更新日:2025年12月18日
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掲載日:2025年12月11日

【写真左:河西和奈さん/右:樋川絵梨子さん】
夢やビジョンを伝えることで、想いが重なり、叶えられた二人の夢とその先
中学の同級生だった河西さんと樋川さんは、お互い別々の地で仕事や子育てに追われる生活を送っている中、2024年の春に再会し、その年の12月に滞在型複合施設「ATAGOEN」と、施設内に英国菓子と紅茶のお店「OvenBird BAKE&TEA」をOPENされました。久しぶりの再会からわずか半年ほどで共同事業者となったきっかけは、自分の夢や将来のビジョンを叶えるため、いつも周りに伝えることを意識し、今すべきこと・やれることを考えて実行してきたという樋川さんの行動力。河西さんと再会した際にも自身の店を開業する場所を探していると伝えたことで、その時ちょうど愛宕山での再生事業を検討し、カフェを経営してくれる方を探していた河西さんの想いと重なりあい、夢が実現したのです。お互いに協力し、切磋琢磨する二人によって、昔からあるものを大切にしながら地域の魅力を発信・再発見する場として、新たな価値ある場所を創り出そうと動き出した「ATAGOEN」 が、これからどのような場所になっていくのか、また同級生のお二人がどのように事業を展開していくのか楽しみです。

ATAGOENは、山梨県甲府市愛宕町にある滞在型の複合施設です。
歴史あるぶどう園「愛宕園」と、隣接する一軒家を改修し、昔からあるものを大切にしながら地域の魅力を発信・再発見する場として、新たな価値ある場所を創り出そうと、2024年の12月にオープンしました。
施設内は、
イギリスの田舎のティールームをイメージした英国菓子と紅茶のお店「OvenBird BAKE&TEA」、
山梨県の文化と自然を体験できる小さな商店「アタゴショウテン」、
地元素材で丁寧につくるクラフトアイス「あいす」、
キッチン付き宿泊施設「めぐるみ」が一体となった空間で、
山梨ならではの魅力あふれる体験を提供することを大切に運営されています。
樋川さん:
私たちは中学の同級生として出会って以来の友人で、気心知れた間柄でした。お互い別々の地で仕事や子育てに追われる生活を送る中、2024年に約10年ぶりに「食事に行こう」と再会。その頃、自分の店を開業しようと場所を探していた私に、彼女(河西さん)が「今、愛宕山でこんな再生事業をしようとしていて、カフェをしてくれる人を探しているんだけどどうかな?」と話を持ち掛けてくれました。数日後には現場を訪れ、私もその景観と居心地の良さにすっかり魅了され、ここでティールームを開くイメージがどんどん膨らんでいきました。そして、なにより彼女がこの地で展開しようとしている事業と、自分がやりたいお店のコンセプトがとてもマッチしていて、その先にも様々な可能性を感じることができたため、「ATAGOEN」内に「OvenBird BAKE&TEA 」をオープンすることを決めることができました。
河西さん:
かつての愛宕園を知っている近隣の方や、関係者の方が訪れてくだっさた時には、かわらぬ景色や賑わいを思い出し涙されることもありました。使われなくなった施設を新たな形で再利用し、また人が集まってくるという循環が生まれたことも、とても意義があったと思います。今後は、この広い土地を生かしてマルシェや自然体験を行ったり、いろいろなジャンルのワークショップを開催して、新たな人の繋がりが生まれたらいいと考えています。

【写真:ATAGOEN外観】

【写真:ATAGOEN施設内】

【写真:キッチン付き宿泊施設「めぐるみ」外観】

河西さん:
「ATAGOEN」を拠点に、飲食と文化活動を大切にしながら、人と人がゆるやかにつながるコミュニティづくりをしていきたいと考えています。
山梨・甲府には素敵な活動やものづくりをしている方がたくさんおり、私自身、これからもたくさんの方と出会っていきたいと考えています。
アタゴショウテンでは、ワークショップ、展示などの企画・開催を行い、地域の活動作家や事業者との協働の場を広げています。また、情報交換や世間話をしに気軽に立ち寄れる、誰にとっても心地のいい居場所としても育てていきたいです。
私自身は、ATAGOEN以外にも、山梨県を拠点に地域の魅力を掘り起こし、伝える活動に取り組んでいます。NPO法人の活動として、ローカルメディアの運営、古民家や空き家の活用、地域イベントの企画など、まちづくりの現場で人と人をつなぎ、新しい暮らし方や働き方を模索しているところです。
微力ながら、地域の小さな声やアイデアを拾いあげ、甲府の魅力を次の世代へとつないでいく活動を、今後も一歩一歩広げていきたいと思います。




樋川さん:
ご来店くださるお客様に喜んでもらえたり、幸せを感じてもらえるといいなあと思いながら、毎朝丁寧にスコーンやお菓子を焼いています。
お店を構えたことで、お客様と対面して直接お話しでき、この距離感だからこそ得られる喜びがたくさんあると感じています。私が作ったお菓子をお客様に美味しいと喜んでいただけることが何よりも嬉しく、お菓子に向き合うモチベーションになっています。
また、ひたすら好きで研究してきた「イギリス菓子」というジャンルをお客様に知っていただけたり、私と同じようにイギリス菓子や紅茶が好きな方々に喜んでもらえたり、共感してもらえることが嬉しいです。イギリス出身の方や、イギリスに長く住まわれていたお客様にも、懐かしいと喜んでいただけた事もありました。これからも美味しくて楽しいイギリス菓子を四季を通して提案し、より多くの人に知っていただきたいです。

そして敷居が高いと思われがちな紅茶も、もっとカジュアルに日常的に楽しんでもらえるよう、紅茶の美味しさや奥深さも広めたいです。通常の営業に加えて、イギリス菓子や紅茶をより深く知っていただけるようなイベントも開催していく予定でいます。
日々のせわしない生活の中のほんの少しの時間、のどかな景観を眺めながらお菓子とお茶で一息ついたり、会話を楽しむ。そして心が満たされリフレッシュでき、暮らしをより豊かにしてくれる。ティータイムにはそんな力があると思っています。そんな、素敵な時間や空間を提供できるようなティールームを作っていきたいです。
それから今の個人的な次の目標としては、イギリスへ行って各地のティールームのお菓子を食べ歩き、食材や紅茶を仕入れたり、ヴィンテージ食器を買付けしたいなと思っています。
樋川さん:
アドバイスになるかはわかりませんが、私自身、今回起業するまでには家族の理解やサポートがなかったら叶わなかったので、家族には何より感謝しています。
ですが、家族に応援してもらえる自分になれるように、自分の夢・将来のビジョンを叶えるために、それをいつも口に出し、周りに伝え、今すべきこと・やれることを考えて実行してきたように思います。自分のアンテナにひっかかったすべての学びや行動が、積み重なって繋がって今の自分をつくっていると思います。
家族がいたり、子育てしていると思うように動けなくなることも度々起こると思いますが、まずは今できる事を考えて、動き出すことかもしれません。すると次にすべきことが見えたりします。
どんな経験も無駄にはならず、いつか必ず役に立つと信じて、私もこれからも頑張っていこうと思います。

ATAGOEN
山梨県甲府市愛宕町にある持続可能な食文化の普及と地域の活性化を目指す滞在複合施設
https://www.atagoen.info/(別サイトへリンク)
https://www.instagram.com/atagoen/(別サイトへリンク)