更新日:2019年8月19日
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「ほうとう」のルーツは中国に…!?6世紀前半に中国で完成した『斉民要術(せいみんようじゅつ)』。この現存する世界最古の農法・調理法書に「はくたく」という食べ物が出てきます。これはこねた小麦粉を親指ほどの太さにして2寸ずつに切り、水に浸して薄くし、強火で煮たものでした。この平たい麺が、現在の「ほうとう」のルーツだと考えられています。
9世紀前半、僧侶・円仁が遣唐使として中国に渡ったときの生活を記した『入唐求法巡礼行記』に、「ほうとう」と呼ばれるものを各地で3回食べたとの記述があります。
やがて遣唐使や中国からの僧により、日本にもその製法が伝えられました。
平安時代半ば、有名な清少納言の『枕草子』にも「はうたう」として、その名前が出てきます。
「しばし。ほぞち・はうたうまゐらせむ」などとどむるを、…『枕草子319段』
訳「しばらくお待ちください。熟れたまくわうり・ほうとうをさしあげよう」などと言って引き止めるが、…
このころになるとほかの貴族たちが書き残した日記にも登場することから、平安貴族の好む食物として広まっていたと考えられます。
その後、武田信玄が陣中食として「ほうとう」をつくらせたとき、野菜をたくさん入れて煮込んだものが甲州風として受け継がれたともいわれています。米があまりとれなかった甲州で「ほうとう」は独自に工夫され、郷土料理となったようです。
「ほうとう」の語源は、「はくたく」の音便によるという説が有力です(はくたく→はうたう→ほうとう)。そのほかにも、陣中食だった麺を武田信玄が「宝刀」で切断したからという説、江戸時代に麺類が禁止されたことによる「御法度」から、といった説もあるようです。
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