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更新日:2025年11月28日
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開催日:令和7年11月17日(月曜日)
会場:木もれびBASE Cafe Chi-Agri、SHARE SHED
主催:甲府市
受託団体:オンテンバール

秋晴れの気持ち良い空の下、先輩起業家の現場見学会を開催しました。
今回は、受講生全員でバスに乗り込み、子育て支援拠点から生まれた飲食店「Chi-Agri」と、地域の新しい挑戦を応援する複合施設「SHARE SHED」を訪れました。
バスの中では、道中からあちらこちらで会話が尽きず、自然とつながりが生まれていく様子が印象的でした。移動そのものが、すでに学びと刺激の時間になっていました。

〜"話すこと"から始まる挑戦の場所
与えられた人が、次の誰かに与えていく循環が育つ場所〜
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Chi-Agriは、保育園「くだま木もれびの家」の職員同士の雑談から生まれ、仲間と一緒に空き店舗をリノベーションして立ち上げられたカフェです。

当日は、飲食・スイーツ・子育て支援イベントの3つの領域で活躍する女性起業家の皆さんから、それぞれの物語を伺いました。
中山綾さん(Chi-Agri)

■きっかけは“園長との雑談”
中山さんがChi-Agriを始める出発点は、園長との何気ない雑談でした。「こういう場所でお惣菜が買えたらいいよね」という会話から話が広がり、最後には「やっちゃいなよ!」と背中を押されたとのこと。まずは園の業務内での取り組みとしてスタートしました。
■技術と関係性が形になったお店
長年栄養士として培ってきた調理技術、そして園長との信頼関係がChi-Agri誕生の大きな基盤となりました。元焼肉店の物件を仲間と共に地道にリノベーションし、2023年にオープン。“積み重ねた経験×人との関係性”が、そのままお店の温かさにつながっていると感じられました。
■給食とカフェの両立、そして独立へ
オープン当初は週1営業。園での仕事とカフェを掛け持ちしながらも「もっと営業日を増やしてほしい」という声が増え、1〜2年悩み続けた末、今年8月に園を退職。9月から個人事業主として独立しました。“まずは今いるお客さんをファンにする”。そんな思いで一歩を踏み出されています。
店名「Chi-Agri」は、Child(子ども)とAgriculture(農業)を組み合わせた園長の造語で、園の暮らしとカフェが自然に結びつく名前です。
■独立後のリアルと喜び
仕入れもスケジュール管理も全てひとり。体調も崩せない緊張感がある一方で、「自分の時間を自分で決められるようになったことが嬉しい」と語る姿が印象的でした。
背中を押してくれたのは、SKY-HIの「怖くても進め」という歌詞。挑戦の原動力になったそうです。
■これから何かを始めたい人へ
「やってみないと分からない。怖くても進んでみてほしい!Chi-Agriを通して多くの出会いやつながりが生まれた。ここで受け取った機会を、今度は自分が誰かに手渡していけたら」と笑顔で話してくださいました。
高根望さん(Chi-Agriのお菓子)

「お客様からの声が、続ける力になる」
■パティシエ経験を活かしたカフェづくり
高根さんは、県外で約8年パティシエとしての経験を積まれたのち、Chi-Agriのスイーツ部門を担当するようになりました。
2023年12月にスタートし、現在は木・金・土・日中心の週4営業。ランチもあるけれど、メインはケーキ。季節のフルーツを使い、
誰もが親しめる"シンプルで美味しい"ケーキを目指しているそうです。
田中香織さん(kinariベビーマッサージ教室)

「産後ママの外に出る一歩を、そっと後押ししたい」
■活動の背景
田中さんは、0〜3歳の赤ちゃんやお子さんとママの"外に出るきっかけづくり"を大切に活動しています。
「子どもと二人きりの生活だと気持ちが沈むことがある。誰かと話せる場所が必要」という自身の体験が原点でした。
■高根さんとの出会い
とあるマルシェでChi-Agriの存在を知り、「ここだ!」と直感。その場で「私はこういうことをしています。ここで何か一緒にできませんか?」という勢いと直感で高根さんに声をかけたことから、一気に話が進んだそうです。
丁寧に想いを共有しあいながら、作り上げたベビーマッサージとスイーツを組み合わせた「プチベビマとスイーツの会」は、毎回10〜15組が集まる人気イベントとなり、「初めましてのママ同士でも自然と笑い合える場」に育っているそうです。
■イベントの進化
最近では開催頻度も上がり、子育てミニ講座、やさしいヨガ、モンテッソーリなど、付加価値をプラスしながら、ママが安心してくつろげる時間を丁寧につくり続けています。
〜地域の挑戦を育てる共創の場〜

SHARE SHEDは、シェアオフィス、イベント会場、コワーキングスペース、シェアキッチン、チャレンジショップなどを備えた複合施設で、地域の"挑戦"が集まる多機能倉庫です。

共同運営者の一人である河西和奈さんに、その歩みと考えを伺いました。
河西和奈さん

「人とのつながりが、新しい挑戦を連れて来てくれる」
■多彩な肩書きを持つマルチプレイヤー
河西さんは、内装建築業者の会社員であり、経営者でもあり、NPO法人の代表でもあります。また、調理もDIYもこなすマルチプレイヤーであるため、SHARE SHEDでのイベント開催時には調理も可能なのだそうです。
■コロナ禍で感じたことと、メディアづくりの決断
世界中を襲ったコロナの波は、河西さんにとっても苦しい時期でした。お店を人に任せる難しさ、思いを届ける難しさを感じたコロナ禍。「自分たちで発信できる仕組みが必要だ」と考え、非営利活動法人まちづくり法人 山梨タンクを立ち上げ、甲府経済新聞を創刊しました。
地域の声や挑戦を、自分たちの手で届けられるようになったことが、大きな転機になったそうです。
■ご縁が次の挑戦を生む
責任と覚悟が求められる局面をいくつも乗り越えながらも、"和奈さんってこういう人、こんなことをしている人"という周りからの認知や、丁寧な人との関わりがあったことで、苦しい時期にも「大丈夫?」と心配してくれる声や「一緒にこんなことやってみない?」という新しいチャンスが次々と舞い込んできたと話していました。
■新拠点Atagoenの誕生
甲府市の旧葡萄観光農園跡地にできたAtagoenは、元々「ここで何かやらないか?」との声はあったものの、どう生かそうかと考えていた矢先、たまたま行ったランチの席でパティシエの友人から出た「そろそろ独立しようと思っていて…」という一言から動き出したプロジェクトだそう。
河西さんが人とのご縁を大切にしてきたからこその新たな展開でした。
■SHARE SHEDでの受講生の様子

後半の見学では、受講生が本当に積極的に動いていました。
河西さんへ積極的に質問したり、施設内を自由に見学したり、オンテンバールメンバーに壁打ち相談をしたり、自分のアイデアを声に出してみたり。
それぞれが、自分の興味や課題に合わせて思い思いに動き、学びを深めていました。
「自分もやってみたい」という気持ちに火がつく時間になったように感じます。

今回の現場見学会を通して、共通して感じられたのは、挑戦は"話すこと"から始まるということでした。
小さな雑談が事業の種になり、偶然の出会いが協働につながり、『やってみない?』が人生を動かし、ご縁がご縁を呼ぶ連鎖が生まれる。そして、場があることで、新しい挑戦が続いていく。受講生の皆さんにとって、「自分も一歩踏み出してみよう」という前向きなきっかけを持ち帰る日になったのではないかと思います。
今後もCan-Passでは、こうした現場から学ぶ機会を大切にしながら、女性たちの挑戦を丁寧に伴走していきます。
※これまでのCan-Pass(キャンパス)の様子など女性の起業等支援についてのページはこちら