更新日:2019年8月19日
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皆さんは、「甲斐八景」をご存じですか?
およそ300年前、甲府藩主だった柳沢吉里が「近江八景」(現在の滋賀県)にならい、山梨県内で選んだ8か所の名勝地のことです。
☆夢山春曙(ゆめやましゅんしょ)…夢見山の春の夜明け
☆竜華秋月(りゅうげしゅうげつ)…護国神社周辺にあった龍華山永慶寺から見た秋の月
☆金峯暮雪(きんぷぼせつ)…金峰山の夕方の雪の眺め
☆酒折夜雨(さかおりやう)…酒折宮の夜の雨
石和流蛍(いさわりゅうけい)…笛吹川(笛吹市)の蛍
富士晴嵐(ふじせいらん)…晴れた日の富士山
恵林晩鐘(えりんばんしょう)…恵林寺(甲州市)の暮れの鐘
白根夕照(しらねせきしょう)…夕日に輝く白根三山(北岳、間ノ岳、農鳥岳)
☆印・・・甲府市内の名勝地
吉里は、京都の8人の公卿に頼んで、八景の情景ごとに和歌をつくってもらい、中御門天皇の許可を得て「甲斐八景」を定めました。大泉寺(古府中町)には「夢山春曙」の歌碑が建てられています。
画像:大泉寺の歌碑。「きのふまで めなれし雪は 夢山の 夢とぞかすむ 春のあけぼの」
甲斐八景の中でも「竜華秋月」の情景は、「なにしおはば 嶺(みね)なる秋の 月やしる その暁の 花の光も」と詠まれ、名月が観賞できる場所として名を高めました。
舞台となった龍華山永慶寺は、吉里の父である吉保が柳沢氏の菩提(ぼだい)寺として創建しました。
しかし、1724(享保9)年に吉里が大和郡山(現在の奈良県)へ国替えするときに寺は取り壊され、現在は、護国神社境内に寺の遺物が一部残るのみです。
残念ながら、今はもう、「甲斐八景」が定められた当時と同じ風景を実際に見ることはできません。
しかし、四季折々の情景を美しいと思う心は大切にしていきたいですね。
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