更新日:2022年8月22日
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江戸時代、甲府の柳町・八日町・連雀町・魚町(現在の中央2~5丁目)、緑町(現在の若松町)付近は商業が栄え、この地域の商家では道祖神祭りの際に各店舗の軒先に「幕絵」という大きな飾り幕を飾る風習があり、豪華さを競っていました。
幕絵の大きさは縦約1.8m、横約11~16mもあり、町ごとに「東海道」「江戸名所」「和漢名将伝」などといった画題を決め、京都の絵師や江戸の浮世絵師に制作を依頼したそうです。初代・2代歌川広重、歌川芳虎、月岡芳年などの有名な絵師が描いたといわれています。
幕絵を飾ったのは県内でもこの地域だけで、その盛大さは「当国一大盛事」と称されるほどでした。
豪華な幕絵を飾る道祖神祭りはその贅沢(ぜいたく)さなどから明治5(1872)年に廃止されました。現在ではほとんどの幕絵が失われてしまい、現存するのは数点のみです。
幕絵は江戸時代末期の甲府の道祖神祭りの盛大さと江戸文化を積極的に取り入れた甲府町人の文化度の高さ、また、有名な絵師に頼めるだけの財力のある商家が甲府に多かったことなどを表しています。
画像:「甲府道祖神祭幕絵 東都名所 目黒不動之瀧(たき)」(県立博物館蔵)
緑町1丁目の商家からの依頼で作成された幕絵。初代歌川広重筆の幕絵で唯一現存するもの(約1.6×10.6m)
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