ホーム > 仕事 > 女性の起業等支援『Can-Passスタイル』〜女性の活躍と交流機会の創出〜 > 女性のための起業等支援セミナー「Can-Pass(キャン−パス)」事業紹介 > 2025年度「Can-Pass(キャン−パス)」レポート〜DAY3〜
更新日:2025年12月11日
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開催日:令和7年12月4日(木曜日)
会場:甲府市役所本庁舎6階大会議室
主催:甲府市
受託団体:オンテンバール
冬の澄んだ空気の中にも、どこかワクワク感が漂う朝。
Can-Pass第3回の講座は、デジタルやAIという少しハードルの高く見えるテーマにもかかわらず、会場には明るいエネルギーが満ちていました。
支援機関として山梨県民信用組合さんや甲斐の国コミュニティ基金設立準備会さんが参加し、実際にテーブルについてくださり、場全体が「伴走されている安心感」に包まれていました。
最初のチェックインでは、「今日はアイデアを形にするヒントを持って帰りたい」「デジタルが苦手だけど、一歩踏み出してみたい」といった声があがりました。
小さな声のようでいて、一歩前に進もうとする強い意志が、その一言一言に宿っていました。


本日の講座担当講師のオンテンバール三森がこう問いかけました。「みなさん、生成AIをどんな風に使っていますか?」
すると会場からは、
・仕事での文章作成
・考えを整理するための道具
・友達がわりの話し相手
といったリアルな声が次々とあがりました。
受講生それぞれの生活の中に、すでにAIが自然な距離感で存在していることが伝わり、その瞬間、会場の緊張がふっとほどけたように見えました。三森は続けます。
「AIは、答えを押しつける存在ではなく、考えの幅を広げてくれる“補助輪”です。」
この言葉が、今回の講座の要となるメッセージで、メモに残す方も多数見られました。
続いてのテーマは「ペルソナ」。
「あなたは誰の役に立ちたいですか?」三森はこう問いかけました。
その“誰”こそがペルソナであり、ペルソナは、自分の事業の矢印をどの方向に向けるかを決める“地図”だと説明されました。
この際、身近な例として缶コーヒーやキャッチコピーの話が紹介され、「そうか、商品は“誰に届けるか”を明確にしたうえで作られているんだ」と、みなさんが一気に腑に落ちた様子でした。今日のペルソナ「のぞみさん」は、三森自身。
スライドには35歳の女性「のぞみさん」が登場します。

・幼い子を育てながらSNSは“見る専”
・将来に自信がなく、もやもやとした不安を抱えている
・「私も何かしたい」という思いが静かに心にある
三森は、静かに、でも力を込めてこう語りました。「このペルソナは、35歳のときの私自身なんです。」その一言で、会場の空気が変わりました。
のぞみさんは“作ったペルソナ”ではなく、実在の感情を持った人物として立ち上がり、全員が自然と寄り添うモードに切り替わっていくのがはっきりと感じられました。
ここからは、いよいよワークの時間。
「表面の悩みの奥に、本当はどんなニーズがある?」という問いを軸に、受講生が付箋に書き出していきました。
・からだの不調や疲労
・心の孤独
・家族・パートナーとの関係性
・将来への不安
・お金にまつわるもやもや
テーブルのあちこちで、のぞみさんの生活が丁寧に想像され、目に見えない悩みに寄り添う姿勢が自然と育っていくのが印象的でした。

次のステップは、「そののぞみさんを助けるために、自分の強みで何ができるか」を考えるフェーズ。
ここではチームごとに多様なアイデアが生まれました。
・移動型のママケアキャンピングカー
・食や休息の場を通じて“心の余裕”を取り戻すサービス
・1対1で話すことでもやもやを解消するサービス
・孤立をなくす、つながりを生み出す場づくり
・オンラインを活用した伴走支援
・ファイナンシャル不安を解消するサービス


どのテーブルでも、受講生の“得意”や“経験”がしっかりと活かされ、自然とチームの空気が明るくなっていきました。
チームの中には、生成AIを使ってフロント商品のロゴを作成したチームも!

ワーク1〜4の中では、生成AIが「補助輪」として活躍する場面が多く見られました。アイデアの整理や、考えや想いの言語化、キャッチコピーづくり、商品構造のまとめ等生成AIと対話しながら作業を進めることで、「こんなふうに使えばいいのか!」と目を輝かせる受講生がたくさんいました。当初は「AIを使うと自分の言葉じゃなくなる気がする」と抵抗感をもっていた方も、“使い方次第で、自分らしさを引き出す道具になる”と気づくことができた様子で、表情が一気に軽くなっていました。

講座の締めくくりは、三森からの問いかけ。「明日、事業を1%進めるとしたら、何をしますか?」
この問いに対して、「生成AIを使って○○の文章・画像をつくってみる」「既存のSNSでの発信内容がターゲットに刺さるようになっている、AIに壁打ちしてみる」など、AIを取り入れた『具体的な一歩』を書いた方もいらっしゃいました。デジタルが“遠い存在”ではなく、自分の事業を前に進めてくれる身近な相棒として捉えられるようになった証拠ですね。

講座の締めくくりに、三森からもうひとつ大切なメッセージが伝えられました。「AIと人間、そしてチームがかけ合わさることで価値が生まれていく。」どれだけAIが便利になっても、どれだけビジネススキルやテクニックを学んでも、最終的に事業を動かすのは“人”であること。
・レスポンスの速さや、丁寧なやり取り
・相手を思い浮かべた誠実なコミュニケーション
・日々の積み重ねで育まれる「人と人の関係性」
こうした“ビジネスの根っこ”となる部分は、AIでは置き換えられない、人が持つ力です。そして、「AIのスイッチを入れるのも、方向を決めるのも人間。道具に従うのではなく、自分の意思で使いこなせばいい。」という言葉は、多くの受講生の胸に深く残ったようでした。AIが魔法の答えをくれるわけではなく、想いを前に進めるための“補助輪”として活かす。そのために必要なのは、結局のところ「人としての誠実さ」と「仲間と進む姿勢」なのだと、改めて気づかせてくれるメッセージでした。

第3回の講座は、相手の悩みを丁寧に想像し、自分の強みで応える方法を見つけ、生成AIを味方にしながら一歩踏み出す時間でした。
講座終了後も、質疑応答で様々な疑問を積極的に講師にぶつける姿も見られ、ここから何かが始まるという力強い空気感が満ちていました。
みなさんの事業のタネが、生成AIという補助輪を活かしてどんなふうに芽を出すのか、楽しみでなりません。

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