ホーム > 仕事 > 女性の起業等支援『Can-Passスタイル』〜女性の活躍と交流機会の創出〜 > 女性のための起業等支援セミナー卒業生の活躍 > オンテンバール/コミュニティハウスはぐろ・う 齋藤智子さん(Can−Pass3期生)
更新日:2026年2月3日
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掲載日:2026年2月3日

誰もが自分の暮らしを大切にしながら、活動を続けられる地域をつくるために
地域の人や場をつなぐサポーター的な存在である「コミュニティマネージャー」の連合体である任意団体「オンテンバール」を2024年に設立した齋藤さん。
「まず誰かの活動を手伝ってみる」「頼まれたことには応える」という姿勢を大切に、子どもとその周りの大人、両方と直接つながり続けるため、起業等に関する講座の講師をするとともに、ソーシャル駄菓子屋、県立大学での実習助手などもされています。
「誰かの役に立ちたいという気持ち」と「自分の人生を大切にすること」は両立できるという思いのもと、身近な困りごとを「どうにかしたい」と思う女性たちが、ジェンダーや役割に縛られることなく、自分の暮らしを大切にしながら活動を続けられる地域をつくろうと精力的に活動されている齋藤さんは、自身がプレイヤーとして活動するのではなく、立場や考え方の違う人たちの話を聞きながら、双方にとってよりよい選択ができるように橋渡しをする役割を担い、行政と活動する人たちが自然につながれる仕組みづくりを目指しています。

私は、2022年度に甲府市の女性のための起業等支援セミナー「Can-Pass」を受講しました。その後、それぞれの地域の人や場をつなぐサポーター的な存在である「コミュニティマネージャー」として「Can-Pass」に参加し、2024年にコミュニティマネージャーの連合体である任意団体「オンテンバール」を設立しました。
2024年度と2025年度は、受諾事業者の代表として「Can-Pass」および「Can-Pass plus」の企画・運営を行っています。
「Can-Pass」を受講していた当時は、やりたい思いはあるけれど、何をしていいかわからず、お金になるのかも見えない状態が続いていました。けれど、セミナーに参加し、同じような女性が多くいることを知ったことで、まず「自分はどう生きたいのか、どうありたいのか」を言葉にすることが大切だと感じるようになりました。そして、そのプロセスの先に起業や活動があると思っています。
私は、「自身で選択し、社会に関わる実感を持って生きる人」を増やしたいという思いで、地域の中で活動しています。
羽黒町にあるコミュニティハウス「はぐろ・う」では、3年間ソーシャル駄菓子屋(※1)を続け、週に2回ほど子どもや地域の人と関わっています。
また、甲州市の「自分らしい働き方創出講座」では、2024年度と2025年度に講師として登壇しました。
県立大学では、実習助手として学生と関わりながら、また別の役割として、ゼミの研究協力の企画運営にも携わっています。また、子育て支援に関心のある学生たちと
団体を立ち上げ、地域の親子と大学生が協働できる仕組みづくりにも取り組んでいます。
無償の活動も多いですが、そこから生まれる信頼や経験が委託や仕事につながり、今の生活を支えています。
(※1)ソーシャル駄菓子屋・・・駄菓子を売るだけではなく、子どもの居場所、世代間交流、地域課題の解決など、社会的な役割を持った新しいタイプの駄菓子屋



私はもともと、保育施設の子育て支援拠点で働き、センター長として母親たちの相談を受けてきました。日々たくさんの声を聞く中で、悩みの多くが「母として」「妻として」「女性として」、「どうあるべきか」という、外から求められる役割に縛られていることから生まれていると感じるようになりました。
私自身も、雇われて働くことが当たり前で、家族に合わせて他人軸で時間を使う生き方を選び続けてきました。自分の気持ちや希望を後回しにすることが「正しい」と思っていたのだと思います。
コロナ禍で子育て支援センターを閉めざるを得ない期間が長く続き、「このままではいけない」と感じて、民間の子育て支援センターをつくろうと「Can-Pass」を受講しました。その過程で、自分自身もまた、ジェンダーや役割に縛られて生きてきたことに気づきました。
もともとは自分がプレイヤーとして起業するつもりでしたが、学びと人との出会いの中で、誰かを応援し、サポートすることが自分の得意なことであり、いちばん自分らしい役割だとわかってきました。
人は環境や出会い、そして学びによって生き方や考え方が大きく変わります。その変化のきっかけになる場や関係性をつくりたいと思い、今の活動を続けています。
駄菓子屋や子育て支援に関わっているのも、子どもとその周りの大人、両方と直接つながり続けたいという思いからです。

活動を続ける中で一番うれしいのは、これまでの自分の経験や、できること・できないことも含めて、私の強みが誰かの役に立っていると実感できる瞬間です。
私は、行政や支援機関・組織と、実際に現場で動いているプレイヤーの間に立つ役割を担うことが多いです。立場や考え方の違う人たちの話を聞きながら、双方にとってよりよい選択ができるように橋渡しができたとき、「この役割をしていてよかった」と感じます。
誰かが一歩踏み出すきっかけになったり、迷っていた人が少し前を向けたりする場面に立ち会えることは、何よりのやりがいです。
自分自身が完璧でなくても、そのままの自分で誰かを応援できることに、大きな喜びを感じています。

私の目標は、身近な困りごとに気づき「どうにかしたい」と思う女性たちが、自分の暮らしを大切にしながら活動を続けられる地域をつくることです。
想いはあっても、それがなかなかお金にならず、続けられなくなってしまう人をたくさん見てきました。そうした人たちが、それぞれの形で循環を生み出しながら生きていける地域が、甲府市に広がっていけばいいなと思っています。
また、女性たちが自分を責めることも、誰かのせいにすることもなく、自分で選び、自分の人生を決めていける状態でいられることも大切にしたいです。
今後は、地域で活動する人を支えるコミュニティマネージャーのような役割が県内各地に広がり、行政と活動する人たちが自然につながれる仕組みを育てていきたいと考えています。
「まず誰かの活動を手伝ってみる」「頼まれたことには応える」という姿勢を大切にしながら、それぞれが楽しさと得意を活かして協力し合える関係を地域の中に広げていきたいと思っています。


「Can-Pass」を受講して得たもののなかで、一番大きかったことは、同じような視点や想いを持つ仲間に出会えたことです。自分の想いを応援してくれる支援機関の方々や、人権男女参画課のみなさんとつながれたことも、私にとって大きな支えになりました。
甲府市を中心に活動している人たちと学び合ったことで、受講が終わったあとも、日常の中でお互いの活動を目にしたり、刺激を受けたり、気軽に相談したり、偶然会えたりする関係が続いています。その中で、住んでいる地域への愛着も、より深くなっていきました。
今は私自身が「Can-Pass」や「Can-Pass plus」の運営にも関わっていますが、受講生だったときにもらったものを、今度は返していきたいという気持ちでいます。
「私、ここで生きているな」と実感できること、そしてこの地域の未来に期待が持てるようになったことが、「Can-Pass」を通して得られた一番の変化だと思っています。




まだ何も決まっていないということは、何にでもなれるということだと思っています。
すぐに資格やツールに飛びつく前に、「自分は何を成し遂げたいのか」「どんな世界を見たいのか」という思いを、ひとりで抱え込まず、いろいろな人と一緒に言葉にしてみてください。
その思いをどう表現すれば伝わるのか、どんな形にすれば続けられるのかを考えていくことで、事業や活動は自然と見えてきます。
まずは小さなことから始めて、たくさん試して、振り返って、少しずつ自分の「物語り」(ナラティブ)を磨いていくことが大切だと思います。その積み重ねが、いつか「これが私の生き方だ」と言える道につながっていくはずです。
私は、「ワクワクすることはやる」「自分や家族の生活に支障が出るような時間の使い方はしない」ということを、自分の判断軸にしています。どれだけ素敵に見える活動でも、自分の暮らしや心がすり減ってしまうやり方は選ばないと決めています。
誰かの役に立ちたいという気持ちと、自分の人生を大切にすることは、どちらかを犠牲にするものではなく、両立できるものだと思っています。
これからも、地域の中で人と人がつながり、それぞれが自分のペースで生きていける関係を、少しずつ増やしていきたいです。

オンテンバール
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コミュニティハウスはぐろ・う
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