更新日:2024年10月1日
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フレイルとは「加齢に伴い身体の様々な機能が低下することによって、健康障害に陥りやすい状態」を指す概念です。健康と要介護状態との中間の段階として位置づけられています。身体的のみならず精神・心理的や社会的など多面的な問題を抱えやすく、自立障害を招きやすい状態です。
アイフレイルとは、『加齢に伴って眼が衰えてきたうえに、様々な外的ストレスが加わることによって目の機能が低下した状態、また、そのリスクが高い状態』です。
加齢とともに、眼球は構造的にも、機能的にも様々な面で衰えます。その状態に何らかのストレスが加わると視機能の障害がでてきます。最初は多くが無症状ですが、見にくさや不快感として自覚することもあります。その状態を放置していると、衰えが進み、見え方の低下を常に自覚するようになります。更に進行し、重度な障害に陥ると、回復は難しくなります。見え方の低下には、単なる目の機能低下だけでなく、緑内障や白内障などの病気による場合もあります。早期発見により、適切な予防・治療ができ、進行を遅らせること、症状を緩和させることが期待できます。
40歳を過ぎたら、定期的な視力や眼圧等の検査、またはアイフレイルチェックリストやセルフチェック(別サイトへリンク)をして、アイフレイルを早期発見しましょう。
また、見え方の違和感、異常を感じたら眼科に受診しましょう。
(日本眼科啓発学会アイフレイル公式サイト(別サイトへリンク)より)
アイフレイルチェックリスト(日本眼科啓発学会アイフレイル公式サイトへリンク)
厚生労働省は毎年10月10日を目の愛護デーと定め、眼疾患等に対する予防意識を高め、眼疾患の早期発見、治療等目の衛生に関する注意を呼びかけています。
令和6年度は「アイフレイル早期予防で明るい未来を眼科専門医はあなたの目の健康をサポート」を標語に、4つのことに重点をおき運動を展開しています。
(1)視覚障害の予防及び視力の保持
(2)感染性眼疾患の予防・早期治療
(3)生活習慣病による眼疾患の早期発見、早期治療
(4)角膜移植に関する正しい知識の普及
全国調査(視覚身体障害者認定の実態疫学調査)の結果、2019年度の視覚障害の原因疾患の第1位は緑内障、第2位は網膜色素変性、第3位は糖尿病網膜症でした。
※厚生労働科学研究費補助金難治性疾患政策研究事業分担研究報告書「視覚身体障害者認定の実態疫学調査」より
これらの病気は、症状を自覚しにくく、一度進行してしまうと治療をしても視力を回復することが難しい病気です。そのため、早期に発見し治療を開始することが重要です。
症状がなくても、年に1回は眼底検査や眼科で目の検診を受け、病気にかかっていないかどうかをチェックしましょう。
厚生労働省の研究によると、年齢が40歳以上の20人に1人が緑内障を発症していることが明らかになっています。この中で、実際に治療を受けている人はおよそ20%しかいないそうです。
緑内障は、目の中の圧力(眼圧)が高くなることで視神経(目の神経)が圧迫され、視力が低下したり、見えない部分ができる疾患です。視神経が何らかの要因で圧迫されると、視野がだんだん狭くなり、今まで見えていた範囲を見ることが出来なくなります。何も治療をしないで緑内障が進行していくと、やがて失明に至ります。以前は、「あおそこひ」とも呼ばれていました。
本来、緑内障の失明率はかなり低く、早期に発見して適切に治療を受ければ、生涯視野と視力を保てる病気です。
緑内障は治る病気ではなく、治療は進行を遅らせて、生涯にわたり視機能を保つようにするのが目的です。生活に制限はありませんが、通院は生涯にわたって必要です。
症状がなくても、医師の指示を守り通院を続けましょう。
網膜色素変性は、眼の中で光を感じる組織である網膜に異常がみられる遺伝性の病気で、日本では人口10万人に対し18.7人の患者(4000から8000人に一人)がいると推定されています。
特徴的な症状は、夜盲(暗いところでものが見えにくい)、視野狭窄(視野が狭い)、視力低下の3つです。
網膜の中で光を感じる細胞には、錐体(すいたい)細胞と杆体(かんたい)細胞の2種類があり、錐体細胞は網膜の中心部の黄斑(おうはん)に集中して存在し、視力や色覚を担います。杆体細胞はそれより周辺に多数分布して、周辺の視野や暗い中で光を感じる働きを担います。
網膜色素変性では普通、杆体細胞から障害されるために、夜盲が最初に現れることが多く、進行すると周辺の視野が狭くなって、物にぶつかりやすくなったり、物が見えたり消えたりするという症状が現れます。さらに病気が進行すると錐体細胞も障害され、視力低下を自覚するようになります。
基本的には進行性の病気ですが、その進行はとても緩やかで、数年あるいは数十年をかけて進行します。また病状の進行速度には個人差がみられ、症状の起こる順序にも個人差があり、最初に視力が低下してから夜盲を自覚する人もいます。
糖尿病が原因で目の中の網膜という組織が障害を受け、視力が低下する病気です。糖尿病になってすぐ眼が悪くなるわけではなく、高血糖が5年、10年、15年と長期間続いて合併症が起きます。血糖値をコントロールすることで予防できます。
糖尿病網膜症は末期にならないと視力低下や自覚症状が起こらないことも多くみられます。そのため見えにくくなって初めて眼科を受診した時には、かなり進行しており、手術をしても失明したり、失明は免れても視力は回復しないこともあります。
糖尿病治療中や血糖値に高い人は、自覚症状がなくとも、年1回は眼科の検査を受けておくことが必要です。
また、健康診断の結果、甲府市民は血糖値が高い方が多いという特徴があり、糖尿病や糖尿病性網膜症が心配です。
主に以下のような感染症があります。
高血圧、糖尿病や脂質異常症(高脂血症)などの生活習慣病は眼にも重大な病気を引き起こします。
生活習慣病の発症や重症化の予防も大切です。
また、糖尿病性網膜症など生活習慣病に関連した眼の病気は、当初は症状がなく、症状が出てきたときにはかなり病状が進行しています。
生活習慣病治療中の方は定期的に眼科で検査を受けましょう。
角膜は眼球の最も外側にある組織です。「黒目」と言われることもありますが、健康な角膜は透明な組織で、奥にある虹彩や瞳孔などの組織が透けるので黒く見えます。角膜が病気やケガなどで傷ついたり、白く濁ると、視力が低下し、場合によっては見えなくなります。濁った角膜を、亡くなられた方からご提供いただいた透明な角膜と取り替える移植手術です。
角膜疾患のための視覚障害者は1万9千人、その角膜移植を心待ちにしている人は全国に現在約2千人おられます。
詳細は角膜移植とアイバンク(別サイトへリンク)をご覧ください。