平成6年12甲府市議会定例会会議録第4号

                午後1時00分 開議

○議長(森沢幸夫君) これより本日の会議を開きます。

 報告事項を申し上げます。

 市長から追加議案提出について通知がありました。

 提出議案は議事日程記載の日程第21 議案第95号でありますので、朗読を省略いたします。

 次に、議長のもとに請願2件、陳情1件が提出されました。

 お手元に配付いたしてあります請願・陳情文書表により御了承を願います。

 以上で報告を終わります。

 これより日程に入ります。

 日程第1から日程19まで19案及び日程第20 市政一般について質問を一括議題といたします。

 これより昨日に引き続き上程議案全部に対する質疑及び市政一般質問を行います。

 公明の代表質問を行います。大村幾久夫君。

 大村幾久夫君。

                (大村幾久夫君 登壇)

○大村幾久夫君 12月定例会にあたり、公明を代表して市政一般について質問をいたします。

 最初に、山本市長の再選に関して一言申し上げます。

 御承知のとおり、私ども、一昨日、公明、公明新党という分党を行いました。11月に公明党として中央の機関決定をもって山本市長を推薦をいたしました。こうしたことがこの分党された公明がそのまま継承し、山本市長を推薦していく。このことには何ら変わりがございません。山本市長の「思いやりのある政治の実現」ということに期待もしますし、また、大いに応援もしていきたい。このように考えております。

 それでは、質問に入ります。

 最初に、市長に伺います。

 近年の国際化の進展に伴う課題の一つに、定住外国人の地方参政権の要求があります。法務省が昨年発表した平成4年末の全国の外国人登録数は128万人を突破し、総人口の1%を超えました。こうした中、御承知のように、大阪府岸和田市議会においては、平成5年9月議会で定住外国人に対する地方選挙への参政権など、人権保障の確立に関する要望決議が全会一致で採決され、大きな話題となりました。この決議についての国の見解として自治省は、「参政権は憲法の国民主権の原理に基づき、公権力を行使する公務員を選ぶ立場から、日本国籍を持つ者に限られると解釈している」としています。ここに、今後さらに国際化が進みいこうとも、国籍至上主義で行くのか、それとも、今住んでいるという事実を優先させるようにすべき、という論議があるわけですが、定住外国人の地方参政権に関する市長の御所見をお伺いします。

 次に、高速交通への対応について伺います。

 平成元年9月、リニアモーターカーの新実験線の山梨への建設が決まり、東京一極集中から多極分散の基盤となるものとし、産業、情報、通信等の集積を促し、新しい社会・経済圏を創出し、本市の飛躍的発展につながるものとして大いに期待をされました。しかし、用地買収の遅れなどから、たび重なる計画の先送りとなり、先行工事区間の実験開始が平成9年、実用化のめどが立つのが平成11年度と、当初計画から大幅な遅れとなり、つい先ごろの新聞報道では、全体計画の見直し論議とともに、マイナス材料を指摘する声や、実用化を危ぶむ声も浮上しているとのことであります。中でも、「山梨は通過県になるだけで経済的メリットはほとんどなく、リニアは無用の長物」とする極めて否定的な意見もあります。事実、リニア駅等の建設場所はいまだに不透明であり、通過県対策などは具体化していません。リニアエクスプレスのメリットを最高のものとして、県民、市民の福祉の向上に結びつけることは、21世紀を見据えた行政の最大の課題と言える。この計画が国、県の事業としても、県都甲府市がこの問題に積極的な姿勢で取り組むことが本市発展の要と言えます。

 そこで、市長にお伺いします。高速交通時代を迎えるにあたっての本市の将来ビジョンについて、どのような絵を描かれているのかお示しください。また、県、周辺町村を含めた駅設置誘致運動の取り組みの状況をお聞かせください。

 次に、税務関係数点について伺います。

 最初に、税制改革に伴う市税の影響について伺います。政府は、所得税、住民税減税と、平成9年度からの消費税率引き上げを柱とした税制改革大綱を決定し、今国会に提案し、成立を見ました。この税制改革の骨子は、所得税、住民税減税を合わせて恒久減税3兆5,000億円と、定率減税2兆円の総額5兆5,000億円の減税を、平成7、8年の2年間にわたり実施をすることであります。これは本年度と同程度の減税に相当するものとされております。今や地方分権は時代の潮流であり、これを支えるのは地方自治体の財源基盤の充実であり、住民に直接かかわりのある地方自治体が、実情に即したきめの細かい市民サービスの提供のできることが重要であり、今後、福祉や市民生活に身近な財政需要は拡大せざるを得ないのであります。これに対応するには、安定した税財源の確保が重要な課題と言えます。

 そこで、お伺いいたします。本年度の税収見込みとあわせて平成7年度の見通しはどうなのか、また、今回の減税に伴う個人市民税にどのような影響があるのか、減税額はどのくらいになるのかをお示しください。

 次に、固定資産税、土地の評価替えに関して伺います。本年度の評価替えにおいて、大都市の産業地や一部の住宅地、それに地価上昇の激しかった大都市隣接の市町村で、逆転現象が生じているとのことであります。固定資産税の評価額は3年に一度の見直しであり、最近のように地価の動きが激しいときには、評価基準の見直しが追いつかない状況にあります。土地は地価公示価格の7割程度の評価とのことでありますが、本市の評価替えの結果はどうであったのか、また、各地において審査請求が提出されたとのことでありますが、本市の状況についてお示しいただき、さらに次回の平成9年度の評価替えにおいて、地価が今より下降した場合どのようなことになるのかお尋ねします。

 次に、窓口サービスセンターの充実について伺います。

 10月より、市民サービスの向上及び本庁駐車場の緩和対策を目的として、税関係証明書の一部をそれぞれの窓口サービスセンターで交付されるようになりました。市民からは、センターは駐車場の待ち時間も少なく、短時間で証明書が交付されるとのことで、利便が図られ喜ばれております。他の税関係の証明書についても同様にセンターで交付をしてほしいとの声も聞いております。他の税関係の証明書についても、オンライン化されているわけですから、センターでの交付も可能と考えますが、今後の方針と現行サービスセンターでの税関係証明書の利用状況をお知らせください。

 次に、パート労働者の福祉の向上について伺います。

 現在、全国のパート労働者数は、総務庁統計局が平成5年に行いました労働力調査によりますと、929万人、雇用者総数9,099万人の18.2%となっております。この数値は5年前の7割増という状態であります。特に従来、パート労働は女性、なかんずく主婦層を中心としていたことから、近年、高齢化の進行に伴い、高齢者のパートタイマーの増が見られ、パートタイマーをめぐる諸問題は主婦層だけの問題でなくなってきております。さらに、21世紀は産業構造、技術構造の変化が一層激しくなるとともに、人生80年の長寿時代の到来により、職業的生涯の長期化が予想されています。そうなりますと、将来、生涯一職業時代から生涯多職業時代に対応できる就労形態として最も有力なのはパートであります。そうした意味から、今後、パートタイマーは21世紀の基幹労働力として重要な位置を占めるものと思われます。したがって、パート労働というものを、新しい時代に不可欠な雇用者形態と位置付け、今後、総合的な対策の展開が望まれます。

 さて、国においては、平成5年5月、「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律」、通称パートタイム労働法が成立し、同年12月1日より施行され、パート労働者の地位向上、待遇改善、福祉の向上に期待をするところであります。しかし、この「パートタイム労働法」は、平成5年6月労働大臣によって告示された「パートタイム労働者の処理及び労働条件について、考慮すべき事項に関する指針」、いわゆるパートタイム労働指針と同様に、罰則規定を伴わないものであり、その効力はパート労働者の良識に委ねられている現状であります。

 そこで、公明党県本部として、この8月、山梨県全域のパート女性労働者180名を対象としたパートで働く女性の意識調査を行いました。その結果、パート労働者の多くが、職場に対しては退職金の支払いを、また、税制面においては非課税限度額の拡大を望んでいることが、極めて高い割合で示されました。そこで、私はこの二つの項目に関して要望と提言を行い、当局の見解を伺います。

 最初に、非課税限度額の拡大についてでありますが、御承知のとおり、この限度額は現行100万円であり、100万円の壁という見方もされています。このことは、主婦が自分の収入を年100万円以下に抑えておくことにより、大きいメリットがあるからであります。すなわち限度額を超えると、夫が所得税の配偶者扶養控除を受けることができなくなり、夫の所得税が高くなる。そのはね返りとして住民税も高くなる。また、パートで働く女性自身が国民年金に加入することになり、毎月数千円の保険料を負担することになる。さらに、新たに国民年金保険料を毎月1万500円支払うことになる。これでは中途半端に稼いでも仕方がないということになり、働く気持ちや働く能力もあって、しかもその人の労働力を周囲が必要としているのに、働けないという状況が生じております。

 さて、この非課税限度額は長いこと79万円であったのが90万円になり、その後、昭和63年に現行の100万円に増額された経緯がありますが、現今のゆとりと豊かさを志向する経済社会にあっては、さらに課税限度額の拡大の必要性が望まれます。

 以上はパート労働者の立場からの要望でありますが、一方、雇用者の側からも、この非課税限度額の拡大の要望は強いものがあります。平成3年に甲府商工会議所が行いました「パートタイム労働者に関する調査」を見てみますと、パートタイム労働者の雇用にあたっての問題点として、課税限度額が低いとしている事業所が最も多いという結果が出ており、雇用する側もこの限度額の早期引き上げを望んでいます。そこで、申し上げたいことは、市長会等において、この制度の改革の提言を積極的に行っていただきたいと思いますが、御所見を伺います。

 続いて、退職金の支給に関してであります。前段申しましたように、現代社会におけるパート労働は基幹労働力としてなっております。しかしパートの時間給は最低賃金を少し上回るくらいの低いものであります。これは雇う側から見ると、賃金を上げれば、先ほど申し上げた非課税限度額の100万円の壁にぶつかってしまう。そうなると、同じ労働力を確保するのにより多くのパートを雇うことが必要になり、人を余計に雇えば管理費がかさむのは当然であります。そして、そんなことなら賃金を上げない方がいいということにもなってきます。こんなところにもパート労働の時間給の低い原因があろうかと思います。せめて自らの働く職場に退職金の支給の制度でもあれば、労働意欲も増進し、そのことは雇用の安定を図ることになろうかと思います。

 そうした意味から、私は平成2年9月議会において、市が特定退職金共済団体となり、事業主と共済契約を結び、パートタイマー等従業員に退職金を支給する制度の提案を、摂津市の事例の紹介とあわせて行いました。当局からは、「パート労働者の安定からも、労働力の活用を図る雇用対策面からも、退職金共済制度の運用は必要であると考えており、平成3年4月より中小企業退職金共済法の一部改正がなされ、パート労働者もその対象になり得るので、その加入促進を図る」との答弁でございました。しかし、その後の経緯は、今回私どもの調査の結果を見ても、退職金支給の制度のある事業所は12%と低く、中退金の制度の改正も生かされておりません。御承知のように、本市事業所の特徴はパートタイマー等の労働力を最も必要とする中小零細企業がそのほとんどと言えます。

 そこで、お伺いいたします。パート労働者の福祉の向上のためにも、事業者の雇用の促進の上からも、パート労働者等を対象とした中退金等への加入促進をどのように図られるのかお示しください。

 さて、昨年より施行されましたパート労働法。法の趣旨の浸透度は極めて低い状況と言わざるを得ません。例えば、雇用契約一つを見ても、「賃金、労働時間、その他の労働条件に関する事項を明らかにした文書を交付するように」とありますが、今回の調査で見る限り、書類による契約は47%であります。パート労働者の福祉の増進を目的とした法律、これは庶民生活に大きなかかわりのあるものでありますから、パート労働者本人と事業者の双方に、この法律の趣旨の周知徹底を図ることが必要と考えますが、その対応をお示しください。

 さらに、パート労働法に関する本市の対応をお伺いいたします。本市において、保健業務に携わる嘱託職員並びに社会福祉協議会における非常勤ヘルパーの勤務実態は、短時間労働者と言え、このパート労働法の適用を受けるものと思いますが、現在、有給休暇等は与えられておりません。この法律がさきに述べましたように罰則を伴わないものであればこそ、公的機関においては積極的に遵守することが望まれます。当局の見解をお示しください。

 次に、福祉関係について伺います。

 厚生省は、急激に進行する高齢化社会への対応として、全国3,300の地方自治体に、老人介護の現状を踏まえて策定させた地方老人保健福祉計画は、現行ゴールドプランではその深刻な事態に対応できないことが明らかになったため、新ゴールドプラン、いわゆる高齢者保健福祉推進10カ年戦略として策定を進めているわけですが、その財政措置が極めて不十分なものとして危倶されています。それは平成7年度から11年度までを実施期間とした現行ゴールドプランに対して、国費ペースで1兆7,000億円、年平均3,500億円以上の上積みが必要としていることに対して、政府は今回の税制改革では、地方負担分を含めてわずか1,000億円の上積みしか確保しておらず、現時点においては財源不足が心配をされます。この計画が自治体レベルでの福祉需要に基づいて作成されたものであるだけに、国政における今後の責任ある対応を期待するところでありますが、この老人保健福祉計画の財源構成と今後の対応をお聞かせください。

 さて、本市においては、本年度、貢川福祉センター内への訪問看護センターの設置、来年早々には湯村に在宅介護支援センターの設置等、着々とこの計画の推進が図られていくわけですが、貢川における訪問看護センターの利用度、いわゆる機能効果が非常に低いと伺っております。5月にスタートしたばかりでありますが、利用率の向上策をどのように考えているのか、お聞かせください。

 私は、高齢者に対するケアサービスの対応は、総合相談窓口の整備と体制の確保は欠くことのできないことと考えております。要援護高齢者のニーズの多様化、特殊化が進む中、福祉と保健に関する窓口は多岐にわたっており、サービスの存在や利用方法がわかりにくいため、サービスを必要としていても、実際には利用していないという実情も多くあります。そのため、自分がどんなサービスを受けることができ、また、そのサービス内容を理解できるような体制の整備が大切と考えるわけで、具体的には、1として、総合相談窓口の設置及び複数の相談専門職員の配置、2として、単一組織による相談からサービスまでの一体提供、3として、コーディネート機能の強化、4として、コンピューター導入による情報のネットワーク体制の整備、5として、民間情報を含めた情報の整備、提供。6として、関係機関である保健所、地域団体、医師会等との連帯の促進等が挙げられるわけですが、当局の以上の点に関する所見と対応を伺います。

 次に、ボランティア活動の推進について伺います。

 私は昨年12月議会において、高齢者保健福祉計画の推進には、地域住民の協力、すなわちボランティア活動が大事であり、その拠点の設置を提言をいたしましたところ、当局においては、本年4月、ボランティアセンターの設置を見たところは評価をするところであり、今後の活動を期待しております。

 そこで、お尋ねしたいことは、体制の確立とシステムづくりをどう進めるのか。設立資金、本年度の活動費は福祉基金の運用益で賄われていると聞いておりますが、今後の幅広いボランティア活動に要する財源の確保は、基本的にはどのような考えであるのか、また、研修・助成制度の確立等の考えもあわせてお示しをください。

 次に、独居老人等の高齢者の住宅対策について伺います。

 現代社会における高齢化の進行は、世帯構造の小規模化とあわせ、高齢者の住生活問題を増大させております。本市における高齢者のいる一般世帯について見ても、夫婦のみ世帯や単独世帯が急増し、本年4月では、65歳以上の高齢者3万395人中、前者は6,740人、後者は3,427人であり、両者では3割を超える状況にあります。

 さて、本市には高齢者の住居対策として、多世代同居新築資金融資制度があり、多くの市民に利用され喜ばれておりますが、当然のこととして、さきの独居世帯等においては、この制度は充当されません。今、こうした高齢者の住居問題が社会的問題に傾斜しつつあります。それは民間アパートに高齢者が入居しにくい状況であります。その理由は、病気など緊急時への対処、家賃支払いへの不安、火やガスなどの不始末、あるいはそこで死にはされないかという不安から、アパートの家主は高齢者世帯には住宅を貸したがらないという傾向が生じ、この課題に自治体の対応が問われております。このために各地の自治体においては、民間アパートを活用し、場合によっては、その賃貸借関係に介入するいわゆる住宅あっせん、居室借り上げ、アパート借り上げ等の対策をもって対処を図ったり、さきの家主の不安となる要素を除くため、緊急通報システム、家賃補償制度、損害賠償保険制度の3点をセットとして、家主が安心して高齢者への居室の提供ができるような制度の推進を図る自治体もあり、近年、特にケア付きの高齢者専用住宅の建設が多くの自治体に見られます。

 そこで、お尋ねをいたします。まず、本市における独居世帯等の高齢者の住居に関する困窮度をどう認識し、今後どのような対応を考えているのかお示しください。また、本市老人保健福祉計画の中に高齢者用住宅の計画があるわけですが、この計画の具体的な構想もお示しください。

 次に、教育委員会に伺います。

 最初に、不登校児の対応について伺います。

 1975年ころから登校拒否児童数は急増が見られ、10年で3倍にも達し、1991年には小中学生を合わせて6万7,000人という数字が記録され、少子化傾向による総児童数が減っても、登校拒否児童数は増加をしており、その対策として当初は治療主義、訓練主義がとられました。病院、矯正施設に入所させることが多く、それで元気になった子供もいましたが、多くの人権侵害もあり、ひどい例としては戸塚ヨット、不動塾、風の子学園での事件のように、生命を奪われる子供たちも出ました。そうした経過の中で、病院や施設に送り込んで治そうとする発想自体が問われると同時に、家庭や地域にあっても学校に行けない、行かないでいる子を治療対象、特別な訓練の要る対象と見る見方が問われ、特別視への批判の高まりの中、文部省は1992年3月、学校不適応対策調査研究協力者会議の報告において、「だれにでも起こり得るもの、子供個人の属性に何か問題が見られない子供にも登校拒否が多く見られる」と見解を示しました。このことは、その子の性格や家庭の育て方等特定のものがなるという個人病理的な考え方から、学校、家庭、社会のありようとの関係を生じるという社会病理的なとらえ方をしているものとして、登校拒否児に対する望ましい姿勢とされています。

 さて、あの有名な発明王エジソンや科学者のアインシュタイン、イギリスの首相チャーチル卿も子供のころは不登校児であったと言われています。人間の持つ能力の開花への期待感を深くするわけでありますが、それだけに、人間形成への中途段階での児童期においての不登校という現象への対応を誤ってはならないと思います。かつて登校拒否は思春期症候群と呼ばれ、思春期に特有なものと見なされる傾向のあったものが、現在では上は大学生から下はどんどん低年齢化し、小学1、2年生や幼稚園児にも広がってきており、それは登校拒否は、個人の性格や属性によるというよりも、本人にとっての環境との関係であるから、当然の傾向とも言われています。このことは、登校拒否児が都市部、大規模校に多いという現象を見てもうなずけるわけであります。

 さて、不登校をする児童には、それぞれ要因となるものがあろうかと思います。まず考えられるのはいじめであります。文部省統計では数は減少と出ていても、教師や親に見えない部分でのいじめがあろうことは、テレビ等の報道を通してもうかがわせるところであります。それが登校拒否という結果を生む場合もあるだろうし、先生の指導法が合わないで苦しんでいる子もいるのではないか。それは宿題の量の多さ、班競争、訓練主義の体育等々、教師は自分が正しいと思って熱心にすることが、その熱心さに子供が追い詰められる場合もあろうかと思います。また、本人を取り巻く家庭社会、学校という環境の中で生ずるストレスの積み重ねから、不信感、無力感等の増大による場合もあるだろうと思われます。

 いずれにしても、こうした不登校児への対策は大変難しい課題でありますが、各地の自治体において工夫を凝らした取り組みがなされております。静岡県では、登校拒否児を対象に、2泊3日にわたり、親子で大自然での集団生活の体験をさせ、その指導の結果、参加者の70%が再び学校に通い始めたという報告もされています。また、秋田市教育委員会は、平成6年6月より、不登校及びその傾向を持ち自宅に閉じこもりがちな生徒の家庭に、大学生を話し相手として訪問させるフレッシュフレンド派遣事業を始めました。秋田県では、県教員が県内全域でメンタルフレンド事業として、児童福祉司の助言、相談をもとに大学生が子供とのコミュニケーションを図り、子供の心を開かせようという家庭教育を主眼とした試みの図られる中で、同市内に対象となる家庭が多いことから、市独自の事業として始められました。この事業は、市教育委員会に登録された大学生が、学校から依頼があり、家庭の了解が得られた児童・生徒の担任と連絡をとり合いながら、家庭を訪問し、子供との触れ合いを図り、学習援助を行い、復帰の道を探る学校教育の一環としています。

 そこで、お伺いいたします。前段申し上げました不登校児となる要因とともに、学業不振もその一つとして無視できません。このことのために、一人ひとりの子供への教育的ニーズをどう的確に満たしていくかということは、児童数の減少しつつある今日、大きな課題であると思います。御所見をお伺いいたします。また、不登校児をつくらないための学校現場への指導と対策はどうなされているのか。さらに、本市における義務教育期間中の不登校児の実態と、その受け皿としての対応についてお示しいただき、あわせて今後その対策として具体的なものをお考えであればお聞かせください。また、文部省は民間施設への通所を出席と認めていますが、この施設と教育委員会のかかわり合いもお尋ねいたします。

 最後に、商工業の振興について伺います。

 経済企画庁はこの9月に、事実上の景気回復宣言をしましたが、依然として上昇機運は感ぜられません。このことは今回の不況の要因が土地、株価等の資産価格の大幅な下落、基幹産業である電気、機械、自動車産業の国際競争力に陰りが出てきたときに、急激な円高に見舞われたためと言われています。そして今、最も懸念されることは、円高による産業の空洞化であります。今回の空洞化現象の特徴として、海外産業による国内生産の代替、いわゆるコストの高い日本を逃れて、東南アジア等海外に工場を移転する企業が増加しつつあります。一方、従前、全国のトップクラスを維持してきた県工業製造品出荷額の伸び率は、平成4年には全国最下位に落ちたと言われております。こうした傾向は本市の製造業にも相当の影響があろうと思います。

 そこで、お伺いしたいことは、本市における製造業の平成5年度の事業所数、従業員数、製造出荷額等の数値と、生産性の鈍化に伴う雇用の状況、実質賃金の動向等の実情をお聞かせいただき、このことに対する本市の対策をお示しください。

 以上で私の第一弾の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。

○議長(森沢幸夫君) 市長 山本栄彦君。

                (市長 山本栄彦君 登壇)

○市長(山本栄彦君) 大村議員の御質問にお答えいたします。

 まずはじめに、高速交通時代への対応等についての御質問でございますが、リニア中央エクスプレス、中部横断自動車道等の高速交通機関の整備は、本県の行動圏や経済圏、また通学圏等を拡大するとともに、新しい産業への可能性や、新産業資本の流入、また新たな人口交流など、東京、中京圏、関西圏及び臨海地域と内陸地域の一体化が進み、地域間の交流、連係を深め、地域の活性化を促進することが期待されております。本市といたしましては、こうした情勢を見据えて、広域行政や地方拠点法による甲府圏域基本計画をさらに推進し、甲府盆地一帯の都市機能整備に努めるとともに、域内地場産業の高度化等を図り、全国的視野に立った地域間競争へ参加できる地方経済の確立を図ってまいることが必要であると考えております。

 なお、リニア中央エクスプレス停車駅の設置につきましては、甲府圏域リニア建設促進協議会において、甲府広域行政圏域内に設置するよう、毎年関係機関や国会議員に強力に要請を行っておるところであります。

 次に、総合相談窓口の整備と体制についての御質問でございますが、高齢者に対する保健福祉サービスの対応として、総合相談窓口の整備と体制による効果的なサービス提供の必要性は御指摘のとおりであります。また、高齢者保健福祉計画においても、保健・福祉・医療の連携によるネットワークシステムの確立を位置付けております。今後も市民参加による地域福祉推進組織との連携を図りながら、市民主体の地域福祉の実現に向けて努力をしてまいります。

 次に、ボランティア活動の推進についての御質問でございますが、福祉ニーズの増大と多様化した需要に対応していくためには、公的サービスと地域住民の地域福祉活動への参加、参画は不可欠であります。現在、社会福祉協議会において、福祉ニーズの把握やボランティアの発掘、確保や地域内のボランティア団体との連携を図るため、市内全地区に地域福祉活動推進員制度の創設を検討いたしております。また、ボランティア団体の把握や情報の交換、研修など専門コーディネーターが配置され、今後より一層の充実が図られるものと考えております。財源の確保につきましても、地域福祉基金の活用などより積極的に対処するとともに、行政といたしましても、その支援につきましては、最大限の努力をいたしてまいります。

 次に、独居世帯等の住宅対策についての御質問でございますが、高齢者のみの世帯及び独居高齢者につきましては、在宅生活を支援する体制を整えることが必要であると考えております。そのため、本市公営住宅についても、高齢者及び身体障害者向け居室を整備し、御利用いただいております。御指摘のケア付き高齢者専用住宅につきましては、現在、山梨県で建設をいたしております。本市におきましても、公営住宅の建てかえ、新設の際、甲府圏域内での県との調整を図り、検討してまいりたいと考えております。

 次に、本市工業の振興についての御質問でございますが、本市の製造業は、毎年実施される工業統計調査結果で見ますると、平成5年度の事業所数658事業所、前年比で4.1%増、従業員数1万5,016人で前年比1.8%増、製造品出荷額3,541億1,800万円で前年比マイナス5.1%の状況にあります。実質賃金の動向については、平均賃金で27万8,600円で、前年比2.8%増であり、物価上昇、税、保険料の負担増を考慮すると、可処分所得は平成4年度と同額程度と判断をいたしております。本市の工業振興対策につきましては、平成4年度に改定した工業振興指針を具体化するため、工業振興協議会を設置し、1.円高による産業の空洞化、2.既存企業の集団化と協業化、3.先端技術の集積と地場産業との連携による高度化を柱として、地場産業を中心とした工業基盤の確立と雇用の拡大を図るため、将来に向けた抜本的振興策を協議、検討を行っておるところであり、協議会の提言を待って積極的に対応してまいりたいと考えております。御理解を賜りたいと存じます。

 なお、他の御質問につきましては、関係部長等からお答えいたします。

○総務部長(都● 登君) 外国人の地方参政権についての御質問にお答えいたします。

 現在、法令上、外国人の参政権は認められておりません。しかしながら、国際化の進展の中で、外国人対策といたしましては、本市は平成5年度を外国人対策元年として、外国人市民とともに生きる地域づくりを目指し、さまざまな施策の展開を図っているところでございます。御理解を賜りたいと存じます。

○市民部長(岸本 力君) 窓口サービスセンターにおける税務証明の利用状況と今後の業務拡大についてお答え申し上げます。

 窓口サービスセンターにおける税務関係の証明書発行につきましては、来庁者の駐車場の混雑緩和とその確保、さらには地域に密着した行政サービスを提供するものとして、本年10月から業務を開始したところでございます。10月から始めた税務関係証明の2か月間の発行総数は2,831件、このうち窓口サービスセンターにつきましては402件、約14%、利用者は徐々に増加しつつありますが、今後さらに窓口サービスセンター利用者の増加を図るため、機会あるたびに市民へ利用を呼びかけ、PRに努めております。

 なお、資産税関係証明及び納税関係証明につきましては、課税台帳との照合作業、さらには税の収納に伴う電算処理の関係等から、課税収納業務を行っていない窓口サービスセンターにおいて、これらの証明書を発行することは、正確性の点等から困難であると考えまして、今回の取り扱い業務から除いたところでございます。今後、これらネックになっている点についてさらに検討を重ねまして、証明システムの確立を図る中で対応してまいりたいと考えておりますので、御理解を賜りたいと思います。

 以上です。

○税務部長(中山 進君) 税務部関係2点についてお答えをいたします。

 まず、第1点の税収見込みと税制改正に伴う影響等についての御質問でございますけれども、平成6年度の税収見込みにつきましては、住民税の特別減税が実施されましたため、9月議会におきまして10億9,500万円の減額補正を行ったところでございます。その後、税収確保対策に努力いたしました結果、今12月議会に7億9,600万円の増額補正をお願いをしておりまして、その結果、予算現額は302億1,900万円余となります。今後とも当初予算額を確保すべく一層の努力をしてまいります。また、平成7年度の税収見込みにつきましては、経済企画庁が9月に景気回復宣言をいたしましたけれども、バブル経済の絶頂期のような税収は到底望めません。平成6年度当初予算額の3%程度の収入増を見込んでおるところでございます。

 次に、平成7年度の減税につきましては、恒久減税分といたしまして、税率適用区分の改正、さらに控除額の引き上げによりまして、11億5,000万円、特別減税分といたしまして7億5,000万円の合計約19億の減税が予想をされます。第2点目の固定資産、特に土地の評価替えについてでございますけれども、平成6年度の評価替えは、他の公的評価との均衡を図り、評価の公平、適正化を基本的な方針として実施をされたところでございます。価格の調査基準日は平成4年7月1日でしたが、最近の激しい地価の動きを反映させるため、平成5年1月1日現在で時点修正を行い、価格の算定を行ったところでございます。その結果、評価額は全国的には平均4.3倍の上昇でございまして、本市におきましては、平均4.2倍の上昇でございました。しかし、納税者の税負担につきましては、負担調整等の措置によりまして、おおむね1.05倍程度の上昇にとどまりました。

 固定資産税評価の審査請求につきましては、本市の場合は都市部のような現象は見られませんでしたが、評価の方法を不服といたしました請求が土地1件、家屋1件ありました。審議に入る前の答弁書の段階で十分な説明で納得できたということで、請求が取り下げられ、結果といたしまして、法的には請求がなかったものとなりました。

 次に、平成9年度の評価替えにつきましては、基本方針が11月の14日に自治省から中央固定資産評価審議会に報告をされ、了承をされたところでございますが、その内容の主なものは、土地の評価水準を地価公示価格の7割程度に引き上げた6年度の評価替えの原則を踏襲する一方、地価の変動をより正確に評価額に反映させるため、価格の調査基準日を従来より半年遅らせまして、平成8年1月1日に設定をされたところでございます。いずれにいたしましても、今後の国等の動向及び指針等を的確に把握し、公平、適正な課税を目指し、事務処理を行ってまいります。御理解を賜りたいところです。

 以上でございます。

○福祉部長(●刀 尊君) 福祉関係3点につきましてお答えを申し上げます。

 まず、パートヘルパーの勤務実態についてでございますけど、非常勤ヘルパー等の労働条件につきましては、労災保険や雇用保険への加入、福利厚生面においても、健康診断をはじめ職員研修並びに各種の検査や予防対策には特に重点を置いて対応しております。今後もパートタイム労働法、労働基準法に沿った対応を図ってまいりたいと考えております。

 次に、高齢者保健福祉計画の推進に伴う財政計画についてでございますが、高齢者保健福祉計画の財源といたしましては、国、県の補助制度と本市の負担で推進を図るとともに、年次的な実施計画を作成する中で、民間活力の導入、既存施設の有効利用、ボランティアの参加を得るなど、計画達成に向け努力をしてまいりたいと考えております。

 また、新ゴールドプランにつきましては、サービス提供体制の整備が大幅に拡充することになっておりますが、計画がまだ正式に決定をされていないため、今後は国、県の方向などを見極める中で判断をしてまいりたいと考えております。

 次に、訪問看護ステーションの利用率の向上策についてでございますが、貢川福祉センターに5月12日オープンをいたしました訪問看護ステーションは、現在順調に訪問看護の実績を上げております。実施していく上では、市で行う訪問看護を補完する機能を持たせるため、両者の連携の中で、必要な人に必要なだけ訪問看護が提供でき、さらに保健法等の改正により、老人のみでなく、対象が大幅に拡大されましたので、利用しやすくなっております。今後も医療機関や関係者との連携を密にして、利用率の向上に努めてまいります。御理解を賜りたいと存じます。

 以上です。

○商工労政部長(佐藤 環君) 商工労政部関係2点の御質問にお答えします。

 最初に、パート労働者の雇用管理の改善についてでありますが、平成5年12月に施行されました通称「パートタイム労働法」を受け、本市といいたしましても、中小企業に働くパートタイム労働者を含んだ従業員の補祉の増進に資するため、独自の勤労者共済事業の充実及び退職共済制度を活用しております。退職共済制度の加入の中小企業者に対して、平成5年度の単年度で287事業所、1,932人に対し、254万6,000円を補助したところであります。今後も普及啓発活動に努め、パートタイム労働者の良好な就労形態の確立のため、各事業所に対して定期的な加入促進を図ってまいります。

 なお、パート労働者の非課税限度額の拡大については、御所見の趣旨を踏まえ、全国市長会等を通じ、その実現に向けて努力してまいります。

 次に、パートタイム労働法に関する本市の対応についてでありますが、法の施行に伴う事業主が講ずべき指針が示されております労働条件に関する文書の交付、就労規則の作成、短時問雇用管理者の選任等、これら主要な雇用管理について、事業主、組織労働者、未組織労働者に啓発用冊子、パンフレット等を作成、配布する一方、商工会議所、労働団体等に対し、関係機関との連携を持ちながら、パートタイム労働者の雇用管理の改善のための措置を講ぜられるよう働きかけてまいりますので、御理解を賜りたいと思います。

 以上であります。

○教育長(金丸 晃君) 不登校児の対応についてお答えをいたします。

 児童・生徒が学校の主人公として生き生きと学ぶためには、一人ひとりの子供が真に大切にされ、各人の個性に応じた教育がなされなければならないと考えております。このために、学校現場におきましては、児童・生徒の興味、関心に応じた学習課題を設定したり、教師のティームティーチングによる指導方法等の改善を図るなどして、個に応じた指導に努めております。

 次に、不登校児童・生徒の状況につきましては、甲府市の場合、小学校ではここ2年多少増加の傾向にあり、中学校では減少の傾向にあります。現在、本市におきましては、各校に不登校児対策委員会を設置をいたしまして、児童・生徒が無届けで休んだ場合などには、学級担任や学年カウンセラーが家庭訪問をして、実態の把握と指導にあたるなどの日常的な対策を進めております。また、顧問カウンセラーによる学校や家庭への訪問指導、それから、不登校児童・生徒適応教室である市独特のあすなろ学級において、相談活動や個別指導を継続しております。学校への復帰や高等学校等への進学など、一定の成果を上げているところでございます。今後、さらに児童・生徒の実態を把握する中で、効果的な対応に努めてまいりたいと考えております。

 次に、不登校児童・生徒の民間施設への通学、通所についての、出席扱いにするかどうかということでございますけれども、御案内のように、文部省では、平成4年度から、学校外施設で相談、指導を受ける場合、不登校児童・生徒の自立に有効かつ適切であり、学校への復帰を前提とするなどの一定の要件が満たされた場合、校長と教育委員会との協議、判断により、出席扱いにすることを認めることにいたしました。本市といたしましても、この趣旨に沿ってまいる所存でございます。御理解を賜りたいと思います。

○議長(森沢幸夫君) 大村幾久夫君。

○大村幾久夫君 一定の答弁をいただいたわけですけども、ちょっと要望と、また質問を若干させていただきます。

 最初に、リニアに対応する件でございますが、当然、リニア開通に伴っての甲府市へのメリットということを考えますと、基盤整備、ましてリニア駅と甲府中心部との交通アクセス、こういったことを考えただけでも相当のお金がかかるんじゃないか、こういう思いがするわけです。こうした財政が厳しい状況下でありますけども、それだけに今のうちからこの財源対応をどうするかということを考えておく必要があるではないか。このことを申し上げておきます。これは別に意見として言っておくわけで、答弁は要りません。

 次に、老人保健福祉計画の件に関して伺いますが、この計画がスムーズに進行していく、このために欠かすことのできないのが総合保健センターの存在だと思っております。現在、暫定なものとして、遊亀会館の中でこの総合保健センターという形でなされていますけども、この総合保健センターというもの自体は、たしか第二次総合計画の中の積み残しの事業で来ていて、そしてまた、この三次総合計画の中では、中期計画で、要は平成8年までになされている中期計画で取り組むということになってきているわけですが、現在そういったことに関して、全くどういう状況でいくのかということが不明確でございます。この市長の言っている保健・福祉・医療のネットワークづくり、こういうことにも当然総合保健センターが要となるわけですから、この総合保健センターの建設に関する考え方を当局は今どのように思っているのか。この辺をお答えをいただきたいと思います。

 それから、教育委員会でございますが、昨日も早川議員さんから、愛知県でのいじめでの自殺の件がございました。今日の午前中のテレビでお母さんが言っていましたけれども、学校がわかってくれないんだから、不登校にしちゃえばいいんだと、子供がね。自分の子供さんを亡くされた親としては、そういう気持ちにもなるかもしれない。だけども、この不登校の子供には、自分がこうだ、だから学校へ行かたいんだということが、親にも言えない場合もあるだろうし、担任にも言えない。こういう子供が学校へ行くことに、いろんな事情があるわけですけれども、いじめということを考えてみても、その辺から不登校になってしまう。こういうケースもあろうと思いますね。

 先ほどの教育長のお話では、それなりにいろいろ対策を講じているということでございますけれども、実態としては細かい、また様子はそれほど言いたくないというふうに私は受けとめました。そこで、それはいいとしても、ともかくその子供がどういう状況にあるのか、このことを学校でもよく把握をする必要もあるだろうし、また、そのために教育委員会としても対応を図らなければいけない。一人ひとり子供によっては、その事情が、要因となるものが違うわけですから、これは、簡単に言えば、ケースワーカー的な人的配置という部分がなされていて、親や担任の教師にも言えないようなことでも相談できる中で、そういったことの解決を図っていく。こういうことは大事なことじゃないかなというふうに考えるわけです。これは大変に、不登校児に対する対応というのは大変に難しい問題だと私も思いますけれども、どこかでそのことに対して積極的に、前向きに取り組まないと、子供自身だって、不登校でいて、将来に対しては大変な不安を持っているんじゃないか。こういうことを考えますと、そうした面での、先ほど言ったようなケースワーカー的な存在の人的配置ということなんかが、私が思うには一番いいんじゃないか、こんなふうな思いもいたします。これも今後教育委員会の中で検討していただければ結構です。御答弁は要りません。

 そんなふうな考えを持っておりますけども、先ほどの申しました総合保健センターの建設に関する考えは、お聞かせをいただきたい。このように思います。

○福祉部長(●刀 尊君) 市民総合保健センターの建設計画についてのお尋ねにお答えをいたします。

 御指摘のとおり、総合計画の中期の中に位置付けられておりましたが、今日まで財政事情等によりまして先送りをしなければならないような状況にあります。したがいまして、来年度、予定をいたしております総合計画の見直しの中で、これからの見通しを明らかにしてまいりたいと考えておりますので、御理解を賜りたいと思います。

 以上です。

                (大村幾久夫君「了解」と呼ぶ)

○議長(森沢幸夫君) 暫時休憩いたします。

                午後2時02分 休憩

                午後2時37分 再開議

○副議長(石原貞夫君) 休憩前に引き続き会議を開きます。

 上程議案全部に対する質疑及び市政一般質問を続行いたします。

 市政クラブの代表質問を行います。金丸三郎君。

 金丸三郎君。

                (金丸三郎君 登壇)

○金丸三郎君 12月定例議会にあたりまして、市政クラブを代表して質問をさせていただきます。

 質問も会派の順番があり、今回は最終日の最後の質問でございます。先輩議員の皆様が当局にお尋ねになったことと重複する点が多々あるかもしれません。そこで、重複を避け、省くものは省いて質問をさせていただきます。当局におかれましては、よろしくお願いいたします。

 本12月議会は、来年度、すなわち平成7年度の予算編成作業に向けての論議の場であると同時に、山本市長が再選立候補の決意を表明された意義ある議会でもあります。我が会派も総意をもって山本市長の再選を支持いたします。

 そこで、まず最初に再選に向けての市長の基本姿勢についてお伺いをさせていただきます。

 1点目として、引き続き一党一派に偏しない公平、公正な市政運営に努めていただきたいということであります。我が市政クラブは、地方議会は当局に対し、常に是々非々であるべきだという中西会長の指導のもと、今日まで議会活動をしてまいりました。私個人も地方議会議員の使命は、地域住民の負託を受けた代弁者として、行政のチェック機能を果たすことであると強く認識を持っております。地方議会は憲法第93条に定められた議決機関であり、行政当局を監視し抑制する立場にあります。前回の市長選挙の結果を尊重し、市民の声を大切にした公平、公正な開かれた市政執行を引き続き願うものであります。

 2点目として、山本市長にさらに強力なリーダーシップを発揮していただきたいということであります。具体的に要望させていくならば、市政の最重要課題についての方針決定は、直接この議場において、議会並びに議員に、あるいはマスコミを通じての市民に、市長自ら語っていただきたいということであります。例えを申すならば、新病院建設問題についてであります。新病院の建設場所は、平成4年9月議会の閉会後間もない9月25日に、新図書館建設用地とともに、議場ではなく発表されました。工期予定も平成8年度開院から平成8年度完成へとトーンダウンし、本年の9月議会にまで、多くの議員が議会で当局の見解を尋ねても変更することなく、11月15日の特別委員会での助役よりの先送り表明となったわけであります。ちょうど1年前、昨年12月議会におきまして、市長と私の討論を覚えていただいておるでしょうか。私自身、新病院建設そのものに賛成する議員の一人として、あの時点で市長が建設時期の変更に英断を下してくださっていたならば、と悔やまれます。例えが長くなりましたが、市長におかれましては、ぜひ強力なリーダーシップと決断力を期待するものであります。

 以上、基本姿勢に関する2点の要望について、山本市長の御所見をお願いいたします。

 さて、次に、甲府市活性化対策についての質問をさせていただくわけですが、冒頭申しましたように、既に今議会で、人口問題、地方分権を前提とした広域行政問題については、議論がなされてあります。当局の方針もおおよそ理解いたしました。そこで、発言通告書に従って質問をさせていただきますが、それぞれ最初に簡明にお尋ねをいたしますので、当局におかれましては、明確な御答弁をお願いいたします。

 甲府市活性化対策、いろんなことがございます。そうした中で、活性化にとって一番必要なのは、人口ではないかと私は思います。そこで、お尋ねいたしますが、甲府市の方向として、定住人口をふやすことを目指すものでしょうか。それとも、交流人口、あるいは滞留人口と言われるものを目指すのでしょうか。御所見をお伺いいたします。また、これら定住人口増、あるいは交流人口増を求めるならば、それぞれに対して具体的な施策はどのように考えているのか、お聞かせを願いたいと思います。地方拠点都市地域基本計画における本市の重要事業の概要をもお示しいただきたいと思います。これら事業推進の成果が広域行政の推進となって、近い将来、甲府市を含む近隣町村との合併問題が生じるのでしょうか。青年会議所等では、合併を推進するとしておりますが、山本市長の改めてお考えをお聞かせいただきたいと思います。

 これら答弁をお伺いしてから、私は私見を交えて再質問をさせていただくつもりでおります。

 次に、中央商業地活性化のための施策をお尋ねいたします。

 先日、我が会派は、会派の視察として石川県の小松市に行ってまいりました。何ゆえ小松市を選んだかと申しますと、小松市では、中央商店街の活性化策を市当局が率先して行っているからであります。小松市で勉強させていただいたことは、中央商店街にあるいわゆるシャッターの閉まった空いている店舗等を市当局が借り上げ、そこに市の幾つかの窓口を開設し、それによって人を集め、まちの活性化対策としておりました。例えば、各種相談窓口、あるいはギャラリーというふうなものもございました。

 そこで、甲府市としても、現在、市議会事務局の隣にあります各種相談窓口等を移転せよということが先日代表者会議で話し合われたと聞いておりますけれども、そういったことも含め、お考えになってみたらいかがでしょうか。これにつきましては答弁は要りませんが、現在甲府市が考えている甲府市の中心街活性化対策について、具体的にお示しをいただきたいと思います。また、活性化対策等を広報誌等を利用し、政策論争を市民に展開する方法はいかがでしょうか。これについても所見をお尋ねいたします。

 次に、庁内活性化対策についてであります。

 私は今日ここに2冊の本をお持ちいたしました。この本は1冊は「番台日誌」と言い、元市長であられました鷹野啓次郎さんの遺稿集であります。もう1冊は、「男ありき」という本でございまして、これは元市の職員であられた奈良正彰さんという方があらわした本だそうであります。実はこの2冊には、それぞれの立場で甲府市の将来への活性化、いわゆる当時ですけど、もう一つ、職員研修のあり方等が書かれております。私は市議会議員に当選して間もなく、市民の方それぞれ別の方からこれを託されました。そして、ここに書いてあることをよく読み、そして、市議会活動に生かすというつもりで今日までやってまいりました。これらの中に書かれていることは、既に十数年前あるいは二十数年前のことかもしれません。しかし、財政状況でありますとか、あるいは庁内の活性化対策でありますとか、そういうことを考えたときに、決して古くさい書物ではございません。ぜひ当局の皆さんにおかれましても、元市長さん、あるいは元市の職員であった方が、これらを通じて当時実践なさったことを再度思い起こしていただいて、これからの市政運営にあたられることを、大変生意気ではございますが、申し述べさせていただきます。

 そこで、職員意識の向上対策についてお伺いをいたします。現在までの職員研修は、いわゆる知識修得型の職員研修が多かったのではないでしょうか。私は、今必要なのは知識修得型職員研修ではなく、意識改革をする、言うなれば、人間改造をしていくような研修が求められていると思っております。上からの指示を待つだけでなく、自ら考え、自ら方針を立てる新しい公務員像が求められるのではないのでしょうか。管理職の皆さんは、それぞれ豊富な経験と実績を持っておられると信じております。また、中間管理職の皆さんは、それに準ずる経験があるわけであります。そしてまた、若い職員の皆さんは、入庁時の希望を胸に持った、その気持ちを忘れずに仕事をしてくだされば、私はすばらしい職員意識のもとで仕事ができるというふうに信じております。どうかそういった職員意識をお持ちになって、この甲府市の行政にあたられることを強く願うものであります。そこで、現在の職員意識の向上対策等をお示しください。

 もう一点、職員研修についての提言でございますが、私が思うのに、今までの職員研修というのは、あくまでも机上の上での研修が多かったように思われます。そこで、職員の皆さんをいわゆる民間の企業等に派遣する、あるいは直接住民の人と接するセクションにおいて研修をしていただく、そういうふうなことをお考えになってもよろしいのではないかというふうに考えております。一例でございますが、山梨県は過去、中央の大手広告代裡店に職員を派遣したことがございます。そしてまた、流通産業に職員を派遣しておる地方自治体もございます。あるいは中央官庁と職員交流をしている地方自治体もございます。確かに財政的な問題が難しいとは思いますけれども、ぜひそういったことをお考えになってみたらいかがでしょうか。これについても、できましたらお答えをいただきたいというふうに思います。

 続きまして、福祉の問題についてであります。

 本年3月末、厚生省の高齢社会福祉ビジョン懇話会から、「21世紀福祉ビジョン―少子・高齢社会に向けて」と題する報告書が厚生大臣あてに提出されました。さらに8月22日、その報告書に基づき、厚生省が少子化対策、共働き世帯の支援策として、総合計画エンゼルプランを発表したことは既に御案内のとおりだと思います。私も早速この両プランを取り寄せ、勉強させていただきました。この報告書は、高齢者対策であるゴールドプランの見直しを含め、西暦2025年までの社会保障制度の枠組みを示したものであります。私も子育て世代の一人として、また、いわゆる核家族、共働き世帯を営む者の一人として、身につまされる思いと、この計画への期待感で大変参考になりました。今回は限られた時間でありますし、高齢者福祉問題は既に今議会で先輩議員が取り上げておりますので、子育て支援のための総合計画、すなわちこのエンゼルプランについてのみ、私見を交えながら、甲府市におけるこのプラン導入への対応をお尋ねいたします。

 エンゼルプランの基本理念は、子育ても健全な次世代形成に向けた社会的投資と位置付け、家庭だけでなく、国と地方、企業や地域組織が協力して支援すべきものであると指摘し、その上で、就労と育児の両立が可能な社会システムの整備、子育てに伴う不安や教育費の負担感などに配慮した支援策を進めようとしております。具体策は、厚生省のほか文部省、労働省、建設省等の関係各省がまとめた施策が盛り込んであり、保育対策では、より利用しやすい保育所を目指し、市町村が入所を決定する現行の措置制度を見直して、保育所と親が直接入所の契約を結べる制度導入の道を開いております。また、児童対策では小学校低学年生を対象にした放課後児童クラブの普及などを打ち出しております。このほか、働きながら子育てができる雇用環境整備、教育費の経済負担の軽減対策の具体的施策が盛り込まれております。

 私事で大変恐縮でございますが、ひとりっ子の我が家では、私と妻の二人で子育てをしてまいったつもりですが、妻から言わせれば、「長男が生まれてこの方、パパは何も手伝ってくれなかった」といつも非難されております。男女平等の時代、あるいは近年の雇用均等法などといった、相変らず現実は、育児は女性がするものという古い観念から私自身も抜け出せません。

 その反省を込めて、以前、魅力ある子育てシステムを実現できる環境を、私なりに四つほど考えたことがございます。1つは、母親の子育て拘束時間を減少することができる環境をつくること。2つ目は、母親の就業が安心と自由な気分でできる環境をつくること。3つ目は、子供は地域の宝であるという意識の、ともに周りが育むいわゆる「共育」の場がある環境であること。そして4つ目は、自発性、集団規律性等、集団生活の訓練ができる環境であることの4つであります。まさに今回のエンゼルプランが実施されれば、私の理想に一歩近づくのではないかと思っております。

 これらエンゼルプランの中で一番注目を浴びているのが長時間延長保育の問題でございます。働く女性の増加とともに、保育園の時間延長を望む声が高まっております。全国に約2万2,600ヵ所ある保育園のうち、昨年度は午後7時までの延長が約1,300ヵ所あったのに対し、政府予算が盛り込んである200ヵ所分の午後10時までの長時間の延長保育所は、全国29ヵ所だけだったそうであります。現在、甲府市においても、長時間の延長保育をしてくださるところは1ヵ所しかないと聞いております。厚生省の見解は、長時間保育は、予算をつけても実施主体の自治体がなかなか手を挙げないという見解を持っているようですが、私は、今考えられているエンゼルプランを積極的に甲府市は取り入れ、そして、甲府市の中で働く女性、核家族の世帯、そういった方たちの役に立つ行政を進めることが、市長のよくおっしゃる「行政は最大のサービス産業だ」というところにもつながるというふうに思っております。当局の長時間保育等に関するエンゼルプランの対応策をお聞かせいただきたいと思います。

 次に、公立普通校に入学を希望する心身に障害のある児童・生徒の受け入れについて質問をいたします。

 この件については、3年前の平成3年12月議会におきまして、当時の教育委員会の見解をお聞かせいただいておりますが、その後の甲府市における対応はどのようになっているのでしょうか。あれから3年、山梨県には障害者幸住条例が制定され、国連では統合教育が原則と決められるまで、時代は世界的に障害者を隔離するのではなく、ともに生きる方向へ動いております。いわゆるノーマライゼーションであります。国内における教育分野、すなわち学校現場の受け入れ態勢も、まだまだ地域差はありますが、障害を持つ児童・生徒が普通学校へ通うことのできる環境整備は次第に進められております。

 県内においても、先日、「教育におけるノーマライゼーションの展望」と題した討論集会が開催され、「行政は普通学校で学びたいという障害者が入学できるよう積極的に努力すべきだ」との意見が出されたと聞いております。また、10月28日には、石和町で障害児の高校入進学を実現する会の発会式が開会され、地元の公立小中学校で学んだ障害を持つ生徒の父親はこう語っております。「何よりも子供同士を交流させたかった。クラスメートに温かく迎えられ、普通学級に行って本当によかった」と。教育におけるノーマライゼーションを考えるとき、私自身、障害を持つ児童・生徒をすべて希望のまま普通学校に受け入れようとすることについては、無理があることを十分承知しております。しかし、全く門を閉ざすのではなく、できる範囲のことから改善していくべきだと考えております。幼いときから、障害のある者もない者もともに学び、障害を越え、そしてともに育む、そしてともに生きていく。まさに真の共生を求めることによって、大人になったとき、本当に人にやさしい社会の一員になれるのではないのでしょうか。甲府市の教育委員会においても、生涯学習の分野で「ふれあい回り舞台」の開催をするなど、障害者の文化活動のバックアップを始めたと聞いております。また、市立小学校での交流教育の実践も始まっていることに深く敬意を表します。ぜひ当局のその後の経過と所見をお示しください。

 次に、本市の図書館行政について質問をさせていただきます。

 私は議員就任以来今日まで、議会で発言の場を得るたびに、毎回必ず公平、公正な市政運営への要望と、本市の図書館行政にかかわる諸問題、この2点について質問並びに提言をしてまいりました。来年4月、その1期目の任期を終えるにあたり、今任期最後の質問でございますので、同じ質問を繰り返して大変恐縮ですが、本市の図書館行政についての見解をお尋ねいたします。

 私が何ゆえ毎回毎回図書館行政について触れていたかと申しますと、いわゆるまちづくりにとって最も基本的なことの一つは、そのまちの文化を大切にすることであるとの強い思いがあるからであります。言うまでもなく、行政はまちづくりであり、そして、まちづくりは人づくりであります。言いかえれば、人づくりなくしてまちづくりはなく、また、まちづくりなくして人づくりはできない。まちづくりも人づくりも、歴史の積み重ねであるそのまちの文化に支えられ、育まれて可能になります。新しい文化の創造は、そのまちのまちづくり、人づくりの結果によって形成されていきます。その広い意味での文化の中心が行政機構の中ではそのまちの図書館であり、学校においては学校図書館であるとの考えからであります。

 図らずも市議会議員に立候補し、そのときの私の公約は、「山の都甲府をもっとよいまちに」でありました。もっとよいまちにするためには、そのまちの文化の宝庫とも言うべき、そのまちにある図書館を充実させることが肝要であると確信しているからであります。全国約3万2,000の地方自治体のうち、歴史と文化のあるまちには必ず文庫から発展した図書館があり、新しい文化創造を志向する自治体は、競って図書館を設置しております。県内の例を申すまでもありません。全国各地の図書館を歩いてみました経験から、規模の大小の比較ではなく、また、設置年数の長さででもなく、もちろんその所在地の行政体の大きさにも関係なく、各地の図書館は同じレベルで比較することができます。その総合的内容の充実度によって、そのまちの姿が見えてくるのです。そこにある点字や資料、目録、それらからその地域でどのようなまちづくりが行われ、どんな人が育まれたまちかということがわかるのであります。だからこそ、まちづくり、人づくりにとって、図書館の充実は必要なのであります。

 学校図書館においては、さらに大切な目的があります。次代を担う人づくりの場であるからであります。学校図書館は、子供の知的活動を増推し、人間形成や情操を養うということで、大変重要な役目を負っています。読書は子供の心の成長にとって必要不可欠なものであります。人間にとって、ものを考えたり表現したりする基礎となる言葉は、本を読むことによって獲得していきます。専任の司書がその職能を発揮し、読書環境を整えておいてこそ学校図書館はその目的を達成することができるのではないでしょうか。

 残念なことに、近年、大人ばかりでなく子供の本離れが深刻な問題となっております。全国学校図書館協議会などの調査によって、1ヵ月に1冊も本を読まない小学生が11.7%、中学生では何と45.8%いるという恐るべき結果が発表されました。1月に一人当たりの平均読書数は小学校4年生で男子7.5冊、女子10.6冊だそうであります。学年を追うごとに減り、中学校3年生になると、何と男子が1.4冊、1月にです。女子でも2.1冊という少なさであるそうです。社会環境の変化と言ってしまえばそれまでてすが、まさに危機的な状況であることがこの数字は物語っています。

 文部省も、小学校で92年、中学校で93年度から実施されている新学習指導要領の中で、学校図書館を利用した読書教育の充実を求めています。さらにそのために実施する施策として、昨年度より5カ年計画で、公立小学校図書館の蔵書数を現在の約1.5倍にふやすことを実行し始めました。自治省の協力も得て、5年間で総額500億円の地方交付税を交付する財源措置も行われております。この交付金はすべての公立小学校に今までの図書購入費に上乗せされ、本だけでなく、雑誌、テープ、CDなどの図書館資料を購入してよいことになっているそうであります。さらに、本年の9月29日、文部省は全国の学校図書館に対し、現在発行されている検定済み教科書をすべて最低1冊ずつ置くように要請したとも聞いております。

 新学習指導要領は、読書によって自己教育力、判断力、創造力をつけ、新しい学力観を目標にしており、それを育てる場として学校図書館を位置付けております。このように今の義務教育の中でも学校図書館の果たす役割は大変大きくなってきたわけであります。近い将来は、司書教諭及び図書館事務職員の配置も当然のことになります。私の問い合わせに答えて、文部省の初等中等教育局では、その図書館事務職員のあり方についての研究も省内で進めており、当面は各県教育委員会に司書教諭の発令を促しているとの回答をくださっております。

 さて、前置きが大変長くなってしまいましたが、以上述べてきましたように、地方公共団体における図書館行政は大きな転換期を迎えており、新たな状況にどう取り組むべきかが問われております。幸いなことに、我が甲府市では、待望の新市立図書館の建設が始まり、平成8年秋の開館が待ち焦がれるところであります。恐らく図書館建設懇話会や、甲府市の新しい図書館を考える会の皆さんをはじめとする多くの市民の皆さんの提言、要望が生かされた誇れる新図書館であろうと、関心を持ち続けた議員の一人として強く期待をしております。また、学校図書館事務職員等の問題も、財政逼迫の中、年次的な改善が行われていることに敬意を表します。しかし、県内他市町村の半数以上で公費負担による配置が実施されている現実から目をそむけることはできません。この問題について、当局の努力を強く要望し、以下2点についての所見をお伺いいたします。

 1点目は、文部省の5カ年計画に本市はどう対応しているのかをお示しください。もう1点は新図書館開館に向けて、蔵書及び資料の購入予定、司書の養成を含む職員体制、ネットワークへの対応・開館時の特徴付け等、準備状況を詳しくお示しください。

 最後に、通告書にはございませんが、1点、我が市政クラブの総意として質問をさせていただきます。

 昨日も新政クラブの早川会長、また、今日も公明の大村議員から質問がありました愛知県におけるいじめの問題でございます。私個人の考えでは、あれはもういじめではなく、立派な犯罪だというふうに私は思います。そうした犯罪行為をこれ以上続けるほど愚かなことは人間にとってないはずであります。亡くなった生徒には大変辛い思いであったと、言葉に出すだけで涙が出てくるような心境になります。もう二度とこういうことが起こらないようにという観点から、2点質問をいたします。

 1点目は、総理大臣が文部大臣に指示を与え、文部大臣はその通達を恐らく県教育委員会を通じて市教育委員会にも送ってくると思います。それに対する市当局の見解を、今の時点での見解で構いませんので、お示しください。もう1点、甲府市においてこのようなことがあっては決してならないと信じておりますが、過去、甲府市において、こういう問題に対して実態調査等を行ったことがあれば、それもお知らせください。

 以上2点をもちまして、私の質問の第一弾を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○副議長(石原貞夫君) 市長 山本栄彦君。

                (市長 山本栄彦君 登壇)

○市長(山本栄彦君) 金丸議員の御質問にお答えいたします。

 まずはじめに、政治姿勢についての御質問でございますが、私は市長就任以来、「一党一派に偏することなく、市民党的立場を堅持し、公平で公正な市政」を運営することを基本姿勢として、「市民による市民のための開かれた市政」実現のため努力してきたところであります。今後におきましても、この基本姿勢を堅持し、市政運営に全精力を傾注してまいる覚悟でありますので、議員各位をはじめ市民の皆様の一層の御理解と御協力をお願い申し上げます。

 また、市長としてのリーダーシップにつきましては、現下の困難な時代にあってこそ、私に与えられた責務の重大さを肝に銘じ、市民福祉の向上のため、すべての市民とスクラムを組み、その先頭に立って市政運営にあたる決意であります。

 市政の重要課題につきましても、公的な場をはじめあらゆる機会をとらえ、議員各位や市民の皆様の御理解を賜るよう努力してまいる所存であります。

 なお、政策論の市民への周知についての御質問でありますが、まさに市民の皆様には、行政の将来、また施策推進の状況及び結果等をお知りいただき、市政推進への参画をはじめ行政運営への御協力を賜ることが重要であります。今後、さらに行政の現状、将来等につきまして、極力広報誌等を活用し、市民に周知してまいります。

 また、重要施策についての議会対応の問題で御指摘がありましたが、私は今日まで常に議会に御相談を申し上げてきたところであり、新病院についても、また図書館についても、場所、建設はもとより、用地取得の状況、建設日程等についても、それらの進行状況に応じながら、議会、常任委員会、特別委員会に御報告申し上げ、御理解をいただいてきたところであります。

 次に、人口対策の考え方についての御質問でございますが、人口対策は都市形成に大変重要な課題であります。本市といたしましては、レインボープランにおいて、人口定住化及び就労人口対策などを推進した都市形成を図ってきたところでありますが、最近、国の国土審議会調査部会においても、我が国は有史以来初めての人口減少、高齢化の時代が到来し、成熟社会を迎え、全国の大半の市町村では人口減少に直面することを示唆しております。こうした中、本市といたしましては、広域的行政の促進を踏まえながら、観光施策の充実、中央商店街の活性化、工業団地の拡大、集団化による就労対策、快適な生活環境づくりでの市営住宅建設、良好な住環境の創出事業等を、総合計画の見直しに置いて位置付け、定住人口都市と滞在型都市形成を併用した広域圏内の中核都市としての都市づくりに努めてまいる考えであります。

 次に、広域行政と合併問題についての御質問でございますが、生活圏、経済圏を同じくする甲府圏域地方拠点都市地域の基本計画に基づき、関係市町村の機能分担により、広域的な一体整備を効率的に推進することは、市町村の行財政運営並びに住民にとってメリットのあることと考えられます。広域行政が即合併に結びつくとは言えませんが、地方行政でのスケールメリットがあることは事実であり、国民や経済界からの行政改革の高まりや、地方分権の受け皿として望まれる自治能力の向上や、行財政基盤の確立の面からも、広域圏に合わせた行政区域の見直し機運は将来高まるものと考えております。

 次に、中心商業地活性化の施策についての御質問でございますが、甲府市の商業環境は、中心部、郊外、ロードサイドの三極構造が進み、中心部は次第に陰りを増しております。こうした中で、昭和58年に策定した甲府市小売商業振興指針を平成4年見直しを行い、この具体的施策形成のため、平成5年に甲府市商業活性化協議会を設置したところであります。現在、21世紀を展望するまちづくりの視点から、指針見直しの柱であります、1.駐車場の整備、2.中央4E地区等の新しい商業核を構成する再開発事業の推進、3.文化的施設整備と各種イベントの創造等について、作業部会のワーキンググループで調査検討が進められております。今後はワーキンググループの素案をもとに、平成7年9月までには具体的提言を取りまとめ、総合計画の後期計画に反映し、商業の振興を図ってまいりたいと考えております。御理解を賜りたいと存じます。

 なお、他の御質問につきましては、関係部長等からお答えいたします。

○企画推進部長(丸山正之君) 地方拠点都市地域基本計画の本市における重点事業の概要について御説明申し上げます。

 甲府市を中心都市とする関係21市町村が、21世紀の地域づくりに向けて、甲府圏域地方拠点都市地域基本計画の策定をいたしまして、本年3月、知事より承認をいただいたところであります。本市は中心都市として、山梨県及び地域開発への牽引力を果たす役割を担っております。また、本市は本地域だけでなく、県都の表玄関にふさわしい市街地再生を推進する立場から、次のような事業を重点事業として位置付けております。

 まず、1つには、甲府情報コア整備地区として(仮称)アーバンスタディセンターの推進を図ること、2つ目には、情報通信ネットワークの構築により、地域全体の利用に供する新図書館の建設、3つ目は、生活に密着した環境情報の発信機能などを備えたリサイクルプラザの建設、4つ目は、医学の進歩に対応した新病院の建設事業と市民総合保健センターめ建設促進、5つ目は、良好な市街地を構成する土地区画整理事業などであります。今後は関係市町村との機能分担のもと、快適で質の高い生活環境の形成を図るとともに、地域の豊かな特性を生かす中で、美しく夢のある広域交流の場を創造するため、基本計画に位置付けられたこれらの事業を着実に推進してまいりたいというふうに考えております。

 以上です。

○総務部長(都●登君) 職員の意識活性化策についての御質問にお答えいたします。

 高齢化、国際化の進展、市民の価値観の多様化に伴う行政ニーズの質的変化等、社会環境の変化に対応していくためには、職員の意識改革を図り、組織の活性化を進めていくことが大変重要であると認識しております。このため、適材適所の職員配置、能力主義的な人事管理に積極的に取り組んでいるところであります。

 以上でございます。

○職員研修所長(小池富士雄君) 職員研修についての御質問にお答えいたします。

 本市の職員研修におきましては、多様なニーズや新たな行政課題に対して、的確な対応ができる法律的知識や事務処理能力の養成に加え、豊かな感性のもとに先見性、創造性を持った職員づくりを目指しているところでございます。御理解をいただきたいと思います。

○福祉部長(●刀 尊君) エンゼルプランの対応についての御質問にお答えをいたします。

 国において、子育て支援に向けての総合的な計画でありますエンゼルプランの素案が示されております。この計画は、子育てを社会全体で支援し、子育てのしやすい環境をつくることを目的とし、特に保育施策として、延長保育、乳児保育等特別保育の充実を基本としております。

 本市におきましては、既に特別保育事業も実施をしており、今後は基準の緩和等により、さらに多くの保育園で特別保育事業の実施が予定をされております。また、エンゼルプランにつきましては、今後、国の動向等を見守る中で適切な対応を図ってまいりたいと考えておりますので、御理解を賜りたいと存じます。

 以上です。

○商工労政部長(佐藤 環君) 商業活性化のための提言についてのお尋ねにお答えします。

 協議会へ11月、ワーキンググループが今までの論議を集約した商業活性化のための方策素案を提示したその主な内容は、最優先事項として、駐車場の整備、改善、伝統品のよさの発揮できる人的資源と支援及びファッション性豊かな専門家による老舗、専門店の魅力づくり、ジュエリー通り、地場産業街あるいは協同店舗化及び中心部を一つの大型店と見立てる店舗集積による商店街のまちづくり、駅前商店街と中央商店街との回遊性づくりによるくびれ対策が提示され、今後、その素案の具体的な方向を示す提言に向けて、再度検討を行っているところでありますので、御理解を賜りたいと思います。

 以上であります。

○教育長(金丸 晃君) 教育委員会にかかわる御質問数点についてお答えを申し上げます。

 まずはじめに、心身障害児教育への取り組みについてでございますけれども、心身に障害がある児童・生徒に対する教育の重要性は、御指摘のとおりでございます。心身障害児に対しては、その障害の状況に応じて、特別な配慮のもとに適切な教育を行う必要があります。本市におきましても、一人ひとりの実態に応じた適切な指導や配慮のもとに、子供たちの学習活動が得られるよう、甲府市心身障害児適正就学指導委員会、甲府市心身障害児教育研究会等を通して、その対応に努めておるところでございます。特に心身障害児に対する正しい理解と認識を深めるためには、健常児と障害児との相互の交流活動の場が大切でありますので、文部省の心身障害児理解教育推進校の指定を積極的に受けまして、交流教育に努力をしているところでございます。今後さらにこうした児童・生徒を取り巻く教育環境づくりのための課題研究や、あるいはまた実践活動の展開に意を注いでまいる所存でございますので、御理解を賜りたいと存じます。

 次に、いじめに関係した通達への御質問でございますけれども、まだ文部省の方からは通達は届いておりません。県の方へも届いておりません。新聞等によりますと、村山総理への質問は一昨日、それから、総理から文部大臣への指示が昨日ですので、その後ということになるわけでございますけれども、報道等によりますと、国の方でもこの問題を深刻、重大に受けとめまして、御案内のように、有識者による協力者会議を近々のうちに持つと、9日に持つというような報道がされておりますので、その後こちらの方へ届くのではなかろうかと思います。昨日の早川議員さんの質問にお答えしましたように、甲府市の教育委員会といたしましては、昨日、校長会を通して、事件の重みを再認識してその対応を、ということで取り組んでおりますけれども、文部省の方から通達がまいりましたら、当然のことながら、それを熟読いたしまして、的確な対応に努めることは当然のことと考えております。

 次に、実態のことでございますけれども、このいじめの実態というのは、非常にこれはとらえにくいことでございます。しかし、ただそのままにしておくわけにはいかないことでありまして、当然のことですけれども、実態の調査というものは今までもやってまいりました。どこまでがいじめで、どこからが、といういろいろ難しい面はありますけれども、教育委員会あるいは学校の方の相互連絡というようなことから申しますと、昨年度、小学校の方から2件、中学校の方から1件、いじめの事例が報告されております。今年度はまだ報告されておりませんけれども、先ほど申し上げましたように、非常にこれは大切な問題でございますし、難しい問題であります。実態の把握ということは、単なる簡単な調査だけではできないことでございますので、昨日も申し上げましたように、教職員全体による総カウンセラー運動の推進によって、いろんな事情の熟知、連絡を図るような事柄、それから、受け持ちが子供たちと接する場や機会を多く持ちまして、いろんな実態をつかみ取るというようなこと、それから、教育相談活動の展開、それらのことを通しまして、これからも実態の把握により一層努めて、このような、先日のような事態が起こらないように、未然に防ぐような対応を、これからもなお一層努力を重ねてまいりたいと考えておりますので、御理解を賜りたいと思います。

 なお、他の御質問につきましては、関係部長の方からお答えいたします。

○教育委員会管理部長(久保田敏夫君) 御指摘の文部省の指導によります学校図書館の図書の整備計画でございますけども、私どもといたしましても、この文部省の指導に沿うように、計画的に逐次目標達成に向かって整備するような心がけでまいりたいと思います。

○教育委員会生涯学習部長(田中彦次郎君) 新図書館に向けての3要素であります施設、蔵書、司書、またその特徴につきまして、お答えをさせていただきます。

 新市立図書館は、平成8年秋の開館を目指しまして、ただいま工事も順調に進んでおります。施設も重要な役割を果たすことはむろんですが、そこで働く司書、職員も大きな役割を担っております。開館時には嘱託職員も含めまして、文部省が示す基準にあった職員体制で臨み、十分な市民サービスができるように考えております。

 また、蔵書につきましては、蔵書計画によりまして、積極的に図書の充実を図り、開館時までには15万冊の本をそろえまして、魅力ある新鮮な情報を提供してまいります。既存の本につきましても、現在、コンピューター化に備えまして、データ入力を進めるなど業務も順調に進んでおります。

 さらに、山梨県図書館情報ネットワーク・システムにも参画することによりまして、広く広域圏内での本の相互貸借、情報の交換も可能となり、新しいサービスを提供できるものと考えております。

 特徴としましては、全国に先駆けての新しい制度であります山梨県の図書館情報ネットワーク・システムへの参画、さらには甲府は豊かな自然環境に恵まれまして、庶民生活の中から創意と工夫によりまして多くの文化が生まれ育った都市でございます。それらを今後も伝承すべく、山の都甲府に似つかわしい歴史資料、さらに自然環境の資料、地場産業資料等も積極的に集めまして、活用することに大きな特徴を持たせていきたいと、このように考えておる次第でございます。

 以上でございます。

○副議長(石原貞夫君) 金丸三郎君。

○金丸三郎君 それでは、ただいま答弁をいただきまして、まず最初に、山本市長の強い決意をお聞かせいただきまして、ぜひ再選を目指して頑張っていただきたいというふうに強く願うものであります。

 それから、それぞれ各部からも答弁をいただきました。まず、先に要望を幾点か申します。これには答弁は必要ございません。

 まず、新図書館の開設に向けての準備でございますが、その問題につきまして、前向きな答弁をいただきましたが、新図書館ができ上がるのは平成8年の秋だというふうになっておりますが、それまでの間、現在の図書館では、山梨県が全国に誇り得る図書館ネットワーク・サービスが受けれないというふうに聞いております。そこで、せっかく誇り得るネットが既に県内で稼働して、約70万冊の蔵書が結ばれているわけでありますので、早急に現在の甲府市立図書館としても、その末端機を購入することを要望いたします。それによって、すぐにそのネットワークにかかわることができるのではないかと思います。

 それから、保育子育て支援システムでありますが、これも今年度は既にエンゼルプランではなく、エンゼルプラン・プレリュードという計画が既に予算化されて始まっているはずであります。これに対して福祉部では積極的にその活用をお図りになることをお願いいたします。

 次に、再度答弁をしてもらう問題について、私の再質問をさせていただきます。

 先ほど来、関係部長等から、甲府市の活性化対策について幾つかの御答弁をいただきました。確かにそれぞれ皆重要であると考えます。しかし、私が考えるのに、甲府市活性化対策としたときの前提は、やはりどういうまちをつくっていくかという、顔の見える、だれもがわかる方向性というものが示されなければならないのではないかというふうに信じております。甲府圏域地方拠点都市地域の基本計画書もよく読ませていただいております。これについては、何回も本会議場で質問もさせていただきました。そして、決定に対しては心から喜んだものであります。しかし、これを見ても、甲府市そのものがこの中で中核的な役割を担うということはわかっても、甲府市そのものがどういうふうな方向に進んでいくのか、ということが私にはいま一つ理解ができない部分がございます。現在の甲府市が商業集積地として非常に活発な商業地域であるとか、あるいは先端産業が大変進んでおり、工業立市を目指しているのか、あるいは、いわゆるビジターズ・インダストリーと言われる集散人口が大勢流入し、そして観光立市としてやっていけるか。そういったもろもろの問題に対して、今、部長等のお話からは、一体どこを目指すのかということが玉虫色過ぎて把握できない部分がございます。でありますので、甲府市活性化対策をお考えになるときに、まず、大きな、甲府市がこうあるべきだ、こういうふうに進むべきだという方向があって、その後、具体的な施策があれば、これにかなうものはないと信じております。

 私はこの議会において、甲府市の観光立市、広い意味での観光立市の問題について提案したことがございます。今からの時代は、やはり人が来なければ何にも進歩、発展はないと思っております。山本市長の再選表明の中に、「近きもの喜び、遠き者来たる」、すばらしい文句がございました。私はさらにそれに、「来てよし、見てよし、住んでよし」という言葉をつけ加えさせていただきたいと思っておりますが、ぜひ集散人口、いわゆるビジターズ・インダストリーが栄えるようなまちになってほしいものだと。それによってまさに中央商業地が活性化するのではないかというふうに信じております。

 人口問題についても、既に御案内のとおり、総合計画22万数千人ということが、この3年半、甲府市は相も変わらず20万人を行ったり来たりでございます。幾つかの人口定住策をおとりのようでございますが、決して実を結んでいるとは思えません。でありますので、でき得るならば、総合計画の見直しの時点において、ぜひこの辺を追求し、顔の見える甲府市、山本市長がよくおっしゃる甲府らしさの追求、その甲府らしさはだれにでもわかる甲府らしさの追求、甲府らしいとはこういうことだ、という施策を考えていただきたいというふうに強く願います。再度答弁をお願いいたします。

 また、庁内活性化対策についてであります。職員の皆さんは行政のプロであります。やはりこの議会において、過去、島根県の出雲市、御存じのような岩國市長の率いる出雲市は、非常に職員意識が活性化したと伺っております。また、静岡県の掛川市、あるいは長野県の岡谷市等、非常に画期的な行政運営を進めている先進都市を何回か視察もさせていただきました。現在の甲府市が全国の他市に対して誇れるようなシステムがあるのでしょうか。お隣の松本と比べ、あるいは茨城の水戸、あるいは栃木の宇都宮、そういったところと比較して、甲府市はどこかすぐれたところがあるのでしょうか。でありますので、ぜひそういった市民が誇り得るような施策を、企画を中心として出していただければありがたいというふうに思います。

 かつて、先ほど御紹介した本では、行政改革、財政再建等の甲府市の評価が高まり、数年の間は、全国の市の中で、甲府市は行財政改革の進んだまちだというふうに評判になったそうであります。先日、福島議員も申しておりましたが、現状は確かに大変であります。しかし、大変だと言っているばかりが行政の仕事ではもちろんないわけでありますので、ぜひそういった、先輩の皆さんが築き上げたすばらしい活気のある市政を、山本市長のもとで行っていただきたいというふうに思います。

 もう1点、学校図書館の充実についての答弁でございますが、既に昨年から500億円、総額500億円でございますが、この交付金は、昨年が80億円というふうに聞いておるんですけれども、全国のすべての小中学校を対象として交付されていると。ということは、甲府市においても1ヵ所もなかったのか、それとも、そういう話が全くなかったのか。ということは、5年間ですべての小中学校に交付するというふうに聞いておりますのでその辺について、現在の甲府市の状況を、甲府市の学校図書館というか、学校図書費の現実というか、問題をお聞かせいただければありがたいと。私、当然のことながら、どこか小中学校三十数校の中には、既にその交付金が交付されているところがあるというふうに思っていたんですが、それについての再答弁をお願いいたします。

 それから、もう1点忘れました。商業地の問題でございますが、今議会で、いわゆる住民票等あるいは税務諸証明等の発行を、サービス窓口でより充実させよという提案がございましたが、現在、甲府市においては、週末発行できるシステムはございません。でありますので、ぜひ週末、つまり日曜日ですね、発行できるシステムをお考えいただければ、それもでき得るならば、市の行政窓口ではなく、中心部にそういったふうなものをおつくりになる。出雲市でスーパーの中に置いてあるようなものです。お考えいただければありがたいというふうに思います。

 では、答弁をよろしくお願いいたします。

○副議長(石原貞夫君) 市長 山本栄彦君。

                (市長 山本栄彦君 登壇)

○市長(山本栄彦君) 金丸議員の御質問にお答えいたします。

 まずはじめに、都市の活性化対策、中央部の活性化対策というお話でざいますけども、このことにつきましては、甲府の特色を生かした「らしさ」というふうなお話もございました。確かに、今全国的によく言われます金太郎飴的な都市というものが形成をされていっております。しかしやっぱり特色のあるまちというものをつくっていくことがこれから大事なことでありますし、特にこの盆地ということの中での甲府というものの特色、これをいかに生かしていくかということは大変大事なことでございます。そういう中で、特に本市といたしましては、地場産業を中心にした、これを生かした中でのまちづくりということも大変大事なことであろうかと思います。あるいはまた、観光的なものというふうなお話もありましたが、現在、そのために、過日、エコープラン、これを市民の皆さんが策定をしていただきました。東西南北、中央と分けてあります。まさに中央部の活性化もその中にうたわれております。これを進めることによって、地域も、それぞれの中央部をも活性化をしてくるでしょう。あるいは北部も南部もということにつながってくるわけでございます。そして、さらにそれが地方拠点法の1市20町村が指定を受けた、その圏域のまさに拠点都市としての都市機能というものを、私たちが発揮していかなければならないわけです。そして、圏域のその20町村と一体となった中で、またそれぞれの果たす役割がございます。何とかゾーンという四つばかりのゾーンが分かれておりますけども、そういうものが互いに連携をとる中で、初めて盆地全体の活性化というものが果たされる。そのときの中心になるのが甲府市だということではないでしょうか。そして、そこに多くの人たちが交流してくる。交流人口もふえるでしょう。そしてまた、そこに住む人、定住人口もおのずと私は増加してくるんじゃないかと思います。

 そういう観点から、このエコープラン、まさに中心都市としての果たす役割を、これをもとに、それぞれのまたその中を細分化していくと、それぞれの地区が、地域が発展をしていきます。これは都市形態ばかりでなく、そこに住む人の交流によっての連帯感というものが醸成されて、そして、これも当然福祉の問題にもつながってきます。あらゆる面に波及してくるこのエコープラン、これを築き上げていったものが甲府市ということで、その拠点になるのが甲府市ですから、その拠点の周りにある多くの圏域の町村と一体となってまたこれをカバーして、大きた広がりを見せていく。これが私は非常に大事だと思いますので、こうしたことを視点に入れた中でのこれからのまちづくりということです。

 まちづくりというのは、目標がないと当然できません。同時に目標だけ定めても、住民、市民の皆さんの協力がないとできない。したがって、その目標が定まりました。この目標に向かって、それぞれの地域の皆さんが共同でもってこのことを推進していっていただく。それにまた行政も手を携えてやっていくという、本当に市民と行政とが一体となって進めるところに、そうした目標となる「らしさ」というまちができ上がるんじゃがいかと、こんなふうに私考えておりますので、それに向かって、ぜひひとつまた御協力、御指導をいただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

○教育委員会管理部長(久保田敏夫君) お答えいたします。

 ただいまの学校図書館の図書の交付金の交付を受けているかということでございますが、実際、交付金とか補助金という形の中で実際に直接受けているものではございませんで、地方交付税の中の、いわゆる基準財政需要額という中の算定へ盛ってあると、こんなふうに理解しております。御理解いただきたいと思います。

○副議長(石原貞夫君) 金丸三郎君。

○金丸三郎君 先ほど山本市長から、本当にすばらしい御答弁というか、決意をお聞かせいただきまして、いささかも市長の意に沿わないわけではなく、市長がぜひそういったお考えで市を執行していただきたいと強く願うものであります。市長のお考えの中にあります盆地全体を一つの地域としてとらえると。私も今からの甲府市の発展はそれが最も適切だろうというふうに考えております。ぜひ市長がおっしゃるようなことを実行していっていただきたいと思います。

 そこで、再々質問でございますが、今、学校図書館の問題でございますけれども、譲与金として来ているんであれば、それは間違いなく学校図書館の図書費に使われているというふうに理解してよろしいでしょうか。そうでないと、せっかく文部省がこの施策を、私にはよく理解ができるんですが、よろしくお願いいたします。

○副議長(石原貞夫君) 教育委員会管理部長 久保田敏夫君。

○教育委員会管理部長(久保田敏夫君) あくまでお金が来ているわけでございませんで、算定基準という中の算定でございますから、交付税の中の基準財政重要額の中へ盛り込まれているということでございます。そんなように御理解いただきたいと思います。

○副議長(石原貞夫君) 以上で各会派による質疑及び質問を全部終了いたしました。

 これより、割り当て時間に余裕がありますので、会派別でなく関連質問を行います。関連質間については、15分をめどとして発言を許します。

 関連質問はありませんか。

 これをもって質疑及び市政一般質問を終結いたします。

 次に、日程第21 議案第95号を議題といたします。

 市長から提案理由の説明を求めます。

 市長 山本栄彦君。

                (市長 山本栄彦君 登壇)

○市長(山本栄彦君) 本日、追加提案いたしました案件につきまして、御説明申し上げます。

 議案第95号 「甲府市市税条例の一部を改正する条例制定について」は、地方税法の一部改正に伴い、個人の市民税について所得割の税率適用区分の見直しを行うとともに、平成7年度において定率による特別減税を実施し、あわせて法人等の市民税の均等割の税率に係る規定の整備を行うための一部改正であります。

 以上が、本日追加提案いたしました案件であります。

 御審議の上、御協賛賜りますようお願い申し上げまして、説明を終わります。

○副議長(石原貞夫君) 以上で説明は終わりました。

 これより質疑に入ります。

 質疑はありませんか―――質疑なしと認めます。

 本日の議事日程記載の20案については、お手元に配付してあります議案付託表のとおり、所管の常任委員会に付託いたします。

 次に、請願・陳情については、請願・陳情文書表記載のとおり、所管の常任委員会に付託いたします。

 お諮りいたします。

 12月8日は委員会審査のため本会議を休会したいと思います。これに御異議ありませんか。

                (「異議なし」と呼ぶ者あり)

○副議長(石原貞夫君) 御異議なしと認めます。

 よって、12月8日は休会とすることに決しました。

 休会明け本会議は12月9日、午後1時より開会いたします。

 本日は、これをもって散会いたします。

                午後3時52分 散会