更新日:2025年12月9日

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2025年度「Can-Pass plus(キャン-パス プラス)」レポート〜DAY1〜

女性のための起業等支援セミナー「Can-Pass(キャン-パス)」の次のステップとなるセミナーとして始まった「Can-Pass plus(キャン-パス プラス)」。
やりたいことが明確に定まっており、起業等の活動を始めている、または起業等の準備を行っている女性を対象に、活動を通して自らの強みを活かす実践的なノウハウを学ぶ講座です。

〈DAY1の実施概要〉

開催日時:令和7年12月1日(月曜日)
会場:甲府市役所本庁舎6階大会議室
主催:甲府市
受託団体:オンテンバール

はじめに

冬の空気が澄んだ朝、Can-Pass plus第1回講座がいよいよスタートしました。初日ならではの緊張感と、「いよいよここから始まるんだ」という期待がほどよく混じり合った空気の中、受講生の皆さんが続々と会場に集まってくださいました。

甲府市からのメッセージ

最初に主催者である甲府市人権男女参画課長より、ごあいさつ。
「今日の時間が、みなさま一人ひとりの活動の成長につながるように。」という激励の言葉を投げかけさせていただきました。
その後、担当課からもCan-Pass plusの目的を共有いたしました。

・受講生の想いやアイデアを形にしていくこと
・実践的な学びを深める場であること
・受講生同士のつながりを大切にしてほしいこと
・互いの事業を尊重し、安全で中立的な学びの場を守ってほしいこと

といった趣旨がわかりやすく伝えられ、場の空気がふっと柔らかくなりました。

「孤独な事業」を支えるつながりを


続いてオンテンバールからもごあいさつをさせていただきました。
事業はときにとても孤独。ひとりで決断し続けるのは、大きな負担になる。だからこそ、共に歩む仲間や、見守ってくれる支援者の存在が大きな力になる。この講座が、そんな“寄りかかれる場所”にもなれたら...
という思いが語られ、受講生のみなさんも大きくうなずいていらっしゃいました。

Can-Pass Mapと支援者の紹介

更にこの講座に関わる「支援機関」についても紹介がありました。山梨には、起業をサポートしてくれる機関が実はたくさんあります。当日はその中から、
・山梨県民信用組合
・甲斐の国コミュニティ基金設立準備会
の方が参加してくださり、受講生のみなさんの活動を後押ししてくれる“心強い味方”がいることを実感していただけたのではないでしょうか。

講師・加藤香さんの言葉から始まった時間

ここで進行役の講師・加藤香さんへバトンタッチ。まずは簡単な自己紹介でしたが、本当の「物語」が始まったのはここからです。

今日のテーマは「事業計画」──堅苦しいようで、実は“仮説づくり”。加藤さんは最初、このように話しました。
「事業計画というと、すごく硬くて難しい物に聞こえます。でも本質は“仮説を立てること”。そして、仮説を立てたら、どんどん検証して磨いていく。そうやって事業は育っていきます。」
難しい計画表を書くための講座ではなく、“自分の想いを現実にしていくための第一歩”であることが、自然と伝わっていきました。

なぜ「自分」がこれをやるのか

講座の冒頭で取り組んだのは、「なぜ自分がこの事業に取り組みたいのか?」を丁寧に言語化する時間です。同じ業界、同じサービスは世の中にたくさんあります。そんな中で、“誰がそのサービスを届けるのか”という違いこそが、選ばれる理由になる、と加藤さんは話します。ここで加藤さんは、自身が仕事をやめ、NPO法人bond placeを立ち上げた背景を語ってくださいました。そのナラティブに、受講生の中には涙を浮かべる方も。“思いの源泉”を聞くことで、初めてその人が忘れられない存在になることを、会場全体で実感した瞬間でした。

新しい挑戦に必要な3つのこと

続いて、事業を続けていくための3つの土台を紹介
(1)自分がやり続ける意味
(2)共に挑戦する仲間(友達とは違う仲間)
(3)根拠がなくてもいい、自信という土台

「自信は、捨てるからやるのではなく、やっていく中で育つもの」という言葉に、みなさんがふんわりと勇気をもらっているようでした。

手段とナラティブの違い

事業を考えるとどうしても「どんなサービスをつくるか(手段)」に意識が向きがちです。でも、本当に大切なのは「なぜ自分がやるのか(ナラティブ)」。加藤さんのストーリーを聞き終えたあと、“サービスそのもの”より“誰が、どんな思いで届けているのか”が強く印象に残ることを、全員が実感していました。

ミニワーク:私の「誰の・どんな課題・なぜ私」を書いてみる

ここで最初のワークへ。書き出してみると、普段ぼんやりと考えていることが、一気に輪郭を帯びてきます。
受講生同士が書いたものを見せ合う中で、一人ひとりの「私らしさ」が垣間見え、会場の空気がいっそう和やかになりました。

「事業計画は何のため?」

後半は事業計画そのものに向き合う時間です。まずはテーブルごとに話し合いました。出てきた声はこんなものです。

・やりたいことを言語化するため
・ゴールに迷わず向かうための地図
・売上を生むための見通しを立てるため
・振り返りのための“初心の記録”

その後、加藤さんから事業計画の4つの役割についてわかりやすい説明がありました。特に印象的だったのは、「お金を払ってでもほしいと思える人が、どこにどれくらいいるのかを丁寧にあぶり出すことが事業計画の要になる」という言葉です。

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差別化と独自化の話

既存のサービスとどう差別化するか。あるいは自分だけの独自領域をつくるのか。見極めるためのヒントもたっぷり共有されました。
「自分だけの色」をどう事業に落とし込むのか、考えるきっかけになった方が多かったようです。

値決めの3指標の紹介

値決めに必要な「粗利・客数・継続率」については、次回の講座につながる導入として触れられました。数字と向き合うことへのハードルが、ほんの少し下がったように見えました。

いよいよ実践!起業シートをペアで埋めてみる

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最後のワークは、加藤さんによるデモンストレーションからスタート。「相手に聴いてもらいながら話すと、こんなに整理されるんだ」と会場の一気に前向きになりました。その後、受講生同士もペアになって実践。最初は頭を抱えていた方も、話しているうちにどんどん筆が進み、ほとんどのペアが時間内に3分の2以上を埋めることができました。

次回までの宿題

今日書いた起業シートをもとに、まずは100人に壁打ちすることを目標に掲げました。その際に聞いて欲しいのが、顧客が買わない理由、いわゆる「4つの不」です。

・不信(信用できない)
・不要(自分には必要ない)
・不適(自分には合わなそう)
・不急(今じゃなくていい)

実際の声を聞くことで、自分のサービスがどう見えているのか、驚くほどクリアになります。

講座終了後も続く、あちこちの“対話”

講座が終わった後も、会場のあちこちで壁打ちが続いていました。支援機関の方に相談する人、運営スタッフに質問する人、受講仲間と意見交換する人。
「この後ランチどうですか?」と誘い合う姿も見られ、初日からすでに小さなコミュニティが生まれ始めていました。

こうして、Can-Pass plusの濃密な2か月が始まりました。みなさんの“WILL”にしっかりとDRIVEがかかるように、運営も全力で伴走していきます。
ここから一緒に、事業を「形」にする旅を楽しんでいきましょう。

※これまでのCan-Pass plus(キャンパス プラス)の様子など女性の起業等支援についてのページはこちら