更新日:2019年8月19日
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古関町の永泰寺には珍しい釈迦如来像が安置されています。京都の嵯峨野にある清涼寺の像をモデルに作られたため清涼寺式と呼ばれる像で、全国に100体ほどしか現存していません。
具体的には、(1)頭部の螺髪(らはつ、ぶつぶつ状の髪の毛のこと)が、渦を巻く縄目状になっている(2)衣服に両肩を通し、首の下まで覆われている(3)あごの下から同心円状になっている胸の部分の衣文(えもん)(4)胴腿の境目のY字部分の処理方法、などの点が典型的な如来像と異なり、異国的な特徴をもっていると言われています。
では、なぜ山里深い永泰寺に、異国風の仏像が安置されているのでしょうか?
10世紀末、東大寺の僧・奝然が中国の宋に渡り、如来像を持ち帰って清涼寺に安置しました。その像はインドから中国へ伝わった釈迦像を模刻したもので、インド・ガンダーラ風の特徴を強くもっていたのです。やがて鎌倉時代、清涼寺の像を模刻・信心することが全国的に盛んになり、その中の1体が永泰寺に辿りついたようです。
永泰寺の像は鎌倉時代の中~後期の作と考えられていますが、残念ながら正確な年代はわかりません。現在、県の文化財に指定されていますが、とても精巧な作品で、もし作られた年代が刻まれていれば国の重要文化財になっただろうともいわれます。
この貴重な釈迦如来像は4月8日の花祭りの日に1日だけご開帳され、毎年多くの参詣者が訪れています。
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