築していくため、理想郷にふさわしい居住環境、都市再生の基盤整備、魅力ある雇用の場の創出などにより、若者の県外流出の緩和、さらにはUターン、Jターン、Iターンを促進し、活力ある地域社会の創出を図らなければなりません。21世紀に向けた本市まちづくりのリーディングプロジェクトとして、また地方分権への受け皿づくりとしても、業務機能の集積等による都市機能の一層の充実を図り、既存機能との相互連携に基づいた産業業務拠点地区オフィスアルカディアの形成を図り、甲府地方都市圏の一体的発展を目指してまいります。

 次に、水源涵養林の保護施策についての御質問でございますが、御指摘のような実態を踏まえ、本市の森林管理は、水源涵養をはじめ、公益的機能として環境や経済効果もはかり知れないものがあり、その維持、増進は将来にわたって継続、継承していかなければならないと考えております。そこで本市といたしましては、林業振興地域整備計画を基本とし、21世紀を展望した森林管理システムの確立を当面の目標とし、国、県の各種補助事業の積極的な導入を行い、森林林業の基盤整備を図ってまいる考えであります。またお説のみどり基金の推進、水源涵養林保護基金の運用をはじめ、現在全国規模で運動が展開されております森林交付税制度の早期創設や、さらに御提言のありました豊田市の事例は、今後の水源涵養林への対応手法として真剣に受けとめ、調査、研究をしてまいりたいと存じます。議員の長年にわたります林業行政への多大なる御貢献に対しまして、この場をおかりして改めて感謝を表する次第でございます。

 なお、他の御質問につきましては、関係部長等からお答えいたします。

○企画推進部長(丸山正之君) 新年度予算に係る財政問題3点の御質問にお答え申し上げます。

 まず阪神大震災による地方交付税の影響はどうかという御質問でありますが、阪神大震災による被災地の所得税の減免や、被災地の経済活動の停滞に伴う法人税等の減収額は約6,000億円を見込んでおります。この減収による交付税特別会計への影響額は、約1,800億円が見込まれたところでありますが、この減額補正は行わず、後年度に精算するというふうな国の考え方が示されておりますので、本市への普通交付税への影響は、6年度についてはないものと考えておりますが、特別交付税については、やはり阪神大震災への傾斜が考えられますので、歳入については減額されるだろうというふうに考えております。

 なお、7年度予算の法人税等の減収に伴う地方交付税への影響の取り扱い、さらには交付税特別会計の借入金等の精算につきましては、国がどのような対応策をとるのか、現段階では明確に示されておりませんので、交付税算入への見積りにあたりましては、特に過大、過小とならないよう慎重に試算したところでありますが、いずれにいたしましても、地方の財政負担に影響があるものではないかというふうに厳しく受けとめております。したがいまして、今後も適正な財政運営に努めてまいる考え方であります。

 次に、予算及び決算における市債依存度はどうかという御質問でありますが、本市財政運営にあたりましては、常に弾力的な財政構造の権利を基調に、健全な財政運用に努めているところであります。特に市債残高の累増は、財政の硬直化に直接影響するものでありますので、公債費の比率を15%以内、また財政運営の目安となる市債の歳入に占める割合、すなわち市債依存度でありますが、これは10%以内として市債の活用を図っているところであります。

 平成7年度の市債依存度につきましては、12%となっておりますが、市民税減税補てん債の18億7,800万円を除きますと9%となります。この市民税減税補てん債につきましては、既に御案内のように国の先行減税による影響額を地方財政対策に基づき、一時的に補てんしようとするいわゆるつなぎ地方債というものでありまして、その償還費は後年度の地方交付税で財源措置が行われるものであります。したがって、公債依存度が12%でありますけれども、一時的なものだというふうに御理解賜りたいと思います。

 また、平成5、6年度におきましては大型事業でありますごみ処理施設建設事業に係る市債枠が非常に大きく、他の市債事業に係る市債枠に影響のある年度につきましては、市民生活に直結した道路整備事業等の事業量に大きく影響することとなりますので、こうした点を考慮した弾力的な財政運営を行ったところであります。

 3点目の予算編成における経常経費の10%カットについての御質問でありますが、予算編成にあたりましては引き続く景気低迷と、国の先行減税等による地方財源の伸び悩み等公債費等の義務的経費の増嵩など、非常に厳しい財政状況にあり、また今後の景気の動向も極めて不透明なものであるなか、中・長期的な視点に立った弾力的な財政構造の堅持を図るについては、常に事務事業の徹底した見直しを行うとともに経常経費の抑制に努め、限られた財源の有効かつ効率的な配分が求められております。したがいまして、各部局の予算要求にあたりましては、昨年に引き続く経常経費の削減を行うについては、各部局の自主的な抑制策を図るため、従来の費目別のシーリング枠の設定は行わず、主要事業及び義務的経費を除く経常経費の部局別全体枠の10%マイナスシーリングを設定し、特に市民に密着した行政サービスの低下を招かないよう内部管理費であります物件費、需用費等のいわゆる経常的な必要経費、事務的経費についてのみ抑制に努めたところであります。

 以上であります。

○都市整備部長(飯島正巳君) 都市計画街路につきましての数点の御質問にお答えいたします。

 はじめに進捗状況についてでございますけれども、都市計画街路につきましては、現在5路線、7工区につきまして国庫補助事業として推進をしております。御指摘の愛宕町下条線につきましては、甲府工業高等学校の校舎の建てかえとの絡みもあり、平成7、8年度の両年にわたってグラウンド用地の一部買収に入ります。

 横沢橋のかけかえにつきましてもかけかえも含めて平成10年度には、県施行の塩部町開国橋線(通称)アルプス通りまでの延長417メートルまでについて完成の予定でございます。

 また高畑町昇仙峡線につきましては、県施行の千秋橋改良工事との関連もあり、平成7、8年度の両年で用地買収は完了する予定で取り組んでまいります。

 善光寺町敷島線につきましては、最重要路線と位置づけ、城東、南、徳行工区に分けて整備を進めておりますが、平成7年度には特に城東工区に重点を置き、事業推進を図っていきたいと考えております。

 住吉四丁目善光寺線につきましては、市営住宅里吉団地との関連もあり、早期完成が望まれております。今後とも事業推進に努めてまいる考えでございます。

 次に、都市計画街路の整備についての問題でございますけれども、都市計画道路の整備は、その道路の将来の管理者が事業主体となることで整備を行っております。しかし、2つ以上の行政体にまたがる路線につきましては、県の事業主体となって施行することができることになっております。愛宕町下条線につきましては、中央線以北の中心街と郊外とを結ぶ重要路線として早急に整備する必要があり、事業の進捗を図る上からも、公社の考え方で終点側の敷島町から甲府市の荒川町までの間1,500メートルについて、県が事業主体となり、市町から負担金を取って事業を進めております。なお、本市といたしましては、荒川町から中心に向かっての路線についても、事業の進捗を図る上からも県施行でお願いをしていく考えでございます。

 また、敷島町内の西町交差点から金石橋に向かう道路でございますけれども、都市計画道路の島上条山宮線があり、この道路は県道でありますので、県において西町交差点から北に向かって約700メートルの区間を整備しております。

 以上でございます。

○教育委員長(戸島 保君) 小学校の適正規模化につきましてお答えをいたしたいと思います。

 この問題につきましては、教育委員会でも重要な課題と受けとめております。これまでも小中学校適正規模化調査検討委員会や、市民を対象といたしましたシンポジウムの開催などに続きまして、現在学校適正規模化を考える教育研究会を設置いたしまして、調査、研究を行ってまいったところでございます。この教育研究会は、学校長をもって構成いたしておりまして、教育的な見地から小規模校の経営、運営面、さらには児童の指導面及び施設面を中心といたしました研究を行ってまいりまして、まもなく報告書が示される運びとなりました。

 したがいまして、新年度におきましては教育委員会におきましても、御提言の趣旨を十分尊重する中で、さらに発展させた適正な学校規模化を図るために、自治会や他の関係団体等を含めました小中学校適正規模化調査審議会を設置をいたします。その中で甲府の地域性を配慮いたしました学区の編成と学校規模等について調査、検討を行ってまいります。

 なお、他の御質問につきましては、教育長並びに担当部長よりお答えをいたします。

○教育長(金丸 晃君) 教育予算の重点施策につきまして御答弁申し上げたいと思います。

 新年度の教育施策の重点につきましては、まず第一に、新図書館の建設でございます。長年の懸案でありました図書館の建設が始まりまして、既に日が経っているわけでございますけれども、今年度に引き続きまして来年度も本体工事を行ってまいります。それと同時に蔵書の整備につきましても平成8年の開館を目指して、それに向けましてあわせて配慮をしてまいりたいと考えております。

 次に、平成8年に開催されます全国高校総合体育大会に向けての準備体制づくりでございます。また、義務教育関係につきましては、小中学校の副読本の公費負担化など、父母負担の軽減化に努めるとともに標準教材教具の整備充実と、屋内運動場などの施設整備にあたってまいります。

 さらに学校適正規模化の事業、それから余裕教室の活用の促進のほか、甲府商業高校の魅力ある学園づくりなどについて積極的に取り組んでまいりたいと考えております。先生御指摘のように教育の基本は人づくりにありますので、この点を十分に踏まえまして、施策の展開を図ってまいりたいと考えております。

 以上でございます。

○教育委員会生涯学習部長(田中彦次郎君) 埋蔵文化財の取り扱いについて数点の御質問にお答えをいたします。

 御指摘のとおり開発事業に伴う遺跡の発掘調査は、開発事業者に対し発掘調査費の負担や工事計画の変更など、多大な負担をおかけしておりますのが現状でございます。

 御質問の埋蔵文化財の調査につきましては、周知の埋蔵文化財包蔵地において開発行為を行う場合、開発事業者は、文化庁長官への届け出義務が、文化財保護法に規定をされておりますが、この届け出に対し文化庁長官より発掘調査を実施するよう指示があった遺跡についてのみ発掘調査を実施しております。

 また、外中代遺跡からの出土品の価値につきましては、全国でも初めてという特殊な技法で鳥や花を描いた土器が発見されておりまして、高い評価を得ておるところでございます。しかしながら埋蔵文化財は、地中に埋蔵されているという特殊のために、発掘調査によって必ずしも重要な発見があるとは限らないわけでございます。

 次に、甲府市遺跡地図の作成についてでございますが、文化庁の補助事業といたしまして、甲府市教育委員会が昭和60年度に分布調査を行い、その結果を平成4年3月に地図として刊行したものでございます。できるだけ正確な遺跡地図を備えることによりまして、開発の計画段階で遺跡の存在を知ることができますので、結果として開発事業者の円滑な推進に役立てているものと考えております。

 なお、平成5年度に要しました発掘調査の総経費は、11件で約1,060万円でございまして、そのうち開発事業者の負担は630万円となっております。遺跡の発掘調査につきましては、さまざまな問題がございますが、教育委員会といたしましては、開発と遺跡の保護の調和が図れますように取り組んでまいります。

 以上でございます。

○水道事業管理者(山本良雄君) 水源涵養林の保護施策につきまして、水道局の立場から御答弁申し上げたいと存じます。

 先生御指摘いただきましたように、昨年のあの全国的な渇水にもかかわらず、おかげさまで住民の方々に潤沢に水の供給ができましたことに対しまして、まさに緑のダムとも言われております水源涵養林のたまものであると衷心から感謝を申し上げる次第でございます。

 水源涵養という自然の営みがおりなす水、この水の恩恵にこたえる責務、私たちは自ら自覚をし、そして行動するときでもあると、こんなふうに考えておるところでございます。これからの森林への恩恵の感謝と、その育成の意味を含めまして、平成5年3月、議会の御承認いただきまして全国に先駆け、甲府市の水源涵養保護基金を設置をさせていただきました。そして年々計画的に基金の積み立ても実施をしているところでございますけれども、その運用につきましては、農林振興部等々とも今後協議を重ねてまいりたいというふうにも考えておるところでございます。

 今後につきましても財政的に大変厳しいものがございますけれども、この趣旨を十分踏まえまして、鋭意努力をしてまいる所存でございます。今後ともよろしく御指導を賜りたいと思います。

 以上であります。

○議長(森沢幸夫君) 福島 勇君。

○福島 勇君 それぞれ市長はじめ部局長からそれぞれのお立場の御答弁をいただきました。大半においては大体御答弁で良とするのでありますけれども、少しく触れてみたいと思うことは、規制緩和、この影響は市長さんがいわれたとおり、企業等々にとりましては欲しいというものと、国全体、社会全体の経済行為からいうと、緩和してはならないもの、2つ出てくると思うのですが、その本市のような中小企業が主になっているところが痛みを受けるおそれがあるというように私は思うんです。大企業クラスになりますと、国内もさりながら外国が対象の生産品の製造販売になります。ところがどうしてもこういう地方都市という中の中小企業というものは、域内を主にしたいわゆる工業、商業というもの、もちろんNECは別だと、あれは大企業だと思うのですけれどもね、ということでございますので、市長さん御答弁のようないわゆる細かい配慮を中小企業者に心配りをしていただきながら、これから変化していく経済状態に対しても行政としての責務を果たしていただきたい。これ要望にとどめます。

 それから予算に対する企画推進部長の御答弁で、大体私の危惧している点と、当局側が正直いってこれは、と思っているところは大体一致していると思うのですが。そこでこういうこともまたあるんですよ。新聞ニュースですけれども。先般、国会を通りました来年度支出予算について、「一般公共事業費9兆1,715億円については、一律5%の執行を留保し、約4,500億円を捻出して、災害復興財源に充てる」と書いてあります。このように無理もないんです。あれだけの大都市圏であれだけの大災害を受けたわけですから、人的損害もさりながら、経済的打撃、都市構造の打撃、これはとても私ども現地を見ておりませんから、軽々しくは言いませんけれども、恐らく私ども想像する以上の状態にあろうと思うわけでありまして、ここは当然国という力でもってやらなきゃならぬ。これは良といたします。良といたしますが、やはり地方自治体に与える影響が必ずやある。また一説には八戸はるか沖地震、これと神戸大震災の災害に対する扱いが二重だという不満も出たということもあるんですが、これなかなか難しい、復興援助策というものは難しい内容を持っていると思いますが、当然私どもはそうした国全体の動きというものを見ながら、地方自治体の財政健全ということをまずお考えいただきたい。

 それから市債のことについても大体部長答弁を良といたしますが、冒頭質問でも言いましたように、本市が今年度、来年度以降にかけての大型事業を進める場合に、相当大幅な市債依存をしなきゃならぬ事業は珍しい。でありますから、その辺は常に意を配りながら事業執行もしなけりゃならぬが、健全財政ともしなけりゃならぬ。先行投資だから後年度負担でいいんだよということばかりでは、いわゆる20年、30年向こう、次の甲府市を担う人たちの負担が耐えられるものである、という枠内でこの構想を練っていただかないと大変になりますね。

 それから前回も私言ったと思うのですが、減税補てん債、政府を余り信用してはなりませんよ。過去にも幾つかこの種の国庫補助カット等々が、「利子補給しましょう、幾年かたったら後年度で本金も交付税でやります」言いながら、私どもよりあんたたちの方が詳しいと思う。結局くれなかった。国庫補助一律カット、10年くらい前の話でしょう。今度も減税補てん債、これを十何億結構だ。使ってなさいよ。これは市債とは別だよとこうなりますが、結果的には、国が金をくれぬ限りにおいては、借金ですから、借金は抱いているわけにはいきません。必ずそれを返さなきゃならぬということでございまして、この辺の慎重な扱い、これは今ここで部長とやり取りしても、あんたの方が答えが出ないと思うからね、この辺はきつく申し上げておかなけりゃならぬと思います。

 それから都市計画街路事業でございます。大体良といたします。いたしますが、いわゆる県施行、市施行もあるのですけれども、路線の重要度がどこで決定されるか。2つ以上の行政区域にまたがる路線については、当然県道でしょう、将来的に。だから県道として県施行これは結構だが、私の言いたいのは、もちろん甲府市の市街地の中の改造ということは、土地補償と建物補償、営業補償等々やりますと、恐らく都市整備部長、90%以上が補償費で消えていくと思う。工事費は10%以内じゃないですか。ですから、非常に用地取得補償ということは大変だ。わかりますが、私が触れましたように大震災等々を見ておりまして、地震でつぶれた家はしょうがないが、道路が22メートルあったらば向こうの火事はこちらに来ない、という防火帯になりますわね。私は市街地ほどこの防火帯が必要だということで、決して当局を追求しているとか、そういう意味じゃありません。難事業であることも承知している。膨大な予算もかかることは承知しておりますが、できるだけ重点路線へ、建設省のこの予算が配分されるような努力を県に向かって働きかけ、県の御理解を得る中で建設省に働きかけていただきたい。そういうお願いを込めての質問であります。

 これは教育委員会でありますけれども、まず学区再編成でございますけれども、これはもう私ども新政クラブといたしましては、相当の何年も前から、恐らく今年度あたりを対象にしながら提言もし、検討を迫ってきたのでありますけれども、先ほど教育委員長さんの御答弁では、これから適正規模調査審議会をつくる。聞くと経過的には、学校長が小規模校の教育内容についての検討を重ねてきたということですね。これは、学校長に適正規模のいわゆる学区はどうあるべきか、統廃合は絶対触れませんよ、これは。学校長は自分の学校を守らなければならぬ。それは校長の責任だよ。しかもマンツーマン教育とかいうことで、小規模校の方がいわゆる1対1、マンツーマンの教育ができるから成果が上がるという説もある。ところが片や、12人の1年生がいるとする。1年入学して走りっこさせた30メートル。1番から12番まで決まった。しますと、12番が1番になることはない。大体心理的に成り立たない。私はそういうふうに見るんですよ。1番、2番は走りっこで、時たま「あんた強かったね。おれ負けかな」これがあるかもしれませんが、1番から12番の序列は余り変わらない。これが私はね、ああいう小さい集団の、一つの特徴として出てくると思うんです。私の推測が間違っていたらば、専門家から御指摘いただければ結構です。ということで、やはり競争の原理、これも働かなければいけない。

 しかも、あえて学校名は言いませんが、こういう資料を見ていきましても、当然複式学級になってもおかしくないところがある。中身は、学区外入学者を特別に認めているからなんです。千代田小学校はどうなっておりますか。あそこは山村で過疎であります。子供をふやしようにもふやせない。学校と一緒になったってとてもなれないんです。かろうじて1学級。大体同じ規模の学校が中心街にございますね。しかも、ここでよく言われるんだが、1人の児童に対して教育費を幾らかけるかということになりますと、800人の大規模校と60人、100人の小規模校では単価が違う。これは避けて通れません。いろいろの面からいってもある。さらには今度中心校の相生小のプールと穴切小の屋体が改造計画に入ってくる。片や、急増校はプレハブで校舎をつくって、そこで特別教師をそっちへ移して急場を間に合わせた。とすると、大規模校ほど環境状況はよくない。劣悪とはいいませんけれども、よくなくなる。ですから、私は繰り返し言いますけれども、もう6年も8年も前から教育委員会、教育委員会は委員長さんね、教育行政の俗にいう専門委員、議員と同じですからね、教育委員会における教育委員さんは行政委員ですから。ここはあなたたちの責任においてこれはもっと早くやるべきであったと指摘しなければならぬ。ようやくきのうの新聞でしたか、適正規模調査審議会をつくりたい、初めて教育委員会がこれを言った。これはもっと大胆に踏み込んだ検討をしなければ矛盾が吹き出すんです。

 ちょっと長くなりますが、かつて春日小がこの新庁舎の予定地と言われたときの統廃合の考え方と、今私が言ってることじゃ全然違うんですよ。あくまでも教育現場というものは、どういう姿が望ましいかということで言ってるのでありまして、ぜひこれはしっかりした審議会をやってほしい。決意のほどを伺っておきたいと思います。

 それから文化財についてでありますが、そのマップ作成も教育委員会が調査を否定をし、文化庁の合意を得てマップをつくったというふうに聞いたのですが、この教育委員会が、このマップのつくる段階で、言わゆる山梨県じゃこれ頼む人決まっちゃっているんですよ。この依頼をする人は決まっちゃった。だからその依頼をするそのときに、深く深く検討してやっていただきたい。ただし、これも多分武田館跡で飯島議員がかなり長年苦労したのだけれども、文化庁というところはなかなか頭が柔らかい人が多いようでございまして、なかなか人の言うことは聞かない人たちが多いようでございます。ですから、ぜひ教育長も教育委員長も、それから市長さんにもお願いしたい。このようなこの中にある埋蔵ぐらい、結果を見て御覧なさい、11か所。なぜこんなところへ1,660万もかけるのか。しかも六百何十万は民間業者の負担でしょう。

 一つの例をいうならば、県の住宅供給公社が千塚町の地内へ二十何世帯分の宅地造成をした。掘り出したら、ちょっと荒川の流れ物か何かしらない、ちょっと埋蔵物が出た。このためにあそこは1坪60万でなければ公社は売り出しができない。買い手がつかないんですよ。甲府の公社にはそんなことはないでしょうけれども、1坪60万で買い手がつかない。あれだけの埋蔵文化財のあんな移植ゴテでこんなことをやらなければ、あるいは5万円や7万円安かったかもしれない、と言うことでございまして、この辺はそういう事例を持ちながら、市長会あるいは教育委員長会議、あるいは教育長等の会合、それを通してこの改正、ストップというわけにはいかない。改正は求めていってください。

 それから水源林でございますけれども、市長さんも気持ちはわかってくれるようだけれども、なかなか「うんそうだ。やりましょう」とは言ってくれない。水道事業管理者も「水は、去年の夏は皆に不自由かけませんでした」、と言って胸を張っているが、私の提案には少しも答えてくれない。これだめなんですね。ということは、まず甲府市の水源林ってどこか考えてみたい。まず荒川ダムの上流、この野猿谷から荒川本流、黒平の方、それから荒川林道、金峰山のあそこから流れてくるんですよ。それに御岳川、高成川、それからあと小さいのは名前あるかないかですが、一番北が塔岩川、帯那川は甲府市の上流水源ではない。ところが何か一緒くたにしているから間違う。相川は水流はありますが、あれは上水用ではない。それから千代田湖について、よくあそこに水がたまっているから、千代田湖一帯のあれは水源林だろうと、皆さん、市民は見ているようですが、あの水は帯邦川の表流水の一部と、塔岩川から隧道掘って向こうから引っ張っている水がはるかに多い。ですから、その辺はしっかりと認識する中で水源林を考えていただきたい。

 甲府市は恵まれた環境にあるというのは、水源林、自分のものが2,600ある。県有林が4,000ある。そして金桜神社のこれ私林なんです、1,200。周辺の今いった流域のを見ましても1,800ヘクタールくらいはあると思う。この私の言うのは、この民有林が問題なんだ。公有林は甲府の責任。県の責任。これで事業は進められます。この千七、八百ある民有林が放置されていいのか。だから行政も金を補助するよ、あれしますよと言っても、民有林の所有者は、今300万の収入を上げるのに、350万金がかかるというのが造林事業なんです。しかも50年という歳月をかけて利息計算抜きにしてそうなんです。利息計算したら、大体かけただけの金が赤字になって戻ってくる。ですから、民有林をこのまま放置しておいたのでは、民有林所有者はこの千七、八百ヘクタールの山守れません。ですから、税金以外の1トン1円というものを山元へ還元して、その金で何かできないか。先ほど市長さんも答弁の中で、森林交付税この話をされました。これは奈良県本宮町長中山喜弘さんという人が提唱し、数年たった。今500の自治体がこれへ参加、一緒にやりましょう、運動しているのですが、甲府の市長さんから、森林交付税のお話出たわけですすから、これ、ぜひこの団体へ加入をしていただきたい。

 と言うことでありまして、ぜひとも少なくとも、どこの部署になりますか、これは多分水道局になろうかと思うのだが、水道局では、水道モニターが二、三日前に新しくメンバー発足したようですね。ぜひこの人たちにも、私に説明させてくれれば一番ありがたいのだが、モニターの人たちに、この種の話題を提供し、市民の声として持ち上げていかなければならぬことは承知しています。ですから、その辺をぜひしっかり取り組みますというお言葉をいただかないと、私はまだ1時間ぐらいしゃべるよ。ぜひそれぞれのお立場での決意と、こうやりますということでお聞きいただければ、これで一応は引き下がります。

○教育委員長(戸島 保君) 教育委員会2点の問題につきまして決意を申し述べます。

 小学校の適正規模化の問題につきましては、重要な課題といたしましていつかも申し上げましたように、私ども教育委員としての辞令をいただく際、山本市長さんから「中学校給食と小学校の適正規模化については、精力的に取り組んでもらいたい」と、このような指示もいただき、先ほど申し上げたように順次取り組んでまいったところでございますが、問題が大変大きな問題でございますので、やはり下の方から順に積み上げてまいる必要もございまして、今までやってまいりましたいよいよそれらの体制も整いましたので、新年度におきまして、先ほど申し上げましたように、審議会を設置いたしまして、地元自治会の皆さん方も含めました審議会の中におきまして、適正規模化の答申をいただきますよう精力的に、かつ決意をもちまして取り組むものでございますので、御理解をいただきたいと思います。

 また、文化財保護法の改正につきましては、御指摘のとおり市の担当者も大変困惑している事例も多いわけでございますし、また昨年埋蔵文化財につきまして、これを対象といたしました行政監察が全国各地で行われました。甲府市もその対象となったところでございますから、市といたしましてもこの費用負担につきまして何とか改正してもらいたいと、意見を述べたところでございますが、今後も先生御指摘のとおり市長会、または全国教委連などの場を通じまして、改正の意見を延べてまいることを約束をいたしまして御答弁とさせていただきたいと存じます。

○水道事業管理者(山本良雄君) 手厳しい御指摘をいただきまして、荒川上流域の水源涵養、流域涵養、これは極めて重要なものであることは御案内のとおりでございますけれども、自然のサイクルの中にある清流、これにだれがどのような方法で手を差し伸べていかなければならないのか。こういったことが先生のいわゆる環境、それから森林保護に対する哲学というようなことで、私どもは長く賞讃もしておりますし、御指導もいただいてきたわけでございまして、このいかに手を差し伸べていくか、だれがどのような方法で、これは法以前の問題だろうと私も考えているわけでございまして、長い間御提言いただき、あるいは御指導いただいたこの辺につきましては、十分水道局といたしましても、水を御利用させていただくという建前からいたしましても、市長部局とも十分協議をしてその方向づけをしてまいりたい。こんなふうに考えておりますから、ぜひひとつ御理解いただきたいと思います。

○議長(森沢幸夫君) 福島 勇君。

○福島 勇君 まとめます。教育委員長の答弁はぜひそうした方向で御努力いただきたい。

 それからこの市長並びに水道事業管理者にあえて申し上げますけれども、この民有林というものは、その恩恵に浴するという立場のものが、労力か、金か、どちらかを負担しなければなりませんよと、だからここにもこういう本も私は好きだから持っているんだが、自分のように森林ボランティア奉仕隊を編成するとか、あるいはこれは御存じのように横浜市では、道志村の水源林へ研修に行ってこないと管理職になれない。一緒にこれ山仕事させるんですよ。そのようないわゆるそうした機運、市民の意識というものを持っていかないと、本当は1トン1円よりその方が尊いと思うのだが、そういう世の中をつくる努力をしなけりゃならぬ。これは、あるいは行政のみならず、私どものような民間の立場で、あるいはもっともっと努力しなければならぬことかとも思いますけれども、やはりこの席にいる限りは、今いった水道水1トン1円のことを言わざるを得ない。しかも現実に実行している町があるわけです。この辺をぜひ、私の意図するところをおくみとりいただきまして、ぜひとも何か一筋の光でもこれへあてられるぞという政策を、ぜひつくり出していただきたい、と言うことを申し上げまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

○議長(森沢幸夫君) 次に海野平八郎君。

                (海野平八郎君 登壇)

○海野平八郎君 今期最後の3月定例議会にあたり、市政一般について質問をいたします。

 先に山本市長は、就任以来一党一派に偏しない公平、公正、清潔なひらかれた市政を政治理念とし、教育、福祉、環境を最重点施策として、鋭い先見性と大胆な発想、強い信念と実行力を持って第三次総合計画の中に位置づけられた新市立病院の建設、ごみ処理場の建設、新図書館の建設、心身障害者福祉センターの建設等、また甲府駅エスカレーターの設置、さらには長年の懸案であったNTT所有の市庁舎と併設されていた土地、建物の確保等建設中、または建設が確実となりましたことは高く評価するものであります。しかしながら、今次財政はかつてない厳しい時代に直面しており、大事業が重なるわけで、その事業費等考えますと、将来財政的に行き詰るのではないかと大変心配をする一人であります。

 そこで産業の振興、定住人口の増加等、工業、商業の活性化を図り、自主財源確保に最大限の努力をしなければならない時代に入ったと存じます。そこで経営感覚のすぐれた山本市長に再度市長に就任願い、市政執行に邁進していただきたく、市民の皆様方と共に山本市長の再選を果たすべく頑張ってまいることをお誓い申し上げ、以下質問に入ります。

 私は6月の定例会で人口増対策とこれに対応する住宅地の形成について質問をいたしましたが、今議会ではそのもととなる人口定住策や雇用創出のため、21世紀に向けての地域活性化の産業活動の拠点として計画されているオフィスアルカディア立地の調査の現況や、今後の産業活性化策についてお伺いをいたします。

 まず甲府市の人口の動向を見ると、昭和55年から60年は1.6%とわずかながら伸びていましたが、平成2年の国勢調査ではマイナス0.9%と、20万626人と初めて減少をし、平成5年には甲府市の人口の生命線ともいえる20万人を割り、今後も有効な人口定住策や適切な土地利用による人口増加策がなければ、都市の活力は低下するものと思われます。

 さらに深刻なのは、高齢化が進行しており、甲府市高齢者福祉計画によりますと、4年後の今世紀末には、高齢化人口が18.4%と国の16.4%、山梨県の18・0%を上回っており、21世紀にはコストのかかる本格的な高齢化社会を支える生産人口の減少等問題を抱えており、将来にわたってパイを生み出す開発的な地域振興策が必要と思われます。本市の産業の現況は、私の調べでは、平成4年のデータで工業の出荷額で、甲府市は1位の3,763億円、全県の16.2%を占めているが、昭和56年には全県構成比21.2%であったことを考えると、出荷額では17.9%伸びてはいるものの、総体的には低下の傾向にあると言え、余り元気だとは言えません。

 また生産性を見る付加価値生産額でも従業員1人当たり長坂町2,250万円、昭和町1,875万に比し、甲府市は1,027万円と全県平均をわずかに下回っている現況にあります。一方商業面は、販売額で甲府市は1位の1兆2,313億円を占めているが、昭和63年から平成3年にかけて24.8%と伸びているものの、周辺町村の石和町58.5%、昭和町93.1%、双葉町82.6%と周辺地域へショッピングの客が流れていることを数字はあらわしております。

 したがって、甲府市及び圏域の産業構造の課題としては、平成2年以降は、それまで飛躍的に伸びた山梨県の工業出荷額がバブル崩壊の影響もあってマイナスに転じましたが、甲府圏域は、テクノポリス計画の推進もあってわずかながら成長を続けて、付加価値生産額と生産性はわずかに減少しております。圏域の商業は、年間販売額で県内の80%を占めておりますが、商店数は昭和63年から平成3年にかけて減少し、従業員数と年間販売額は昭和60年から63年への伸びと、63年から平成2年の伸びを比べた場合増加傾向にあるものの、10ポイントほど落ち込んでおります。

 したがって、甲府圏域の活力はわずかではありますが以前より低下しており、特にその中でも甲府市はバブル経済による土地の高騰と、その後のバブル崩壊、モータリゼーションと郊外ショッピングの拡大、ニーズの変化等の影響を受け、周辺町村への人口流出や工場移転、中央商店街の空洞化等の課題を抱え、苦悩している状況にあると思います。そこで本市及び圏域が長期的展望に立って、21世紀に向けて継続的な発展を図るためには高度情報化、国際化に対応した活力ある産業構造と交流拠点として魅力ある賑いのあるまちづくりを施行する必要があると思います。

 活性化の手段としてさまざまな雇用の場を創出し、若者の県外流出の緩和、Uターン、Jターン、Iターンの機会を整備し、活力ある人々による地域社会を創出することが必要であると考えます。すなわち本市の産業振興策としては、地元企業の開発的な育成と併せ、それを牽引するオフィスアルカディア等、圏域外からの企業の立地誘導が必要な課題と思われます。そこで人口の増嵩や商業、工業の産業の現状を踏まえ、次の4点についてお伺いをいたします。

 1点目に、平成7年度予算では人口定住策を当面20万人口を確保するため、どのような施策を考えているのか。また本年度は総合計画後期計画の見直し年次となっております。基本指標である人口見直しの考え方はどのようになっているかお伺いをいたします。

 2点目には、中央商店街等甲府市内の空洞化や本市域外への郊外ショッピングの流出が著しいが、市内の活性化策、歯どめ策など有効な対策を持っているかどうかお伺いをいたします。

 第3点には、新産業の創出など産業構造の変革が求められているが、地元企業の近代化と生産技術活用型産業など、どのように対応しているか、またその支援策はどうか、お伺いをいたします。

 4点目に、21世紀に向けての産業活力やまちづくりのプロジェクトあるいは地方分権の受け皿づくりにもつながるオフィスアルカディア立地の考え方と、円滑化調査の状況についてお伺いをいたします。

 次に、地方分権と広域市町村合併の対応についてお伺いをいたします。今国会に地方分権を推進する基本法とも言える地方分権推進法と昭和29年1万町村から現在の3,300自治体にした昭和の大合併以来とも言える合併協議について、住民発議の直接請求制度を新設した合併の特例法の一部改正の法律案が提出されましたが、いずれの法律も地方分権や合併を推進する上では画期的な法律であると思います。国、地方ともいよいよ具現化に踏み出したと言えると思います。今後、行財政改革や広域行政の観点からも国、県等から地方分権を進める上で、具体的な動きが出てくると思われ、さらには市町村合併特例法を受けて合併推進団体や住民から住民発意の直接請求が出てくることも予想されます。地方分権や市町村合併を含めた広域行政の動きに対応する市の行政体制の整備はどのようになっているか、またこれらに対する市の考え方はどうか、お伺いをいたします。

 最後に、教育委員長に対し、いじめの対策問題についてお伺いをいたします。

 いじめの問題は今や社会問題ともなり、何も珍しいことではなくなり、新聞を広げますといじめと交通事故の記事は、いやでも目にする問題であります。いじめられる側もいじめる側も共に将来の日本を担う子供であるだけに、見逃すことのできない深刻な問題であると受けとめております。

 そこで第1点としてお伺いいたしたいのは、本市におけるいじめの現状であります。幸いに生徒・児童が自殺をしたといったケースは発生しておりませんが、だからといって本市の小中学校にいじめが1件もないといったことは考えられないのであります。教育委員会では、本市におけるいじめの実態を把握しておられるかどうか、把握しているとすればその実態はどうなっているか、現状について詳細に説明を願いたいのであります。

 次に、実態について調査し、把握しておられるならば、いずれかの対策を打ち出されているものと考えますが、本市で講じた対策とその効果についてどのように評価しているのか、お伺いいたします。

 最後に、各自治体においてもいじめの対策には苦慮しているようでありまして、それぞれ工夫を凝らしております。例えば仙台市では、いじめ問題に的を絞った生徒指導の手引を作成して、全中学校に配布した。また愛知県瀬戸市では、教育委員会に専門職員を配置し、親と児童の相談指導にあたっている。福知山市では、全小中学校にいじめの問題担当の教育相談係を設けるなどが報道されておりますが、本市においては他市のこうした事例を導入する意思はないかどうか、以上3点についてお尋ねをいたします。

 以上で第一弾の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。

○議長(森沢幸夫君) 市長 山本栄彦君。

                (市長 山本栄彦君 登壇)

○市長(山本栄彦君) 海野議員の御質問にお答えいたします。

 人口定住化策と人口見直しの考え方についての御質問でございますが、本市の人口は、御指摘のとおりここ数年わずかながらも減少傾向にあります。そこで本市といたしましては、人口の定住化対策といたしまして公営住宅の建設や優良宅地の分譲、多世代同居世帯や勤労者への住宅資金の貸し付け、工業団地建設の促進、新婚家庭への家賃助成などを進めてまいりました。また人口の減少は、出生率の低下も要因の1つとなっておりますので、子供が健やかに生まれ、育つことのできる環境も整備する必要から、労働時間の短縮や育児休業制度の充実、夜間保育や延長保育の実施、教育費の負担軽減などの施策を行ってまいりました。今後におきましてもこうした施策をさらに充実し、実効あるものとしていきたいと考えております。さらに後期計画基本計画においての人口見直しにつきましては、定住人口のほか交流人口をも重視した見直しを行い、施策ごとの指標として活用してまいりたいと考えております。

 次に、地方分権の受け皿としての広域的市町村合併の考え方についての御質問でございますが、地方分権の推進は、地方6団体をはじめ国民的要望でありますが、昨年11月には、第24次地方制度調査会から地方分権の推進に関する答申や市町村の自立的な合併の推進に関する答申が相次いで出され、さらに12月には国と地方の役割分担、地方への権限移譲の推進、地方の行財政基盤の整備、地方分権推進の法律制定を盛り込んだ地方分権推進大綱が閣議決定をされました。この具現化として今国会に地方分権の基本理念や手続、推進するチェック機関を入れた地方分権推進法が提出をされました。一方、現行の市町村合併特例法が30年を経過し、住民の生活圏の拡大や社会経済情勢の変化により、市町村を越える広域的行政需要がますます増大する状況から、広域的視点からの市町村合併の必要性が説かれております。

 また権限移譲等の受け皿としても行財政基盤の強化等自治能力の向上は、21世紀の豊かな地域社会をつくる上の条件であると考えております。現在の市町村数になった昭和の大合併以来の大幅改正として、住民の2%の発議による直接請求や、議員等の任期の延長、財政支援など積極的な合併推進法と言えます。本市といたしましては甲府地区の広域組合や21市町村で構成する地方拠点都市地域の広域行政の中に、中心都市といたしましてこれからの動きに呼応して調査も進めてまいりますとともに、分権及び合併推進について重要な役割を期待されている県の考え方、また関係町村の動向を見ながら検討してまいりたいと考えております。御理解を賜りたいと思います。

 なお、他の御質問につきましては関係部長等からお答えいたします。

○企画推進部長(丸山正之君) オフィスアルカディア立地のための円滑化調査の状況についての御質問にお答え申し上げます。

 甲府市が21世紀に向けて賑いと活力のある都市として発展するためには、業務機能の集積等による都市機能の一層の充実を図り、既存機能との相互連携に基づいたオフィスアルカディアの形成を図り、甲府地方都市圏の一体的発展を目指していくことが必要と考えております。

 現在オフィスアルカディアの建設を円滑に推進するために、産業業務機能集積の可能性及び整備構想の基本的な方向等について専門コンサルタントに業務を委託し、市内東南部3か所について立地円滑化調査を実施しているところであります。調査期間は平成6年11月から本年3月までの5か月間とし、現状調査、企業導入可能性調査、企業導入構想策定調査を主な調査内容としているところであります。また調査の一環として、オフィスアルカディアの整備構想について広く意見を聞くため、構想検討委員会を設置し、調査も最終段階に入っているところであります。同時に首都圏及び県内に本社機能を有する企業1,300社を対象にアンケート調査も実施しているところであります。

 今後はこれらの調査の結果を待って参加者の候補地の中から立地場所の絞り込みを行い、圏域の基本計画及び本市総合計画に位置づけまして事業の展開を図ってまいりたいというふうに考えております。御理解賜りたいと思います。

○商工労政部長(佐藤 環君) 最初に商店街の活性化策についてお答え申し上げます。

 お説のとおり甲府市の商業環境は、大型店の進出、ロードサイドショップの出店などにより中心部、周辺部、郊外の3極構造が進み、中心部の商店街の賑いに陰りが増しております。

 こうした状況を踏まえ、魅力ある中心街商店街づくりのためのオリオン街ファッションアベニュー検討委員会が設置され、オリオン街を中心にジュエリーの店舗集積を促進させる動きがあり、また中心商店街においては、商店街連盟が中心になり、路上などを利用した市の開催などイベントにより賑いの創出が検討されております。

 それら中心商店街の魅力づくりを通じ、県内外からの集客能力を高め、当面の対応策としてこの事業への助成を行う考えであります。

 一方、甲府市商業活性化協議会において、21世紀に向けた魅力ある商店街づくりの視点から駐車場の整備、新しい商業核を構成する再開発の促進、文化施設の整備、回遊性を演出した商圏づくり等を柱とした議論が進められており、平成7年9月に提言に向けて詰めの段階に入っております。この提言を受けて、総合計画の後期計画の見直しに反映し、商店街活性化に取り組んでまいりたいと考えております。

 次に、地元企業の近代化等についてのお尋ねにお答え申し上げます。

 現在、平成4年に改定した甲府市商業振興指針をさらに具体的、計画的に推進するため、工業振興協議会を設置し、地域密着型地場産業の育成を図るミニ工業団地の造成、デザイン、ファッションなど感性を中心とした高等教育機関の設置等人材育成、中・長期的視点から空洞化への対応等を柱とした21世紀に向けた具体策を平成7年10月提言に向けて協議、検討が行われているところであります。

 また、当面の支援策としては、中小企業を対象とした金融面からの支援、南部工業団地及び民間施行による工業団地への支援と既存企業の集団化、共同化、協業化への促進、地場産品の販路拡大を図るための物産展の開催等行っているところであります。

 今後においては工業振興指針の提言を受け、総合計画の後期計画へ組み入れるべく県の振興策との整合も図りながら取り組んでまいりたいと考えておりますので、御理解を賜りたいと思います。

 以上です。

○教育長(金丸 晃君) いじめの現状と対策についてお答え申し上げます。

 ご案内のように今問題になっておりますいじめの傾向は、子供たちの単なるけんかだとか、あるいはいさかいと異なりまして、陰湿な様相を持っております。しかも、それらは大人や教師の目の届かぬところで行われることが多いために、これへの指導や対応には多くの困難が伴っているのが事実でございます。

 甲府市教育委員会におきましては、甲府の教育の理念を理念として思いやる心を中核に据え、人格形成にとって極めて大切な心の教育の充実に努めてまいりました。特にこうしたいじめ等の問題行動が起こらないように常日ごろより校長会、教頭会あるいはまた生徒指導主事会等を通して対応するとともに、本市独特の顧問カウンセラー制度の導入による教育相談等を強化してまいりましたが、先の事件を契機に各学校に対して、いじめ等の問題行動の総点検を指示いたしました。

 また、各学校長を責任者とするいじめ等研究対策委員会の組織の新設や、その機能の強化を指導してまいったところでございます。その結果、学校において明らかになりましたいじめは、今現在小学校2校で2件、中学校3校で4件になっておりまして、その中身につきましては、冷やかしやからかい、次いで仲間外れ、言葉でのおどかし等になっております。これらのことにつきましては、今学校におきまして指導が継続されておるところでございます。

 現在、このほかいじめの問題の深刻さ、それから緊急性にかんがみまして、県教育委員会等の指導をも踏まえ、教師の出張や諸会議を削減して、児童・生徒と教師の触れ合う時間を特設して指導にもあたっております。

 さらに甲府市では、来年度中学校2校において臨床心理土などのスクールカウンセラー活用の文部省指定調査の委託を受けることになっておりますけれども、これらの成果を他の学校にも広く普及させて、いじめ等の問題行動に積極的に取り組んでまいる所存でございますので、御理解を賜りたいと存じます。

○議長(森沢幸夫君) 海野平八郎君。

○海野平八郎君 大変真剣にそれぞれ工業、商業の人口増対策等に真剣に取り組まれておる内容の答弁でございました。私も大変御苦労されていると、このように思うわけでございますけれども、こういう答弁をいただきながらもなかなか具体的になってこない、こういうような面も伺えるわけでございます。ぜひ本当に中心街の空洞化といいますか、大変な状況にもなっておる。むしろ中央商店街がだんだん、だんだん広がって、今では旧市街というと語弊がありますけれども、旧市街の商店街までも及んでおると、非常に深刻な状況になっていると、このようにも思うわけでございます。ぜひこれは要望ですけれども、真剣に早急に、できるだけ具体化するような方向で検討を進めていただきたい、このことを要望させていただきます。

 それから地方分権が推進されてきた場合に、権限の移譲等、30万都市以下では受け入れることはできても処理能力といいますか、そういうものがどうも不足していると、どうしても30万都市以上でないと事務処理等が無理だというようなこともテレビ等、ニュース等見ていますと耳にするわけでございますけれども、そういう状況からいきますと今後市町村の合併あるいは広域行政の充実強化を、早急にやはり図っていかなきゃならないんじゃないかなと、こんな思いもするわけでございました。ぜひその対応策等講じていただきたいと、このように御要望をさせていただきます。

 最後に、いじめの問題でございますけれども、いじめの発見というものは非常に困難であるとも言われております。昨日ですか、茨城県では元教師の会で民主教育を考える会というのがあるそうですけれども、このシンポジウムを開かれ、いじめの問題を課題にしたようでございますけれども、参加した先生たちも、非常に実態的な発言も説明もあったというようなことで参考になった。これを教育現場に帰って参考にしたいというようなことを言っておりましたけれども、ぜひそういう大きなシンポジウム等も開きながら、いろいろの角度から対策を講じていじめゼロに向かって懸命なまた努力をしていただきたい。こんなことを要望させていただきまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○議長(森沢幸夫君) 新政クラブの関連質問はありませんか。

 お諮りいたします。

 本日の会議はこの程度にとどめ、延会いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。

                (「異議なし」と呼ぶ者あり)

○議長(森沢幸夫君) 御異議なしと認めます。

 よって、本日の会議はこれをもって延会することに決しました。

 本日はこれをもって延会いたします。

                午後4時03分 延会