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更新日:2013年4月4日

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産地ブランド「Koo-fu」初参加の学生、猪股さん・大城さんインタビュー

甲府市は、地場産業として宝石加工が盛んなところです。
「Koo-fu(クーフー)プロジェクト」は、国内ジュエリーの約3分の1を生産している日本一のジュエリー生産地である「山梨」の産地活性化プロジェクトで、平成18年から平成21年まで中小企業庁JAPANブランド育成事業に採択されました。
その活動の中で、ジュエリーの街「山梨」から発信する産地ブランドとして生まれた「Koo-fu」。その象徴となる「コレクション」商品開発に学生として初めて参加した猪股学さんと大城かん奈さん、制作当時にお二人が在籍していた山梨県立宝石美術専門学校の仲剛司先生にお話を伺いました。

【写真左から仲先生・猪股さん・大城さん】

産地ブランド「Koo-fu」の確立と「Koo-fu Pt950」の魅力

「今までは他の企業からの依頼を受ける受動的な仕事が中心でしたが、産地ブランド「Koo-fu」が誕生したことによって、これからは能動的に打って出ることができる。山梨の宝飾技術を世界に発信するきっかけができたんです。」と仲先生。Koo-fuPt950

「Koo-fu」では、国際的にも高い評価を受けている山梨の宝飾技術を結集して様々なオリジナルの素材を開発しています。その中でも注目を浴びている素材が「Koo-fu Pt950」。
プラチナ合金は、純度を上げると硬度が下がる性質を持っていますが、「Koo-fu Pt950」は、プラチナ95%の合金(Pt950)であるにもかかわらず、硬くて、傷がつきにくい、メッキをしなくても白く輝くプラチナ合金です。

「Koo-fu」の象徴となる「コレクション」商品開発に学生が初参加

今回、「コレクション」商品開発に学生が参加することになった経緯について仲先生に伺いました。「『Koo-fuプロジェクト』には、デザイナーや宝石加工、ジュエリー加工の方々など、会社を経営している若い社長が中心となっている『Koo-fuYプロジェクト』というプロジェクトがあります。老舗の会社が中心になっている現在のジュエリー業界ではありますが、若い人たちを育成し、新しい発想でジュエリーを送り出そうというのがこのプロジェクト。その中に、更にフレッシュな感覚を盛り込むチャレンジとして、今回学生を参加させていただけることになりました。」と説明してくださいました。

猪股さんがデザインし、大城さんが加工した「Koo-fu Pt950」使用のリングとピアス

二人が作成したリング

二人が作成したピアス

「他のデザイナーの方々は企業に勤めているプロの方なので、プロではない私たちがやれるかどうかが不安だった。」と話してくれたのはデザインを担当した猪股さん。
石や宝石は使わず、効果的に地金の良さを引き出す形にするというコンセプトで描きだしたデザインは、素材がしっかりとしていないと出せない螺旋の形状に特にこだわったそう。「細い線の螺旋の形状は絶対に使いたかった。支えがなくても形状を維持するというのは、細くても強いという「Koo-fu」の地金の良さを活かしたデザインになっていると思います。作るのは技術的に難しかったけれど、ただ巻くだけではなくて、綺麗に均一の幅で巻いて欲しいと大城さんにお願いをしました。」という猪股さんの言葉には、デザインにかけるプロにも負けない熱い思いを感じました。

一方、加工を担当した大城さんは、「今回の作品は、フックから終わりの部分まで、全て一本の線で出来ているのですが、普通シルバーなどの他の金属だと、簡単に伸びきってしまったり、使用している間に形が変わってしまうんです。しかし、「Koo-fu」の地金だと形を維持することができる。こんなに細いのにすごいなと感じました。それに、線にした時の形の綺麗さもシルバーに比べて、ピーンと張りがある感じがしました。」と加工を通して「Koo-fu Pt950」の素材が持つ良さを実感したと話してくれました。

学生にとって貴重な経験

仲先生のお話では、学校の授業では銀を中心に実習を行っているため、学生が高価な地金を使用することは機会が限られるそうです。そのため、今回の作品制作に携われたことは学生にとって非常に貴重な経験であり、制作後はお二人の意識も変わったとのこと。

猪股さんは、「それまでは、面白い形であれば良いかなというのもあったのですが、素材の特性に合わせた良い形があると思うので、そういったところを意識して今後はやっていければと思うようになりました。」と、使う素材の特性を掴んで、それをデザインに活かそうという意識が強くなったと話してくれました。大城さんは、「Koo-fu Pt950」を加工してみて、今まで扱ってきた素材と違う削りあじ、溶接方法に戸惑うことも多かったようですが、プロの作品と並べられるという緊張感の中で作品を作成したことから、仕上げへの意識が今までよりも強くなったそうです。

授業中の猪股さん

授業中の大城さん

地場ジュエリー産業に新しい風を吹き込む

出来上がった作品は、2013年1月に東京ビッグサイトで開催された30カ国1,050社が出展、35,000人が来場する日本最大の宝飾展IJT(日本宝飾展)に出展されました。

「私にとって『Koo-fuプロジェクト』は、憧れのプロジェクトでした。名立たるメーカーさんの中でも選りすぐりのデザイナーさんが、ただオシャレなものだけではなく、ちょっと先を読んだデザインや、面白いデザインをしていて、そのデザインを一流の職人さんが具現化している、一歩も二歩も先を行っているようなプロジェクトという印象を持っていたので、まさか自分が参加できるなんてという喜びもありましたが、加工していくうちに、アップで写真を撮られたり、ガラスケースで至近距離で見られた時に耐えうるものができるのかという不安の方が大きくなっていきました。」と作成時の不安を話してくれた大城さん。

しかし、IJTで作品を観たお客様からは「面白い」「他の作品と比べても、遜色のない仕上げになっている」などお褒めの言葉をいただいたそうです。二人を見守ってきた仲先生も「今回、初めて『Koo-fu』コレクションの制作に学生が関わらせていただいたことで、荒削りながらも今ある業界に学生の新しい風を送り込むことが出来たと思います。学生がプロ意識を強く持つ貴重な経験となりましたので、ぜひ今後も続けていきたいですね。」と若い世代に寄せる思いを語ってくださいました。

地域を上げての支援体制

お二人がジュエリーの基礎を学んだ山梨県立宝石美術専門学校は、甲府市にあるジュエリーについて学べる日本唯一の公立の専門学校です。「県立の専門学校があるというのは、県を上げて支援してくれているということ。地域を巻きこんだバックアップ体制が頼もしいと感じました。また、職人さんが学校だけではなく、ここかしこにいる山梨なら、ビジネスとしての勉強だけではなく、技術や職人さんの心みたいなものをクローズアップしてみることができるのではないかと思い、この学校を選びました。」と話してくれたのは大城さん。

実際に、1年時に学生全員が行う「企業見学」で出会った会社の方々とは、その場限りの付き合いではなく、卒業制作で悩んだ時や加工でわからないことがある時に遊びに行ける間柄になったとのこと。「その中で、本当に大事なことをいろいろ教わったりしています。」という大城さんの話から、ジュエリー産業に従事する多くの人たちの若い人材に寄せる大きな期待と熱い想いが覗えました。

今回インタビューをした猪股さんと大城さんは、2013年4月より山梨県内のジュエリーメーカーに就職されるとのこと。これからはプロとして活躍するお二人に今後の目標をお聞きしたところ、猪股さんは「企画・デザイン・製造までを一貫して行う一つのブランドを売り出すこと。」、大城さんは「幅広い価値観を持って、様々な素材のジュエリーを扱える懐の深い作り手になること。」と話してくれました。インタビュー風景

日本一のジュエリー生産地「山梨」には、伝統的に受け継がれてきた高度な加工技術、確かな腕を持った職人さんたちがいるだけではなく、これからジュエリー業界を発展させていくであろう若い世代を育てる環境が揃っています。
産地ブランドとして誕生した「Koo-fu」がジュエリー業界にもたらした新しい風が、今後どのように発展していくのか楽しみですね。

山梨県立宝石美術専門学校ホームページ(別サイトへリンク)

猪股学(イノマタ マナブ)さんプロフィール
山梨県南アルプス市出身。甲府市の中学校、高校で学生生活を送り、ロンドン芸術大学ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションにて服飾デザイン・パターンカッティングを学ぶ。帰国後、ユニフォームメーカーにて企画・デザイン職、計測機器メーカーにて海外営業職を経験。その後、大学で学んだことを活かしながら地元企業で働きたいという思いから宝飾業界に興味を持ち、山梨県立宝石美術専門学校へ入学。

大城かん奈(オオシロ カンナ)さんプロフィール
静岡県浜松市出身。大学卒業後、映画制作スタッフやライブ撮影スタッフを経験。
映像制作に携わる中で、「見る人に五感で楽しんでもらえる物作りがしたい」と思い立ち、山梨県立宝石美術専門学校へ入学。

 

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