更新日:2025年12月24日

ここから本文です。

2025年度「Can-Pass plus(キャン-パス プラス)」レポート〜DAY3〜

開催概要

開催日時:令和7年12月19日(金曜日)
会場:甲府市役所本庁舎6階大会議室
主催:甲府市
受託団体:任意団体オンテンバール

DAY3テーマ『事業を続けるための計画と、会計・税務の基礎』

DAY3では、事業を「始める」だけでなく「続けていく」ために必要な考え方と実務&お金について学びます。
前半は、講師の加藤香さんによる事業計画と時間・お金の設計についての講義、
後半は、税理士の仲田峻さんによる開業・会計・確定申告に関する実務的な解説が行われました。

 

チャンスの回転ずし理論

最初に紹介されたのが、「チャンスの回転ずし」という考え方です。チャンスは突然目の前に現れるものではなく、人との関係性の中を回っており、
「自分が何をしたいのか」「どんな人とつながりたいのか」を具体的にしている人の前に、必要な情報や機会が“流れてくる”という例えが語られました。

「何が欲しいかを伝えないと、チャンスが回ってきても気づかない」
「名前が書けるレベルまで、キーパーソンを具体化しているかが大切」
という言葉に、受講生は自身の事業を振り返りながら考えを深めていました。
また、欲しいものを待つだけでなく、自分から先に価値を提供することで、結果的にチャンスが巡ってくるという話も共有されました。

時間から考える事業設計

続いて、「分けるとわかる、わかると変わる」というキーワードをもとに、時間とお金の使い方を整理するワークを実施。

まずは、時間とお金をかけてでも大切にしたいことを明確にし、そのうえで働く時間を考えることで、事業の単価や収支設計につながるという考え方を学びました。
「売上目標を先に立てるのではなく、どれだけの時間を事業に使えるのかから逆算する」という視点に、受講生からは納得した様子が見られました。

会計を“難しいもの”から“使うもの”へ

現在の収支をどのように仕訳し、整理していくかという、より実務に近い内容へと話が進みました。売上や経費をどの項目として記録するのか、
また日々の取引をどう積み重ねていくのかについて、勘定科目を考えながら仕訳するワークを行いました。
受講生は、「今、自分が何にお金を使っているのか」「その支出は事業としてどう扱われるのか」
を一つひとつ確認するように話を聞き、帳簿付けが事業の現状把握につながることを実感している様子でした。

開業から確定申告までの実務

後半は、税理士の仲田さんから開業時に必要な手続きや、確定申告までの流れについて、初めての方にも分かりやすい説明がありました。
1開業届・青色申告承認申請書の提出
2事業用口座・クレジットカードの分離
3会計ソフトを活用した日々の記帳
「最初に仕組みを整えることで、後の負担が大きく変わる」という言葉に、参加者は熱心に耳を傾けていました。
また、青色申告のメリットや、家事按分などの節税の考え方についても触れ、「経費をきちんと把握することが、結果的に事業を守ることにつながる」という点が強調されました。

あわせて、受講生の関心が高かった「年収の壁」についても説明がありました。
特に、扶養に関わる基準については、
・判断基準は「売上」ではなく、売上から経費を差し引いた「所得」であること
・一定額を超えると、税金だけでなく社会保険の扱いが変わる場合があること
など、起業初期に誤解しやすいポイントが整理されました。
受講生は、自身の収支状況を思い浮かべながら、「どのタイミングで準備が必要になるのか」「今後の働き方をどう考えるべきか」
といった視点で、前のめりになって話を聞く様子が見られました。

質疑応答:不安が“自分ごと”に変わる時間

質疑応答では、実務に即した質問が多く寄せられました。
経費については、
「自宅兼事務所の家賃や光熱費はどこまで経費になるのか」「車にかかる費用はどう扱えばよいのか」といった具体的な質問が挙がりました。
また、「副業でも確定申告は必要か」「扶養の基準は売上と所得のどちらを見るのか」など、確定申告や社会保険に関する疑問も共有されました。
仲田さんからは、「事業との関係を説明できるかが判断の基準になること」「特に扶養は“売上”ではなく“所得”を見る点に注意が必要」
といった実務的なポイントが丁寧に説明されました。


質疑応答後も、受講生は席を立ち、仲田さんに個別で質問する姿が見られました。
最初は緊張していた受講生が、最後には自ら会計の話をし、自信の状況について相談する様子が印象的でした。

まとめ

DAY3では、事業計画の立て方から、時間とお金の設計、開業・会計・確定申告の基礎までを体系的に学びました。

受講生からは「会計への苦手意識が減った」「事業を続けるイメージが具体的になった」といった声も聞かれ、最終回に向けた土台づくりとなる回でした。
次回はいよいよ最終回。これまでの学びをもとに、自身の事業計画をまとめ、発表する交流型プログラムを予定しています。最後の成果として、受講生の皆さんはどのような内容をプレゼンするのか、今から楽しみです!