平成2年9月甲府市議会定例会会議録第2号

                午後1時03分 開議

○議長(堀口菊雄君) これより本日の会議を開きます。

 報告事項を申し上げます。

 上田英文君は、一身上の都合により本日欠席する旨の届け出がありました。

 以上で報告を終わります。

 これより日程に入ります。

 日程第1 議案第79号から日程第17 議案第95号まで17案及び日程第18 市政一般についてを議題といたします。

 これより上程議案全部に対する質議及び市政一般質問を行います。

 この際、念のため申し上げます。

 質議、質問については申し合わせ事項を遵守され、重複を避け、簡明に願います。

 なお、当局の答弁もその趣旨を十分に把握され、簡明率直にされまして、議事進行に御協力をお願いいたします。

 発言通告者は6名であります。

 各会派の発言の順序は、今期は公明党からであります。

 お手元に発言通告書が配付してありますので、これに基づいて進めてまいります。

 最初に、公明党 大村幾久夫君。

 大村幾久夫君。

                (大村幾久夫君 登壇)

○大村幾久夫君 平成2年9月定例会にあたり、公明党を代表して市政一般について質問いたします。

 最初に、市長に伺います。

 原市長は、21日の本会議におきまして、3選への所信表明をなされました。私ども公明党市議団は、市長の2期7年間の市政執行に関し、政治理念の、甲府市は市民のためにあり、甲府市政は市民とともに歩むべきもの、また、1党1派に偏することなく、市民党的立場を堅持し、公正、清潔、誠実をモットーとして、今日まで努力されてこられたことに対し、高く評価をいたしておるところであります。

 そこで、所信表明では、昨今の変容目まぐるしい社会情勢の中で、より豊かな政策ビジョンと実行力が要求されているが、これに対処するために、明日をひらく健康都市・甲府を都市像とする第3次総合計画の適切な遂行を図るとともに、時代の推移に敏感に対応できるダイナミックな市政を樹立していくことが何よりも肝要であることを強調されていますが、現在実現に向かって推進している事業も、リニア中央エクスプレスの実現、新都市拠点整備の推進、南部工業団地の建設、北部山岳地域の振興等々が挙げられますが、これらは第3次総合計画の主要事業であり、今後に向けてさらなる成果が大きく期待されているものであります。

 そこで、原市長3選継続の暁には、大いなる市民の関心を呼んでいる施策に庁舎建設の問題があります。本年10月には市制百周年記念事業としての甲府市総合市民会館の開館が待たれております。庁舎建設に伴う関連事業で、この後のいよいよ本庁舎建設に3期在任中のいつを目途に建設を予定しているのか、まず伺うものであります。

 これまで庁舎問題の質問がなされるたびに、市長は庁舎建設特別委員会の意向を尊重するとの答弁を繰り返しており、また、地域それぞれの意見を聞く姿勢もありましたが、いよいよ3選目指す市長自身の信念のもと、決断を下す時期でもありますが、この点の御見解を特に伺いたいのであります。

 次に、環境行政全般について伺います。

 最初に、廃棄法と今後の清掃行政のあり方について市長の御見解をお伺いいたします。

 物を使えばごみが出る、使わなくてもごみになる。私たちの毎日の生活は、ごみ生産の繰り返しとも言えます。家庭の単位で見ても、毎日平均して1人が約1キロのごみを出していると言われ、1年間に全国でおよそ4,350万トン、さらにこの7倍に当たる産業廃棄物、これには建設廃土も含まれますが、それだけの量が排出されている現状であると言われております。家庭、オフィス、店舗、工場、工事現場など、あらゆる生活の場面から排出されたごみは、当然何らかの形で処理しなければ、私たちはごみに埋まってしまいます。しかし、都市部においては処理する場所さえ確保できなくなっており、昨年、千葉市のごみ2,270トンが未処理のまま青森県田子町に捨てられ、ごみの越境処理として話題となりました。

 こうした事件の起きる原因は、昭和60年以降の好景気の中で、使い捨て文明になれ親しみ、物を大切にすることを忘れ、大量生産、大量消費の社会が招いた当然の結果とも言えるごみの激増現象にあります。すなわち、今後ごみは、日々年々ふえ続けはしても減少することは考えられません。こうした深刻な事態に対し、全国の各自治体は、清掃事業、つまりごみ処理に責任を持つ行政側として、出てくるごみの受け皿、すなわち焼却場及び処分地の整備をしていくことと、受け皿にごみが入ってくる前段階で対応して、リサイクル、再資源としての活用等懸命な努力をしております。

 さて、私は、環境行政は自治体の固有義務でありますが、現代社会におけるごみの激増現象に対しては、今や1つの県、1つの市町村では手に負えないほど広域化し始めており、現在の廃棄法の限界に来ているのではないかと思います。ごみ処理は市町村自治でという原則は残しつつも、処分地についても、国は国土利用計画という観点に立って、最終処分のあり方を計画的に仕上げるべきであると考えます。

 さらに、ごみ問題で国のかかわるべき点は、処理以前の段階、つまり生産と流通の段階においてリサイクルがもっと促進されるシステムを形成するようリードすべきであり、ごみとなる要素を減らすとか、リサイクル型商品の開発や市場拡大を推進するとか、そういった観点から企業に対して奨励措置を出したり、反対に規制したりする必要があると思います。

 現行の廃棄物処理法には、事業者は製造、加工、販売などに際して、その製品、容器等が廃棄物となった場合において、その適正な処理が困難になることのないようにしなければならないと規定されていますが、罰則規定はなく、遵守、強制力は全くないものであります。そこに製品の大型化や素材の複合化などで耐久消費材の処理も難しくなり、結果的には粗大ごみの増加を生ずる事態を招いているのであります。

 今後のごみ対策の決め手は、資源リサイクルにあり、実効ある法整備と企業責任を認めた上での産業界の真剣な取り組みが望まれるわけですが、こうした事項を全国市長会ではどのように取り組まれておるのか、また、市長会においてますます積極的な推進をお願いするとともに、市長の御所見をお聞かせください。

 続いて、医療系廃棄物の処理について伺います。

 昭和63年7月、三重大学附属病院において使用した注射針によって、医師2名と看護婦1名が死亡した事例がありました。また、最近では山口県のある海岸で、3千本もの使用済みの注射器が不法投棄されていたということであります。宮城県では、病院のごみ置き場から小学生が使用済みの注射器を持ち出して、水鉄砲がわりに使って遊び、けがをしたという事例もあります。さらに最近では、医療機関等から排出される廃棄物を収集運搬する清掃業に従事する方々が、医療廃棄物である使用済みの注射針などを過って刺すことにより、エイズやB型肝炎のようなウイルス性疾患に2次感染する危険性が懸念されるところから、医療系廃棄物を安全に処理するために、厚生省は昨年11月、医療系廃棄物処理ガイドラインを発表しました。

 そこで、まず本市における医療系廃棄物の処理の体制はどのようになっているのか、お聞かせいただきたいと思います。また、医療廃棄物に対して各医療機関への指導などはどのようになっているのかについても、あわせてお答えをいただきたいと思います。

 なお、本市市立病院の廃棄物処理の現状もお聞かせください。特に、現在は注射器については使い捨てが大部分を占めており、全国で年間6億本も使用されているとのことであり、こうした医療廃棄物によって、清掃従事業従事の方々が過ってけがをした事例が全国で年間700件も発生しているとのことでありますが、本市においてこうした事故の事例を掌握しているかどうか、お伺いをいたします。

 医療機関から出る廃棄物の中でも、注射器、ガーゼ、包帯など、病毒に感染する疑いのある廃棄物については、厳重な処分、処理が不可欠であることは当然であります。こうした廃棄物に対して、医療機関に対して一方的な負担を強いることも問題があろうかと思いますが、しかし、こうした医療廃棄物の処理に対してあいまいに放置することは問題であり、行政上適正で安全な処理を行う体制を確立することが急務ではなかろうかと思います。このことの御所見をお伺いいたします。

 続いて、環境アセスメントについて伺います。

 環境アセスメントは、事業が環境に及ぼす影響の程度と範囲、その対策について代替案の比較検討を含め、事業の予測と評価を行うものとされ、これを住民に公表し、事業計画に対する意見の反映を行うことを最低の条件としています。

 現在、リニア計画もそうですが、環境アセスメントというのは手続上形式的なもので、これをもって事業の評価をしたという免罪符になっています。当環境センターの建設計画については、むろん事業の制度上、環境アセスメントを行ったはずでありますが、果たしてこのことが市民に公表され、今計画されている事業の中でどのように反映され評価されているのか、総論としてまず伺いたいと思います。と申しますのは、焼却施設の機種決定がなされるようですが、さる9月5日、厚生省の専門家からなる検討委員会でダイオキシン対策の指針づくりに着手したと報道がありました。御承知のとおり、ダイオキシンは有機塩素化合物で、ポリ塩化ジベンゾダイオキシンの略称であり、環境上に蓄積される猛毒物質として知られております。

 ダイオキシンの毒性は、DDTやパラチオンの千倍以上で、ベトナム戦争でアメリカ軍が枯れ葉作戦として大量に使用した除草剤にも含まれ、皮膚、内蔵障害、発がん性、催奇形性等多様かつ強力なものであります。今、厚生省で問題になっているのは、焼却炉からの煙や灰となって環境に排出されているダイオキシンについて、この排出量を抑えるために焼却炉をどう運転するかなどのガイドプランづくりに乗り出すというものでありますが、電気集塵機の300度C付近の温度による場合が一番排出量が多いとのことの中で、その対策を検討したいとするもののようであります。

 そこで、前段の環境アセスメントにおいては、設置機種や処理方法について、こうした点についてはどのように評価し対応を考えているのか、お聞きしたいのであります。むろん、ダイオキシンについては、厚生省は人体への安全性を考えると十分低い値となっているとし、住民に無用の不安を与える必要はないとしていますが、今、地球温暖化やCO2の論識が国際的になされている中で、ダイオキシンに限らず公害問題に対しては十分な配慮と対応が必要なときでありますので、あえてこのことについてお聞きいたしました。環境アセスメントは、事業主体と住民、有識者による評価委員会なるものを設け、適切な評価とそれに対する対応というものを考えていく必要があります。国、県ではこれから多くの事業にこのアセスメントを義務づけていくことを考えていますが、環境行政上これからのアセスメントをどのように活用していくか、その取り組み方についての考え方をお示し願いたいと思います。

 次に、国鉄と周辺の土地利用について伺います。

 新都市拠点整備事業は甲府駅周辺の鉄道跡地や北口県有地、県農協、経済連駐車場などの大規模空閑地を活用し、その周辺市街地を含めて、ゆとりとうるおいのある都市環境を整備し、情報、商業、業務、文化の機能の導入を図り、21世紀にふさわしい新都市の形成を図るものであります。先般は、整備計画の大臣承認があり、県都甲府市にふさわしいまちづくりの基盤整備として、いよいよ区画整備事業が始まることになりました。そして、並行的に高度情報センターや公園、道路などを整備されていくことになると思いますが、私は特に最近奇異に感じていることがありますので、その点について若干の質問をしてまいります。

 まず、地価高騰が著しい状況下にあって、拠点整備事業は国鉄用地を利用するという大前提にあって、だれが利用するのかという点であります。区画整理は都市計画に従った土地利用を、その所有者が行うことが当然であるにしても、甲府市は利用する考えがあるのかという点であります。あるのならなぜ早く地価の安いうちに取得しないのか、このことについて説明をいただきたいのであります。仮に、年利20%の上昇があるとすれば、そのことは取得する面積にも関係しますが、相当の利益や損失になるはずであります。

 次に、土地の有効利用でありますが、新都市拠点整備事業は大規模空閑地の活用ということで、国鉄貨物ヤード跡地の利用を予定しております。今、国鉄清算事業団は、この観点から公共団体に優先的な払い下げをしようとしていますが、甲府駅の貨物ヤードは線路も取り払われ、草が繁って全く遊休地化しているのを見ますと、国鉄の放置している意図を疑問に思うのであります。今、北口周辺は放置自転車が散乱し、自動車の駐停車もままならない状況の中で、これらの自転車や車は、皆JR利用者であります。遊んでいる土地をなぜ利用しようとしないのでしょうか。これから観光シーズンになれば、殊さらこの土地を活用すべきではないでしょうか。このことについて、甲府市は清算事業団あるいはJRに対して、遊休地の有効利用をするよう要望する必要があると思うのですが、当局のお考えをお聞きしたいと思います。

 次に、北口県有地については、御承知のとおり、県職員の駐車場となって活用され、やがて新都市拠点整備事業の中で、北口の活性化のための施設整備が期待されていると思いますが、この点に関してはどのような考え方で整備されようとしているのかをお聞かせください。

 さらに、南口の大規模民間駐車場は、住民主導型の再開発事業として準備組合等も設立されていますが、いまだ具体的な動きがなされておりません。新都市拠点整備事業が進む中でこの計画はどうなっているのでしょうか。駅前である以上、新都市と連動するまちづくりをすべきでありますので、再開発の1日も早い事業化を促進すべきだと思います。

 これに関連して、エクラン西側の広い用地の活用についてもどのような経過があるのかお聞きいたします。

 また、身延線跡地は、県の舞鶴公園リフレッシュ計画で位置づけられていると聞いておりますが、どのような土地利用が計画されているのかもあわせてお示し願いたいと思います。

 以上、駅周辺に限って御質問をいたしましたが、リニア新実験線やリニア新駅に関連した甲府駅との関係において、県庁や市役所の移転、改築が取りざたされている今日、甲府駅周辺の土地利用計画は、甲府市のまちの様相を1変するほどの重要な問題になってまいります。諸事業を進めるに当たって、弾力的な対応が図られるよう、いろいろな角度から十分な検討をされるよう要望しておきます。

 次に、パートタイマー等の従業員を対象とした退職金共済制度の創設を提案いたします。

 現在、パートタイマーとして働く方々は、全国で約850万人、本市において1万6千人の方々がパートタイマーとして勤労されていると推定されておりますが、パートタイマーとして働く方々と正規従業員とでは、賃金、賞与等をはじめ、社会保険の適用、運用に当たっても格差のあることは周知のことであります。我が公明党では、国政において労働基準法があっても保護されていないパート労働の実態があることから、パート労働法の早期制定を主張しているのであります。そして、雇用保険法の一部改正案が第114国会において成立を見ましたが、この改正では、雇用保険の適用範囲が運用上、労働時間、年収等で限定されており、不十分なものと言わざるを得ません。また、今後急速に進む高齢化社会の到来により、高齢者のパートタイマーは増加することが予想され、パートタイマーをめぐる諸問題は主婦層だけの問題ではなくなってくると思われます。

 さらに、21世紀は産業構造、技術構造の変化が一層激しくなるとともに、人生80年の長寿時代の到来により、職業的生涯の長期化が予想されています。そうなりますと、将来、生涯1職業時代から生涯多職業時代に対応できる就労形態として最も有力なのはパートであります。そうした意味から、今後パートタイマーは、21世紀の基幹労働力として重要な位置を占めるものと思われます。したがって、パート労働というものを新しい時代に不可欠の雇用形態と位置づけ、今後、総合的な対策を展開する必要を感ずるわけであります。

 さて、前段申し上げましたパートタイマーと正規従業員の方々との格差を、昨年、甲府商工会議所が行ったパートタイム労働者の現状調査結果に見てみますと、賃金を決める基準は、地域のパートタイム労働者の同職種の賃金相場が53.2%と最も多く、続いて同業他社の世間相場が36.7%となっており、法律で定められた最低賃金を基準にすると回答したのはわずか2.6%という状況であります。また、賞与、一時金等を支給している事業所は、全体の64.5%、退職金を支給している事業所は、全体のわずか9%という低さであります。また、社会保険の加入状況は、健康保険は43.2%が適用あり、52.0%が適用なし、厚生年金は40.2%が適用あり、53.2%が適用なし、雇用保険は43.4%が適用あり、49.1%が適用なしという実態であります。

 このような状況下の中で、パートタイマーとして働く方々の多くは、賃金への不満、労働条件への不満、労働環境への不満等を持ちながら就労についていると思われます。したがって、勤続年数は、短期間で職場を変わる方々が多く、62年度の労働省の賃金構造統計調査に、1つの職場における勤続年数の分布を見ますと、約1年が18.9%と最も多く、次いで約半年が16.5%、約2年が14.6%となっており、パートタイマーの約半数が2年未満ということになります。また、女子パートタイマーの平均勤続年数は4年6ヵ月という結果でありました。このことから考えますと、職場を転々と変えていることが想像されます。このような現象は事業主にとっても、せっかく仕事に熟練した人が職場を去り、新しい人を雇用しなければならないマイナス面が生じます。私は、パートタイマー等で働く方々について、退職金制度を確立することにより、こうした方々の福祉の増進と雇用の安定を図り、ひいては産業の振興に寄与するものと思い、パートタイマー等退職金共済制度の創設を提案するものであります。

 なお、この制度には幾つかの手法があるようですが、全国に先駆け60年4月からこの制度の制定を行いました大阪府摂津市の事例を紹介しますと、市が特定退職金共済団体となり、事業主と共済契約を結び、パートタイマー等従業員に退職金を支給する制度であり、事業主の毎月の掛金は、被共済者1人につき2千円であり、この2千円は税法上の必要経費として控除も受けられるわけであり、パートタイマー等の従業員も退職金が所得税の対象とならず、また事務経費は市が負担するもので、民間の制度より有利であり、退職金は市が直接本人に支給するため、万一事業所が倒産しても未支給等の心配はありません。

 なお、事務経費は年間25万円くらいであり、これは当初この制度の基金として500万円を設けたものの利子で十分であり、業務に携わる職員も、1名が本来の職責と兼務で行っており、財政的にも人的面においても決して負担の多いものとは言えません。

 なお、こうした制度は事業主の任意加入のため、加入状況を心配する点もありますが、摂津市においては60年4月の発足当初は、25事業所、被共済者126人でありましたが、年次的に増加をしており、本年度においては75事業所、被共済者988人となっております。従来からある中小企業退職金共済等の制度に加入する事業所では、正規従業員を対象とするところがほとんどであり、本市における中退金に加入している事業所数は、昭和63年までの累計で834事業所であります。また、本市における事業所の特徴は、パートタイマー等の従業員を最も必要とする零細企業がそのほとんどと言えます。こうしたところの人手不足は深刻であり、雇用促進の上からもこの制度の創設を提案するわけであります。御所見を伺います。

 次に、授産施設の建設について伺います。

 現在、日本経済は、昭和40年代のいざなぎ景気の57ヵ月に迫る長期の高度成長を遂げつつあります。この景気拡大に伴って企業規模は拡大し、人手不足が顕著となっており、特に山梨県においては有効求人倍率は3倍に達しようとしております。

 このような好景気の中で忘れてならないのは、心身に障害を持つ人々の働く場所の確保であります。好景気といっても、実際、障害者にとっては全く働く場所が限られております。人間はだれしも働くことに喜びを感じます。障害者に生きがいを、そのために仲間とともに働ける場所の確保を、これは障害を持つ親の願いでもあります。本市は、昭和49年に障害者モデル都市の指定を受けております。そして、昭和63年にスタートした第3次総合計画においても、障害者総合福祉センター建設事業として授産施設が入っております。

 そこで、お聞きしたい点は、この総合福祉センターはいつ建設されるのか。また、準備を進めているとするならば、その進行状況はどのようになっているのか。働ける人員の規模はどの程度なのか。これによって障害を持つ人々の需要はどの程度満たされるのか、お伺いをいたします。

 また、理想的な授産施設を将来的に建設する前段階として、核家族化のその中で、お年寄りだけが居住している大きな家などを市が借り上げ、そこを授産の仕事場とし、お年寄りとも情報の交換をするなど多目的な対応は考えられないものか、お考えをお伺いいたします。

 最後に、児童生徒の健康保持及び増進への取り組みについて教育委員会に伺います。

 近年、成人病の若年化現象が進み、子供の成人病が大きな問題となってきております。これは、子供たちの肥満、運動不足、偏食、生活習慣の変化などが主な原因とされており、現代の文明病とも指摘され、年々深刻の度合いが増大しております。

 この成人病の若年化を防ぎ、子供の成人病を減少させ、児童生徒等の健康を守るためには、学校、地域、家庭において総体的にこれらに対応する体制を整備することが必要と考えます。学校においては、健康診断の充実による早期治療、完治のための具体的施策を強力に推進することが必要であると思います。

 そこで、お聞きしたい点は、学校における健康診断の検査項目は、学校保健法施行規則第4条の1項による11項目でありますが、それに加え血圧測定、糖尿病、心電、心音図等の検査の実施を望む声があります。本市の小中学校における学校保健法に規定されていないこの4項目の検査の実情と今後の対応をお聞かせください。

 さらに、今後、健康教育の充実の必要性を感ずるものですが、児童生徒はもちろん、一般教師に対して生命を大切にし、健康を重視する生命尊重の教育について、正しく理解されるよう専門家による教育学習を行い、その実践が習性となるまで取り組む必要があろうかと思いますが、この点についても実情と今後の対応をお示しください。

 以上で私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

○議長(堀口菊雄君) 市長 原 忠三君。

                (市長 原 忠三君 登壇)

○市長(原 忠三君) 大村議員の御質問にお答えをいたします。

 まず、はじめに、庁舎建設の時期等についてのお尋ねでございますが、私のこれまでの政治姿勢、行政実績に対しまして温かい御評価をいただきまして、厚く御礼を申し上げます。

 市制百周年の記念事業のメーン事業として、市民要望が最も高かった市庁舎の建設につきましては、第3次の実施計画で本年度に基本構想、平成3年度基本計画実施設計、平成4年度以降建設着工としております。時あたかもリニア新時代の幕あけを迎えまして、また、中部横断自動車道の建設も着々と進捗しておる状況から、本市や隣接自治体との広域的な都市機能を考えますときに、市庁舎の果たす役割は大きなものがございます。したがいまして、建設位置につきましては、市議会の庁舎建設構想に関する調査特別委員会の御意見を拝聴しながら、市民合意が得られるよう努力をしてまいりたいと存じておりますので、よろしく御協力をお願い申し上げます。

 次に、ごみ対策に対しましての全国市長会の取り組みと推進策に対する考え方についてのお尋ねでございますけれども、廃棄物処理に関する諸問題につきましては、お説のとおり、環境行政におきまして緊急かつ大きな課題であると受けとめておるところでございます。したがいまして、円滑な施策の推進が図られるよう全国市長会の廃棄物担当部会を中心に、法の整備や財政対策につきまして積極的に国に要望をしておるところでございます。

 また、全国的な専門組織である全国都市清掃会議の機関を通じまして、安全衛生対策の強化、これをはじめ最終処分場の広域的な確保、ごみ減量化のための施策推進等につきまして、今後さらに積極的な取り組みを行ってまいる考え方でございます。

 次に、環境アセスメントの取り扱いについてのお尋ねでございますが、新ごみ処理施設の建設に当たっての最重要課題は公害問題であり、また、地域住民に御迷惑をおかけしない施設づくりをすることでございます。御指摘の環境アセスメントにつきましては、周辺住民の環境保全の指針づくりとして既に実施をし、その結果について地元対策委員会へも公表し、目下これらをもとに公害防止協定につきまして協議中でございます。

 また、ダイオキシンにつきましては、現在厚生省の専門家会議で検討されており、その結果を踏まえまして、建設計画の中に取り入れて対応してまいりたいと存じております。

 また、今後のアセスメントの活用等につきましては、周辺地域の環境に及ぼす要因の早期発見と、大気汚染、水質汚濁、騒音公害等にかかわる環境質の保全確保に活用をしてまいります。

 次に、清算事業団用地の取得についてのお尋ねでございますが、清算事業団の用地につきまして、5.9ヘクタールの一部を公共施設用地として買収する予定でございますが、随意契約の要件には、具体的な土地利用計画など種々検討を要する問題がございます。地価の高騰が懸念をされる現況情勢を踏まえる中で、早期に取得できるよう清算事業団と精力的に交渉をいたしておる現状でございます。御理解を願いたいと思います。

 次に、障害者総合福祉センターの建設についてのお尋ねでございますが、心身障害者の自立と生きがいを促進をするために、授産施設を含めました障害者総合福祉センターは、第3次総合計画の中期に建設を予定をいたしております。建設場所、規模及び施設の内容等につきましては、先進都市等の施設をも参考にしながら、調査研究を進めているところでございます。

 なお、建設場所につきましては、早期に適地の選定をいたしたいと、このように考えているところでございます。御理解を賜りたいと思います。

 他の質問につきましては、それぞれ担当部長からお答えいたします。

○市民部長(小林正司君) パートタイマー等の退職金共済制度の御質問についてお答えいたします。

 労働者の生活の安定と身分が保障されるためには、パート労働者への退職金共済制度の整備が必要と存じております。また、近年就業形態の多様化の中で、パート労働者の労働力の活用を図る雇用対策面からも制度の運用は必要であると考えております。

 いわゆるパートタイム労働者の退職金制度につきましては、中小企業退職金共済法の一部改正がなされまして、掛金の特例等が新設され、来年4月1日から施行の運びとなっております。この改正には、御提言の趣旨が含まれていると存じますので、本市におきましてもこの制度への加入促進に向けまして、市内の事業所、事業主、また広く市民への広報活動に努め、御提言が生かされるよう対応してまいる所存でありますので、御協力をお願いいたします。

○福祉部長(鈴木 勗君) お年寄りだけの家などを借用して、障害者の授産所にしたらどうかとの御提言につきましてお答えをいたします。

 このことにつきましては、他都市のこの種の施設の運営状況等を参考にする中で、今後の検討課題とさせていただきたいと思いますので、御理解を賜りたいと思います。

 以上でございます。

○環境部長(中山 進君) 環境部関係数点についてお答えを申し上げます。

 まず、第1点目の医療系廃棄物の処理でございますけれども、これにつきましては、平成元年11月の厚生省のガイドラインに従いまして、医療機関が自己処理をすることが望ましいと思うわけでございますけれども、民間レベルでの処理施設能力が十分に充足をされておらないわけでございますので、本市におきましては、当面感染性医療廃棄物を除く廃棄物につきましては、不燃物処理施設において処理を行っておる状況でございます。

 第2点目の医療機関への指導でございますけれども、国、県と協力をいたしまして、保健衛生の確保及び向上の観点から、地域の実情に沿った適正な処理の推進に当たってまいる考えでございます。

 次に、第3点目の医療廃棄物の処理過程での事故でございますけれども、全国的には幾つかの事例があると存じておるところでございますけれども、本市におきましては、これまで処理による事故は発生しておらないわけでございますけれども、御指摘のとおり、安全衛生対策につきましては、今後とも万全を期してまいる考えでございます。

 第4点目の医療廃棄物の処理体制の確立でございますけれども、感染性医療廃棄物の完全処理を徹底させるためには、今後、県や関係機関と十分協議を重ねまして、専門処理施設整備等の体制の確立を促進してまいる考えでございます。御理解を賜りたいと思います。

○都市開発部長(風間嘉吉君) 国鉄周辺の土地利用につきまして、4点ほどお答えを申し上げます。

 まず、国鉄貨物ヤード跡地を駐輪場として利用させたらどうかという御提言でございますが、清算事業団が管理をしております跡地につきましては、御質問のような自転車対策に利用できるならば、駅周辺の交通対策上、大変有効でありますので、関係部と調整し、御提言の趣旨を踏まえて清算事業団及びJRに御協力がいただけるよう要請をしてまいります。

 なお、根本的な駐輪場、駐車場対策につきましては、整備事業の中で考えております。

 次に、北口県有地の利用計画については、県では新都市拠点整備事業の整備計画を受けて、事業との整合性が確保されるよう県有地の利用について、検討委員会を設け作業中でございます。年度内にはその構想が明らかになると思います。

 また、エクラン西側の用地の活用について、どのような計画があるかという御質問でございますが、エクラン西側ブロックは、基本計画では商業施設用地として土地利用を位置づけております。商工会議所、地元商工会等との調整を行い、商業施設等の立地誘導を図ってまいりたいと考えております。

 最後に、身延線旧国鉄用地の計画でございますが、県の舞鶴城公園整備検討委員会において、公園再整備計画を策定いたしましたが、国鉄用地4,300平方メートルを公園緑地、駐輪場として整備をすることにしております。

 以上でございます。

○市立甲府病院長(伊古美文雄君) 市立病院の医療廃棄物処理の現況について答弁いたします。

 院内で発生した医療廃棄物につきましては、御指摘のように、昨年11月の厚生省の医療廃棄物処理ガイドラインや環境部の指導を受け、病院としての医療廃棄物処理計画書を策定し、院長を管理責任者として管理体制の万全を期しております。

 私どもでは、この計画により医療廃棄物を感染性と非感染性とに分別処理しておりますが、特に問題の感染性廃棄物につきましては、汚物、紙おむつ等の液状または泥状物、及びガーゼ、包帯等の固形物につきましては、決められた処理マニュアルに沿った方法により、院内で焼却処分を行っております。また、注射針や注射器、メス等の固形物と血液、血ぺい等の液状または泥状物の一部で、院内処理が不可能なものにつきましては、密閉容器等で収集梱包しており、これは一定の場所に保管いたしまして、後、県知事の許可を受けた廃棄物業者に委託いたしまして運搬処理を行っております。

 以上でございます。

○教育長(浅川紫朗君) 教育委員会にかかわる2点についてお答え申し上げます。

 学校保健法に基づきます健康診断検査項目についてでございますが、教育委員会では学校保健法に定められた健康診断を、各学校医の協力のもとに実施しておるところでございます。その結果をもとにいたしまして、児童生徒の日常の健康保健指導を行っております。御指摘の検査項目のうち、心電図、糖尿の検査につきましては実施しておりますが、他の項目につきましては、子供の状況を見ながら必要に応じて対応しているところでございます。また、御指摘の保健指導につきましては、今後さらにきめの細かい取り組みをしてまいりたいと考えておりますので、御理解をいただきたいと思います。

 次に、学校における健康教育についてでございますが、学校における健康安全教育の充実は極めて大切であると考えております。心の健康、体の健康につきましては、各学級の担任を中心にいたしまして、学級の時間や教育活動のすべてを通して全体的に、また個人に応じて指導しているところでございます。

 さらに、養護教諭、生徒指導主事との連携、また専門的には学校医を中心にいたしましての保健委員会を通して、病気の予防や疾病が発見された場合などの現場に即した指導をしていただいているところでありますが、今後も御質問の趣旨を十分踏まえまして、学校医の指導をいただきながら、児童生徒の健康教育、あわせて教職員の健康管理の重要性を認識いたしまして、さらに一層徹底して対応してまいりたいと考えておりますので、御理解をいただきたいと思います。

○議長(堀口菊雄君) 大村幾久夫君。

○大村幾久夫君 おおむね了解をできる御答弁をいただきましたけれども、環境部長に1点だけお聞きしたいんですが、医療系廃棄物の取り扱いについてですが、感染性のもの以外は一般の廃棄物として処理を行っているということですが、じゃ、感染性のある廃棄物は民間の医院等でどういう扱いをしているわけですか。その点をちょっとお答えいただきたいと思います。

○議長(堀口菊雄君) 環境部長 中山 進君。

○環境部長(中山 進君) 実は医療系廃棄物には、感染性医療廃棄物と非感染性医療廃棄物があるわけでございまして、感染性医療廃棄物というのは、通常ですと、注射針あるいは血液、血漿等々、あるいはそれらが付着したものが一般的に感染性廃棄物でございます。これにはやはり産業廃棄物と一般廃棄物がございまして、一般廃棄物については市町村の処理だと、それから産業廃棄物というのは事業者がみずから処理すると、こういうことになっておりますけれども、事業活動で生じる廃棄物、これは産業廃棄物も一般廃棄物も含めて、やはり事業者において処理すると、こういうのは法の原則でございますけれども、たまたま先ほども御答弁申し上げましたように、現在の民間レベルでは非常にその施設能力が十分に充足しておりませんから、現時点では非感染性の医療廃棄物、これは産業廃棄物あるいは一般廃棄物も含めまして市の方で処理をしているのが状況でございます。

                (大村幾久夫君「了解」と呼ぶ)

○議長(堀口菊雄君) 関連質問はありませんか。

 次は、共産党 加藤 裕君。

 加藤 裕君。

                (加藤 裕君 登壇)

○加藤 裕君 私は、日本共産党を代表し、9月定例議会における市政一般質問を行います。

 まず、はじめに、市長の政治姿勢についてお尋ねをいたします。

 市長は本市議会での所信表明において、3選立候補の決意表明を行いました。2期7年の原市政は、教育と福祉を重点とした前市政を引き継ぐ中で、非核都市宣言事業、図書館司書公費助成の増額、寝たきり老人介護手当の新設など一定の前進はあったものの、基本的には自民党政治に忠実に従い、自民党金丸派の支配する望月県政と一体となって、大企業奉仕、開発優先、市民犠牲の政治を進めてきました。それは消費税の上乗せ、行革の推進、NECの誘致を柱とするテクノポリス構想の推進、リニアの誘致、水源地へのゴルフ場建設計画をはじめとするリゾート開発計画などを強力に推進してきたことにあらわれています。そのため、教育や福祉などの施策は著しく立ちおくれ、中学校完全給食の未実施や生活保護が40%もの激減など、市民生活への犠牲や環境破壊への不安がますます強まっています。政治は市民のためにあるべきです。私は市民の皆さんとともに、真に市民本意の市政実現のために全力を尽くすものです。

 質問の第1は、市長は大企業奉仕、開発優先、市民生活犠牲の自民党政治から、どのようにして市民の生活と環境を守ろうとしているのかお尋ねをいたします。

 第2は、国の財政再建のため、地方への補助金カットの市の肩がわりした分を取り戻す問題です。

 1985年から始まった市の肩がわり負担は、初年度5億円から昨年度の11億9千万円まで、合計52億円余に上ります。政府はこの市負担分については、財政再建後に返還するとしていましたが、今がその時期に当たります。市長はこの影響額についてどのように返還を要求してきたのか、また今後どのようにするのかお尋ねをいたします。

 第3は、行革大綱の問題です。

 市長は、政府の地方行革方針に従い、2年前、自主的行政改革と称して市の大綱をつくりましたが、その基本は職員の定数の削減、業務の民間委託化、個人給付事業の見直しを柱とするものでした。現在、この問題は環境福祉行政に導入され、人減らし合理化と生活保護、老人福祉の後退などが始まっています。今、1970年代に全国の革新自治体が前進させた福祉政策が、政府の圧力によって次々と切り崩されていますが、市はこのような住民犠牲の地方行革の路線を転換し、本来の住民福祉への行政に立ち戻るべきだと考えますが、市長の考えをお示しください。

 次に、固定資産税評価替え、都市計画税についてお尋ねをいたします。

 甲府市周辺を中心に地価は異常な高騰を続け、国土庁が発表した今年1月1日現在の地価公示価格で見ても、昨年1年間の甲府市の上昇率は、住宅地で最高42.9%、平均29.7%、商業地で最高46.1%、平均35.4%と急騰。3年間の上昇率が70%を超えるところも出ています。もしこれを来年の固定資産税評価替えにはね返らせるならば、多少の調整措置をとったとしても、住民負担が耐えられないまでに高まり、生活と経営を直撃することは必至です。地価高騰の原因は、県外資本の一部大企業グループの土地投機の結果にあることは言うまでもありません。

 6月22日、衆議院土地特別委員会で我が党議員の質問に対して、国土庁の土地局長は、山梨県で、89年の1年間の土地取引の届け出に占める企業の割合件数が70%に上ると述べ、それらがリニアモーターカー開発に関連したものであり、投機や思惑買い的な取引が多いと述べています。

 言うまでもなく、土地を持っている場合でも、圧倒的多数の市民は、家族とともに暮らしていくための最小限の土地しか保有していません。地価高騰には何の責任もないし、またこれによって得る利益もありません。気勢的に巨額の利益をかすめ取ろうとする大企業の投機によってつり上げられた地価と同列に評価されて、増税を押しつけられることは市民にとっては全く認めがたいことです。

 政府は、来春の固定資産税評価替えついて、住民に一番関係の深い税であり、追い出し税的なものとしてはならない、急激なアップは望ましくないと、税額負担調整の考えを示しましたが、今切実に求められているのは若干の調整措置ではなく、評価替えの中止です。固定資産税の評価替えは市町村長が行うことになっていますが、実際には自治省が発表する都道府県ごとの基準地価格をもとにした地価が市町村に押しつけられるのが実態です。基準地価格の押しつけに反対をし、自主的に決めるべきであると考えます。市は独自の作業としてどの程度の上昇率等を見込んでいるのか、またこの際、市民を守る市長の政治判断をして、政府に対して評価替えの中止を申し入れること、市民生活への深刻な影響を考慮して評価替えを凍結するよう望むものですが、お考えをお示しいただきたい。

 次に、都市計画税の軽減についてですが、都市計画税については、固定資産税で実施されている課税標準特例、宅地は2分の1、うち2百平方メートル以下は4分の1の軽減が適用されていません。そこで異常な地価高騰から市民負担の緩和を図るため、当面固定資産税並みの特例措置を都市計画税に盛り込むこと、宅地、住宅地にかかる税率を引き下げるよう望むものですが、いかがでしょうか。これは市が独自の権限で税率を決めることができるものであり、市長が決断をすべきであります。

 さらに、固定資産税、都市計画税の賦課に関するものですが、これらの税の課税に関しては、本来ならば対象となる土地や家屋の地番、面積、課税標準額などの内訳を納税者に知らせることが望ましいわけと考えるわけですが、現行ではそのようになっておりません。もちろん、縦覧期間を設けてはおりますが、制度の不徹底と、わざわざ足を運ばなければならないため、利用者は極めて少ないと聞いております。課税の詳細を納税者が確認をし、納得して納税をするためにも、また課税ミスをなくすためにも、横浜や大阪など先進都市が実施している課税対象物件の詳細、内訳送付を取り入れてはいかがかと考えますが、いかがでしょうか。

 次に、新都市拠点整備事業について質問をいたします。

 甲府駅周辺の25.5ヘクタールの新都市拠点整備事業は、県と市の施行により昨年度から始まりました。市はその約87%を区画整理方式により実施するとされています。市はこれまで地元住民などに数10回の説明会を持ち、その意見を聴取したと聞いておりますが、実際に市民の中に入ってみますと、区画整理の最大の焦点となるいわゆる減歩が平均25%になることについては、何ら説明がされておらず、さらにこれまで区画整理を行ったところでは住民アンケートを行っているわけですが、今回はこれを行わないということです。この区画整理の問題点は、住民から無償で土地を取り上げ、これで道路や公園をつくり、国鉄清算事業団用地5.5ヘクタールの活用を図るという住民犠牲の方法となっていることです。土地を資産として売ったり、また貸したりして利益を上げる国鉄清算事業団と、土地を自分の生活の場とする以外に方法のない住民とでは、土地利用の方法が全く違います。この点から、市は受益者負担の原則をこの事業に単純に当てはめるべきではなく、土地利用の方法をよく精査して、大地主には減歩を重く、住民には軽くすべきであります。市は住民に対してすべての計画を公表し、住民の意見をよく尊重して事業を進めるべきであり、この事業は重要、緊急だとして、住民アンケートすら実施しようとしない市の態度は改めるべきであります。以上の点について市長の答弁を求めます。

 次に、中学校給食について質問をいたします。

 1954年に成立をしました学校給食法は、その第1条で、「学校給食が児童及び生徒の心身の健全な発達に資し、かつ、国民の食生活の改善に寄与するものであることにかんがみ、学校給食の実施に関し必要な事項を定め、もって学校給食の普及充実を図ることを目的とする」と定めています。

 さらに、第2条で4つの目標、「食事についての望ましい習慣。明るい社交性。栄養改善、健康の増進。食糧生産、配分、消費についての理解を養う」を掲げ、第5条で、「国及び地方公共団体は、学校給食の普及と健全な発達を図るよう努めなければならない」と定めています。

 学校給食法ができる直前の1951年に開かれた国際公教育会議で出された各国文部大臣あての勧告でも、学校給食の公的責任を13項目にわたって明確にしております。その内容は、「義務教育における出費は家庭に負わせるべきではない。多くの国で婦人が一層外で働くようになり、子供の食事の世話ができたくなっていることを考慮しなければならない。家庭の食生活は、栄養学的研究成果による法則には必ずしも合致していないことを考慮し、学校給食は科学的基礎に基づく栄養食の手本を示すべきである。給食費は無償が原則だが、不可能な場合は父母の負担にならないようにする。調理室の建築、運営は自治体の負担とする。給食時は子供にとって楽しく居心地のよい場所とする」などです。

 だからこそ、豊かな教育条件を整備すること、未来を担う市民に育てることに行政はもっともっと力を入れるべきです。真に教育として位置づくような学校給食を目指すこと、具体的には、直営自校方式の学校給食を実現させることが行政の責任ではないでしょうか。

 先日、給食連絡会が行った12時間マラソン署名行動は、1日で千名以上の方々が署名をしてくださり、署名用紙を持ち帰り、集めてくださるという方々もたくさんおりました。給食実現を望む声はますます広がり、切実であると実感するものです。今、行政が実施をするという方向づけを出すことは、圧倒的に市民から歓迎される事業です。今回こそ市長の決断をお聞かせいただきたいと思います。

 次に、地価対策についてお伺いいたします。

 今日の地価高騰は全く異常とも言うべき事態です。しかし、これに対して何ら実効ある施策は講じられておりません。県政に対する世論調査の結果を見ても、地価高騰の対策のおくれを指摘する声が多く、特に甲府市では、これを1番に挙げる人が42.9%と高く、問題の深刻さを浮き彫りにしております。さきに県が発表した地価調査結果の数字は、そうした県民、市民の怒りや不満を一気に高めるものとなりました。抜本的な地価対策はまさに待ったなしです。

 新聞の報道によれば、8月上旬、原市長が会長を務めているリニア中央エクスプレス甲府圏域建設協議会が、県に対して地価の適正化の施策を要望した際、知事は規制区域の設定に関して、市町村の要望があれば設定してもいいが、難しいだろうと答えたと報道されています。県はこの間、監視区域の設定、拡大、届け出面積の引き下げなどの方策を繰り返してきましたが、このことが抜本的な対策となっていないことは、さきの地価調査結果でも明らかであります。

 地価上昇の背景には、大企業による投機的土地買いあさりにあることは明白です。これを規制することこそ今求められております。国土法に基づいて急騰地を規制区域に指定するなど、抜本的な土地対策が必要であります。市長は規制区域の指定についてどのような考えをお持ちになっておられるのか、また知事に強くこのことを要望していただきたいと思いますが、どうお考えか質問をいたします。

 以上です。

○議長(堀口菊雄君) 市長 原 忠三君。

                (市長 原 忠三君 登壇)

○市長(原 忠三君) 加藤議員の質問にお答えをいたします。

 まず、私の政治姿勢についてのお尋ねでございますが、私は市長就任以来、公正、清潔、誠実、さわやか市政、市民との信頼、協調の市政、市民党的立場を堅持する市民参画の市政、未来を展望した市政の推進を政治姿勢といたしまして、施策体系の中におきまして、福祉、教育は主要施策として位置づけまして、国の関与が厳しい財政環境等へも積極的に対応し、本市独自の新規施策をもあわせまして、大きく前進をさせたと認識をしておるところでございます。これからも21世紀を展望いたしまして、主体性を具備した都市の時代の確立に向けまして、地域の独自性、地域に根差した個性を重視いたしまして、市民の創意工夫と行政の積極的な参加の中で、市民とともに個性豊かな創造性に富んだまちづくりのために、さらに懸命な努力をしてまいる所存でございます。御理解を願います。

 次に、国の財政再建と市の対応についてのお尋ねでございますが、国庫補助率の引き下げによりますところの本市の影響額は、経常経費及び投資的経費を合わせまして、昭和60年から平成元年までの5年間で52億2千万円となっております。地方交付税の特別措置、臨時財政特例債等の財源補てん額を差し引きましても、その累計額で17億9,300万円となっております。補助率の引き下げは地方財政にとりまして重大な問題でございますので、これまでに全国市長会をはじめ地方6団体等を通じまして、機会あるごとに完全復元をされるよう強力な運動を行ってきたところでございます。その結果、生活保護費等につきましては、平成元年度に一部復元され、また土木関係の投資的経費につきましては、平成3年度予算の中で61年度補助率にまで復元をされる見通しでありますが、今後も引き続き関係機関を通じまして、完全復元に向けまして積極的に働きかけてまいります。

 なお、本市は市民サービスの向上、市民負担の軽減のために行政の効率化を図ってまいってきておるところでございますので、その点も御理解をいただきたいと思います。

 次に、固定資産税の評価替えにつきます市民生活の影響についての問題、評価替えの凍結、これらのお尋ねでございますが、過去3カ年の地価公示等の公的調査結果の推移を見ますと、地価は大きた伸びを示しております。この地価上昇を直接評価替えに反映をいたしますと、当然のことながら、固定資産税の上昇率も高くなることとなります。この上げ幅につきましては、もろもろの経済動向を見守りながら、市民への影響はできるだけ緩やかなものにしたいと考えておりますので、そのような意向を県の協力を得る中で、国に反映をする努力をしてまいりたいと考えております。

 また、評価替えの凍結につきましては、3月議会におきまして、加藤議員の御質問にお答えをしたとおりでございまして、固定資産評価基準に基づき国が示すことになっておりますので、1自治体が独自に凍結することは困難でありますので、御理解をいただきたいと思います。

 次に、中学校給食についてのお尋ねでございますが、中学校給食につきましては、懸案の問題でございますが、ただいま教育委員会において衆知を集めて検討中でございますので、その集約の結果を報告いただいた上で判断をしてまいりたいと考えております。

 次に、地価対策の問題でございますけれども、今私どもが検討しておりますのは、規制区域の指定、税制面での再検討、これらの問題につきまして検討を急いでおるところでございますので、御理解をいただきたいと思います。

 他の質問につきましては、それぞれ担当部長からお答えいたします。

○税務部長(雨宮和美君) 税にかかわる御質問3点についてお答えをいたします。

 まず、固定資産税の来年度評価替えに当たり、どの程度の上昇率を見込んでいるかについてお答えをいたします。

 評価替えの基本方針、基準、基本的価格等は全国的な均衡を図る見地から、国の指針に準拠することになっておりまして、一自治体が独自に評価替えをすることはできないこととなっております。具体的な上昇率につきましては、評価替え作業の基礎となる国が示す基準地価格や指示平均価格等が明らかでなく、流動的要素が多分にございますので、現時点では確定しておりません。

 次に、都市計画税にも固定資産税に準じた特例措置の適用と税率の引き下げについてお答えをいたします。

 都市計画税は、御案内のように、都市計画法に基づき実施する都市の健全な発展と秩序ある整備を図る諸事業の費用に充てるための目的税であります。この課税対象は都市計画事業により、利便を受けるような利益関係がある場合ということになっております。したがいまして、固定資産税の住宅用地の特例適用により、課税標準額の引き下げを行うというような特別措置を講ずることは、この都市計画税の目的の趣旨からいたしまして、適当でないとされておりますので、御理解をいただきたいと思います。

 また、都市計画税によってすべての都市計画事業が賄える状況でないことも御承知のとおりです。加えて、本市の将来に向かって、いわゆる都市基盤整備の諸施策を滞りなく推進していかなければならない現在、税率の引き下げは困難ではなかろうかと判断しております。御賢察をいただければ幸いと存じます。

 固定資産税明細書の送付についてお答えをいたします。

 納税者が固定資産税の課税にかかわる資産の内訳及び課税内容を知る方途として、地方税法上は縦覧制度が定められておりまして、この制度により納税者みずからが課税状況を知り、チェックできる仕組みとなっております。

 一方、この縦覧制度とは別に、御指摘のように、資産明細書を送付している自治体があります。これについて自治省は、税法上で定められた縦覧制度との関係が明確でないとしながらも、将来的には検討課題であるとしておりますので、本市は、まず縦覧制度の活用を納税者により周知できる方途を講じることが第1と考えております。したがいまして、資産明細書の送付につきましては、評価替え作業や独自電算機の導入、また、航空写真の導入による課税客体の見直しや、課税台帳と登記簿との1筆1棟の照合を行うなど、課税関係業務が終了後、国等の指導をもとに、よりベターな方法を研究してまいりたいと考えております。

 以上です。

○都市開発部長(風間嘉吉君) 減歩についての御質問でございますけども、区画整理事業は、事業に必要な土地を地区内の地権者から一定の割合を出していただく仕組みになっております。原則的には、土地の区画が整ったことや公共施設が整備されたことにより、おのおのの土地について生ずる利用価値の増進の範囲内で公平な減歩を行っております。

 それから、住民アンケート実施についてでございますけども、新都市拠点整備事業に伴います区画整理事業は直接地権者個人にかかわる利害得失があると同時に、事業上の質問、要望等がございますので、行政側の適切な説明や対応によって御理解と御協力をいただくことがぜひ必要なことでございます。

 アンケートは調査は、関係市民の意見把握の1つの方法でありますが、今回はきめの細かい説明会を十分行う中で、一定の手順を経て都市計画への意思決定をさせていただきました。この説明会は150回以上開催をしております。

 なお、諸計画につきましては、常に公表をしており、説明会等を通じ意見の反映を図っておりますので、御理解をいただきたいと思います。

○教育委員会管理部長(平嶋 泰君) 中学校給食関係につきまして、教育委員会の立場で状況だけ御答弁申し上げます。

 中学校給食につきましては、御案内のように、現在、ミルク給食を実施する中で、食習慣の形成などとあわせまして、食べ物と健康等について関係する教科、あるいは学級活動を通じまして指導しているところでありますが、本市の実態に即しました中学校給食のあり方について、教育的役割、生徒指導や学校運営面、家庭教育との関連等を中心に検討委員会にその検討をお願いしている段階でございます。

 本年度につきましても、学校、PTA関係者の一部委員の変更に伴いまして、7月に新しい委員の構成によりまして、御質問の趣旨も踏まえまして、目下慎重に検討している段階でございますので、御理解をいただきたいと思います。

○議長(堀口菊雄君) よろしいですか。

 お諮りいたします。

 本日の会議はこの程度にとどめ、延会いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。

                (「異議なし」と呼ぶ者あり)

○議長(堀口菊雄君) 御異議なしと認めます。

 よって、本日の会議はこれをもって延会することに決しました。

 本日は、これをもって延会いたします。

                午後2時18分 延会